84 / 100
084 失態
しおりを挟む
父親と共に王城に出向き、ネイセン伯爵の控えの間に落ち着くと暫くして侍従が呼びに来た。
「ヘンリー・ネイセン様、レムリバード宰相閣下がお呼びです」
何故自分だけが呼ばれるのか不審に思い父親の顔を見るが「王城では呼び出しが有れば即座に行け!」と言われ黙って頷き、侍従の後に従う。
王城など後継者の披露目の儀以後、社交界の一員として時に開かれる宴に参加してきたが、一人で宰相閣下に呼び出されたのは初めてである。
長い廊下を歩み、瀟洒な一室に招き入れられて「暫くお待ち下さい」と侍従が告げて下がる。
数十分も待っただろうか、再び侍従が現れると「陛下の御前に案内させていただきます。室内に入り私は立ち止まりますがそのまま進み、床に印が有りますので其処で立ち止まり跪いて下さい」
国王陛下と謁見! 驚きで頭がクラクラするが、貴族の子弟として恥ずかしくない振る舞いをしなければならない。
緊張でガチガチになりながらも侍従の後に従い、護衛の立つ扉から侍従の後に続いて広間に足を踏み入れる。
「ヘンリー・ネイセン様」との声が響き緊張が高まる。
壁際に並ぶ騎士達と幅広い絨毯を挟んで立つ貴族の列、立ち止まった侍従の横を通り真っ直ぐに進む先に国王陛下が立っている。
何とか指示を守り足下の印を見付けて跪き頭を下げる。
目の前に国王陛下の足が見えたと思ったら、肩に剣が置かれ「汝、ヘンリー・ネイセンを男爵に任ずる。領地はランバート領デンザの町とす・・・」
「何故で御座います! 私はネイセン伯爵の嫡男です。・・・何故男爵などに」
「黙れ! 国王陛下に対し無礼であろう!」
国王の背後に立つ近衛騎士に一喝され、此処がどの様な場であったか気付き、深く頭を下げる。
貴族の列に交じり授爵の儀に参列していたネイセン伯爵は、苦い思いで叱責される息子を見ていた。
ネイセン伯爵の希望はヘンリー一人に留まらず、高位貴族の後継者達を男爵に任命し、領地経営をさせて貴族の資質を確認する改革案に変わっていた。
それを聞かされ、ヘンリーが立派に領主として務まるならばと期待を持ったが、あえなく潰れた。
悄然と国王陛下の前から下がる息子を見て、やはり伯爵や侯爵の器でないとおもった。
式典が終わり、国王陛下に息子の無礼を詫びて控えの間に戻る。
硬い顔で待っていたヘンリーが「何故、私が男爵などに・・・」と呟き父親を睨む。
「お前は馬鹿か! 授爵の儀の最中に騒いだのはお前一人だけだ! 高位貴族の嫡男が多数男爵に任じられ領地を与えられたが、お前の様に無様な真似をした者はいないぞ!」
「ですが・・・何故、私が男爵などにならなければ」
「私の話を聞いていないのか? これ以上無様を晒すなら廃嫡にするぞ!」
廃嫡の言葉に、怒りの目を向けるヘンリー。
「私が『高位貴族の嫡男が多数、男爵に任じられ領地を与えられた』と言った意味が判るか、お前の様な間抜けを選別する為だ! 多くの貴族達が余りにも不甲斐ない為に、男爵位を与え領地を立派に治めてこそ貴族の一員として、親の爵位を継がせる事に変更されたのだ」
伯爵の言葉の意味が理解出来たのか、驚愕の表情で崩れ落ちるヘンリー。
「お前は見事に貴族としての資質無しと、国王陛下の御前で示してしまった。以後与えられた領地で、汚名返上に励め!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王都の森で家の建設作業が始まり、作業者が指定場所以外の所に行かないよう、ランカン達に監視を頼む。
と言っても俺の家を建てる予定地の周囲40メートル四方を、太さ10センチ高さ3メートルの柱が10センチ間隔で囲っている。
正門横の家を建てる予定地の周囲も同じ様に、奥行き50メートル横60メートルをぐるりと同じ様な柱が囲っている。
但し此方の柱の高さは平均6メートルで、先端を不揃いにしている。
それでなくても人目を引く場所なのに、櫛の歯を並べたように高さが綺麗に揃っていれば余計人目を引きかねない。
家の建設が終われば、柱を並べた塀に蔓性の薬草を匍わせて目立たなくするつもりだ。
建設作業に関わる者は正門を入って馬車を置き、ランカン達に付き添われて森の中の建設予定地まで行く事になる。
彼等には案内する通路を外れると警備用の魔法が掛けられているので、道から決して外れない様に厳しく言ってある。
死にはしないが精霊樹の子供達で、氷結魔法が使える子達が道を外れると氷の針を射ち込む事になっているのだ。
大怪我をしないように腕や足にアイスニードルを射ち込み、直ぐに魔力を抜いてくれるように頼むのは結構大変だった。
子供達はもともと精霊樹を守る目的が有るので、攻撃力は小さいが急所に射ち込む様にインプットされているらしかった。
“あいす”に頼んで教育して貰い、何とか出来る様になって良かった。
正門から入り馬車を降りると、ランカン達が付き添って森の中の建設予定地に行き工事をすることになる。
土魔法使いがマジックバッグから基礎となる、加工された石を敷き詰めて土台を造ると、次は壁となる石を積み上げていく。
一日の工事が終わり彼等が帰っていくと、“だいち”が基礎の下を固め並べられた石の見えない場所を強固に結合させる。
三日で石積みが終わると梁を渡し屋根を組んでいくが、マジックバッグから梁や柱を取り出してひょいひょい置いていくので仕事が早い、
寄棟造りの屋根瓦は、粘土を型に嵌めて魔法で固めた物を並べて行くだけで、外観は十日もかからなかった。
内装工事と並行して、正門横の建設が始まる。
大型クレーンや他の重機が無くても、立派な石造りの家がほいほい建つはずだ。
流石は魔法の世界と感心する。
・・・・・・
新年を迎え一月半ばにランガス会長の使いがホテルにやって来て、希望に適う家が見つかったと連絡してきた。
迎えの馬車に乗り家を見に行くと、三階建ての一軒家で一階は商店が入居している2,3階と屋根裏部屋。
建物中央に中折れ階段が有り、左右四室ずつの16室に屋根裏部屋が14室。
なんでこんなに綺麗に空き家になっているのかと聞いたら、ランガス商会の王都本店が近くにあり、商会に勤める中堅どころの住居だったそうだ。
此処に住んで居た者達は、近くの商会所有の住居に移動させたので無理はさせていないと言われた。
流石は商売人のランガス会長、俺が他人に無理強いするのを好まないのをよく御存知で。
俺が他人に物事を強要するのは、敵対した奴に限定しているからな。
馬車は徒歩五分の本店に預けてれば良いと言われる。
ご希望の市場は王都最大のリンディ市場が、徒歩八分程度の所に在ると教えてくれた。
予定より大分大きいが、そうそう都合良くは行かないだろうから之で満足する事にした。
家賃は四室で一件の家が100,000ダーラ×四室で400,000ダーラ
屋根裏部屋が20,000ダーラ×14室で280,000ダーラ
馬車と馬の預かり賃が一月200,000ダーラ
合計680,000ダーラですと、尋ねる前に言ってきた。
「随分安いが、使用人に貸し出す料金だろう。この辺りの相場は幾らだ?」
「大体半値で貸し出しているとの話です」
一月金貨15枚1,500,000ダーラ支払う代わりに、階段入り口に扉を付け内装を自由にして良いのなら借りたいと、ランガス会長に伝えてもらう。
翌日の夜にはランガス会長から了解の返事がきたので、ランガス会長の代理人と共に支払いの手続きの為商業ギルドに出向く。
敷金礼金はいらないのかなと思ったが、余計な事は言わずにお口にチャック。
俺の家は一月程で完成したので周囲の塀を崩し、開放的な森の一軒家の出来上がり。
森へ続く柵を鉄格子の門を取り付けて封鎖し、ランカン達が使う出入り口も鍵が掛かる鉄格子の通用門にする。
ランカン達が住まう家の内装と馬車置き場や厩の工事が始まったので、借りた家の改築に向かう。
出入り口階段前に鉄格子の門を設置出来る様に“だいち”に頼んで強化して貰い、階段上の踊り場にも扉を設置する為に壁を強化する。
次いで建物全体の壁を、住人や周囲の人々に気付かれない様に強化して貰い、
最後に各階の床を石造りに変えて要塞化する。
こうしておけば、俺の留守中に襲われても有る程度防御出来るだろうと思う。
内装は森の工事が全て完了したら、引き続き此方も頼むことにした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
男爵位を授爵したヘンリーは、ネイセン伯爵邸から王家が建てた仮住まいの集合住宅に移動していた。
男爵になろうとも、ネイセン伯爵の嫡男として王都の屋敷に住めると思っていたが、父から『お前は陛下の御前で失態を晒し、男爵として独り立ちせねばならない時に、私の庇護の元で生活するつもりか! 汚名を返上する気は無いのか!』と厳しく叱責されてしまった。
貴族として最下位の男爵なので王都に屋敷を賜れる筈も無く、王家から与えられた仮住まいに転居したときは、伯爵家の嫡男としての生活との落差にショックを受けた。
ハランドの伯爵邸から呼び寄せた妻子も、住宅を見て落胆していた。
住まいを移し、領地の譲渡書に署名して妻子と共に領地に赴かなければならない。
男爵に仮住まいの集合住宅を借り続けることは不可能である。
与えられた領地はランバート領ボルトンから馬車で三日の距離、ボルトンは失脚したハティー・オーゼン子爵の元領地。
はやり病のさいの不正が発覚し、爵位剥奪の上で国外追放になった男の領地の一角で、デンザは領民2,000名少々の小さな町であった。
「ヘンリー・ネイセン様、レムリバード宰相閣下がお呼びです」
何故自分だけが呼ばれるのか不審に思い父親の顔を見るが「王城では呼び出しが有れば即座に行け!」と言われ黙って頷き、侍従の後に従う。
王城など後継者の披露目の儀以後、社交界の一員として時に開かれる宴に参加してきたが、一人で宰相閣下に呼び出されたのは初めてである。
長い廊下を歩み、瀟洒な一室に招き入れられて「暫くお待ち下さい」と侍従が告げて下がる。
数十分も待っただろうか、再び侍従が現れると「陛下の御前に案内させていただきます。室内に入り私は立ち止まりますがそのまま進み、床に印が有りますので其処で立ち止まり跪いて下さい」
国王陛下と謁見! 驚きで頭がクラクラするが、貴族の子弟として恥ずかしくない振る舞いをしなければならない。
緊張でガチガチになりながらも侍従の後に従い、護衛の立つ扉から侍従の後に続いて広間に足を踏み入れる。
「ヘンリー・ネイセン様」との声が響き緊張が高まる。
壁際に並ぶ騎士達と幅広い絨毯を挟んで立つ貴族の列、立ち止まった侍従の横を通り真っ直ぐに進む先に国王陛下が立っている。
何とか指示を守り足下の印を見付けて跪き頭を下げる。
目の前に国王陛下の足が見えたと思ったら、肩に剣が置かれ「汝、ヘンリー・ネイセンを男爵に任ずる。領地はランバート領デンザの町とす・・・」
「何故で御座います! 私はネイセン伯爵の嫡男です。・・・何故男爵などに」
「黙れ! 国王陛下に対し無礼であろう!」
国王の背後に立つ近衛騎士に一喝され、此処がどの様な場であったか気付き、深く頭を下げる。
貴族の列に交じり授爵の儀に参列していたネイセン伯爵は、苦い思いで叱責される息子を見ていた。
ネイセン伯爵の希望はヘンリー一人に留まらず、高位貴族の後継者達を男爵に任命し、領地経営をさせて貴族の資質を確認する改革案に変わっていた。
それを聞かされ、ヘンリーが立派に領主として務まるならばと期待を持ったが、あえなく潰れた。
悄然と国王陛下の前から下がる息子を見て、やはり伯爵や侯爵の器でないとおもった。
式典が終わり、国王陛下に息子の無礼を詫びて控えの間に戻る。
硬い顔で待っていたヘンリーが「何故、私が男爵などに・・・」と呟き父親を睨む。
「お前は馬鹿か! 授爵の儀の最中に騒いだのはお前一人だけだ! 高位貴族の嫡男が多数男爵に任じられ領地を与えられたが、お前の様に無様な真似をした者はいないぞ!」
「ですが・・・何故、私が男爵などにならなければ」
「私の話を聞いていないのか? これ以上無様を晒すなら廃嫡にするぞ!」
廃嫡の言葉に、怒りの目を向けるヘンリー。
「私が『高位貴族の嫡男が多数、男爵に任じられ領地を与えられた』と言った意味が判るか、お前の様な間抜けを選別する為だ! 多くの貴族達が余りにも不甲斐ない為に、男爵位を与え領地を立派に治めてこそ貴族の一員として、親の爵位を継がせる事に変更されたのだ」
伯爵の言葉の意味が理解出来たのか、驚愕の表情で崩れ落ちるヘンリー。
「お前は見事に貴族としての資質無しと、国王陛下の御前で示してしまった。以後与えられた領地で、汚名返上に励め!」
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
王都の森で家の建設作業が始まり、作業者が指定場所以外の所に行かないよう、ランカン達に監視を頼む。
と言っても俺の家を建てる予定地の周囲40メートル四方を、太さ10センチ高さ3メートルの柱が10センチ間隔で囲っている。
正門横の家を建てる予定地の周囲も同じ様に、奥行き50メートル横60メートルをぐるりと同じ様な柱が囲っている。
但し此方の柱の高さは平均6メートルで、先端を不揃いにしている。
それでなくても人目を引く場所なのに、櫛の歯を並べたように高さが綺麗に揃っていれば余計人目を引きかねない。
家の建設が終われば、柱を並べた塀に蔓性の薬草を匍わせて目立たなくするつもりだ。
建設作業に関わる者は正門を入って馬車を置き、ランカン達に付き添われて森の中の建設予定地まで行く事になる。
彼等には案内する通路を外れると警備用の魔法が掛けられているので、道から決して外れない様に厳しく言ってある。
死にはしないが精霊樹の子供達で、氷結魔法が使える子達が道を外れると氷の針を射ち込む事になっているのだ。
大怪我をしないように腕や足にアイスニードルを射ち込み、直ぐに魔力を抜いてくれるように頼むのは結構大変だった。
子供達はもともと精霊樹を守る目的が有るので、攻撃力は小さいが急所に射ち込む様にインプットされているらしかった。
“あいす”に頼んで教育して貰い、何とか出来る様になって良かった。
正門から入り馬車を降りると、ランカン達が付き添って森の中の建設予定地に行き工事をすることになる。
土魔法使いがマジックバッグから基礎となる、加工された石を敷き詰めて土台を造ると、次は壁となる石を積み上げていく。
一日の工事が終わり彼等が帰っていくと、“だいち”が基礎の下を固め並べられた石の見えない場所を強固に結合させる。
三日で石積みが終わると梁を渡し屋根を組んでいくが、マジックバッグから梁や柱を取り出してひょいひょい置いていくので仕事が早い、
寄棟造りの屋根瓦は、粘土を型に嵌めて魔法で固めた物を並べて行くだけで、外観は十日もかからなかった。
内装工事と並行して、正門横の建設が始まる。
大型クレーンや他の重機が無くても、立派な石造りの家がほいほい建つはずだ。
流石は魔法の世界と感心する。
・・・・・・
新年を迎え一月半ばにランガス会長の使いがホテルにやって来て、希望に適う家が見つかったと連絡してきた。
迎えの馬車に乗り家を見に行くと、三階建ての一軒家で一階は商店が入居している2,3階と屋根裏部屋。
建物中央に中折れ階段が有り、左右四室ずつの16室に屋根裏部屋が14室。
なんでこんなに綺麗に空き家になっているのかと聞いたら、ランガス商会の王都本店が近くにあり、商会に勤める中堅どころの住居だったそうだ。
此処に住んで居た者達は、近くの商会所有の住居に移動させたので無理はさせていないと言われた。
流石は商売人のランガス会長、俺が他人に無理強いするのを好まないのをよく御存知で。
俺が他人に物事を強要するのは、敵対した奴に限定しているからな。
馬車は徒歩五分の本店に預けてれば良いと言われる。
ご希望の市場は王都最大のリンディ市場が、徒歩八分程度の所に在ると教えてくれた。
予定より大分大きいが、そうそう都合良くは行かないだろうから之で満足する事にした。
家賃は四室で一件の家が100,000ダーラ×四室で400,000ダーラ
屋根裏部屋が20,000ダーラ×14室で280,000ダーラ
馬車と馬の預かり賃が一月200,000ダーラ
合計680,000ダーラですと、尋ねる前に言ってきた。
「随分安いが、使用人に貸し出す料金だろう。この辺りの相場は幾らだ?」
「大体半値で貸し出しているとの話です」
一月金貨15枚1,500,000ダーラ支払う代わりに、階段入り口に扉を付け内装を自由にして良いのなら借りたいと、ランガス会長に伝えてもらう。
翌日の夜にはランガス会長から了解の返事がきたので、ランガス会長の代理人と共に支払いの手続きの為商業ギルドに出向く。
敷金礼金はいらないのかなと思ったが、余計な事は言わずにお口にチャック。
俺の家は一月程で完成したので周囲の塀を崩し、開放的な森の一軒家の出来上がり。
森へ続く柵を鉄格子の門を取り付けて封鎖し、ランカン達が使う出入り口も鍵が掛かる鉄格子の通用門にする。
ランカン達が住まう家の内装と馬車置き場や厩の工事が始まったので、借りた家の改築に向かう。
出入り口階段前に鉄格子の門を設置出来る様に“だいち”に頼んで強化して貰い、階段上の踊り場にも扉を設置する為に壁を強化する。
次いで建物全体の壁を、住人や周囲の人々に気付かれない様に強化して貰い、
最後に各階の床を石造りに変えて要塞化する。
こうしておけば、俺の留守中に襲われても有る程度防御出来るだろうと思う。
内装は森の工事が全て完了したら、引き続き此方も頼むことにした。
◇ ◇ ◇ ◇ ◇
男爵位を授爵したヘンリーは、ネイセン伯爵邸から王家が建てた仮住まいの集合住宅に移動していた。
男爵になろうとも、ネイセン伯爵の嫡男として王都の屋敷に住めると思っていたが、父から『お前は陛下の御前で失態を晒し、男爵として独り立ちせねばならない時に、私の庇護の元で生活するつもりか! 汚名を返上する気は無いのか!』と厳しく叱責されてしまった。
貴族として最下位の男爵なので王都に屋敷を賜れる筈も無く、王家から与えられた仮住まいに転居したときは、伯爵家の嫡男としての生活との落差にショックを受けた。
ハランドの伯爵邸から呼び寄せた妻子も、住宅を見て落胆していた。
住まいを移し、領地の譲渡書に署名して妻子と共に領地に赴かなければならない。
男爵に仮住まいの集合住宅を借り続けることは不可能である。
与えられた領地はランバート領ボルトンから馬車で三日の距離、ボルトンは失脚したハティー・オーゼン子爵の元領地。
はやり病のさいの不正が発覚し、爵位剥奪の上で国外追放になった男の領地の一角で、デンザは領民2,000名少々の小さな町であった。
182
あなたにおすすめの小説
劣悪だと言われたハズレ加護の『空間魔法』を、便利だと思っているのは僕だけなのだろうか?
はらくろ
ファンタジー
海と交易で栄えた国を支える貴族家のひとつに、
強くて聡明な父と、優しくて活動的な母の間に生まれ育った少年がいた。
母親似に育った賢く可愛らしい少年は優秀で、将来が楽しみだと言われていたが、
その少年に、突然の困難が立ちはだかる。
理由は、貴族の跡取りとしては公言できないほどの、劣悪な加護を洗礼で授かってしまったから。
一生外へ出られないかもしれない幽閉のような生活を続けるよりも、少年は屋敷を出て行く選択をする。
それでも持ち前の強く非常識なほどの魔力の多さと、負けず嫌いな性格でその困難を乗り越えていく。
そんな少年の物語。
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【完結】神スキル拡大解釈で底辺パーティから成り上がります!
まにゅまにゅ
ファンタジー
平均レベルの低い底辺パーティ『龍炎光牙《りゅうえんこうが》』はオーク一匹倒すのにも命懸けで注目もされていないどこにでもでもいる冒険者たちのチームだった。
そんなある日ようやく資金も貯まり、神殿でお金を払って恩恵《ギフト》を授かるとその恩恵《ギフト》スキルは『拡大解釈』というもの。
その効果は魔法やスキルの内容を拡大解釈し、別の効果を引き起こせる、という神スキルだった。その拡大解釈により色んなものを回復《ヒール》で治したり強化《ブースト》で獲得経験値を増やしたりととんでもない効果を発揮する!
底辺パーティ『龍炎光牙』の大躍進が始まる!
第16回ファンタジー大賞奨励賞受賞作です。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
ひっそり静かに生きていきたい 神様に同情されて異世界へ。頼みの綱はアイテムボックス
於田縫紀
ファンタジー
雨宿りで立ち寄った神社の神様に境遇を同情され、私は異世界へと転移。
場所は山の中で周囲に村等の気配はない。あるのは木と草と崖、土と空気だけ。でもこれでいい。私は他人が怖いから。
アイテムボックス無双 ~何でも収納! 奥義・首狩りアイテムボックス!~
明治サブ🍆スニーカー大賞【金賞】受賞作家
ファンタジー
※大・大・大どんでん返し回まで投稿済です!!
『第1回 次世代ファンタジーカップ ~最強「進化系ざまぁ」決定戦!』投稿作品。
無限収納機能を持つ『マジックバッグ』が巷にあふれる街で、収納魔法【アイテムボックス】しか使えない主人公・クリスは冒険者たちから無能扱いされ続け、ついに100パーティー目から追放されてしまう。
破れかぶれになって単騎で魔物討伐に向かい、あわや死にかけたところに謎の美しき旅の魔女が現れ、クリスに告げる。
「【アイテムボックス】は最強の魔法なんだよ。儂が使い方を教えてやろう」
【アイテムボックス】で魔物の首を、家屋を、オークの集落を丸ごと収納!? 【アイテムボックス】で道を作り、川を作り、街を作る!? ただの収納魔法と侮るなかれ。知覚できるものなら疫病だろうが敵の軍勢だろうが何だって除去する超能力! 主人公・クリスの成り上がりと「進化系ざまぁ」展開、そして最後に待ち受ける極上のどんでん返しを、とくとご覧あれ! 随所に散りばめられた大小さまざまな伏線を、あなたは見抜けるか!?
魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる