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031 精霊の巫女
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近づく俺に向かって、精霊達が飛んで来るのに気づき振り返る。
〈おお、多くの精霊を従える者。アッシド様の申された精霊の巫女、聖女様に違いない〉
〈お待ち下さい、未だ確かめた訳では在りません。巫女で在り聖女様で在るのか、アッシド様と確かめる必要がある〉
〈そうです教主様、精霊の巫女と呼ぶのは早すぎます〉
なんか気持ちの悪い言葉が次々と聞こえて来るぞ。
大教主と名乗った馬鹿の同類なら遠慮する必要はない、三人の腕を拘束すると騒ぎ出したので、横っ面を張り倒して黙らせオーク殿下の所に戻ると、オーク殿下が顔を真っ赤にして〈ヒュウヒュウ〉言っている。
「苦しそうだな、騒がず俺の質問に答えるのなら首の縛めを緩めてやるぞ」
俺の言葉にオーク殿下がジタバタして、余計息苦しくなったのか顔色が紫色になり始めた。
首輪を少し緩めてやり、大教主様にお尋ねする。
「誰が精霊の巫女だ、聖女ってどう言う事か聞かせて貰えるよな。教主とやらは見えるらしいが、お前にも見えているのか?」
〈ヒュウヒュウ〉と必死に空気を吸っているが、聞こえている様で頷いている。
〈ガシーン〉と足下で音がして少し足を動かされた。
見れば護衛の一人が、向かいに倒れている奴の剣を抜き取り、俺の足に斬りかかっていた。
「残念、その程度じゃ俺を傷付ける事は不可能だよ。然し、俺に斬りかかってきて生きている奴はいない」
それだけ告げてバリアの球体に閉じ込め、見せしめに皆の前で絞め殺す。
何が起きているのか判らずポカンとしていたが、自分を閉じ込められた物が段々小さくなっていくので顔色が悪くなってくる。
〈オイ、嘘だろう・・・何で〉〈止めろ! 止めてくれ、頼む許して・・・〉
哀願の声が悲鳴と骨の折れる音が混ざり合い、オーク殿下や大教主の前で小さく丸くなり静かになった。
〈ウエェェェー〉
〈グエッー〉
〈人のやる事じゃない〉
〈良くも殺しやがったな〉
「煩いぞ、騒ぐなら其奴の後を追わせてやるけど、希望者はいるか?」
一瞬で静かになったね。
パッシブ探査に近づいて来る気配を感じる、ガルムとバンズの気配だ。
彼等に現場を見せれば、後々不都合が生じる事になりかねない、急いで彼等の元に行き誰も近づかせるなと命令する。
「大丈夫なのか?」
「俺一人で十分だよ」
「でもよ、20人近く居るんじゃないか」
「人数じゃないよ、どちらが強いかだよ。それよりバリアに籠もって外に出て来るなよ。何も見ていない誰とも会っていない方が良いだろう」
「おい、脅かすなよ」
「警備兵も『既に中に入っている者もいる様だが』とか『我々には何も出来ませんので』って言ってただろう。だから何も見ない興味も示さない方が身の為だぞ。警備兵を見習ってバリアの中で酒でも飲んでいなよ」
二人とも顔を引き攣らせて引き返して行った。
知らぬが仏、見ぬもの清し・・・ちょっと違う気がするけど此処は俺の支配地だ、オーク殿下なんかに好き勝手をさせるかよ。
「オーク殿下、少しは話す気になったかな」
「おのれは・・・王族である我を傷付けた事を、後悔させてやるぞ」
「馬鹿なオークは現状認識も出来ないのか、お前の生死は俺の手の中に在る事すら理解出来ないのか」
オーク殿下の拘束を解き首輪もキャンセルし、代わりに球体に閉じ込めてゆっくり小さくしていく。
自由になってほっとしていたが、段々と狭くなり頭が押さえつけられて初めて何が起きているのか理解した。
〈やっ、や、や止めてくれ・・・我が悪かった! 何でも聞いてくれ、頼む何でも答える!!!〉
「此の地、元ワラント公爵邸跡地が誰の物か知っているよな」
必死で頷いているがプルプル震えている。
「誰の物だ?」
「アキュラ・・・聖女アキュラに贈られた物だ、です」
「それだけか、王家との約束では此の地は王家と言えども干渉しない事になっている筈だが。それなのに何故お前が堂々と居座っているんだ」
「居座って・・・昨日からです、本当です。アキュラ・・・貴女が王都に来るだろうと教えて貰い、待っていました」
色々突っ込みどころ満載の返事をしてくれるよ。
「待っていた理由から話して貰おうか」
オーク殿下がチラリとアッシド大教主に目を走らせると、アッシドが苦い顔で目線を外す。
アッシドの拘束を解除して球体に包み込み、音声を遮断しておく。
序でに三人の教会関係者とアッシドの従者もアッシドと同じ様に、球体に閉じ込めて音声を遮断しアッシドと並べておく。
「アッシドには聞こえないから話して貰おうか」
「その・・・昨日アッシドから連絡が有り、アキュラ、貴女が王都に現れるだろうと教えられました・・・」
「それで、話しづらい様ならもう少し小さくしてみようか」
「それで・・・此処でアキュ、貴女に求婚する手筈になって・・・」
きゅうこん・・・球根・・・求婚って「お前が・・・俺に?」
頭を叩かれた赤べこみたいに何度も頷いているオーク野郎。
俺の怒りを感じて震えながらオーク野郎が話したのは、オークは第三夫人の長男だが9番目の王子。
現在王位継承権第5位、計算が合わないのは謀略,暗殺,病死と既に4人が死んでいるから。
王位継承は無理でも王国の要職に就き、王家と王国にそれなりの発言権を持ちたいが、現在の役職は王国軍兵站部隊の司令官。
陛下や兄上にお願いしても、これ以上の役職を望むなと軽くあしらわれてしまう。
そりゃーそうだろうな、オークに重職を与えても責務を果たせるとは思えないよな。
おれの思いをぶち壊す様に、オークが下卑た笑いを浮かべてとんでも発言をした。
以前から何かと相談に乗ってくれていた、アッシド大教主が聖女を見付けたと言ってきた、と。
「聖女を妻に迎えれば、俺の王家での立場は強くなり国の要職にも就ける。我が知らされていない、王国の重要人物に違いないアキュラ。それが証拠に元公爵邸跡地をお前・・・アキュラに与えている。アキュラ・・・聖女は、アッシドが必ず説得して俺に嫁がせると約束してくれた。此処の地に聖女がやって来るので、アッシドが手助けしてくれるから結婚を申し込めば良いといってくれたんだ」
まぁ、このオークには俺の情報を手に入れて、あれこれと画策する能力は無さそうだ。
俺の事を色々と知っていて、オーク殿下を使って画策しているのは大教主の様だ、じっくり話し合おうではないか。
俺の視線を受けて顔色が悪い大教主、此奴と話す前に聞いておく奴が居る。
教主様と呼ばれた男の球体から音声遮断を解除する。
「さっき面白い事を言っていたな。精霊の巫女とか聖女とか、詳しく話せ!」
「聖女様で在るべき貴女が、何故この様な事を・・・」
「聞いているのは俺だ! 聖女とか精霊の巫女とか気色の悪い言葉をこれ以上口にするのなら、お前も丸めて殺すぞ。アッシドから聞いた事を全て話せ!」
アッシド大教主から聞かされたのは、聖女が見つかったが行方判らなくなったので探していた。
探していた女性が王都に向かったと、信徒からの知らせを受けて連れて来られた事。
自分は精霊が見えるので、アッシド大教主様が探している女性かどうかの見極めを命じられた。
多数の精霊を従えた聖女は精霊の巫女とも呼ばれ、統一歴以前も含めて3人しか知られていない。
精霊の巫女の治癒魔法は一際優れていて、数多の聖女と称される者の頂点に立つ存在だと。
貴女が多くの精霊を従えていて聖女と確認できれば、アッシドの命により貴女に付きそい聖女として指導する予定だったと。
「アッシドの奴も俺が精霊を従えていると言っていたが?」
「二人以上の証言が必要です。幾つの精霊を従えているのか報告し、間違いがない事を証明しなければなりません」
俺が聖女で在ればどうする予定だったのかの問いには、オーク殿下に嫁がせて、エメンタイル王家にアリューシュ神教の影響力拡大を図ると言っていたとさ。
然も俺が精霊の巫女なら、オーク殿下に嫁がせた後でアリューシュ神教国の教団本部に報告する予定だったと。
精霊の巫女を発見し、ランゴット殿下の妻としてエメンタイル王家に送り込んだとなれば、アッシドは次期教皇間違いなしとなる。
そうなれば、自分は大教主に推挙して貰える事になっているんだと。
俺の事を信徒が知らせてきたと言ったが、俺を聖女として手配していたのかの問いには、名前と髪や瞳の色など身体的特徴を伝え、見掛けたら報告する様に教会関係者に通達していたそうだ。
聖女だと知らせて探させたら大騒ぎになっていただろうし、アッシドの役には立たないから特徴だけで探させたのだろう。
名前や特徴だけでの人捜しは結構在る様で、教会の掲示板にも尋ね人の張り紙は多数有ると言った。
最期はアッシドだ、此奴には沢山聞く事が在る。
「待たせたなアッシド、何故俺の事を知ったのかから話して貰おうか」
「お待ちあれ、アキュラ様。聖女で在る貴女はこの様な場所ではなく、王都の創造神アリューシュ様を奉る大神殿で聖女としてのお役目が御座います」
「そこに居る、ランゴットとか抜かすオークに嫁がせてか? オークとお前の配下から話を聞いて、お前の目論見は判った。お前に聞きたいのは何処で俺の事を知ったのかだ」
「アキュラ様、創造神アリューシュ様の使わされた、聖なる乙女の」
「喧しい!!! 己の話術に引っ掛かると思っているのか! お前の持つ法話スキル,説得スキル,暗示話術スキル、こんなものが通用すると思ったのか。便利なスキルだと思うが、欲を出しすぎたな。俺の質問に答える気がないのなら、喋りたくしてやるよ」
じわじわとバリアを縮めていく。
「アキュラ様! 聖女様・・・私の話をお聞き下さい。お願いです」
暗示話術スキルってアッシドが持つ特殊なスキルだと思うが、此れからも用心は怠らないようにしなくっちゃ。
それも知られてしまえば、何の役にも立たないけどな。
〈おお、多くの精霊を従える者。アッシド様の申された精霊の巫女、聖女様に違いない〉
〈お待ち下さい、未だ確かめた訳では在りません。巫女で在り聖女様で在るのか、アッシド様と確かめる必要がある〉
〈そうです教主様、精霊の巫女と呼ぶのは早すぎます〉
なんか気持ちの悪い言葉が次々と聞こえて来るぞ。
大教主と名乗った馬鹿の同類なら遠慮する必要はない、三人の腕を拘束すると騒ぎ出したので、横っ面を張り倒して黙らせオーク殿下の所に戻ると、オーク殿下が顔を真っ赤にして〈ヒュウヒュウ〉言っている。
「苦しそうだな、騒がず俺の質問に答えるのなら首の縛めを緩めてやるぞ」
俺の言葉にオーク殿下がジタバタして、余計息苦しくなったのか顔色が紫色になり始めた。
首輪を少し緩めてやり、大教主様にお尋ねする。
「誰が精霊の巫女だ、聖女ってどう言う事か聞かせて貰えるよな。教主とやらは見えるらしいが、お前にも見えているのか?」
〈ヒュウヒュウ〉と必死に空気を吸っているが、聞こえている様で頷いている。
〈ガシーン〉と足下で音がして少し足を動かされた。
見れば護衛の一人が、向かいに倒れている奴の剣を抜き取り、俺の足に斬りかかっていた。
「残念、その程度じゃ俺を傷付ける事は不可能だよ。然し、俺に斬りかかってきて生きている奴はいない」
それだけ告げてバリアの球体に閉じ込め、見せしめに皆の前で絞め殺す。
何が起きているのか判らずポカンとしていたが、自分を閉じ込められた物が段々小さくなっていくので顔色が悪くなってくる。
〈オイ、嘘だろう・・・何で〉〈止めろ! 止めてくれ、頼む許して・・・〉
哀願の声が悲鳴と骨の折れる音が混ざり合い、オーク殿下や大教主の前で小さく丸くなり静かになった。
〈ウエェェェー〉
〈グエッー〉
〈人のやる事じゃない〉
〈良くも殺しやがったな〉
「煩いぞ、騒ぐなら其奴の後を追わせてやるけど、希望者はいるか?」
一瞬で静かになったね。
パッシブ探査に近づいて来る気配を感じる、ガルムとバンズの気配だ。
彼等に現場を見せれば、後々不都合が生じる事になりかねない、急いで彼等の元に行き誰も近づかせるなと命令する。
「大丈夫なのか?」
「俺一人で十分だよ」
「でもよ、20人近く居るんじゃないか」
「人数じゃないよ、どちらが強いかだよ。それよりバリアに籠もって外に出て来るなよ。何も見ていない誰とも会っていない方が良いだろう」
「おい、脅かすなよ」
「警備兵も『既に中に入っている者もいる様だが』とか『我々には何も出来ませんので』って言ってただろう。だから何も見ない興味も示さない方が身の為だぞ。警備兵を見習ってバリアの中で酒でも飲んでいなよ」
二人とも顔を引き攣らせて引き返して行った。
知らぬが仏、見ぬもの清し・・・ちょっと違う気がするけど此処は俺の支配地だ、オーク殿下なんかに好き勝手をさせるかよ。
「オーク殿下、少しは話す気になったかな」
「おのれは・・・王族である我を傷付けた事を、後悔させてやるぞ」
「馬鹿なオークは現状認識も出来ないのか、お前の生死は俺の手の中に在る事すら理解出来ないのか」
オーク殿下の拘束を解き首輪もキャンセルし、代わりに球体に閉じ込めてゆっくり小さくしていく。
自由になってほっとしていたが、段々と狭くなり頭が押さえつけられて初めて何が起きているのか理解した。
〈やっ、や、や止めてくれ・・・我が悪かった! 何でも聞いてくれ、頼む何でも答える!!!〉
「此の地、元ワラント公爵邸跡地が誰の物か知っているよな」
必死で頷いているがプルプル震えている。
「誰の物だ?」
「アキュラ・・・聖女アキュラに贈られた物だ、です」
「それだけか、王家との約束では此の地は王家と言えども干渉しない事になっている筈だが。それなのに何故お前が堂々と居座っているんだ」
「居座って・・・昨日からです、本当です。アキュラ・・・貴女が王都に来るだろうと教えて貰い、待っていました」
色々突っ込みどころ満載の返事をしてくれるよ。
「待っていた理由から話して貰おうか」
オーク殿下がチラリとアッシド大教主に目を走らせると、アッシドが苦い顔で目線を外す。
アッシドの拘束を解除して球体に包み込み、音声を遮断しておく。
序でに三人の教会関係者とアッシドの従者もアッシドと同じ様に、球体に閉じ込めて音声を遮断しアッシドと並べておく。
「アッシドには聞こえないから話して貰おうか」
「その・・・昨日アッシドから連絡が有り、アキュラ、貴女が王都に現れるだろうと教えられました・・・」
「それで、話しづらい様ならもう少し小さくしてみようか」
「それで・・・此処でアキュ、貴女に求婚する手筈になって・・・」
きゅうこん・・・球根・・・求婚って「お前が・・・俺に?」
頭を叩かれた赤べこみたいに何度も頷いているオーク野郎。
俺の怒りを感じて震えながらオーク野郎が話したのは、オークは第三夫人の長男だが9番目の王子。
現在王位継承権第5位、計算が合わないのは謀略,暗殺,病死と既に4人が死んでいるから。
王位継承は無理でも王国の要職に就き、王家と王国にそれなりの発言権を持ちたいが、現在の役職は王国軍兵站部隊の司令官。
陛下や兄上にお願いしても、これ以上の役職を望むなと軽くあしらわれてしまう。
そりゃーそうだろうな、オークに重職を与えても責務を果たせるとは思えないよな。
おれの思いをぶち壊す様に、オークが下卑た笑いを浮かべてとんでも発言をした。
以前から何かと相談に乗ってくれていた、アッシド大教主が聖女を見付けたと言ってきた、と。
「聖女を妻に迎えれば、俺の王家での立場は強くなり国の要職にも就ける。我が知らされていない、王国の重要人物に違いないアキュラ。それが証拠に元公爵邸跡地をお前・・・アキュラに与えている。アキュラ・・・聖女は、アッシドが必ず説得して俺に嫁がせると約束してくれた。此処の地に聖女がやって来るので、アッシドが手助けしてくれるから結婚を申し込めば良いといってくれたんだ」
まぁ、このオークには俺の情報を手に入れて、あれこれと画策する能力は無さそうだ。
俺の事を色々と知っていて、オーク殿下を使って画策しているのは大教主の様だ、じっくり話し合おうではないか。
俺の視線を受けて顔色が悪い大教主、此奴と話す前に聞いておく奴が居る。
教主様と呼ばれた男の球体から音声遮断を解除する。
「さっき面白い事を言っていたな。精霊の巫女とか聖女とか、詳しく話せ!」
「聖女様で在るべき貴女が、何故この様な事を・・・」
「聞いているのは俺だ! 聖女とか精霊の巫女とか気色の悪い言葉をこれ以上口にするのなら、お前も丸めて殺すぞ。アッシドから聞いた事を全て話せ!」
アッシド大教主から聞かされたのは、聖女が見つかったが行方判らなくなったので探していた。
探していた女性が王都に向かったと、信徒からの知らせを受けて連れて来られた事。
自分は精霊が見えるので、アッシド大教主様が探している女性かどうかの見極めを命じられた。
多数の精霊を従えた聖女は精霊の巫女とも呼ばれ、統一歴以前も含めて3人しか知られていない。
精霊の巫女の治癒魔法は一際優れていて、数多の聖女と称される者の頂点に立つ存在だと。
貴女が多くの精霊を従えていて聖女と確認できれば、アッシドの命により貴女に付きそい聖女として指導する予定だったと。
「アッシドの奴も俺が精霊を従えていると言っていたが?」
「二人以上の証言が必要です。幾つの精霊を従えているのか報告し、間違いがない事を証明しなければなりません」
俺が聖女で在ればどうする予定だったのかの問いには、オーク殿下に嫁がせて、エメンタイル王家にアリューシュ神教の影響力拡大を図ると言っていたとさ。
然も俺が精霊の巫女なら、オーク殿下に嫁がせた後でアリューシュ神教国の教団本部に報告する予定だったと。
精霊の巫女を発見し、ランゴット殿下の妻としてエメンタイル王家に送り込んだとなれば、アッシドは次期教皇間違いなしとなる。
そうなれば、自分は大教主に推挙して貰える事になっているんだと。
俺の事を信徒が知らせてきたと言ったが、俺を聖女として手配していたのかの問いには、名前と髪や瞳の色など身体的特徴を伝え、見掛けたら報告する様に教会関係者に通達していたそうだ。
聖女だと知らせて探させたら大騒ぎになっていただろうし、アッシドの役には立たないから特徴だけで探させたのだろう。
名前や特徴だけでの人捜しは結構在る様で、教会の掲示板にも尋ね人の張り紙は多数有ると言った。
最期はアッシドだ、此奴には沢山聞く事が在る。
「待たせたなアッシド、何故俺の事を知ったのかから話して貰おうか」
「お待ちあれ、アキュラ様。聖女で在る貴女はこの様な場所ではなく、王都の創造神アリューシュ様を奉る大神殿で聖女としてのお役目が御座います」
「そこに居る、ランゴットとか抜かすオークに嫁がせてか? オークとお前の配下から話を聞いて、お前の目論見は判った。お前に聞きたいのは何処で俺の事を知ったのかだ」
「アキュラ様、創造神アリューシュ様の使わされた、聖なる乙女の」
「喧しい!!! 己の話術に引っ掛かると思っているのか! お前の持つ法話スキル,説得スキル,暗示話術スキル、こんなものが通用すると思ったのか。便利なスキルだと思うが、欲を出しすぎたな。俺の質問に答える気がないのなら、喋りたくしてやるよ」
じわじわとバリアを縮めていく。
「アキュラ様! 聖女様・・・私の話をお聞き下さい。お願いです」
暗示話術スキルってアッシドが持つ特殊なスキルだと思うが、此れからも用心は怠らないようにしなくっちゃ。
それも知られてしまえば、何の役にも立たないけどな。
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