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閑話 出会い
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オルフェウスとアリシアとの出会いは10才の頃。
そろそろ婚約者を決めなければならないということで開かれた王妃のお茶会でのことだった。
王子妃候補のご令嬢が集まったお茶会はいかにもで、目が痛くなるほどの色とりどりのドレスに宝石、ご婦人の厚化粧に振り撒かれる香水の香。
オルフェウスは心底うんざりした。
10才の少年には女性のドレスも宝石も化粧も何が良くて何がダメなのかなんて一切分からない。
ましてそこらじゅうに振り撒かれる香水の匂いなど臭いの一言に尽きる。
オルフェウスは早速げんなりしながらも作り笑いという仮面の下でため息をついた。
王族への挨拶は位の高い貴族から順にというのが慣わし。
そして位の高い貴族のご婦人ほど身に纏うものや化粧などが派手で傲慢なのもまたある種の慣例。
なのでこの国で一番位の高いフェンデル公爵夫人と娘のアリシアはその最たる例だとオルフェウスは身構えていた。
しかも下手をすれば派手で臭くて傲慢なご令嬢が自分の婚約者になる。
これを憂鬱といわずなんという。
だけどそれもまた仮面の下に隠して挨拶を待った。
ーー本日はお招きいただきありがとう存じます。フェンデル公爵家が娘アリシアにございま……っ!キャッ!!
何の期待も持てないオルフェウスが顔は正面視線は明後日を決め込んでいると、小さな悲鳴と共に視界の端に少女の身体が傾くのが見えた。
さすがに慌てて抱き止めて支えると、その視界に気まずそうに笑う、清楚で可憐な少女が映っていた。
真っ直ぐな美しい銀色の髪にアメジストを思わせる紫の瞳、陶器のように真っ白な肌に愛らしいピンクの唇。
まさしくお人形と呼称されそうなほどの美少女が恥ずかしげに頬を染めて気まずそうに笑っていたのだ。
その瞬間オルフェウスは雷にうたれたかのごとく恋に落ちた。
ーー婚約者は彼女しかいない!!
自分の中の貴族女性像を一目見ただけで覆した少女をじっと見つめる。
すると何故かふと違和感を感じた。
ーー公爵家の姫がカーテシーでよろけるなどあるのか?これはわざと……?……いや……もしかして足を痛めているとか?
さすが王城育ちとでもいうのか、オルフェウスは一瞬捻くれた考えに走りそうになったが、顔を顰めるアリシアを見て首をふり、違和感に引き寄せられるようにドレスの裾に手を伸ばした。
そして徐に裾を捲り上げればアリシアの華奢な足首には包帯が巻かれてあった。
あまりの痛ましさに
「大丈夫かーー」
と言葉をかけた瞬間、
ーーパンッ!!
という乾いた音と共に頬に衝撃が走り、泣きながら走り去るアリシアの背中があった。
その後の記憶はない。
が、その時、尻もちをついた状態で、自分の手のひらを見ながら呆然と赤面していたオルフェウスに、その場にいた誰もが彼の初恋を悟った。
こうしてオルフェウスの拗らせ初恋が幕を開けたのである。
ちなみに、オルフェウスの婚約者を決めるお茶会に来ていたアリシアを、本人であるオルフェウスの婚約者にするのに、フェンデル公爵と父王に血反吐を吐くような努力をさせられたのはこれが原因である。
父親にとって愛娘とは時にその立場をも無視させる存在であるのだ。
そろそろ婚約者を決めなければならないということで開かれた王妃のお茶会でのことだった。
王子妃候補のご令嬢が集まったお茶会はいかにもで、目が痛くなるほどの色とりどりのドレスに宝石、ご婦人の厚化粧に振り撒かれる香水の香。
オルフェウスは心底うんざりした。
10才の少年には女性のドレスも宝石も化粧も何が良くて何がダメなのかなんて一切分からない。
ましてそこらじゅうに振り撒かれる香水の匂いなど臭いの一言に尽きる。
オルフェウスは早速げんなりしながらも作り笑いという仮面の下でため息をついた。
王族への挨拶は位の高い貴族から順にというのが慣わし。
そして位の高い貴族のご婦人ほど身に纏うものや化粧などが派手で傲慢なのもまたある種の慣例。
なのでこの国で一番位の高いフェンデル公爵夫人と娘のアリシアはその最たる例だとオルフェウスは身構えていた。
しかも下手をすれば派手で臭くて傲慢なご令嬢が自分の婚約者になる。
これを憂鬱といわずなんという。
だけどそれもまた仮面の下に隠して挨拶を待った。
ーー本日はお招きいただきありがとう存じます。フェンデル公爵家が娘アリシアにございま……っ!キャッ!!
何の期待も持てないオルフェウスが顔は正面視線は明後日を決め込んでいると、小さな悲鳴と共に視界の端に少女の身体が傾くのが見えた。
さすがに慌てて抱き止めて支えると、その視界に気まずそうに笑う、清楚で可憐な少女が映っていた。
真っ直ぐな美しい銀色の髪にアメジストを思わせる紫の瞳、陶器のように真っ白な肌に愛らしいピンクの唇。
まさしくお人形と呼称されそうなほどの美少女が恥ずかしげに頬を染めて気まずそうに笑っていたのだ。
その瞬間オルフェウスは雷にうたれたかのごとく恋に落ちた。
ーー婚約者は彼女しかいない!!
自分の中の貴族女性像を一目見ただけで覆した少女をじっと見つめる。
すると何故かふと違和感を感じた。
ーー公爵家の姫がカーテシーでよろけるなどあるのか?これはわざと……?……いや……もしかして足を痛めているとか?
さすが王城育ちとでもいうのか、オルフェウスは一瞬捻くれた考えに走りそうになったが、顔を顰めるアリシアを見て首をふり、違和感に引き寄せられるようにドレスの裾に手を伸ばした。
そして徐に裾を捲り上げればアリシアの華奢な足首には包帯が巻かれてあった。
あまりの痛ましさに
「大丈夫かーー」
と言葉をかけた瞬間、
ーーパンッ!!
という乾いた音と共に頬に衝撃が走り、泣きながら走り去るアリシアの背中があった。
その後の記憶はない。
が、その時、尻もちをついた状態で、自分の手のひらを見ながら呆然と赤面していたオルフェウスに、その場にいた誰もが彼の初恋を悟った。
こうしてオルフェウスの拗らせ初恋が幕を開けたのである。
ちなみに、オルフェウスの婚約者を決めるお茶会に来ていたアリシアを、本人であるオルフェウスの婚約者にするのに、フェンデル公爵と父王に血反吐を吐くような努力をさせられたのはこれが原因である。
父親にとって愛娘とは時にその立場をも無視させる存在であるのだ。
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