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046 第三のコレクター八頭女史④
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「ここで食事をしましょう」と言って通された部屋は、外観どおりに洋風の造りでところどころに赤がアクセントにあしらわれたモダンなものだった。
それなのに何故か屏風が置かれていたり、中華風なダイニングテーブルがあったり、虎の敷物が敷かれていたりと外国人の謎アジアン趣味といった風情だが、どこかで見たことがあるものだ。
「気付いた? 白岩暁監督がアメリカで撮った作品『猛獣たちの家』に出て来るボスのダイニングを真似してみたのよ」
「ああ、本当ですね。ボスが部下達と無言で骨付きチキンを手づかみで食べるシーンのところ。その後、あの屏風が日本刀で切り裂かれて敵がなだれ込んで乱闘が起きましたね」
指差す屏風の模様までは覚えていないけど、たしかそんなようなシーンだったと思う。
「そう! ふふふ。あれはうちの店の個室から着想を得て作られたセットだったのよ。だからつい真似しちゃった」
「八頭さんのお店の内装のオマージュから、さらにオマージュした部屋なんですね」
「そういうこと! 日比野さんだったかしら? 若いのに観てるわね」
「たまたまです」
着席を促され、八頭女史の正面の椅子に座る。
すると狙いすましたように料理が出されていく。骨付きチキンではなくとても美味しそうなイタリアンだ。ワインもあわせて供される。私はまだお酒に慣れていないので断ろうとしたが、八頭女史の話を遮るのが怖くて舐めるように減らす。赤ワインは胃に重たい。
それでもワインの効果は絶大で、八頭女史の口はどんどん滑らかになっていった。
「小さい時からうちの店に映画関係の人が来ていて、それで撮影所に遊びに行ったりしているうちに映画が好きになったのよね」
そこここに有名人の家があるような土地柄だが、撮影所に通うのに便利だからと映画人の住まいも多いのだとか。八頭女史の家は元々土地持ちで、祖父の代からこの近くにある高級中華料理店を経営しており、他にも高級な店が多く立ち並ぶ場所にも系列店を出店しているらしい。それでも撮影所には要望に応じてお弁当を届けたり、と映画会社からの信頼は篤く、ハリウッドのトップスター達がよく泊まるホテルに出店している店などは海外の俳優や映画監督にとても愛されているらしい。
それなのに何故か屏風が置かれていたり、中華風なダイニングテーブルがあったり、虎の敷物が敷かれていたりと外国人の謎アジアン趣味といった風情だが、どこかで見たことがあるものだ。
「気付いた? 白岩暁監督がアメリカで撮った作品『猛獣たちの家』に出て来るボスのダイニングを真似してみたのよ」
「ああ、本当ですね。ボスが部下達と無言で骨付きチキンを手づかみで食べるシーンのところ。その後、あの屏風が日本刀で切り裂かれて敵がなだれ込んで乱闘が起きましたね」
指差す屏風の模様までは覚えていないけど、たしかそんなようなシーンだったと思う。
「そう! ふふふ。あれはうちの店の個室から着想を得て作られたセットだったのよ。だからつい真似しちゃった」
「八頭さんのお店の内装のオマージュから、さらにオマージュした部屋なんですね」
「そういうこと! 日比野さんだったかしら? 若いのに観てるわね」
「たまたまです」
着席を促され、八頭女史の正面の椅子に座る。
すると狙いすましたように料理が出されていく。骨付きチキンではなくとても美味しそうなイタリアンだ。ワインもあわせて供される。私はまだお酒に慣れていないので断ろうとしたが、八頭女史の話を遮るのが怖くて舐めるように減らす。赤ワインは胃に重たい。
それでもワインの効果は絶大で、八頭女史の口はどんどん滑らかになっていった。
「小さい時からうちの店に映画関係の人が来ていて、それで撮影所に遊びに行ったりしているうちに映画が好きになったのよね」
そこここに有名人の家があるような土地柄だが、撮影所に通うのに便利だからと映画人の住まいも多いのだとか。八頭女史の家は元々土地持ちで、祖父の代からこの近くにある高級中華料理店を経営しており、他にも高級な店が多く立ち並ぶ場所にも系列店を出店しているらしい。それでも撮影所には要望に応じてお弁当を届けたり、と映画会社からの信頼は篤く、ハリウッドのトップスター達がよく泊まるホテルに出店している店などは海外の俳優や映画監督にとても愛されているらしい。
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