俺って妖精?

暇野無学

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005 内緒で街に

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 「ユリヤさんギルマスが呼んでるよ。ヤルガ達捕まえたからって」
 
 「おう早かったな」
 
 「酒場で酔っ払ってたから楽だったって言ってたわよ」

 受付のサラースがギルマスを呼びに行った。
 
 「ユリヤ奴等を調べたらお前の申告通り吐いたぞ。で、奴等は犯罪奴隷で売り飛ばすが、お前に一人頭金貨1枚計5枚が支払われるから受付で手続きしてくれ」
 
 「はいよ奴等も阿保だね、殺すなら死んだ事くらい確認しろって。まぁ俺もあのちっこいのに助けられたんだけどな」
 
 「それ程強いのか」
 
 「ブラウンベアの前に飛び込んで来て、鼻面に一発口に一発で終わりだぜ。信じられなかったよ。三日間森を一緒に歩いたけど野獣に気付けば、鼻面に魔法一発で追い払う流石森の住人だよ。殺さないのか聞いたら殺しても使い道がないし、追い払えばそれで良いとさ」
 
 「ところで[森の牙]はお前だけになったけどどうするんだ」
 
 「当分ソロで遣るよ、ファルに貰ったブラウンベアの半金と奴等のお陰で金貨も5枚手に入ったからな」
 
 肩を竦めて立ち去るギルマスを見送り買い取りカウンターのガルダにクラプの実を差し出す。
 
 「ほうクラプの実か珍しいな、ん一個だけか」
 
 「ああファル、あのちっこいのに貰ったんだが俺には必要ないからな。腐らすより売るさ」
 
 銀貨3枚を受け取ってギルドを後にする。
 ファルは又来るような事を言ってたが、妖精達って何処に住んでるんだろ。
 
 ◇  ◇  ◇
 
 《キュラパパ・ミュルママ美味しい実を見つけたよ》
 
 《ファルお帰りティアと一緒だったの》
 
 《そうだよ、まったく何処にでも湧いて出てくるゴキブリみたいな奴だよ。これはビンワーの実だよ、甘くて美味しいの。でね之がイイチゴの実、少し酸っぱくて甘いの》
 
 《ほぅ中々いい味だねファル。でもティアをゴキブリってのは言い過ぎだぞ、せめておばあちゃんって言いなさい》
 
 《えーぇティアにおばあちゃんって言ったら本気で殺しに来るからな。お母さんのお母さんがティアに可愛がって貰ったって。本当ならひい婆ちゃんって呼んでも良いのだけど》
 
 《ファルそれだけは止めなさい。お前も生まれて間もないのに死にたくないだろ。私だって死にたく無いからティアって呼んでいるんだよ》
 
 《女って不思議だよねティアの魔力なら250年くらい生きそうなのに、そんなに若く見られたいなら若者を顎で使うなって》
 
 噂をすれば影がさす、の諺通りティアが来やがった。
 
 《ファル起きてる》
 
 即行で転移魔法で上空へジャンプ、自由落下の途中で目的の方角を定め転移。
 危うくブルーファルコンと衝突寸前のニアミスに、雷撃を撃ち込む。
 邪魔だ糞ブルーめ!
 
 完全な八つ当たりだが、ファルはティアから逃げるのに必死で在る。
 奴に捕まると玩具にされるし気を抜けば死ぬ様な攻撃を、平気で放つ悪魔の様な婆だ。
 まぁ生まれて間もない遠野達郎の意識が目覚めた時には、完全にティアの玩具になっていたからな。
 キュラパパとミュルママも逆らえない独裁者、いやあの集落でティアに逆らえる妖精は居ないと思うな。
 
 まっそんなのはどうでも良いのだ、この世界に人間(人族)が居て念話で無くても人族の言葉が理解出来ている。
多分転生特典・・・かもね。
 念話の方が便利なんだけど、それと之とは別だよ明智君むふふふふ。
 <ウォーッホン>詰まらん台詞を言ってしまったが、誰も返してくれる者がいないので張り合いが無い。
 
 森の上空を飛ぶと又ティアに見つかる恐れが在るので、低空飛行で人族の街を目指す。
 <ウワップ> って蜘蛛助め、こんな所に巣を張りやがって、このファル様を喰う為にノコノコ出て来やがっていい度胸だ火炙りの刑に処す。
 蜘蛛のお腹を火魔法で炙り産毛をこんがり焼くと、慌てて逃げて行く。
 
 たくこの世界の昆虫や鳥がむやみとでかいのには閉口する。
 身長30センチの少年体型とは言えカマキリや蜻に蜘蛛等が餌と思ってホイホイ出て来る。
 防御結界が在るとはいえ気分が悪い。
 ん、美味しそうな実を発見綺麗な星型で触手の様な長い・・・ん触手<ブッヤッバー>食虫植物じゃないかい!!!
 俺は虫じゃねえぞ!
 
 はぁ油断も隙もありゃしない、真面目に危険を察知して事前に回避するか。
 樹々の間を擦り抜けてひょいひょい飛べば直ぐそこにハラミナの街が在る。
 んーホテルホテルっとこのホテルだったな[朝霧の雫]か、って字も読めるぞ。
 言葉が解るし字も読めるって絶対転生特典か、妖精族以外に産まれる予定が間違って妖精族に産まれたかだな。
 
 開いている窓から失礼っと。
 
 《んちゃーファルだよ。おっこの間の猫人族のお姉ちゃんユリヤは居る》
 
 《あら妖精さんユリヤさんは未だ帰ってないわよ。それと私の名前はミャルよ》
 
 《俺は妖精じゃ無くて妖精族のファルなの、妖精ってのは別に居るよ》
 
 《えっ本当に》
 
 《居るよもっと小さくて綺麗な奴さ。こんな樹も碌に無いとこには来ないけどね。おばさんは》
 
 《ママなら奥に居るわよ、おばさんじゃなくてマリューサママね》
 
 《マリューサママ聞こえる?、ファルが来たよ》
 
 《あら、姿が見えなくても話せるのね。この間のちびちゃんかい》
 
 《ちびちゃんじゃなくてファルだよ。ユリヤって何時帰って来るの》
 
 《そうさね日が暮れてからだね》
 
 《じゃその頃に来るね。バイならミャル》
 
 開いている窓から飛びだし市場に向かう。
 んーと、オリ婆さんの所で何か美味しい実を探そっと
 んーんオリ婆さんの所が騒がしいぞ、何やってんのかな。
 如何にもチンピラみたいな、じゃねえなチンピラが婆さん相手に意気がってるよ。
 
 《オリ婆さんファルだよ。何やってんの》
 
 《んあこの間のちびちゃんかい》
 
 《俺って何処に行ってもちびちゃん扱いだな。何かチンピラが喚いているけど大丈夫かい》
 
 《なにね五日も前に買った物を今朝食べようとしたら腐ってたと文句を言いに来たんだがね》
 
 《そのチンピラ阿保じゃないの》
 
 ひょいとチンピラの目の前に降りる。
 鼻面に軽く雷撃を一発お見舞いし、犬を追い払う様に掌でシッシッとする。
 真っ赤な顔で掴み掛かって来た掌にきつい雷撃を撃ち再び掌をシッシッとする。
 周囲を取り囲んでいた人達がクスクス笑い出している。
 
 《オリ婆さん、このチンピラに動くともっと酷い魔法を撃たれるから動くなと言ってよ》
 
 婆さんに警告されて硬直しているチンピラの額に掌を当てて魔力を合わせる。
 
 《おいチンピラ、五日も前に買った果物を今朝まで放置してれば腐って当たり前だぞ。オリ婆さんに文句を言わず、自分の間抜けを呪えよ。解ったら消えろ!次にオリ婆さんに文句を言ってたら黒焦げになるまで魔法を撃ち込んでやるからな。帰れ!》
 
 おーお脱兎の如くと言うがチンピラの全力疾走だね、あっこけた情けないねー。
 
 《オリ婆さん美味しい樹の実は在るかな。それとイイチゴの実も欲しいね》
 
 《今はスンモの実が時期で美味しいよ、1個200ダーラだよ》
 
 《1個切ってよ味見したいので200ダーラって鉄貨2枚だったよな。はい鉄貨2枚》
 
 《はいよありがとね、ちょっと待ってな切ってあげるから》
 
 小皿に小さく切られたスンモの実、紫の皮にオレンジ色の実が綺麗です。
 ナイフで一口大に切ってあーんングング、身震いする程の酸っぱさの後にほんのり甘さが追いかけてくる。
 
 《オリ婆さん気に入ったね、その籠幾ら入ってる》
 
 《一籠10個だよ》
 
 《五籠頂戴、えーと一籠で2,000ダーラだから10,000ダーラで銀貨1枚だね。はい銀貨1枚ね》
 
 《ほうほうファルは中々頭が良いね》
 
 スンモの実をポイポイ空間収納に放り込んで次を物色する。
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