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76 居住区と霊廟
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*虫が出てきます。多分気持ち悪い回かもですので、閲覧注意。
読んだ後の苦情は受け付けませんのであしからず。
「なっなんだよそれっ」
「あぁ……まさかこの世界で見るとは……」
「これが妖精です」
「「はぁ?」」
見事に声をそろえた春輝とガベルトゥスは、そっと瓶から距離を取った。
妖精と聞いて真っ先に浮かぶ姿は、小さな人型に羽が生えたものだろう。だが瓶の中身は人型ではなく、多数の足が生えた手のひらサイズの虫だ。色は緑だが姿はそう、茶色く平べったいアレにしか見えない。それに透明な羽がピンと生えているのだ。
大きな瓶の中で蠢くそれらは想像していた妖精とは大分違い、春輝は無意識にガベルトゥスの服の端を掴んだ。
時には淡く発光しながらカサカサと動くそれは、アレではないとわかっていても気持ちが悪い。よく見てしまえば、虫には似つかわしくない牙のようなものも見える。
「なぁ、やっぱりエイリアンなんじゃないのか」
「これを見たら益々否定はできないな……」
「流石にこれは、私でも気持ち悪いですね」
四人はあまりの気持ち悪さから、トビアスが手直にあったアルバロのジャケットを瓶の上から掛けた。
アレを粉末にしたものを混ぜ込まれ食事として出されていたのかと思うと、いっそ体の中を洗浄してしまいたくなる。
妖精が入った瓶と共に出て来た粉が入った瓶を見て、春輝いがいの者達もそこに思い至ったのか、なんとも言えない表情で春輝を見た。ガベルトゥスに至っては、なにも言わずに春輝の頭を乱雑に撫でる。
胸糞が悪いと春輝は粟立って仕方がない腕を抑えながら奥の扉を開けば、一つの大きな繭があるだけだった。
「アルバロの繭か」
「確認します」
トゥーラはがその繭を切り裂けば、案の定アルバロが中に入っていた。渋面を作った春輝はもういいだろうと他の面々を見渡し、トビアスに支持を出した。
「やれ、トビアス」
頷いたトビアスは、扉の前からドラゴンブレスを吐き出した。青白い高温の炎に包まれたアルバロの繭は勢い良く燃える。
異変に気が付いたアルバロが目を開け、その光景に驚愕したような表情をするが目が覚めたところでなにもできない。いい気味だと春輝はアルバロに向かい、中指を立てた。
「はは、久しぶりに見たな」
「ここに銃があったら燃やす前にハチの巣にしてる」
「アレがあれば春輝は戦えるが、流石に無理だな」
「はぁ、わかってる。他の奴らもさっさと燃やそう。霊廟も確認するんだろう?」
数秒で灰すら燃やし尽くしと春輝達は通って来た部屋に再び戻り、全ての部屋の繭をトビアスの炎で燃やし尽くした。
外に出れば辺りは漆黒の闇に包まれたままだ。そのまま少し離れた場所にある霊廟へと向かう。
白い石で作られた建築物は、月明りを反射し輝いているように見える。一軒家のような大きさの霊廟の前にある柵を開き、木でできた扉を開く。中は大きな空洞で、美しい彫刻が壁を飾っていた。
地下に進むようにここにも階段があり、春輝達はそろって降りていく。降りた先の扉を、トビアスが用心深く開けば、目の前には悲惨な光景が広がっていた。
天井から垂れ下がっているのは繭ではなく人だった。それも一人二人ではなく、複数の人間だった物がぶら下がっているのだ。そしてその体には、妖精が這いずり回っている。
誰も悲鳴を上げなかったのが不思議なほどの悍ましい光景だ。カサカサと聞こえる無数の羽音が更に気持ちの悪さを増してくる。
「トビアス、早く、早く始末しろ」
「そうしましょう、これが外に出たらどうなるか」
その場に留まることも躊躇った春輝は、トビアスだけを残し階段を駆け上がる。
「製造工場かよ」
「そうだろうなぁ。ここの使用人たちにやられたんだろう」
「何名かは見かけた覚えがある顔がありましたよ」
引きつった顔の春輝はガベルトゥスをの服を掴む手を離せない。情けないとは思うが、こればかりはどうしようもない。
トビアスが戻って来たのは、ある程度時間が経ってからだった。難しい顔をしているトビアスにガベルトゥスが声を掛ける。
「なにかあったのか?」
「隈なく始末するために中に入ったんですが、思ったよりも広かったんです。その中に古い骨が沢山ありまして。歴代の勇者の遺体も含まれていいました」
「なぜわかる」
「核の臭いが微かに残っている物がありましたので」
トビアスの言葉にガベルトゥスはなんとも言えない顔をし、春輝を近くに抱き寄せた。春輝自身もそうだが、ガベルトゥスも領地から出奔しなければ未来は霊廟の下に眠る彼らと変わらなかっただろう。
「核も全て破壊出来たらいいんだが」
「妖精も全滅させよう。アレが飛んでるのも這ってるのも見たくない」
「だな。トビアス、ドラゴンブレスで王都を焼き払えるようにしとけ」
ガベルトゥスにそう指示されたトビアスは目をぱちくりさせる。
「可能ではあるでしょうが、人はどうするんです?」
「誰が精霊族かわからないんだから皆殺しだ。王都が終われば他の街も同様に焼き払う」
そう言ったガベルトゥスは、まさしくこの世界にとっての魔王だった。
読んだ後の苦情は受け付けませんのであしからず。
「なっなんだよそれっ」
「あぁ……まさかこの世界で見るとは……」
「これが妖精です」
「「はぁ?」」
見事に声をそろえた春輝とガベルトゥスは、そっと瓶から距離を取った。
妖精と聞いて真っ先に浮かぶ姿は、小さな人型に羽が生えたものだろう。だが瓶の中身は人型ではなく、多数の足が生えた手のひらサイズの虫だ。色は緑だが姿はそう、茶色く平べったいアレにしか見えない。それに透明な羽がピンと生えているのだ。
大きな瓶の中で蠢くそれらは想像していた妖精とは大分違い、春輝は無意識にガベルトゥスの服の端を掴んだ。
時には淡く発光しながらカサカサと動くそれは、アレではないとわかっていても気持ちが悪い。よく見てしまえば、虫には似つかわしくない牙のようなものも見える。
「なぁ、やっぱりエイリアンなんじゃないのか」
「これを見たら益々否定はできないな……」
「流石にこれは、私でも気持ち悪いですね」
四人はあまりの気持ち悪さから、トビアスが手直にあったアルバロのジャケットを瓶の上から掛けた。
アレを粉末にしたものを混ぜ込まれ食事として出されていたのかと思うと、いっそ体の中を洗浄してしまいたくなる。
妖精が入った瓶と共に出て来た粉が入った瓶を見て、春輝いがいの者達もそこに思い至ったのか、なんとも言えない表情で春輝を見た。ガベルトゥスに至っては、なにも言わずに春輝の頭を乱雑に撫でる。
胸糞が悪いと春輝は粟立って仕方がない腕を抑えながら奥の扉を開けば、一つの大きな繭があるだけだった。
「アルバロの繭か」
「確認します」
トゥーラはがその繭を切り裂けば、案の定アルバロが中に入っていた。渋面を作った春輝はもういいだろうと他の面々を見渡し、トビアスに支持を出した。
「やれ、トビアス」
頷いたトビアスは、扉の前からドラゴンブレスを吐き出した。青白い高温の炎に包まれたアルバロの繭は勢い良く燃える。
異変に気が付いたアルバロが目を開け、その光景に驚愕したような表情をするが目が覚めたところでなにもできない。いい気味だと春輝はアルバロに向かい、中指を立てた。
「はは、久しぶりに見たな」
「ここに銃があったら燃やす前にハチの巣にしてる」
「アレがあれば春輝は戦えるが、流石に無理だな」
「はぁ、わかってる。他の奴らもさっさと燃やそう。霊廟も確認するんだろう?」
数秒で灰すら燃やし尽くしと春輝達は通って来た部屋に再び戻り、全ての部屋の繭をトビアスの炎で燃やし尽くした。
外に出れば辺りは漆黒の闇に包まれたままだ。そのまま少し離れた場所にある霊廟へと向かう。
白い石で作られた建築物は、月明りを反射し輝いているように見える。一軒家のような大きさの霊廟の前にある柵を開き、木でできた扉を開く。中は大きな空洞で、美しい彫刻が壁を飾っていた。
地下に進むようにここにも階段があり、春輝達はそろって降りていく。降りた先の扉を、トビアスが用心深く開けば、目の前には悲惨な光景が広がっていた。
天井から垂れ下がっているのは繭ではなく人だった。それも一人二人ではなく、複数の人間だった物がぶら下がっているのだ。そしてその体には、妖精が這いずり回っている。
誰も悲鳴を上げなかったのが不思議なほどの悍ましい光景だ。カサカサと聞こえる無数の羽音が更に気持ちの悪さを増してくる。
「トビアス、早く、早く始末しろ」
「そうしましょう、これが外に出たらどうなるか」
その場に留まることも躊躇った春輝は、トビアスだけを残し階段を駆け上がる。
「製造工場かよ」
「そうだろうなぁ。ここの使用人たちにやられたんだろう」
「何名かは見かけた覚えがある顔がありましたよ」
引きつった顔の春輝はガベルトゥスをの服を掴む手を離せない。情けないとは思うが、こればかりはどうしようもない。
トビアスが戻って来たのは、ある程度時間が経ってからだった。難しい顔をしているトビアスにガベルトゥスが声を掛ける。
「なにかあったのか?」
「隈なく始末するために中に入ったんですが、思ったよりも広かったんです。その中に古い骨が沢山ありまして。歴代の勇者の遺体も含まれていいました」
「なぜわかる」
「核の臭いが微かに残っている物がありましたので」
トビアスの言葉にガベルトゥスはなんとも言えない顔をし、春輝を近くに抱き寄せた。春輝自身もそうだが、ガベルトゥスも領地から出奔しなければ未来は霊廟の下に眠る彼らと変わらなかっただろう。
「核も全て破壊出来たらいいんだが」
「妖精も全滅させよう。アレが飛んでるのも這ってるのも見たくない」
「だな。トビアス、ドラゴンブレスで王都を焼き払えるようにしとけ」
ガベルトゥスにそう指示されたトビアスは目をぱちくりさせる。
「可能ではあるでしょうが、人はどうするんです?」
「誰が精霊族かわからないんだから皆殺しだ。王都が終われば他の街も同様に焼き払う」
そう言ったガベルトゥスは、まさしくこの世界にとっての魔王だった。
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