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69 妖精2
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驚きに目を見開いた春輝に、怪訝そうに眉を顰めたガベルトゥスは、なにか思い当たることがあるのかと春輝に話すように促す。
そこで春輝は殺されたメイドの血が緑だったこと、それを殺したアルバロも他のメイドも、血の色を見て驚くことはなく平然としいたと話した。
心底面倒臭そうに息を深く吐き出したガベルトゥスは、不機嫌そうに顎髭を弄る。
「いつから精霊族が復活していたのやら……俺はずっと人間が相手だとばかり思っていたんだが、厄介だな」
「しかし陛下が来られた現段階で事態が把握できてよかったかと。ハルキ殿がこれ以上ここでの食事を取らないようにできますし、陛下であれば深くケアができます」
「お前にそこまでさせる気はないからな。ハルキの血の味が変わっていたのはこの気味の悪い食事のせいだろうよ。領地入りする前までは美味かったからな。お前は気がつかなかったのかトビアス」
人間であったころは血の味など興味も無かったが、同じ世界からの人間で尚且つ同じだけの暗さを持つ春輝の血は別格だった。
閨事の際に、春輝に執拗に噛みついてしまうのはマーキング行為ではあったが、それとは別に血の色と味に安堵を覚えていたのだ。
かつての己と同じだと。これが自身に流れていた時が確かにあったのだと。
気に入っていた物が変質したことは許し難い。攻めるようにトビアスを睨みつけたガベルトゥスに、トビアスは申し訳なさそうに膝をついて首を垂れる。
「私が食事をしていれば、早く気がつけていたはずです。申し訳ございません」
「ドラゴンであることが仇になったか」
肩をすくめたトゥーラがトビアスの肩をぽんと叩き、ピリつく二人の間に割ってはいる。ジロリとガベルトゥスに睨まれても引かない辺り、なかなかに肝が据わっているようだった。
「陛下、各方面への嫉妬は見苦しいかと。トビアス様を攻めるのもお門違いです。我々の食事に妖精ははいっておりませんから。その証拠に、陛下は晩餐の時には気が付かれなかったでしょう?」
トゥーラの最もな指摘に罰が悪そうに片眉を器用に跳ね上げたガベルトゥスは、手をひらひらとさせながらトゥーラの話を遮った。
「ともあれ、ハルキ様のお食事は私共の方で用意致しましょう。陛下も万が一がありますのでね」
「そうしてくれ。あとは……裏切り者の始末だな。どうなってる」
「私の配下に追わせています。念の為に領地を出てから仕留めるように指示を出しましたが、宜しかったですか?」
「上出来だ。人間ではないものがどこまで察知できるかわからないからな。俺たちがいる分には大丈夫そうだが、あまり中でなにかをやるのは勘付かれる可能性がある」
面倒ごとばかりだとガベルトゥスは疲れたように呟いた。
春輝の核の根深さも、敵が人間ではなく妖精族の復活も、配下の裏切りも、なにもかもが面倒だ。だが、とガベルトゥスは独りごちる。
異世界から人を呼び出し、洗脳するために核を植え付けるなど、この世界の人間になぜできるのかと疑問に思うことはなかった。
異世界だからだろうと思考がそこで止まってしまっていたのだ。
しかし精霊族と言うものがいるのであれば、妙に納得してしまうことも事実だった。
ガベルトゥスが物思いに耽っていれば、春輝の腹が僅かに鳴った。
途端に不機嫌そうに眉を寄せた春輝に、ガベルトゥスは喉の奥で笑いながら、トゥーラに食事の調達に行かせようと指示を出す。
「他のやっつはまだ入ってないんだろ? 今はそれでいいよ」
トビアスが手をつけない分を示した春輝に、トゥーラもトビアスも申し訳なさそうに眉を下げる。
腹に溜まればなんでもいい春輝にとって、食事が冷めていようが本来違う人の分だろうが気にはしない。
「すぐに調達してきます、夜には間に合わせますねハルキ様」
ガベルトゥスに目配せをされたトゥーラは、廊下に出ようと扉を開け、おや? と動きを止めた。
そこには今にも扉を叩こうと、腕を上げたまま止まっているオーバンが居たのだった。
そこで春輝は殺されたメイドの血が緑だったこと、それを殺したアルバロも他のメイドも、血の色を見て驚くことはなく平然としいたと話した。
心底面倒臭そうに息を深く吐き出したガベルトゥスは、不機嫌そうに顎髭を弄る。
「いつから精霊族が復活していたのやら……俺はずっと人間が相手だとばかり思っていたんだが、厄介だな」
「しかし陛下が来られた現段階で事態が把握できてよかったかと。ハルキ殿がこれ以上ここでの食事を取らないようにできますし、陛下であれば深くケアができます」
「お前にそこまでさせる気はないからな。ハルキの血の味が変わっていたのはこの気味の悪い食事のせいだろうよ。領地入りする前までは美味かったからな。お前は気がつかなかったのかトビアス」
人間であったころは血の味など興味も無かったが、同じ世界からの人間で尚且つ同じだけの暗さを持つ春輝の血は別格だった。
閨事の際に、春輝に執拗に噛みついてしまうのはマーキング行為ではあったが、それとは別に血の色と味に安堵を覚えていたのだ。
かつての己と同じだと。これが自身に流れていた時が確かにあったのだと。
気に入っていた物が変質したことは許し難い。攻めるようにトビアスを睨みつけたガベルトゥスに、トビアスは申し訳なさそうに膝をついて首を垂れる。
「私が食事をしていれば、早く気がつけていたはずです。申し訳ございません」
「ドラゴンであることが仇になったか」
肩をすくめたトゥーラがトビアスの肩をぽんと叩き、ピリつく二人の間に割ってはいる。ジロリとガベルトゥスに睨まれても引かない辺り、なかなかに肝が据わっているようだった。
「陛下、各方面への嫉妬は見苦しいかと。トビアス様を攻めるのもお門違いです。我々の食事に妖精ははいっておりませんから。その証拠に、陛下は晩餐の時には気が付かれなかったでしょう?」
トゥーラの最もな指摘に罰が悪そうに片眉を器用に跳ね上げたガベルトゥスは、手をひらひらとさせながらトゥーラの話を遮った。
「ともあれ、ハルキ様のお食事は私共の方で用意致しましょう。陛下も万が一がありますのでね」
「そうしてくれ。あとは……裏切り者の始末だな。どうなってる」
「私の配下に追わせています。念の為に領地を出てから仕留めるように指示を出しましたが、宜しかったですか?」
「上出来だ。人間ではないものがどこまで察知できるかわからないからな。俺たちがいる分には大丈夫そうだが、あまり中でなにかをやるのは勘付かれる可能性がある」
面倒ごとばかりだとガベルトゥスは疲れたように呟いた。
春輝の核の根深さも、敵が人間ではなく妖精族の復活も、配下の裏切りも、なにもかもが面倒だ。だが、とガベルトゥスは独りごちる。
異世界から人を呼び出し、洗脳するために核を植え付けるなど、この世界の人間になぜできるのかと疑問に思うことはなかった。
異世界だからだろうと思考がそこで止まってしまっていたのだ。
しかし精霊族と言うものがいるのであれば、妙に納得してしまうことも事実だった。
ガベルトゥスが物思いに耽っていれば、春輝の腹が僅かに鳴った。
途端に不機嫌そうに眉を寄せた春輝に、ガベルトゥスは喉の奥で笑いながら、トゥーラに食事の調達に行かせようと指示を出す。
「他のやっつはまだ入ってないんだろ? 今はそれでいいよ」
トビアスが手をつけない分を示した春輝に、トゥーラもトビアスも申し訳なさそうに眉を下げる。
腹に溜まればなんでもいい春輝にとって、食事が冷めていようが本来違う人の分だろうが気にはしない。
「すぐに調達してきます、夜には間に合わせますねハルキ様」
ガベルトゥスに目配せをされたトゥーラは、廊下に出ようと扉を開け、おや? と動きを止めた。
そこには今にも扉を叩こうと、腕を上げたまま止まっているオーバンが居たのだった。
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