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106 玩具フィルムと8ミリフィルム②
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「そういえば、これ見てもらえますか?」
山森が捕まってから数日。辻堂刑事は私と池上を呼び出して、タブレットでいくつかの写真を見せて来た。
「これは、八頭女史のところから見つかったものですか?」
「そう、あのブレスレットのね」
八頭女史のブレスレットから出て来たマイクロSDカードから、8ミリカメラを手にする佐山氏の写真が何枚も残っていたらしい。アメリカにも持って行っていたのだろう。
「カメラがあるんだから、フィルムもありそうですけど、佐山家から見つかったものは違うんですよね?」
辻堂刑事が池上に話を向けると、彼は8ミリカメラの画像を拡大したりしながら答えた。
「ええ、あれは玩具フィルムと呼ばれるものです。35ミリのは切れてしまった劇場用フィルムを短くカットして販売していました。これは家庭用の玩具映写機で実際に映写出来たんです。もう一つの紙製のフィルムの方は幻燈機で簡単に見られるので子供に人気で、お菓子のオマケで付いてきたりしたものですよ」
「へえ。お菓子にねえ」
辻堂刑事はお菓子のところに一瞬興味を惹かれていたようだったが、私は佐山邸で見つかった当時物の玩具映写機のことを思い出していた。昭和初期のものだろう。ブリキ製の手動式で、玩具と言っても本格的な作りだった。紙製フィルム用の幻燈機の方もきちんと保管されていて、本職の方ではないのにさすがコレクターだなと感心したものだ。
そういえば佐山氏の遺品から8ミリカメラも数台見つかっているが、何故かこのカメラを使って撮影されたフィルムはない。防湿庫にカメラと玩具フィルムは丁寧に保管されていたのに、だ。
佐山氏は防空壕にまで持ち込むほど、玩具フィルムに嵌っていたという。ならば彼がフィルムを使って映像を撮ってみたくなるのも自然の流れだったのかもしれないが、いくら駄作を撮ったとしても、一本も残さないなどあるだろうか。
「では、私は八頭家にこちらを返してきます。玩具フィルムはないですけど、お菓子のオマケならまた増えてますから好きに持って行っていいですよ、日比野さん」
立ち去る辻堂刑事を見送っていたら、呆れたような顔の池上がいた。
「日比野ちゃん、ここに来て、毎回オマケもらってるの?」
山森が捕まってから数日。辻堂刑事は私と池上を呼び出して、タブレットでいくつかの写真を見せて来た。
「これは、八頭女史のところから見つかったものですか?」
「そう、あのブレスレットのね」
八頭女史のブレスレットから出て来たマイクロSDカードから、8ミリカメラを手にする佐山氏の写真が何枚も残っていたらしい。アメリカにも持って行っていたのだろう。
「カメラがあるんだから、フィルムもありそうですけど、佐山家から見つかったものは違うんですよね?」
辻堂刑事が池上に話を向けると、彼は8ミリカメラの画像を拡大したりしながら答えた。
「ええ、あれは玩具フィルムと呼ばれるものです。35ミリのは切れてしまった劇場用フィルムを短くカットして販売していました。これは家庭用の玩具映写機で実際に映写出来たんです。もう一つの紙製のフィルムの方は幻燈機で簡単に見られるので子供に人気で、お菓子のオマケで付いてきたりしたものですよ」
「へえ。お菓子にねえ」
辻堂刑事はお菓子のところに一瞬興味を惹かれていたようだったが、私は佐山邸で見つかった当時物の玩具映写機のことを思い出していた。昭和初期のものだろう。ブリキ製の手動式で、玩具と言っても本格的な作りだった。紙製フィルム用の幻燈機の方もきちんと保管されていて、本職の方ではないのにさすがコレクターだなと感心したものだ。
そういえば佐山氏の遺品から8ミリカメラも数台見つかっているが、何故かこのカメラを使って撮影されたフィルムはない。防湿庫にカメラと玩具フィルムは丁寧に保管されていたのに、だ。
佐山氏は防空壕にまで持ち込むほど、玩具フィルムに嵌っていたという。ならば彼がフィルムを使って映像を撮ってみたくなるのも自然の流れだったのかもしれないが、いくら駄作を撮ったとしても、一本も残さないなどあるだろうか。
「では、私は八頭家にこちらを返してきます。玩具フィルムはないですけど、お菓子のオマケならまた増えてますから好きに持って行っていいですよ、日比野さん」
立ち去る辻堂刑事を見送っていたら、呆れたような顔の池上がいた。
「日比野ちゃん、ここに来て、毎回オマケもらってるの?」
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