映画をむさぼり、しゃぶる獣達――カルト映画と幻のコレクション

来住野つかさ

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070 比江島氏の遺言状①

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 佐山氏の家からあらかたの資料を搬出した。慌てて準備したスペースに棚を組み、なるべく文書保存箱に振った番号通りに仮置き出来るようにしたが、肝心のパソコンは警察の確認が入ったのでまだ戻って来ていない。
 ただ、同じデータベースを使用しているのだから、このデータを統合出来るのではないかという話になっているので、それなら大幅に作業が減るので期待している。例えば摘要欄に『佐山コレクション』と追記しておけば区別も出来るし、登録作業者としてはありがたい話だが、上の人達は勝手にデータベースを売ったYAGI社に文句を言っているらしい。こちらの要望を入れて構築したものを断りなく売ったのだから、統合に関してもよろしく対応してくれるだろう。
 もしかしてここまで見越して佐山氏がYAGI社のデータベースを使用したのなら少し怖いものを感じるが、私達がすることには変わりはない。寄贈品をチェックして遺族に報告し、今後の振り分けをどうするかを話し合うところまで進めるだけだ。

「けいちゃーん! さっき課長がね、佐山さんのノートパソコンもうすぐ戻って来るって言ってたよ」

 黙々と仕分け作業をこなしているところに山森がやって来て、そんな報告をしてくれる。

「本当ですか? わりに早かったですね」
「うん、なんかパソコン自体は警察も一応確認はしていたらしいんだけど、他のこともあったからもう一度見ておこうということだったみたい。それでご遺族に返すから、そちらに許可取って必要なデータを他のパソコンに入れて使用すればどうですかって言われたって」
「まあ何でもいいですよね。データが使えるのなら。あちらもメンテにYAGI社が入ってるならバックアップも都度していたんでしょうし」
「佐山家にはサーバー用のパソコンが別の部屋に置いてあったらしいよ。私そういうの詳しくないんだけど、作業用のデータさえあれば私らとしては問題ないよね?」

 長く紙資料の側にいるとどうしても喉がいがらっぽくなる。 一度うがいでもしようと、山森と一緒に事務室に戻ると、西村課長に手招きをされた。

「比江島さんの遺言状が開示された。その事で資料館に相談したいことがあるらしい。······日比野さんも同席してもらえる?」
「はい、分かりました」





 
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