ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学

文字の大きさ
15 / 71

15 王都冒険者ギルド

 ゲルアト商会の客間に滞在して、主の回復を見守っていた。
 ゲルアトは体力は落ちていたが血色は良くなり、特効薬を持ち帰った二人を使用人達の前で褒め、特効薬を手に入れる手助けをしたのが俺と思わせた。
 使い魔の治癒魔法で治った等と知られたら、騒ぎになるのは確実で俺の望むところではない。

 ルクランのゲルアト商会はゲルアトの産まれた家で、本店が王都にあるので是非寄ってくれとゲルアトに懇願された。
 どのみち目的は王都なので、もう少し回復したら王都迄護衛がてら一緒に行く事になった。

 ゲルアトはみるみる回復して周囲を驚かせたが、俺に感謝しきりである。
 早朝にルクランの街を出発し、王都バルザックに着いたのは夕方少し前で、本店に直行した。
 王都に居る間は、ゲルアト商会2階にある客間を何時でも自由に使ってくれと言われたが一晩だけで辞去した。
 
 遅くなったが護衛依頼書に依頼完了のサインをもらい、王都の冒険者ギルドに出むく。
 ゲルアトから感謝の印しにもらった革袋には金貨が10枚程入っていた、依頼報酬等で残金が増えるばかりである。

 * * * * * * * *

 依頼完了報告と書類を提出して、面白い依頼は無いか期待にワクテカだ。
 流石に王都冒険者ギルドの依頼票、張り出しの多さには目を見張る。
 シルバーランクの依頼から見ていく、討伐依頼と護衛依頼が半々だ。
 討伐依頼の内容は指定野獣の指定部位の持ち帰りが条件とか面白そうであるが、討伐は出会い頭に倒すだけでお腹一杯なのでパス。
 
 ゴールドランクの依頼は・・・シルバーランクと内容的には大して代わらずかな。
 野獣の強さが違うくらいで、これも食指が伸びずパス。
 ゴールドランク指名の珍しい薬草の採取なら、面白いかもと考えているとお尻がムズムズ反応する。
 すーっと横にずれると。
 
 「お前の様な餓鬼が、ゴールドランクの依頼票の前に立ちはだかるな!」
 
 又煩いのが現れた、しかも25才の俺に餓鬼だとは礼儀知らずの阿保かいな。
 確かに俺は身長が低いが、165cmは有るんだぞオーク野郎が。
 そう思いながら顔を見ると、やっぱりオークだ。
 
 〈プッ〉って、思わず吹いちゃったよオークさん。
 
 「何が可笑しいんだ糞餓鬼。アイアンやブロンズはもっと奥だ!」
 
 「煩いよオーク野郎、それに後ろから俺を蹴ろうとしたよな。臭くて汚いオークが喋るな!」
 
 おーお、赤いオークに変身だ。
 周囲が静まりかえっているが、赤いオークって怖いもんねー。
 
 「丸腰の餓鬼が、いい度胸だな」
 
 「お前の様な臭くて汚いオークは嫌いなんだ。模擬戦で片を付けようぜ、怖くなければな」
 
 ウオーって周囲の歓声が凄く冒険者ギルド恒例のイベントって感じだが、冒険者は舐められたら終わり・・・だよな。
 ラノベではそうなっていたし、新参者の定番イベントは手早く済ませてしまおう。
 
 訓練場に行くと内野席は満杯だよ、何処から湧いて出て来るのかゴブリンみたいな奴等。
 ギルドの職員らしき男が双方に相手を殺すなよ、俺が止めて止めなければ殺すぞって。
 
 こわーい、オークよりこのオッサンの方がよっぽど怖い、武器が無いのでロングソードより少し長めの棒を借りる。
 合図と共にロングソードで切り込んで来る赤いオーク、足元にチョイと穴を開けて落とす。
 〈ウオー〉とか言ってるが、穴に落ちて手をついた所に又穴を開ける。
 両手両足を埋めて固定し、徐に棒を振り脇腹への一撃でKO勝ちだね。
 
 見物連中の呻き声が心地好いが、お前等は絡んで来るなよ。
 
 「えげつないやり方だな」
 
 「えー、一発で勘弁してやったのにその言い草。ぐちゃぐちゃにすれば良かったの」
 
 「止めろ! 片付けが面倒だ。初めて見る顔だな何処から来た」
 
 「サランガから護衛で来たんだ。王都のギルドを見学に来たら、オークが居るのでびっくりしたよ。しかも、赤い顔のオークなんて初めて見た」
 
 「お前、大概に口が悪いな。王都冒険者ギルドの受付主任のボルグだ」
 
 「ユーヤです。少し在庫を処分していきたいので、解体場所に案内してもらえませんか」
 
 「解体場所が必要な程持っているのか」
 
 腰のマジックポーチをポンポンと叩く。
 
 「お前ランクは?」
 
 「ユーヤだよ」
 
 「あーぁ判った。ユーヤランクは」
 
 マジックポーチから冒険者カードを取り出す。
 
 「ゴールドの二級に、ブロンズの阿保が意気がって喧嘩を吹っ掛けたのか、良く一発で許したな」
 
 「優しいでしょ」
 
 「はいはい、解体場所はこっちだ」
 
 解体主任が呼ばれて、ゴールドランクだ在庫を処分したいと言っていると告げる。
 マジックポーチからマジックバックを出して、解体主任の指定場所に熊さんから並べる。
 黒熊さんが3頭、内1頭は赤いお目々です。
 赤い熊さんは1頭だけです。
 黒い狼さんが沢山、8頭いたよ。
 茶色い犬見たいな狼さんは5頭です。
 黄色い狐が1頭に、銀色狐が4頭、内2頭はワンポイントの赤いお目々だよ。
 
 「待った!、何時まで出すんだ」
 
 「あーこれからは段々小さくするよ。少し処分しないと重いんだよ」
 
 「マジックバックが重い。ハン」
 
 鼻で笑われたが、このオッサンも失礼な奴だな。
 
 「今日は此処までにしてくれ、残りは別の日にたのむ」
 
 「じゃー魔石も全て売るので、清算は口座に振り込んでおいてくれるかな」
 
 ボルグにカードを渡してたのむ。
 
 「可愛い子ぶってるが、25才のオッサンかよ」
 
 失礼なオッサンだが、餓鬼と間違えたのはお前等だ!
 
 「あー模擬戦します」
 
 ニッコリ笑って誘ってみたが、軽く振られた。
 
 三日後に美味しいお肉が食べたくて冒険者ギルドに行く、中に入って行くと何だか俺の前から人が消える。
 嫌な雰囲気だが絡まれるよりマシだと割りきり、ボルグを呼んでお肉が欲しいので解体してもらえないか相談だ。
 
 「お肉以外は全て売るのでお願いします」
 
 「お肉以外って大きいのか」
 
 「大きいよ熊さんより遥かにでかいし、皮とか牙とか色々高く売れるよ」
 
 「ちょっと待て、お前何を持ち込んできた」
 
 「少し大きい蜥蜴だよ」
 
 「ユーヤ、ひょっとして、サランガのギルドにアースドラゴン持ち込んだのはお前か」
 
 「蜥蜴です。アースドラゴンなんて御大層な物は知りません。俺の名前は出さないで下さいね。前回お肉を食べ損ねたので、今回はお肉総取りです。備蓄食料のお肉は蜥蜴のお肉 ♪」
 
 呆れているボルグや解体主任を無視して、今回も口座に振り込んもらう様にたのむ。
 お肉は翌日渡しって事で、ランランでホテルに戻った。
感想 32

あなたにおすすめの小説

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。