とあるオタが勇者召喚に巻き込まれた件~イレギュラーバグチートスキルで異世界漫遊~

剣伎 竜星

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第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編

第47話 助けた女冒険者達から感謝される※但し、イケメンに限る。故に俺はされない件 

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半壊して必死に逃走を図った豚鬼オーク達の集団を殲滅ジェノサイドしたクロエの放った【竜魔術ドラゴロア】の【メガ・フレア】。

某ファンタジーRPGと同じく、この世界にもその上位版のギガ、テラ、エスタも存在するのを確認している。

もっと成長して【竜化】すればギガまでは【詠唱破棄】可能になるとクロエは言った。クロエ、おそろしい子!

【テラ・フレア】以上はクロエが知る限り【詠唱破棄】に成功した龍・竜はいないそうだ。

しかし、そうそうこんな凶悪な威力の攻撃メガ・フレアを連発する事態を迎えるのは勘弁して欲しい……あ、なんかコレ、既に俺が与り知らぬどこかで、今回同様、フラグが立ってるっぽいぞ。

内心で戦慄を禁じえない俺はケイロンに問う。

「ケイロンならさっきの【メガ・フレア】にどう対処する?」

「……【反射魔術リフレクション】ガ間ニ合ウナラバソレデ対応シマス。間ニ合ワナイ場合ハ【障壁シールド】ト【魔術防護膜マジックシェル】デ損傷ノ軽減ヲ試ミ、収束後、即座ニ回復行動ニ移リマス。シカシ、ナゼコノヨウナコトヲ問ワレルノデスカ? マスター?」

ケイロンの回答は正しい。反射魔術リフレクション】で反射して相殺もしくは自滅させることが可能だ。ならば、なぜ問うか、それは当然、

「竜はクロエ以外にもこの世界にはまだ多数いるからだ。彼等彼女等が必ずしも俺達に友好的とは限らない。最悪、敵対するかもしれないから、それを見越しての確認だ」

「ナルホド」

ケイロンは俺の返事に納得してくれた。

『ぬぅうう、まだこのでは【メガ・フレア】一発が限界とは口惜しい。力が入らぬのじゃ』

そう言ってクロエは膝をついた。

「クロエ、お疲れ様。よくやってくれた」

俺はそう言ってクロエを労い、その頭を撫でた。

『にゅふふふ、もっと撫でて、褒めそやしてよいのじゃぞ、ご主人」

そう言って、俺に撫でられるがままのクロエは気持ちよさそうに目を細める。

周囲に敵影はないが、俺はクロエに魔力回復薬マナポーションを飲ませて魔力を回復させた。

さて、この後のことはどうしようかなと意見を聴くため、バルガスのとっつぁんの方を見ると、とっつぁんはまだクロエが放った【メガ・フレア】の衝撃で固まっていた。

とっつぁんの方に行こうとしたら、クロエが両手を前に出して、子供が抱っこを強請るポーズをとった。

『ご主人、我はご褒美の1つとして馬車までで構わぬからお姫様抱っこを所望する!』

ドヤ顔でそう言うクロエの姿にそう言えば以前、俺は飛鳥にお姫様抱っこした覚えがあったのを思い出した。

一体何がいいのかわからないが、承諾してクロエを抱える。クロエは肉付きが異様に良いが、小柄なためかなり軽い。

『ふむふむ、なるほどのう』

クロエはクロエで何かに納得していた。俺はクロエを抱えてバルガスのとっつぁんに声をかけることにした。

「とっつぁん、バルガスのとっつぁん!」

「あ、ああ……」

俺が呼びかけてようやくとっつぁんはこっちに戻ってきた。俺に抱きついているクロエに視線が一瞬向いたがスルーするつもりのようだ。

「俺達にしない限り、俺達があの攻撃を向けることはないから、一先ず落ち着いてくれないか。話が進まない」

「……ああ、そうだな。すまん」

「それでこの後をどうするかの相談なんだが、選択肢は二つある。1つはこの場で野営するか、もう1つはメルキオールの北門の傍まで移動して、そこで野営するか。いづれもメリットとデメリットがあるから、一流冒険者としての意見が欲しい」

俺がそう言うと、とっつぁんは思案顔になった後、口を開いた。

交代で見張りを立てて野営をして夜が明けてからメルキオールに向かうのが定石だ。だが、俺達が乗ってきた馬車であれば夜間行軍で遭遇する魔物との遭遇戦を避けて北門に辿りつける。俺は北門の傍での野営を支持するが、ユウが想定する北門傍での野営のデメリットってなんだ?」

とっつぁんが自身の意見を教えてくれて、当然の疑問を返してきた。俺に抱えられているクロエも興味深そうに俺を上目遣いで見上げている。

「最も単純なものは今回の事件を画策した奴等の野盗を装った俺達への襲撃。今回の件を画策した連中とグルな奴の命令による北門担当の衛兵達もしくは魔術ギルド所属の魔術師達による襲撃も考えられる。次に、既に目星は付いているが、救出した冒険者パーティーにいる内通者の逃亡、自決、画策した奴等に秘密裏に消される可能性。後は、俺達を通行止めする手は明日、ヘリオスギルド総長にご足労願うから問題ない」

俺が答えると、バルガスのとっつぁんは感心して唸った。

「……よくそんなにぽんぽん思いつくなぁ。それで、内通者っていうのはどいつなんだ?」

「女魔術師だ。彼女は魔術師ギルドにも所属して。だが、彼女を尋問しても碌な情報を得られないだろう」

「んん? ああ、そう言うことか、蜥蜴の尻尾切りなんだな」

少し考えてバルガスのとっつぁんは俺と同じ答えに思い至ったようだ。

「魔術師ギルド所属員の資格を一方的に剥奪した上で、豚鬼共の餌にするというえげつない切り方だ。それも俺の憶測が当たっていれば、自分達にとって一石四鳥を狙った欲張りな切り方だな」

「そいつは気になるな!おし「悪いが、詳しくはもっと落ち着ける場所で話そう。北門で野営するときの対策もあるから、続きはそこででいいか?」ああ、すまねぇ、熱くなっちまったな。俺の悪い癖だ」

興奮して頭に血が上り出したとっつぁんの言葉に食い気味に被せて宥めるとバルガスのとっつぁんは自嘲するようにそう言った。

「たしかにそれは悪癖かもしれないが、見方を変えればそれだけ集中しているということだ。過度は危険だが、充分自制できているのだから、周囲がフォローすればいい。俺は問題ない範疇だと思う」

バルガスのとっつぁんが落ち込み気味だったので、俺は感じたことを口にした。

「……へへっ、ありがとよ」

そう言ってバルガスのとっつぁんは言葉を返してきた。



装甲馬車では乗員の上限を超える頭数になったので、装甲馬車をしまって、俺は全員が乗れる箱馬車をだすことにした。

それをするために装甲馬車の中にいる救出した女冒険者パーティーと、彼女等の対応をお願いしていた飛鳥に一度外に出てもらうべく、クロエを下ろした俺は扉をノックして、飛鳥の返事を受けて扉を開けた。

扉を開くとそこは百合畑だった……ヲイ。

「ねぇ、アスカ様、いえ、お姉様と呼んでいいでしょう?」

「いや、私は……」

「ええ、いいではないですか。わたくし達は豚鬼共から助けてくださったお姉様を感謝とともにお慕いしていますのよ」

「私だけの力ではないし、バルガスギルド長もいたではないですか」

「いや、ギルド長は別格さ。ギルド長と一緒にあれだけ立ち回れる同年代の使い手なんてあたしは知らないよ」

まだ幼さが残る女僧侶プリーステスと貴族出身と思われる件の女魔術師が困り顔の飛鳥に言い寄って、ショートカットの女剣士が飛鳥を称賛する。それをパーティーリーダーの女騎士が頷いて同意していた……バタンッ

『どうしたのじゃ、ご主人?』

扉を開けてすぐ閉めたため、中の様子が見えなかったクロエが小首を傾げて尋ねてきたことで、俺は我に返って思わず閉めてしまった扉を再び開けた。

「そうだ、アスカ、あたしらとパーティーを組もうぜ!」

ショートカットの女剣士がそう言い出した。

「それっ、名案ですわ!」

女魔術師が女剣士に同調する。

「……そうだな、貴女なら信頼できる。あの様な男といるよりも私達と共に来てくれないだろうか?」

リーダーの女騎士までそう言い出し、助け出した女共は遂には飛鳥の意思を無視した身勝手なことを言い始めていた。

「……謹んでお断り申し上げます」

顔は笑っているが目が笑っていない飛鳥は断固とした拒絶の言葉を発した。女共は絶句し、間ができた。

「コホンッ、飛鳥、お疲れ様。一旦この馬車を片付けるから、全員外に出てくれないか?」

きりがよかったので、俺は発言した。したのだが……。

「ええ!? 邪魔しないでよ!おじさん!!」

「そうですわ! 邪魔しないでくださいまし!」

「そうだ、おっさんからもアスカに言ってくれないか、あたしらと一緒に来るようにさ」

俺は怒るのを通り越して呆れ果てた。

「貴様の様な男はアスカには相応しくない! どんな弱みを握って彼女を『囀るな、糞餓鬼共が』っ!?」

リーダーの女騎士が俺を罵り始めたところでクロエがキレて女共を【威圧】。
続いて、パアァンッという乾いた音が女騎士の肩頬から、発した。

「……」

冷め切った目をした飛鳥が女騎士の頬を平手で打ち据えて馬車から出た。

「まさか助けたことを後悔させられるとは思わなかった。飛鳥を引き抜きたいのは分かるが、彼女の話を聴かずに勝手に付き纏ったり、引き抜きの話を進めるのは君の言う相応しい者の行いなのかい?」

激怒していたクロエは飛鳥とこの場を離れ、俺は飛鳥の行動に驚き固まっている女騎士に問いかけた。

「俺は飛鳥の意思を尊重するつもりだから、愛想を尽かされて、仮に飛鳥が他の男と一緒になるなどして別れることになっても、飛鳥が幸せになるってくれるなら、俺は寂しく思うかもしれないけれども、それでいい。だが、彼女の意思を蔑ろにしているお前達には絶対に渡すつもりはない」

返事がないので、そう言って、俺はバルガス冒険者ギルド長と入れ替わりで、クロエと飛鳥、ケイロンが待つ外に出た。

とっつぁんには女共への説教をお願いした。女共はそのままで、俺達3人が乗る別の箱馬車をケイロンに連結、その後ろに女共が乗る装甲馬車を繋いで移動することにした。





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