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038 映画獣? クラファン詐欺?⑤
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とある高名な映画監督が闘病の末に亡くなった。その監督を偲び当館で監督の追悼上映を行った際に、わざわざお孫さんが来館して下さったので上映前に挨拶を行った。だが問題はその後に起きた。お孫さんに付いてきた自称プロデューサーがクラウドファンディングの案内チラシを勝手に配布し、監督の未完成の遺作を完成させてほしいと観客に頼んで回ったのだ。
その監督は、闘病のために体力に自信がなかったので自主映画の形で最期に一本撮ろうとしていた。だが志半ばで中途になってしまったその作品を、監督のお孫さんが遺志を継いで完成させようと動いている。だが、なにぶん監督の医療費がかさんでお金が心許ない。映画ファンの皆様のお力添えを、ということで何名かの観客が協力したらしい。
しかし、その件にお孫さんは何も関わっていなかったようなのだ。挨拶をされた後は事務室にお立ち寄りになり、監督の思い出話をしてお帰りになっただけで、未完成の遺作だとか映画を作る予定だとかもおっしゃっていなかった。
もちろんお金は集められたが実際には映画など作られなかった。
トラブルの後でお孫さんに伺ってみると、その自称プロデューサーはただずっと近くに居ただけの無関係の人だったらしく、熱心な祖父のファンなのだと思ったから無下にしなかったと。
ただ自主映画で監督が最期に映画を撮ろうとしていたのは事実らしく、病室で見舞客に『退院したら撮る作品のシナリオを書いている』と話していたのだという。
それを鑑みると内情をある程度知っている関係者なのかと勘繰りたくもなるが、お孫さんは悲痛な表情で被害に遭われた方は訴えを起こして下さいとおっしゃっているようだ。
その金銭トラブルの元のチラシが、当館内で配布されたものだというので、当館の管理責任はどうなっているんだと会場で怒る人が何人か現れたと。
幸いにというべきか、実際には多くの方はサイトまでは見たけれど、クラウドファンディングのリターン――御礼品がショボかったというか旨味があまりないものだったし、何となく怪しいなと思われたようで被害に遭う人はそこまで多くはなかったようだ。
「辻堂さん、これ······」
「ああ、こっちにもいくつかあるね。ここの館としてはロビーで公然と行われた詐欺で、直接館に責任はないが、顧問弁護士に相談して名誉毀損で訴える準備はしているけれど、犯人が雲隠れしているのでどうにもならない、ということらしいね」
その監督は、闘病のために体力に自信がなかったので自主映画の形で最期に一本撮ろうとしていた。だが志半ばで中途になってしまったその作品を、監督のお孫さんが遺志を継いで完成させようと動いている。だが、なにぶん監督の医療費がかさんでお金が心許ない。映画ファンの皆様のお力添えを、ということで何名かの観客が協力したらしい。
しかし、その件にお孫さんは何も関わっていなかったようなのだ。挨拶をされた後は事務室にお立ち寄りになり、監督の思い出話をしてお帰りになっただけで、未完成の遺作だとか映画を作る予定だとかもおっしゃっていなかった。
もちろんお金は集められたが実際には映画など作られなかった。
トラブルの後でお孫さんに伺ってみると、その自称プロデューサーはただずっと近くに居ただけの無関係の人だったらしく、熱心な祖父のファンなのだと思ったから無下にしなかったと。
ただ自主映画で監督が最期に映画を撮ろうとしていたのは事実らしく、病室で見舞客に『退院したら撮る作品のシナリオを書いている』と話していたのだという。
それを鑑みると内情をある程度知っている関係者なのかと勘繰りたくもなるが、お孫さんは悲痛な表情で被害に遭われた方は訴えを起こして下さいとおっしゃっているようだ。
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