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猫被りの出逢い 《高校1年生》
第2話 その瞳は誰を追う
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〈SIDE: 蒼夜〉
その瞳が何を映しているのか知りたくて。
その瞳が何を欲しているのか知りたくて。
久しぶりに面白いことが起きそうな予感がした、青葉の季節。
君にとらわれたあの日から一ヶ月半。
結果的に言うと、俺達はただのクラスメートのままだ。
お互い付き合う友人が違ったから、関わる機会がなくなったのだ。
俺は相変わらず猫かぶりのまま『オトモダチ』を作った。
彼は彼なりに友人を作ったようだ。
俺の苦手なタイプのグループだったけど。
それ以来、彼は興味の対象であり、近づきたくない人となった。
それからしばらく。
いろいろ言っても彼は気になる存在だったから、ずっと視線だけで追っていた。
いつもと変わらない学校生活。
入学して半年も経たずに飽き飽きしながら、それでも自ら動くのが面倒で、その「つまらない」日常に埋もれかけていたそのとき。
ふと見つけた小さなこと。
些細な、それこそ、他の誰も気づかないようなこと。
君の瞳に映った『感情』。
本来なら友人と仲良く喋って、一日の中で一番楽しくなるであろう昼食の時間。
笑って話しているはずの君の瞳が笑っていなかった。
『つまらない』
『くだらない』
そんな瞳だった。
たった一つの発見で、飽き飽きしていた日常が変わっていく。
そのことに俺は思わずふっ…と笑った。
「蒼夜?どうしたんだ…?」
一緒に昼食をとっていた『オトモダチ』の声にはっと気付くと、俺は食事の手を止めて一点を見ていたようだった。
幸いなことに、見ていた相手にも『オトモダチ』にも気付かれてはいないようだったが。
心配そうにこっちをみる『オトモダチ』に、俺は偽物の笑顔を見せる。
「何でもないよ。少しぼんやりしてただけ」
そう言えば、「そっか」と言ってまた楽しそうに話し始める。
俺はそんな『オトモダチ』の話を意識半分で聞いて、適当に相づちを打ちながら彼に目を向けた。
相変わらずつまらなそうな瞳で笑っている。
どうして誰も気付かないのか不思議に思うくらいだったけど…
それは多分彼が俺と同類だからだろう。
同じニオイ。
猫被りの人間のニオイ。
近づきたくなかったけど…それ以上にもっと知りたいと思った自分。
身の危険を案じることより好奇心が勝ったのか…。
いずれにしても、これまでの生活が一気に変化しそうだな、と抑えきれない喜びが湧き上がってきた。
その瞳が何を映しているのか知りたくて。
その瞳が何を欲しているのか知りたくて。
久しぶりに面白いことが起きそうな予感がした、青葉の季節。
君にとらわれたあの日から一ヶ月半。
結果的に言うと、俺達はただのクラスメートのままだ。
お互い付き合う友人が違ったから、関わる機会がなくなったのだ。
俺は相変わらず猫かぶりのまま『オトモダチ』を作った。
彼は彼なりに友人を作ったようだ。
俺の苦手なタイプのグループだったけど。
それ以来、彼は興味の対象であり、近づきたくない人となった。
それからしばらく。
いろいろ言っても彼は気になる存在だったから、ずっと視線だけで追っていた。
いつもと変わらない学校生活。
入学して半年も経たずに飽き飽きしながら、それでも自ら動くのが面倒で、その「つまらない」日常に埋もれかけていたそのとき。
ふと見つけた小さなこと。
些細な、それこそ、他の誰も気づかないようなこと。
君の瞳に映った『感情』。
本来なら友人と仲良く喋って、一日の中で一番楽しくなるであろう昼食の時間。
笑って話しているはずの君の瞳が笑っていなかった。
『つまらない』
『くだらない』
そんな瞳だった。
たった一つの発見で、飽き飽きしていた日常が変わっていく。
そのことに俺は思わずふっ…と笑った。
「蒼夜?どうしたんだ…?」
一緒に昼食をとっていた『オトモダチ』の声にはっと気付くと、俺は食事の手を止めて一点を見ていたようだった。
幸いなことに、見ていた相手にも『オトモダチ』にも気付かれてはいないようだったが。
心配そうにこっちをみる『オトモダチ』に、俺は偽物の笑顔を見せる。
「何でもないよ。少しぼんやりしてただけ」
そう言えば、「そっか」と言ってまた楽しそうに話し始める。
俺はそんな『オトモダチ』の話を意識半分で聞いて、適当に相づちを打ちながら彼に目を向けた。
相変わらずつまらなそうな瞳で笑っている。
どうして誰も気付かないのか不思議に思うくらいだったけど…
それは多分彼が俺と同類だからだろう。
同じニオイ。
猫被りの人間のニオイ。
近づきたくなかったけど…それ以上にもっと知りたいと思った自分。
身の危険を案じることより好奇心が勝ったのか…。
いずれにしても、これまでの生活が一気に変化しそうだな、と抑えきれない喜びが湧き上がってきた。
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