ユーヤのお気楽異世界転移

暇野無学

文字の大きさ
39 / 71

39 神様に賄賂を

 提示板の最新情報は、大神殿に新に浮かび上がった二人の女神に対するもので、読み上げる男の声も興奮気味だ。
 
 「聞いたかいご通行中の皆さん、新な女神様のお姿が神殿の魔力石に浮かび上がっているのを。何でも安産と幼子の成長を司る神様らしいと、専らの評判ですよ。生まれ来る我が子の安産を願った女性が加護を授けられたとか大騒ぎに為っています。女神様のお名前はウブナ様とスクナ様だそうだ」
 
 「あの神殿は、時々不思議な光に包まれて神々が参集されているとの噂は、本当なのかい」
 
 通行人に聞かれて読み人が答える。
 
 「その光を見たと言う人は多いね。真偽は定かでは無いが、俺は祈りの時に神様の気配を感じた事が何度か有るよ」
 
 「神殿完成の時公爵様が一人だけ神殿に入り祈られたが、公爵様の姿が光に包まれて消えたって噂は本当かい」
 
 「それっ、一人だけ神殿に入られて居るのに誰が見てるんだ。話しが可笑しいだろう。でもな、神殿の中が光り輝いたって話しは聞いたな」
 
 ユーヤの知らないところで、神様の存在と関係が噂されていて掲示板読みの影響力の恐さでも在った。

 * * * * * * * *

 スタートゲートに跳び、ルーシュに周囲の警戒を頼み俺は木陰で昼寝を楽しんでいた。
 
 数日の休養の後エビ蟹ゲートに跳び漁業に勤しむ。
 在庫が少なくなっているので補給が必要なのだ。
 神様達にも奉納し、美味しい物は分かち合って食すれば旨さも倍増なんちゃって。
 以前作ったイクラは粒が大き過ぎて失敗したので、小振りの魚から卵を採って塩漬にする。
 一口大のイクラなんて、幾ら何でも食いづらい。
 親父ギャグを一人で呟きながら、せっせと魚の腹を裂き卵を塩漬にする。
 
 近くのエメラルドゲートに跳び、ちょっと鉱石採取してから周辺散策と洒落込む。
 ダイヤゲート、オパールゲートと宝石ゲートを跳び、原石を採取して在庫を増やす。
 忘れないうちに魔力石ゲートに跳び、しこたま魔力石をマジックポーチに貯め込む。
 
 そういえば金属鉱床が見つから無いなと、周辺を探すが見当たらない。
 無くて当たり前か、何もかも近くに有る訳ないので探索地域を広げ様と思う。
 一度ミズホに戻り、鉄や銅から希少金属の類い迄の見本を集めて今後の採取探索に役立てよう。
 金属探査の鑑定を使わないので、鑑定能力が一行に進歩しないんだよね。
 
 ミズホの街に居るときには、極力市場に出向き片っ端から鑑定して遊ぼう、勉強して能力を高めよう。
 ルーシュとブラブラ森を彷徨い歩く、面倒な野獣や蜥蜴はルーシュが片付けてくれるので楽だ。
 
 そろそろ帰らねばオルスクに怒られそうだ、最近転移魔法陣の設置をサボっているからな。

 * * * * * * * *

 「ただ今オルスク、変わりは無いかい」
 
 「ブラウン様より紙の生産の目処が立ったので、一度政務庁舎にお越し下さいと連絡が御座いました」
 
 「判った、ロシアナを呼んで呉れ」
 
 ロシアナに料理長に頼みが有るので、厨房に立ち入っても問題ないか聞いてみる。
 
 「ユーヤさま、如何なさいました」
 
 「いやな、料理を大量に作って貰いたいのだ。盛り付けは必要ないが大皿や寸胴に入れたままで良いのだ。出来次第全てマジックポーチに仕舞うので、厨房を俺がウロウロしても問題ないか確認したくてな。調理する材料も俺が持っているので直接渡す必要が有るんだ」
 
 「御案内致します。ユーヤ様、暫くは屋敷に滞在されますか」
 
 「逸れを言われると耳が痛い。まっ俺の所に勤めたのが運の尽きだと諦めて貰うしか無いな。人手は足りているか」
 
 「はい、その点は執事のオルスクとも相談して遣り繰りしております」
 
 ロシアナが厨房に入り料理長に話しに行く。
 
 「旦那様、どの様な料理を御所望で御座いますか」
 
 「内々ではユーヤで頼む、旦那様呼ばわりは背筋が寒いからな、実は森の奥の沢筋にいるエビと蟹に魚を調理して欲しいんだ」
 
 不思議そうに顔を見合わせているので現物を見せた方が早いと、台の上にエビ,蟹,魚を一匹ずつ並べる。
 蟹一匹、甲羅だけで50cmオーバーで足を伸ばせば2mを超える、爪もでかくて太い。
 エビ、1m超えで胴体だけでも60cmは優に有り胴回りは15cmくらいか。
 魚も一m程度だが良く肥えている。
 忘れてならないイクラも塩漬容器ごと出す。
 
 二人ともビックリして固まってしまったよ。
 復活した料理長に蟹を6匹出し、2匹づつ焼き蟹、蒸し蟹、茹で蟹にして欲しいと要望。
 蟹を茹でた汁は魚の切り身と野菜タップリのスープにすること。
 エビも10匹出し焼きと茹でにして貰う。
 魚も10匹出し半数ずつ塩焼きと料理長の知識でお任せにする。
 イクラは塩漬なので塩抜きの方法を教えて、最後は水を切っておくことと念押しだ。
 
 暖かい内にマジックポーチに仕舞いたいので、出来上がり次第知らせてくれると厨房まで取りに来ると言って居間に帰る。
 
 今夜は久し振りに焼き蟹でルーシュと二人で堪能しよう。
 ルーシュも尻尾が揺れている。
 全ての料理をマジックポーチに仕舞うと、エビ,蟹,魚を各2匹ずつ出して使用人一同で試食するようにと置いておく。
 
 さて賄賂を持って、ヨークス様の下に参上致しますか。

 * * * * * * * *

 《ヨークス様ユーヤですが・・・お留守かな、折角の御馳走だが持って帰ろうかな》
 
 《待て待てまてと申すのに、ユーヤ良く来たな待っておったぞ》
 
 《一応創造神様ですので、最初のご挨拶はヨークス様と決めているのですよ。今日は鍛治神カナトコ様と、森を司る神様にお願いの儀が有り参上しました》
 
 《おうユーヤ何用だ》
 
 《カナトコ様は地に埋もれる金物も掌っていますか》
 
 《逸れならオオリクの神が良かろう森の事はエダハに聞くが良いぞ》
 《地に埋もれ潜む物なら、ヨークス様より儂が任されておるが何かな》
 
 《森を歩く時に、地に何が埋もれているか興味が有りまして》
 
 《任せておけ、儂の全ての加護を》
 
 《あー、待って待って下さいオオリク様、そんな御大層な加護は要りません。自分の立つ周囲の地面に、何が埋もれているのかが解る程度で宜しいのです》
 
 《何じゃその程度で良いのか? 地に埋もれる全ての財宝の在りかくらいは》
 
 《いえいえ結構です! 逸れとエダハ様は御座しましょうか》
 
 《居るぞ、お前に、加護を授ける日が来るとは嬉しいぞ。何が望みじゃ申してみよ》
 
 《いえいえ大したものでは御座いません。森を歩く時に香辛料となる植物や美味しい果実の成る木が解ればと思いまして》
 
 《任せておけ、森はお主の前に跪くであろう》
 
 《エダハ様そんなに要りません! ちょっと解れば良いんです》
 
 《ユーヤ儂には頼み事は無いのか、望みのものを授けるぞ》
 《おうおう、お前には何時もヨークス様のお守りをして貰っておるからのう》
 《お前のお陰で神力が溢れておるぞ》
 
 《有り難う御座います》
 
 《これユーヤ、儂には頼み事は無いのか》
 
 《えー、ヨークス様は物忘れが酷いからなー、この地に降りる時に沢山頂きましたから感謝しております》
 
 《言葉だけで無く、態度で示せユーヤ》
 
 《ハイハイヨークス様心得ておりますよ。今回はちょっと趣向を変えてエビ,蟹,魚に魚卵と出汁で作ったスープです。皆様ヨークス様には少し多めにお渡し下さいね》
 
 《ユーヤ、酒も勿論多めにな》
 
 《何時もヨークス様には多めに渡しているのですが、足りないのですか? 嫌ですよ酔っ払いの創造神様なんて。皆さん、ヨークス様が酔って不始末をしないように宜しくお願いします》
 
 そう言って、調理された料理を供物台に次々と並べる。
 
 《ヨークス様、口を閉じて下さい。涎が・・・》
感想 32

あなたにおすすめの小説

ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス

於田縫紀
ファンタジー
 雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。  場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。

異世界で快適な生活するのに自重なんかしてられないだろ?

お子様
ファンタジー
机の引き出しから過去未来ではなく異世界へ。 飛ばされた世界で日本のような快適な生活を過ごすにはどうしたらいい? 自重して目立たないようにする? 無理無理。快適な生活を送るにはお金が必要なんだよ! お金を稼ぎ目立っても、問題無く暮らす方法は? 主人公の考えた手段は、ドン引きされるような内容だった。 (実践出来るかどうかは別だけど)

劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?

はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、 強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。 母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、 その少年に、突然の困難が立ちはだかる。 理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。 一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。 それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。 そんな少年の物語。

神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として

たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。 だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。 一度目では騙されて振られた。 さらに自分の力不足で全てを失った。 だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。 ※他サイト様にも公開しております。 ※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※ ※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※

『収納』は異世界最強です 正直すまんかったと思ってる

農民ヤズ―
ファンタジー
「ようこそおいでくださいました。勇者さま」 そんな言葉から始まった異世界召喚。 呼び出された他の勇者は複数の<スキル>を持っているはずなのに俺は収納スキル一つだけ!? そんなふざけた事になったうえ俺たちを呼び出した国はなんだか色々とヤバそう! このままじゃ俺は殺されてしまう。そうなる前にこの国から逃げ出さないといけない。 勇者なら全員が使える収納スキルのみしか使うことのできない勇者の出来損ないと呼ばれた男が収納スキルで無双して世界を旅する物語(予定 私のメンタルは金魚掬いのポイと同じ脆さなので感想を送っていただける際は語調が強くないと嬉しく思います。 ただそれでも初心者故、度々間違えることがあるとは思いますので感想にて教えていただけるとありがたいです。 他にも今後の進展や投稿済みの箇所でこうしたほうがいいと思われた方がいらっしゃったら感想にて待ってます。 なお、書籍化に伴い内容の齟齬がありますがご了承ください。

異世界に来たからといってヒロインとは限らない

あろまりん
ファンタジー
※ようやく修正終わりました!加筆&纏めたため、26~50までは欠番とします(笑)これ以降の番号振り直すなんて無理! ごめんなさい、変な番号降ってますが、内容は繋がってますから許してください!!!※ ファンタジー小説大賞結果発表!!! \9位/ ٩( 'ω' )و \奨励賞/ (嬉しかったので自慢します) 書籍化は考えていま…いな…してみたく…したいな…(ゲフンゲフン) 変わらず応援して頂ければと思います。よろしくお願いします! (誰かイラスト化してくれる人いませんか?)←他力本願 ※誤字脱字報告につきましては、返信等一切しませんのでご了承ください。しかるべき時期に手直しいたします。      * * * やってきました、異世界。 学生の頃は楽しく読みました、ラノベ。 いえ、今でも懐かしく読んでます。 好きですよ?異世界転移&転生モノ。 だからといって自分もそうなるなんて考えませんよね? 『ラッキー』と思うか『アンラッキー』と思うか。 実際来てみれば、乙女ゲームもかくやと思う世界。 でもね、誰もがヒロインになる訳じゃないんですよ、ホント。 モブキャラの方が楽しみは多いかもしれないよ? 帰る方法を探して四苦八苦? はてさて帰る事ができるかな… アラフォー女のドタバタ劇…?かな…? *********************** 基本、ノリと勢いで書いてます。 どこかで見たような展開かも知れません。 暇つぶしに書いている作品なので、多くは望まないでくださると嬉しいです。

異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた

りゅう
ファンタジー
 異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。  いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。  その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位