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005 佐山氏のコレクションハウス①
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池上のナイスアシストのお陰で、このあたりで人気がある焼肉店の弁当が会議室に運ばれて来ることになった。
「館長、これでやる気出ました! ご馳走様です!」
「うん、まあそれくらいはね······。皆お宝探しで興奮せずにね。白手袋と新しい靴下用意して、あまり長居もしないように。先方様はまがいなりにも大切な方を亡くされたばかりなのだしね」
福峰館長の言葉に、急に胸が詰まってしまった。佐山氏との思い出の消えないまま、我々が土足で立ち入るのはたしかにご家族様からすると辛いものがあるだろう。そう考えていると、西村課長が早々に弁当を食べ終えて、ペットボトルのお茶を回してくれる。
「そうは言っても、佐山氏はご家族とは離れてお一人で暮らしていたんだよ。都心から少し離れた場所にね。だからこれから伺うのは佐山氏個人の邸で、奥様方もあまり来たことがないらしい」
「えっ、そうなんですか?」
「元々は所蔵資料が増えたからそれ用に家を建てたとお聞きしたが、佐山氏は元旧家のお坊ちゃんだからね。そうでないと都内在住の戦争経験者があんなに――言い方は悪いけど、お金に物を言わせてコレクションなんて出来ていないと思うよ?」
佐山義之。享年87歳。戦中は防空壕の中でも、当時雑誌の付録に付いていた映画フィルムの栞や、手回しの映写機で壁に投映出来る玩具映画フィルムと呼ばれるものなどをクッキー缶に入れて大事に抱えていたという。
玩具映画は娯楽として一般家庭にも浸透していっていたとは聞くが、それを何本も所有している少年を想像すると、やはり豊かな御宅だったのだろうと思える。
「とにかく、先方様にはくれぐれも粗相のないように。御香典は西村に渡しておくから。
あと、変な輩には気を付けて。よろしくね」
「館長、これでやる気出ました! ご馳走様です!」
「うん、まあそれくらいはね······。皆お宝探しで興奮せずにね。白手袋と新しい靴下用意して、あまり長居もしないように。先方様はまがいなりにも大切な方を亡くされたばかりなのだしね」
福峰館長の言葉に、急に胸が詰まってしまった。佐山氏との思い出の消えないまま、我々が土足で立ち入るのはたしかにご家族様からすると辛いものがあるだろう。そう考えていると、西村課長が早々に弁当を食べ終えて、ペットボトルのお茶を回してくれる。
「そうは言っても、佐山氏はご家族とは離れてお一人で暮らしていたんだよ。都心から少し離れた場所にね。だからこれから伺うのは佐山氏個人の邸で、奥様方もあまり来たことがないらしい」
「えっ、そうなんですか?」
「元々は所蔵資料が増えたからそれ用に家を建てたとお聞きしたが、佐山氏は元旧家のお坊ちゃんだからね。そうでないと都内在住の戦争経験者があんなに――言い方は悪いけど、お金に物を言わせてコレクションなんて出来ていないと思うよ?」
佐山義之。享年87歳。戦中は防空壕の中でも、当時雑誌の付録に付いていた映画フィルムの栞や、手回しの映写機で壁に投映出来る玩具映画フィルムと呼ばれるものなどをクッキー缶に入れて大事に抱えていたという。
玩具映画は娯楽として一般家庭にも浸透していっていたとは聞くが、それを何本も所有している少年を想像すると、やはり豊かな御宅だったのだろうと思える。
「とにかく、先方様にはくれぐれも粗相のないように。御香典は西村に渡しておくから。
あと、変な輩には気を付けて。よろしくね」
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