ずぶ濡れで帰ったら置き手紙がありました

宵闇 月

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変わらない

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「何呆けてるんだ?やっぱりまだ良くないのか?」

ノノ先輩の声で我に返り

「大丈夫ですけどノノ先輩こそここで何をしてるんですか?」

私は疑問を投げかけた。

すると驚くことにノノ先輩はこの営業部の課長として再び本社勤務になったという。

そして戻って来たのが一昨日。

そりゃ知らないはずだわ。

まだ熱で唸ってたからね。

違う意味でも唸ってたけど。

しかしノノ先輩ちゃっかり出世コースに乗っかってたのね。

確かに優秀なのは知ってたけどさ。

「そうなんですね。出世おめでとう御座います。またよろしくお願いします」

私はとりあえず襟を正してノノ先輩に再会の挨拶をした。

するとノノ先輩は何故か顔を顰めて

「ありがとう。でもお前にそんな態度を取られたら気持ち悪いから昔と同じでいい。……あ、でも会社では課長呼びで頼む」

と言った。

失礼な。

だけど今の私にはノノ先輩のその変わらない物言いがとても嬉しかったし安心できた。

だから昔のように

「失礼ですね。せっかく人が課長扱いしようとしてるのに」

と軽口をたたいた。

ノノ先輩はそんな私を嬉しそうに見ながら

「それで頼むな」

と笑った。

ノノ先輩の笑顔に一瞬ドキッとしたことは気のせいか何かだろう。

私は自分の心の音から目を背けて

「了解です」

とだけ言ってデスクに戻ったのだった。
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