映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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067 四体のデスマスク③

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 ドライヤーを使う前に、ベランダにしゃがんでぼんやりと風を受けながら冷たい水を飲んだ。明日からはあのパソコンの所蔵目録とデータベースを使って、寄贈品のチェックが始まるのだろう。先に警察に報告するなら、あのパソコンは使えなくなるのかな。目録だけでもUSBメモリに入れたら駄目だろうか。

 そういえば、八頭女史がデスマスクを持ってるって話、池上さんに聞いたんだった。
 ――彼は何で知ってたの? 他の研究員は知らないようだったのに。

 さあっと風が強く吹き込んだ。肌の火照りが引いたので、私は掃き出し窓を閉めた。
 


     ◇     ◇     ◇

 

 横井章の新作をまだ観ていなかったので、気分転換に有楽町まで出て鑑賞することにした。
 休日はこうして映画を観に行くか、友人と会ったりするのだが、何となく人に会うのも躊躇われたので映画の方を取った。面白い映画であればその間は現実から隔離される。

「あれ、日比野さん。これ観てたの?」

 鑑賞後にフライヤーを眺めていたら、井ノ口に声をかけられた。単館上映を避けてわざわざ大きな劇場に来たのだが、人に会ってしまった。

「お疲れ様です。そうなんです。まだ観てなかったので」
「結構変わった作品だったね。横井のはハードボイルドから人情系まで幅広いけど、今回のは······何だろう?」
「最終的には不条理コメディ? でも基本はヒューマンドラマっぽかったですよね?」
「うん、分からない! さすが横井だ」

 豪快に笑うと、井ノ口はパンフレットを三部買い、一部を渡してくれた。

「いいんですか?」
「いいよ! こっちのは自分のと館用。いつも二部買うことにしてるんだ」
「仕事熱心ですね」
「職業病かも。そうだ、良かったらお茶しない? 休日の銀座は一人席の方が見つからないし」
「はい、そんなに長くならなければ」




 
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