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128 石弩
ラッヒェルに到着するとツアイス伯爵が待っていたので、魔法師団の野営地の場所を尋ねる。
魔法師団は南門の外で、街道から少し離れた場所に野営地を定めていると教えてくれた。
「魔法師団長が何やら不機嫌極まりない態度でしたが、何かありましたか」
「一時的にとはいえ、俺の配下になるのが気に入らないのでしょう。奴が好き勝手をする様でしたら、直ぐにお知らせ下さい。それと、街の防衛体制はどうなっています」
「転封の際に、家族や街を離れるのを嫌った者達が多かったので、魔法部隊と言うほどの戦力が有りません。ドラゴン相手に騎士団や警備兵では心許なくて、宰相閣下に援軍を要請しました」
「冒険者ギルドは?」
「他領のギルドから応援を呼んでいますが、ギルマスもドラゴン相手にどの程度の戦力を用意出来るのか、予想がつかないと嘆いています。王国の魔法部隊に期待するしかありません」
* * * * * * *
南門から少し離れた所に野営用のドームが並び、俺達の姿を見た警備兵達が集合しているが、何か異様な物が見える。
「おい、此は何だ」
「はっ、攻城用の移動式石弩であります」
「それは解っている。何故こんな物が此処に有るのかと聞いている」
「魔法師団長様が、魔法部隊は即応性に欠けるので、ドラゴンと対峙した時には部隊の用意が整うまで此で防げと言われました」
三脚の台座に石弩を乗せているが、ごっつい鏃の付いた矢が並んでいる。
マジックポーチから三脚を取りだして据え付け、やおら滑車で弦を引き矢をつがえる。
以前エリンザスの代官屋敷で見せてもらったクロスボウよりも大きく、威力がありそうだ。
攻城用の移動式石弩とはまた、とんでもない物を持ち込んできたが、これの何処が即応性のある武器なんだろう。
未だのんびりと詠唱してから魔法を放つ方が早いだろうに。
腕ほど太い矢と重い鏃は、アーマーバッファローを一撃で射抜いて突き抜けると思われる。
ドラゴンにどの程度の防御力が有るのか知らないが、攻城用の矢を射ち込めば倒せると思うが、当たればの注釈付きだ。
「また、とんでもない物を持ち込んで来たな。魔法部隊の護衛にしてはやけに人数が多いと思ったが、此を使える場所があるかな」
「元騎士団長の意見として、此奴でドラゴンを射ち抜けると思うか」
「逆に聞きたいな。こんな物を射ち込まれて生きている野獣は存在するのかと。まぁ本来の使い方とは少々違うが、破壊用の石ころを飛ばす訳にもいかないからな」
聞けば石弩は30機用意しているとのことで、街道からの攻撃や街の防御には役立つと思うので黙っておくことにした。
* * * * * * *
魔法師団長の申告では、火魔法使い22名、土魔法使い28名、氷結魔法使い18名、雷撃魔法使い13名との事で、威力は魔法大会の展示訓練で見せた通りだそうだ。
対人戦なら十分な威力だが、野獣相手ではどうかな。
「侯爵殿、我が精鋭の実力を確認しますかな」
「以前一斉攻撃を見せてもらったが、どの程度上達したのかな」
おっ、コメカミがピクピクと痙攣しているよ。
プライドが高くて堪え性が無いとは、部下も大変だろうな。
「それよりも石弩の威力を見せてもらいたい」
整備していた石弩から50m程離れた所に、フラッグに命じて野営用の結界を作らせた。
慎重に狙いを定めて射ち出された、ランスと呼ばれた矢はドームの中央に命中し〈ガーン〉と大きな音を立てて弾け飛んだが、同時に結界のドームも消滅した。
高速で射ち出された重い矢は中々の威力で、ドラゴンにも通用しそうだ。
「フラッグの結界が破られたわ」
「ドラゴン相手に耐えられるのか?」
「ちょっと心配になってきたな」
師団長の鼻が膨らみ、ピクピクと動いている。
「如何ですかな。魔法部隊に加えれば、詠唱中の弱点も克服できますからな」
「期待していますよ、但し、魔法部隊を森の中へ連れて行けませんので、街や街道の警備に専念してもらいます」
「何故ですかな。我が魔法部隊は、ドラゴン討伐の命を受けて派遣されています」
「では聞きますが、貴方達は野獣相手の闘いの経験はどの程度あるのですか」
「野獣相手に訓練などしていないが、魔法部隊の精鋭が攻撃すれば野獣など問題ではない」
「つまり、森を歩いたこともなく、討伐の経験も無いが野獣の動きや行動は把握していると? 貴方の思い通りに野獣が動いて、魔法の標的になってくれると思っているのですね」
「此れだけの攻撃魔法使いを揃えているんだ、野獣如き相手に負ける訳がない!」
この馬鹿を連れて2、3日森を散策させてやろうかと思ったが、巻き込まれる部下が可哀想なので黙って聞き流しておいた。
* * * * * * *
「ランディス、結界が破られるのは不味いんじゃないか」
「フラッグの結界はゴールデンベアでも破るのは無理だし、シャムの嘴で突かれても耐えられるものだよ。だが、強度を上げておくに越したことはないかな」
「どうやって」
フラッグに結界のドームを作らせると隣りにグレイのドームを並べて作らせた。
その二つの結界のドームに向けて、グレイにストーンランスを射ち込ませた。
結果フラッグのドームは〈パシン〉と軽い音と共に消滅した。
次いでグレイのドームは〈ガキーン〉と硬質音を響かせてストーンランスを跳ね返した。
「随分硬さが違うわね」
そりゃそうだろう。
グレイの結界は岩の硬さを見本に作る練習をさせたが、結界魔法を授かっている仲間の幻獣にはグレイの真似をさせたが、魔法や野獣の攻撃を防げる様に教えた。
同じ結界でも作る目的が違うので、通常では強度不足になる事はないが限界が低い。
「グレイの結界を真似て作らせるので大丈夫だよ。土魔法も固くする様に教えさせるよ」
魔法部隊の者や師団長は、フラッグの結界を撃ち抜いたのを見て喜び、グレイは別格なので、防がれたのも当然だと配下に説明している。
そしてグレイの魔法があればこそ、一介の冒険者が侯爵になれたのだと俺を貶める事を忘れない。
まぁ、明日にでもグレイ並みの結界と土魔法のドームを作れる様に教えるし、ファイヤーボールと雷撃も特大を伝授して戦力アップをしておくさ。
魔法師団長以下魔法部隊の者達と護衛の警備兵達には、野獣や対ドラゴン戦で不覚を取り恥をかきたくなければ、冒険者を馬鹿にせず尊重しろと言っておく。
馬鹿の耳に念仏だろうが、一応注意はしておいたので下手を打つなよ。
ファブリスの街に向かう途中で結界や土魔法の強化と、ファイヤーボールと雷撃の威力アップをグレイから伝授させておいた。
皆試し打ちで威力に驚き、結界や土魔法で自分達を防御してからでなければ、迂闊に使えないと理解した様だ。
* * * * * * *
ファブリスの冒険者ギルドに顔を出すと、即座にギルマスの執務室に案内された。
「漸く来てくれたか」
「ドラゴンの様子は?」
「スパイクドラゴンだが、発見された所から余り移動していないが、大小合わせて十数頭いる様なんだ」
「他の野獣の被害は大丈夫なのか」
「それも余り芳しくない。侯爵殿が連れてきた者達は噂より数が多い様だが?」
「ヨハンとフェリス達の手伝いを頼んだんだ」
「ヨハンとフェリスか、ホールデンス公爵殿の領地ハイムントに住まい、魔法大会で名を馳せた二人だな。アレットとウルフレントでの活躍を聞いているので、どちらかに一仕事頼みたい」
「獲物は?」
「キラードッグの群れとホーンドッグの群れだ。南門から出て、2時間ほど言った西の草原で狩りをしている。何方もグレイシープの大きな群れを追ってきた様で、餌はたっぷりいるので合流してしまった様だ」
「それじゃ火力の大きい、フェリス達にやってもらおうか。案内は付けてくれるんだよな」
「当然だ。周辺の事情に詳しい地元の奴に案内させる。偵察の者の報告では、二つの大きな群れで石ころや氷が飛んでいるそうだ。幻獣もいる様なので注意しろよ」
* * * * * * *
夜明け前にフェリス達を送り出した後、ドラゴンの監視に出向いていた者達から話を聞いたが、大きな岩が転がっている所とは別に何かがいる様だと教えてくれた。
それは消息を絶った者達の半数以上が、ドラゴンを発見した場所とは全然違う所をベースに活動している者達だからだ。
確かめに行きたいが、土地勘がないし街の防衛を放棄できない。
彼等の話では、消息を絶ったパーティーはドラゴンを発見した場所より北、ラッヒェルに近い所で活動している者達だそうだ。
ベア類やタイガー類なら大きな群れを作る事はない筈だが、大繁殖と言われている今は何とも言えない。
どのみち自分達の持ち場以外の責任は持てないし、気を揉んでも仕方がない。
* * * * * * *
フェリスは兄のアルカンとアデーレにそれぞれの使役獣を従えて早朝のファブリスを出発した。
〔綺羅星〕と名乗ったパーティーは、むさいおっさん六人でフェリスやアデーレが複数の使役獣を従えているのを見て驚いていたが、ギルマス推薦のバーティーだけあって余計な詮索はせずに道案内に徹していた。
遠くから犬の鳴き声が聞こえてきたところで、フェリス達とアデーレ達が二組に分かれると同時に、綺羅星達も三人ずつに分かれて予定の場所を目指した。
「確かに多いわね」
「ファイヤーボールで吹き飛ばすのだから数は関係ないぞ。それより合図を送れ」
アルカンに指示されてフェリスがファルに空高くファイヤーボールを打ち上げさせた。
〈パーン〉と軽い爆発音に答える様に、アデーレ達の居る方向からも〈パーン〉とァイヤーボールの爆発音が聞こえた。
直ぐにファルの作った結界のドームに待避し、キラードッグの群れ目掛けて特大のファイヤーボールを射つ様に指示する。
〈ドオォォォン〉 〈ドオォォォン〉 〈ドオォォォン〉と連続してファイヤーボールの爆発が始まり、反対方向からも自分達に向かってファイヤーボールが飛んで来て〈ドオォォォン〉 〈ドオォォォン〉と爆発する。
キラードッグとホーンドッグの群れを包み込む様に連続して起きた爆発は直ぐに収まり静かになったが、周辺は舞い上がった草木の葉や土埃で何も見えない。
魔法師団は南門の外で、街道から少し離れた場所に野営地を定めていると教えてくれた。
「魔法師団長が何やら不機嫌極まりない態度でしたが、何かありましたか」
「一時的にとはいえ、俺の配下になるのが気に入らないのでしょう。奴が好き勝手をする様でしたら、直ぐにお知らせ下さい。それと、街の防衛体制はどうなっています」
「転封の際に、家族や街を離れるのを嫌った者達が多かったので、魔法部隊と言うほどの戦力が有りません。ドラゴン相手に騎士団や警備兵では心許なくて、宰相閣下に援軍を要請しました」
「冒険者ギルドは?」
「他領のギルドから応援を呼んでいますが、ギルマスもドラゴン相手にどの程度の戦力を用意出来るのか、予想がつかないと嘆いています。王国の魔法部隊に期待するしかありません」
* * * * * * *
南門から少し離れた所に野営用のドームが並び、俺達の姿を見た警備兵達が集合しているが、何か異様な物が見える。
「おい、此は何だ」
「はっ、攻城用の移動式石弩であります」
「それは解っている。何故こんな物が此処に有るのかと聞いている」
「魔法師団長様が、魔法部隊は即応性に欠けるので、ドラゴンと対峙した時には部隊の用意が整うまで此で防げと言われました」
三脚の台座に石弩を乗せているが、ごっつい鏃の付いた矢が並んでいる。
マジックポーチから三脚を取りだして据え付け、やおら滑車で弦を引き矢をつがえる。
以前エリンザスの代官屋敷で見せてもらったクロスボウよりも大きく、威力がありそうだ。
攻城用の移動式石弩とはまた、とんでもない物を持ち込んできたが、これの何処が即応性のある武器なんだろう。
未だのんびりと詠唱してから魔法を放つ方が早いだろうに。
腕ほど太い矢と重い鏃は、アーマーバッファローを一撃で射抜いて突き抜けると思われる。
ドラゴンにどの程度の防御力が有るのか知らないが、攻城用の矢を射ち込めば倒せると思うが、当たればの注釈付きだ。
「また、とんでもない物を持ち込んで来たな。魔法部隊の護衛にしてはやけに人数が多いと思ったが、此を使える場所があるかな」
「元騎士団長の意見として、此奴でドラゴンを射ち抜けると思うか」
「逆に聞きたいな。こんな物を射ち込まれて生きている野獣は存在するのかと。まぁ本来の使い方とは少々違うが、破壊用の石ころを飛ばす訳にもいかないからな」
聞けば石弩は30機用意しているとのことで、街道からの攻撃や街の防御には役立つと思うので黙っておくことにした。
* * * * * * *
魔法師団長の申告では、火魔法使い22名、土魔法使い28名、氷結魔法使い18名、雷撃魔法使い13名との事で、威力は魔法大会の展示訓練で見せた通りだそうだ。
対人戦なら十分な威力だが、野獣相手ではどうかな。
「侯爵殿、我が精鋭の実力を確認しますかな」
「以前一斉攻撃を見せてもらったが、どの程度上達したのかな」
おっ、コメカミがピクピクと痙攣しているよ。
プライドが高くて堪え性が無いとは、部下も大変だろうな。
「それよりも石弩の威力を見せてもらいたい」
整備していた石弩から50m程離れた所に、フラッグに命じて野営用の結界を作らせた。
慎重に狙いを定めて射ち出された、ランスと呼ばれた矢はドームの中央に命中し〈ガーン〉と大きな音を立てて弾け飛んだが、同時に結界のドームも消滅した。
高速で射ち出された重い矢は中々の威力で、ドラゴンにも通用しそうだ。
「フラッグの結界が破られたわ」
「ドラゴン相手に耐えられるのか?」
「ちょっと心配になってきたな」
師団長の鼻が膨らみ、ピクピクと動いている。
「如何ですかな。魔法部隊に加えれば、詠唱中の弱点も克服できますからな」
「期待していますよ、但し、魔法部隊を森の中へ連れて行けませんので、街や街道の警備に専念してもらいます」
「何故ですかな。我が魔法部隊は、ドラゴン討伐の命を受けて派遣されています」
「では聞きますが、貴方達は野獣相手の闘いの経験はどの程度あるのですか」
「野獣相手に訓練などしていないが、魔法部隊の精鋭が攻撃すれば野獣など問題ではない」
「つまり、森を歩いたこともなく、討伐の経験も無いが野獣の動きや行動は把握していると? 貴方の思い通りに野獣が動いて、魔法の標的になってくれると思っているのですね」
「此れだけの攻撃魔法使いを揃えているんだ、野獣如き相手に負ける訳がない!」
この馬鹿を連れて2、3日森を散策させてやろうかと思ったが、巻き込まれる部下が可哀想なので黙って聞き流しておいた。
* * * * * * *
「ランディス、結界が破られるのは不味いんじゃないか」
「フラッグの結界はゴールデンベアでも破るのは無理だし、シャムの嘴で突かれても耐えられるものだよ。だが、強度を上げておくに越したことはないかな」
「どうやって」
フラッグに結界のドームを作らせると隣りにグレイのドームを並べて作らせた。
その二つの結界のドームに向けて、グレイにストーンランスを射ち込ませた。
結果フラッグのドームは〈パシン〉と軽い音と共に消滅した。
次いでグレイのドームは〈ガキーン〉と硬質音を響かせてストーンランスを跳ね返した。
「随分硬さが違うわね」
そりゃそうだろう。
グレイの結界は岩の硬さを見本に作る練習をさせたが、結界魔法を授かっている仲間の幻獣にはグレイの真似をさせたが、魔法や野獣の攻撃を防げる様に教えた。
同じ結界でも作る目的が違うので、通常では強度不足になる事はないが限界が低い。
「グレイの結界を真似て作らせるので大丈夫だよ。土魔法も固くする様に教えさせるよ」
魔法部隊の者や師団長は、フラッグの結界を撃ち抜いたのを見て喜び、グレイは別格なので、防がれたのも当然だと配下に説明している。
そしてグレイの魔法があればこそ、一介の冒険者が侯爵になれたのだと俺を貶める事を忘れない。
まぁ、明日にでもグレイ並みの結界と土魔法のドームを作れる様に教えるし、ファイヤーボールと雷撃も特大を伝授して戦力アップをしておくさ。
魔法師団長以下魔法部隊の者達と護衛の警備兵達には、野獣や対ドラゴン戦で不覚を取り恥をかきたくなければ、冒険者を馬鹿にせず尊重しろと言っておく。
馬鹿の耳に念仏だろうが、一応注意はしておいたので下手を打つなよ。
ファブリスの街に向かう途中で結界や土魔法の強化と、ファイヤーボールと雷撃の威力アップをグレイから伝授させておいた。
皆試し打ちで威力に驚き、結界や土魔法で自分達を防御してからでなければ、迂闊に使えないと理解した様だ。
* * * * * * *
ファブリスの冒険者ギルドに顔を出すと、即座にギルマスの執務室に案内された。
「漸く来てくれたか」
「ドラゴンの様子は?」
「スパイクドラゴンだが、発見された所から余り移動していないが、大小合わせて十数頭いる様なんだ」
「他の野獣の被害は大丈夫なのか」
「それも余り芳しくない。侯爵殿が連れてきた者達は噂より数が多い様だが?」
「ヨハンとフェリス達の手伝いを頼んだんだ」
「ヨハンとフェリスか、ホールデンス公爵殿の領地ハイムントに住まい、魔法大会で名を馳せた二人だな。アレットとウルフレントでの活躍を聞いているので、どちらかに一仕事頼みたい」
「獲物は?」
「キラードッグの群れとホーンドッグの群れだ。南門から出て、2時間ほど言った西の草原で狩りをしている。何方もグレイシープの大きな群れを追ってきた様で、餌はたっぷりいるので合流してしまった様だ」
「それじゃ火力の大きい、フェリス達にやってもらおうか。案内は付けてくれるんだよな」
「当然だ。周辺の事情に詳しい地元の奴に案内させる。偵察の者の報告では、二つの大きな群れで石ころや氷が飛んでいるそうだ。幻獣もいる様なので注意しろよ」
* * * * * * *
夜明け前にフェリス達を送り出した後、ドラゴンの監視に出向いていた者達から話を聞いたが、大きな岩が転がっている所とは別に何かがいる様だと教えてくれた。
それは消息を絶った者達の半数以上が、ドラゴンを発見した場所とは全然違う所をベースに活動している者達だからだ。
確かめに行きたいが、土地勘がないし街の防衛を放棄できない。
彼等の話では、消息を絶ったパーティーはドラゴンを発見した場所より北、ラッヒェルに近い所で活動している者達だそうだ。
ベア類やタイガー類なら大きな群れを作る事はない筈だが、大繁殖と言われている今は何とも言えない。
どのみち自分達の持ち場以外の責任は持てないし、気を揉んでも仕方がない。
* * * * * * *
フェリスは兄のアルカンとアデーレにそれぞれの使役獣を従えて早朝のファブリスを出発した。
〔綺羅星〕と名乗ったパーティーは、むさいおっさん六人でフェリスやアデーレが複数の使役獣を従えているのを見て驚いていたが、ギルマス推薦のバーティーだけあって余計な詮索はせずに道案内に徹していた。
遠くから犬の鳴き声が聞こえてきたところで、フェリス達とアデーレ達が二組に分かれると同時に、綺羅星達も三人ずつに分かれて予定の場所を目指した。
「確かに多いわね」
「ファイヤーボールで吹き飛ばすのだから数は関係ないぞ。それより合図を送れ」
アルカンに指示されてフェリスがファルに空高くファイヤーボールを打ち上げさせた。
〈パーン〉と軽い爆発音に答える様に、アデーレ達の居る方向からも〈パーン〉とァイヤーボールの爆発音が聞こえた。
直ぐにファルの作った結界のドームに待避し、キラードッグの群れ目掛けて特大のファイヤーボールを射つ様に指示する。
〈ドオォォォン〉 〈ドオォォォン〉 〈ドオォォォン〉と連続してファイヤーボールの爆発が始まり、反対方向からも自分達に向かってファイヤーボールが飛んで来て〈ドオォォォン〉 〈ドオォォォン〉と爆発する。
キラードッグとホーンドッグの群れを包み込む様に連続して起きた爆発は直ぐに収まり静かになったが、周辺は舞い上がった草木の葉や土埃で何も見えない。
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