24 / 131
024 佐山氏のご家族と事情聴取⑤
しおりを挟む
和やかに西村課長と牧田さんが話していると、「そろそろいいでしょうか?」と辻堂刑事刑事が割り込んできた。
「ええと、牧田さん、とお呼びするのでいいのでしょうか? あなたは佐山氏の秘書だったと」
「正確には違うのですが、義父の佐山の表向きの仕事は不動産業でした。繁華街にいくつかの店舗付きマンション等を所有しており、その管理を私も手伝っておりまして。義父には色々なことを教わってましたから、その中で義父の秘書というか義父の元で動くということが多かったように思います」
「それで、先程娘さん方から本邸に届く郵便物を別邸に運ぶようなこともされていたと。そしてその中に黄色の封筒の郵便物が頻繁に届き、佐山氏はこれをとても気にしていたとか」
「不動産の事務所自体は別にございます。仕事関係のものはそちらに届き、当然のことながら自宅――本邸には私信が届きます。義父は別邸にいることが多かったですが、そちらの住所は周囲には秘密にしており、一人で趣味を楽しむ場所として愛用していたようです」
「まるで囲っている愛人がいるみたいにね!」
「お母様!」
突然の声に驚いて振り向くと、まだ顔色が優れない様子の由紀子夫人が立っていた。
姉妹二人が駆け寄って行くが、もう倒れることはなさそうな勢いでキレ出した。
「映画映画って馬鹿みたい! そんなもののために人生捧げて、私財投じて。突然死んだと思ったら、私達巻き込んで迷惑かけて! うんざりよ!」
苛々とネイルの行き届いた爪を弾きながら、投げつけるように言葉を続ける。
「愛人ならそれに文句言って金でも渡して何処かへやることも出来るけど、女優に向かうでもなく恋慕の対象が日本映画って! 狂ってるわよ!」
激昂したことでまた血の巡りがおかしくなったのか、由紀子夫人がグラリと揺れたので、江藤弁護士が支えてソファに座らせた。
「大変申し訳ないのですが、依頼人は体調を崩しております。彼女らへの話は後日にしてもらえませんか? 今日は御主人を亡くされ辛いお気持ちなのです」
「······分かりました。奥様、佐山家の皆さん、ご心痛の中に失礼しました。恐縮ですがこの邸は暫く捜査で立ち入らせていただきます。ですので資料館さんの調査も一時ストップしてもらいます。
江藤さんはもうしばらく残っていただいていいですか? では今日は遅くなりましたから散会いたしましょう」
「ええと、牧田さん、とお呼びするのでいいのでしょうか? あなたは佐山氏の秘書だったと」
「正確には違うのですが、義父の佐山の表向きの仕事は不動産業でした。繁華街にいくつかの店舗付きマンション等を所有しており、その管理を私も手伝っておりまして。義父には色々なことを教わってましたから、その中で義父の秘書というか義父の元で動くということが多かったように思います」
「それで、先程娘さん方から本邸に届く郵便物を別邸に運ぶようなこともされていたと。そしてその中に黄色の封筒の郵便物が頻繁に届き、佐山氏はこれをとても気にしていたとか」
「不動産の事務所自体は別にございます。仕事関係のものはそちらに届き、当然のことながら自宅――本邸には私信が届きます。義父は別邸にいることが多かったですが、そちらの住所は周囲には秘密にしており、一人で趣味を楽しむ場所として愛用していたようです」
「まるで囲っている愛人がいるみたいにね!」
「お母様!」
突然の声に驚いて振り向くと、まだ顔色が優れない様子の由紀子夫人が立っていた。
姉妹二人が駆け寄って行くが、もう倒れることはなさそうな勢いでキレ出した。
「映画映画って馬鹿みたい! そんなもののために人生捧げて、私財投じて。突然死んだと思ったら、私達巻き込んで迷惑かけて! うんざりよ!」
苛々とネイルの行き届いた爪を弾きながら、投げつけるように言葉を続ける。
「愛人ならそれに文句言って金でも渡して何処かへやることも出来るけど、女優に向かうでもなく恋慕の対象が日本映画って! 狂ってるわよ!」
激昂したことでまた血の巡りがおかしくなったのか、由紀子夫人がグラリと揺れたので、江藤弁護士が支えてソファに座らせた。
「大変申し訳ないのですが、依頼人は体調を崩しております。彼女らへの話は後日にしてもらえませんか? 今日は御主人を亡くされ辛いお気持ちなのです」
「······分かりました。奥様、佐山家の皆さん、ご心痛の中に失礼しました。恐縮ですがこの邸は暫く捜査で立ち入らせていただきます。ですので資料館さんの調査も一時ストップしてもらいます。
江藤さんはもうしばらく残っていただいていいですか? では今日は遅くなりましたから散会いたしましょう」
10
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる