雨の日に傘をさして、きみにアイにいく。

あびくらむげ

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雨の日に傘をさして、きみにアイにくる。

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―――




瞼をゆっくりと開けると、視界には、真っ白い天井が視界いっぱいに映った。
あの事故から、ずっと病院のベットで寝ていた。


お母さんから詳しい話を聞いたら、2ヵ月ほど眠ったままだったらしい。
先生曰く、覚悟してくださいとまで言われていたみたい。
まあ、目が覚めた私を見て、奇跡だって先生は驚いていたけどね。


目が覚めたとき、一番に太陽の居場所をを聞いた。
けれど、お母さんも繭も彰くんの顔は歪むばかりで、誰も口を開こうとしなかった。
それだけで、分かってしまう。


太陽は、本当にどこにもいないんだって。
もう、この世にはいないんだって。


覚悟は、していたつもりだった。
でも、やっぱり、あの笑顔も、ぬくもりも。
声も、太陽のなにもかも感じることはできないのだと思うと、
太陽がもうどこにもいないって信じられなかった。
ううん、信じたくなかったー。







ー病院を退院して2ヶ月がたった。
あれから、精密検査をし、特に身体に異常がなかった私は、何事もなく退院した。


今では、もう秋。
生暖かい風が心地よい季節。


学校も二学期に入り、今までと変わらない風景で授業を行っている。
ただ、太陽だけがいない。この教室に太陽だけがー。
私の隣にも、いない。


ここ数ヶ月たっても、太陽がいない生活にこれっぽっちも慣れない。
頭では、太陽がもういないことは理解している。
けれど、心がいまだについていかないの。
―いかないんじゃない、いけないの。


だってね?
目を瞑ると、太陽との日々を鮮明に思い出せるから。
まだ、太陽のぬくもりや匂い、
息遣いや声のトーン、
太陽の全てを私の体が覚えている。


会いたい、太陽に。
もう一度―。


君に、会いたい。
その思いだけが日に日に増えていく。


首元に光る綺麗な雫のネックレスを触りながら、ふと空を見上げた。
視界には、灰色の雲たちが目に入る。


「雨...」


ボソリと、心の声が漏れてしまった私。


「美雨?」


それは、前の席に座っていた繭にも聞こえてしまったみたいだった。


「ううん、なんでもないよ」


私は、何事もなかったかのように繭に向けて柔らかく微笑んだ。


太陽?
私ね、ちゃんと前を向くよ?
あなたが守ってくれた命だもの。


太陽がいない世界でも、ちゃんと生きるよ。
でもね?
きっと、雨が降るたびに期待してしまう。


「美雨」


ー私の好きなその声で。


「美雨は、一人じゃない」


ー口は悪いのに、誰よりも優しくて。


「美雨が好きだ。愛してる。」


ー頬を真っ赤にして、微笑む。


―私の大好きな、太陽という人を。


再び空を見上げると、灰色の雲から小さな雫がポツリポツリと、降ってきた。




今日も、旧図書室に行こう。
もしかしたら、君が。
太陽が。
雨の日に傘をさして、私に逢いにくるかもしれないから―。






-END-


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