能力1のテイマー、加護を三つも授かっていました。

暇野無学

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075 思わぬ出会い

 俺の攻撃に耐えた結界障壁を、満足そうに見て微笑むアリエラと褒める亭主。
 なかなか微笑ましいが、この程度の結界を破る方法はあるのだけれど、喜びに水を差すほど野暮じゃない。

 * * * * * * * *

 交代のパーティーに後を任せ、二度目の休息の為にタンザの街に戻ると冒険者ギルドに直行したが、前回同様人で溢れかえっている。
 買い取り受付ではサブマスが仕切っていて、俺達の顔を見ると二階の会議室へ行けと言われた。
 首を捻るグレンの後に続いて会議室に行くと、此処も冒険者達で溢れていた。

 「ギルマス、何の用ですか」

 「おう、ご苦労。どんな塩梅だ?」

 「湧いて出るって感じですよ。一番酷い場所をあてがったんじゃないでしょうね」

 「まぁ多い場所の一つではあるな。それでお前達の所にもう一組加えようと思ってな。知り合いでもいれば連れて行ってくれ。いなけりゃ適当なパーティーをあてがうから案内してくれ」

 「シンヤさん! 何でこんな所にいるんですか?」

 そんな事を話している俺達の背後から、俺の名を呼ぶ声がした。
 振り向けば、フランがお目々をまん丸にして叫んでいたし、オシウスの牙の面々がニヤリと笑っている。

 「フラン、どうしたの?」

 「ザンドラの冒険者ギルドから招集が掛かって、タンザへ応援に行けと言われたんですよ」

 「おー、お前達が知り合いなら丁度良い。何て名のパーティーだ?」

 「オシウスの牙ですよ」

 「それじゃ、タンザの楯とオシウスの牙にシンヤで頼むわ」

 「又ですか、て言うより、さっき帰ってきてエールも飲んでないんですよ」

 「判った、エールを飲んだら頼むぞ」

 真面に聞いちゃいないね。
 ドラドをグレンに紹介して取り敢えずエールを飲みに食堂へ行くが、人が多すぎて飲むのに苦労しそうだ。

 「飲めそうもないが、どうする?」

 「取り敢えず獲物だけ放り出して街へ繰り出そうぜ」
 「飲まなきゃ街から出ねえぞ!」

 「あんた達はどうする?」

 「のんびり飲める雰囲気でも無さそうなので、取り敢えず獲物を見せてくれないか」

 解体場も混雑していて順番待ちの行列が出来ているので、見た瞬間にゲップがでそうだった。

 「あ~あ、此処だけは逃げ出す訳にもいかないな」
 「マジックバッグを空にしなきゃ、討伐しても捨てるだけになるからな」

 「シンヤさんは、どうしてこの街に?」

 「知り合いを訪ねてきて、序でにゴールドマッシュを採取していたんだ」

 「あ~、ミーちゃんとフーちゃんがいるからね」

 「その後タンザの森の見物をしていて、帰ろうかと思ってギルドに獲物を売りに来たら、強制招集に引っ掛かったんだよ」

 「なんだ、シンヤもDランクになっていたのか」

 「運の悪いことにね。しかしザンドラにまで応援要請をしてるって事は、大事なの?」

 「何十年に一度らしいぞ。普通は王都の南から呼び寄せる何て事はしないって聞いたな」

 解体係の職員が俺達の顔を見てやって来る。

 「おい、タンザの楯が来ているのなら声を掛けろよ」

 「割り込んじゃ悪いと思ってな」

 「今回も多いのか?」

 「ああ、シンヤのマジックバッグに大物がたっぷりな」

 「じゃあー奥へ来てくれ」

 解体係に呼ばれて奥へ向かうと、順番待ちの列から怒号が飛んできた。

 「おい、俺達を待たせてそいつ等を先に回すとは何だ!」
 「同じ様に討伐に駆り出されているんだぞ! 舐めた真似をするとただじゃ済まさねぇぞ!」

 「あー、あんた。獲物は何を持ってきたんだ?」

 「それと、そいつ等を優先する事に何の関係が有るんだ!」

 「あるから聞いているんだよ。獲物はなんだい?」

 「オーク三頭とホーンボアにグレイウルフ五頭だ!」

 「ふーん、で、そっちの兄さんも不服らしいが獲物は?」

 「ブラックベアとハイオーク二頭にハウルドッグ八頭だ!」

 「少ないね。それじゃ列に並んでもらわないと駄目だな」

 「なら、そいつ等の獲物はなんだ!」

 「グレンさん、今回も同じ様な物かい」

 「ああ、殆どシンヤが狩った物だけど、ベア類だけでも20頭くらいだな」

 「だ、そうだ。大物で数も多いから、其方に並ばせると後ろがつかえて仕事にならなくなるんだよ。嘘だと思うのならついて来なよ」

 解体係にしれっと言われて二の句がつけないのか、文句を言っていた奴等が黙り込んだ。

 〈またかよ! 前回も大物ばかり狩って来て大騒ぎになっていたからな〉
 〈ギルマスがCランクに格上げして、俺達より奥へ行かせているからな〉
 〈彼奴らの後ろを受け持った連中は大物以外のオークやドッグ系草食系か殆どだと言っているぞ〉
 〈大物をタンザの楯が狩っていて、小物を後ろに流しているって噂だからな〉
 〈それでもオークを含めて手子摺る物ばかりだからな〉

 「シンヤさん、何か凄いことを言ってますが、そんなに危険な場所なんですか?」

 「ん、フランなら問題ないよ。シェルターとストーンランスで楽勝さ。練習は続けているんだろう」

 「勿論ですし、使える回数も増えましたよ」
 「おお、今じゃフランはオシウス村一番の使い手だし、一人で遠征も出来るぞ」

 「ほっほ~う、それじゃフランに頑張ってもらおうかな」

 解体係の示した場所に獲物を並べて行くが、ドラドさん達オシウスの牙が知っている、以前の俺と現在の差に驚いている。

 ゴールデンベア、3頭
 ブラウンベア、4頭
 レッドベア、4頭
 ブラックベア、8頭
 キングタイガー、3頭
 ファングタイガー、5頭
 ビッグキャット、3頭
 ブラックキャット、4頭
 ビッグホーン、2頭
 オークキング、1頭
 ハイオーク、9頭
 フォレストウルフ、24頭
 グレイウルフ、18頭
 バッファロー、7頭
 ビッグエルク、13頭
 ホーンボア、11頭

 「相変わらず凄い獲物だな」

 「サブマスの指示した場所に行ったら、次々と出て来るんですよ」

 「そりゃー、サブマスはあの辺で稼いでいた冒険者だ、獲物の通り道は良く知っているからな」

 「なに、それ!」
 「かー、サブマスに嵌められたのか」
 「獲物の通り道に俺達を送り込んだのか」
 「俺達だけじゃあんな所は即座に放棄だな」
 「シンヤがいなきゃ死んでるわよ。頼りにしているわよ、シンヤ」

 「今度はフランもいるから気楽に出来るよ」

 「へえ~ぇ。シンヤがそう言うのなら、あんたも相当な使い手なのね」

 「フランの魔法を良く見ていれば、勉強になるよ」

 〈おい、見ろよ!〉
 〈今回も凄えなぁ~〉
 〈幾ら獲物がいるからって、奴等の持ち場は御免だな〉
 〈それをホイホイ狩ってくるんだからなぁ~〉

 獲物の査定が終わったら、タンザの楯と俺の口座に均等に振り込んでくれと頼み、煩くなった解体場から逃げ出す。
 グレン達オシウスの牙が黙ってついてくるが、フランだけはどんな所かと興味深げに聞いてくる。

 * * * * * * * *

 市場で大量の食料とエールの樽を仕入れて街を出ると、デエルゴ村へ向かう途中で数日間休みを取ることにする。
 フランに頼み、総勢13名が宴会が出来るドームを作ってもらい、その中で親睦を兼ねた酒盛りが始まった。
 しかし、アリエラがフランのドーム作りを見て驚愕し、フランの側に座り込んで彼此尋ねている。

 聞かれてフランが俺の方をチラチラ見るので「知っている事は教えてあげなよ」とにっこり笑っておく。
 俺が色々と説明する手間が省けるってものだ。
 フランも、説明より実際に目の前で作りながらの方が説明しやすいと思ったのか、明日の朝に作って見せますと逃げて宴会に加わってしまった。
 そこで俺に目を向けるアリエラだが、フランの魔法を見ながらの説明が一番判り易いので明日だと、エールをあおる。

 久し振りに外部の音が聞こえないドームの中で寝ているのに、朝早くからアリエラに叩き起こされてしまった。
 腕の中にいたはずのミーちゃんは、アリエラに抱えられて迷惑そうに《マスター、爪を立てちゃだめですか》と聞いて来る。
 許してやりたいが、軽く爪を立てても怪我は確実なので不許可。
 外に出ると、フランが眠そうな顔で待っていた。

 「悪いね、こんなに熱心だとは思わなかったよ」

 「なにを言ってるのよ。あんたの言った魔力の流れを毎晩確かめているのに、それから先を教えてくれないからよ」

 「でも、結界は未だに14~15枚しか作れないのだろう。魔力を少なく出来る様になってからだよ」

 「アリエラさん、魔力を減らしても同じ魔法を使えますよ。俺の時も、シンヤさんに教えられて苦労はしましたけど出来る様になりました。ほんの僅かずつでも減らしていけば、魔法が発動しない限界も判りますし、使える回数も増えます」

 「魔力の使用量を減らすのは寝る前に続けるとして、フランのシールドから見てもらおうか」

 フランが頷き「シールド」と声に出すと同時に、10m程前にシールドが一瞬で立ち上がる。
 連続三回シールドを立てると、続けてシェルターを自分を包む様に作る。

 「なに、此れ?」

 「緊急時のシェルター、避難所だよ。此れの応用が野営用のドームになるのさ。多分、俺の全力攻撃にも耐えられると思うよ」

 「それ、良いですね。今のところ誰にも壊されてないけど、シンヤさんの攻撃に耐えられたら安心ですよ」

 「フランに俺の全力攻撃を見せたことはないはずだぞ」

 「いやいや、シンヤさんの力は獲物を見れば判りますよ。ゴールデンベアの頭の傷を見れば、並みの力じゃないと判ります」

 「そうよね、ゴールデンベアの頭に一撃なんて並みじゃないわ。力自慢の獣人族でも頭なんて攻撃しないわよ」

 お言葉に甘えて短槍を取り出し、軽く助走をつけて魔鋼鉄の短槍をシェルターに叩き付ける。
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