47 / 108
第2章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール編
第47話 助けた女冒険者達から感謝される※但し、イケメンに限る。故に俺はされない件
しおりを挟む
半壊して必死に逃走を図った豚鬼達の集団を殲滅したクロエの放った【竜魔術】の【メガ・フレア】。
某ファンタジーRPGと同じく、この世界にもその上位版のギガ、テラ、エスタも存在するのを確認している。
もっと成長して【竜化】すればギガまでは【詠唱破棄】可能になるとクロエは言った。クロエ、おそろしい子!
【テラ・フレア】以上はクロエが知る限り【詠唱破棄】に成功した龍・竜はいないそうだ。
しかし、そうそうこんな凶悪な威力の攻撃を連発する事態を迎えるのは勘弁して欲しい……あ、なんかコレ、既に俺が与り知らぬどこかで、今回同様、フラグが立ってるっぽいぞ。
内心で戦慄を禁じえない俺はケイロンに問う。
「ケイロンならさっきの【メガ・フレア】にどう対処する?」
「……【反射魔術】ガ間ニ合ウナラバソレデ対応シマス。間ニ合ワナイ場合ハ【障壁】ト【魔術防護膜】デ損傷ノ軽減ヲ試ミ、収束後、即座ニ回復行動ニ移リマス。シカシ、ナゼコノヨウナコトヲ問ワレルノデスカ? マスター?」
ケイロンの回答は正しい。メガまでは【反射魔術】で反射して相殺もしくは自滅させることが可能だ。ならば、なぜ問うか、それは当然、
「竜はクロエ以外にもこの世界にはまだ多数いるからだ。彼等彼女等が必ずしも俺達に友好的とは限らない。最悪、敵対するかもしれないから、それを見越しての確認だ」
「ナルホド」
ケイロンは俺の返事に納得してくれた。
『ぬぅうう、まだこのナリでは【メガ・フレア】一発が限界とは口惜しい。力が入らぬのじゃ』
そう言ってクロエは膝をついた。
「クロエ、お疲れ様。よくやってくれた」
俺はそう言ってクロエを労い、その頭を撫でた。
『にゅふふふ、もっと撫でて、褒めそやしてよいのじゃぞ、ご主人」
そう言って、俺に撫でられるがままのクロエは気持ちよさそうに目を細める。
周囲に敵影はないが、俺はクロエに魔力回復薬を飲ませて魔力を回復させた。
さて、この後のことはどうしようかなと意見を聴くため、バルガスのとっつぁんの方を見ると、とっつぁんはまだクロエが放った【メガ・フレア】の衝撃で固まっていた。
とっつぁんの方に行こうとしたら、クロエが両手を前に出して、子供が抱っこを強請るポーズをとった。
『ご主人、我はご褒美の1つとして馬車までで構わぬからお姫様抱っこを所望する!』
ドヤ顔でそう言うクロエの姿にそう言えば以前、俺は飛鳥にお姫様抱っこした覚えがあったのを思い出した。
一体何がいいのかわからないが、承諾してクロエを抱える。クロエは肉付きが異様に良いが、小柄なためかなり軽い。
『ふむふむ、なるほどのう』
クロエはクロエで何かに納得していた。俺はクロエを抱えてバルガスのとっつぁんに声をかけることにした。
「とっつぁん、バルガスのとっつぁん!」
「あ、ああ……」
俺が呼びかけてようやくとっつぁんはこっちに戻ってきた。俺に抱きついているクロエに視線が一瞬向いたがスルーするつもりのようだ。
「俺達に敵対しない限り、俺達があの攻撃を向けることはないから、一先ず落ち着いてくれないか。話が進まない」
「……ああ、そうだな。すまん」
「それでこの後をどうするかの相談なんだが、選択肢は二つある。1つはこの場で野営するか、もう1つはメルキオールの北門の傍まで移動して、そこで野営するか。いづれもメリットとデメリットがあるから、一流冒険者としての意見が欲しい」
俺がそう言うと、とっつぁんは思案顔になった後、口を開いた。
「通常であれば交代で見張りを立ててここの道脇で野営をして夜が明けてからメルキオールに向かうのが定石だ。だが、俺達が乗ってきた馬車であれば夜間行軍で遭遇する魔物との遭遇戦を避けて北門に辿りつける。俺は北門の傍での野営を支持するが、ユウが想定する北門傍での野営のデメリットってなんだ?」
とっつぁんが自身の意見を教えてくれて、当然の疑問を返してきた。俺に抱えられているクロエも興味深そうに俺を上目遣いで見上げている。
「最も単純なものは今回の事件を画策した奴等の野盗を装った俺達への襲撃。今回の件を画策した連中とグルな奴の命令による北門担当の衛兵達もしくは魔術ギルド所属の魔術師達による襲撃も考えられる。次に、既に目星は付いているが、救出した冒険者パーティーにいる内通者の逃亡、自決、画策した奴等に秘密裏に消される可能性。後は、俺達を通行止めする手は明日、ヘリオスギルド総長にご足労願うから問題ない」
俺が答えると、バルガスのとっつぁんは感心して唸った。
「……よくそんなにぽんぽん思いつくなぁ。それで、内通者っていうのはどいつなんだ?」
「女魔術師だ。彼女は魔術師ギルドにも所属していた。だが、彼女を尋問しても碌な情報を得られないだろう」
「んん? ああ、そう言うことか、蜥蜴の尻尾切りなんだな」
少し考えてバルガスのとっつぁんは俺と同じ答えに思い至ったようだ。
「魔術師ギルド所属員の資格を一方的に剥奪した上で、豚鬼共の餌にするというえげつない切り方だ。それも俺の憶測が当たっていれば、自分達にとって一石四鳥を狙った欲張りな切り方だな」
「そいつは気になるな!おし「悪いが、詳しくはもっと落ち着ける場所で話そう。北門で野営するときの対策もあるから、続きはそこででいいか?」ああ、すまねぇ、熱くなっちまったな。俺の悪い癖だ」
興奮して頭に血が上り出したとっつぁんの言葉に食い気味に被せて宥めるとバルガスのとっつぁんは自嘲するようにそう言った。
「たしかにそれは悪癖かもしれないが、見方を変えればそれだけ集中しているということだ。過度は危険だが、充分自制できているのだから、周囲がフォローすればいい。俺は問題ない範疇だと思う」
バルガスのとっつぁんが落ち込み気味だったので、俺は感じたことを口にした。
「……へへっ、ありがとよ」
そう言ってバルガスのとっつぁんは言葉を返してきた。
■
装甲馬車では乗員の上限を超える頭数になったので、装甲馬車をしまって、俺は全員が乗れる箱馬車をだすことにした。
それをするために装甲馬車の中にいる救出した女冒険者パーティーと、彼女等の対応をお願いしていた飛鳥に一度外に出てもらうべく、クロエを下ろした俺は扉をノックして、飛鳥の返事を受けて扉を開けた。
扉を開くとそこは百合畑だった……ヲイ。
「ねぇ、アスカ様、いえ、お姉様と呼んでいいでしょう?」
「いや、私は……」
「ええ、いいではないですか。わたくし達は豚鬼共から助けてくださったお姉様を感謝とともにお慕いしていますのよ」
「私だけの力ではないし、バルガスギルド長もいたではないですか」
「いや、ギルド長は別格さ。ギルド長と一緒にあれだけ立ち回れる同年代の使い手なんてあたしは知らないよ」
まだ幼さが残る女僧侶と貴族出身と思われる件の女魔術師が困り顔の飛鳥に言い寄って、ショートカットの女剣士が飛鳥を称賛する。それをパーティーリーダーの女騎士が頷いて同意していた……バタンッ
『どうしたのじゃ、ご主人?』
扉を開けてすぐ閉めたため、中の様子が見えなかったクロエが小首を傾げて尋ねてきたことで、俺は我に返って思わず閉めてしまった扉を再び開けた。
「そうだ、アスカ、あたしらとパーティーを組もうぜ!」
ショートカットの女剣士がそう言い出した。
「それっ、名案ですわ!」
女魔術師が女剣士に同調する。
「……そうだな、貴女なら信頼できる。あの様な男といるよりも私達と共に来てくれないだろうか?」
リーダーの女騎士までそう言い出し、助け出した女共は遂には飛鳥の意思を無視した身勝手なことを言い始めていた。
「……謹んでお断り申し上げます」
顔は笑っているが目が笑っていない飛鳥は断固とした拒絶の言葉を発した。女共は絶句し、間ができた。
「コホンッ、飛鳥、お疲れ様。一旦この馬車を片付けるから、全員外に出てくれないか?」
きりがよかったので、俺は発言した。したのだが……。
「ええ!? 邪魔しないでよ!おじさん!!」
「そうですわ! 邪魔しないでくださいまし!」
「そうだ、おっさんからもアスカに言ってくれないか、あたしらと一緒に来るようにさ」
俺は怒るのを通り越して呆れ果てた。
「貴様の様な男はアスカには相応しくない! どんな弱みを握って彼女を『囀るな、糞餓鬼共が』っ!?」
リーダーの女騎士が俺を罵り始めたところでクロエがキレて女共を【威圧】。
続いて、パアァンッという乾いた音が女騎士の肩頬から、発した。
「……」
冷め切った目をした飛鳥が女騎士の頬を平手で打ち据えて馬車から出た。
「まさか助けたことを後悔させられるとは思わなかった。飛鳥を引き抜きたいのは分かるが、彼女の話を聴かずに勝手に付き纏ったり、引き抜きの話を進めるのは君の言う相応しい者の行いなのかい?」
激怒していたクロエは飛鳥とこの場を離れ、俺は飛鳥の行動に驚き固まっている女騎士に問いかけた。
「俺は飛鳥の意思を尊重するつもりだから、愛想を尽かされて、仮に飛鳥が他の男と一緒になるなどして別れることになっても、飛鳥が幸せになるってくれるなら、俺は寂しく思うかもしれないけれども、それでいい。だが、彼女の意思を蔑ろにしているお前達には絶対に渡すつもりはない」
返事がないので、そう言って、俺はバルガス冒険者ギルド長と入れ替わりで、クロエと飛鳥、ケイロンが待つ外に出た。
とっつぁんには女共への説教をお願いした。女共はそのままで、俺達3人が乗る別の箱馬車をケイロンに連結、その後ろに女共が乗る装甲馬車を繋いで移動することにした。
某ファンタジーRPGと同じく、この世界にもその上位版のギガ、テラ、エスタも存在するのを確認している。
もっと成長して【竜化】すればギガまでは【詠唱破棄】可能になるとクロエは言った。クロエ、おそろしい子!
【テラ・フレア】以上はクロエが知る限り【詠唱破棄】に成功した龍・竜はいないそうだ。
しかし、そうそうこんな凶悪な威力の攻撃を連発する事態を迎えるのは勘弁して欲しい……あ、なんかコレ、既に俺が与り知らぬどこかで、今回同様、フラグが立ってるっぽいぞ。
内心で戦慄を禁じえない俺はケイロンに問う。
「ケイロンならさっきの【メガ・フレア】にどう対処する?」
「……【反射魔術】ガ間ニ合ウナラバソレデ対応シマス。間ニ合ワナイ場合ハ【障壁】ト【魔術防護膜】デ損傷ノ軽減ヲ試ミ、収束後、即座ニ回復行動ニ移リマス。シカシ、ナゼコノヨウナコトヲ問ワレルノデスカ? マスター?」
ケイロンの回答は正しい。メガまでは【反射魔術】で反射して相殺もしくは自滅させることが可能だ。ならば、なぜ問うか、それは当然、
「竜はクロエ以外にもこの世界にはまだ多数いるからだ。彼等彼女等が必ずしも俺達に友好的とは限らない。最悪、敵対するかもしれないから、それを見越しての確認だ」
「ナルホド」
ケイロンは俺の返事に納得してくれた。
『ぬぅうう、まだこのナリでは【メガ・フレア】一発が限界とは口惜しい。力が入らぬのじゃ』
そう言ってクロエは膝をついた。
「クロエ、お疲れ様。よくやってくれた」
俺はそう言ってクロエを労い、その頭を撫でた。
『にゅふふふ、もっと撫でて、褒めそやしてよいのじゃぞ、ご主人」
そう言って、俺に撫でられるがままのクロエは気持ちよさそうに目を細める。
周囲に敵影はないが、俺はクロエに魔力回復薬を飲ませて魔力を回復させた。
さて、この後のことはどうしようかなと意見を聴くため、バルガスのとっつぁんの方を見ると、とっつぁんはまだクロエが放った【メガ・フレア】の衝撃で固まっていた。
とっつぁんの方に行こうとしたら、クロエが両手を前に出して、子供が抱っこを強請るポーズをとった。
『ご主人、我はご褒美の1つとして馬車までで構わぬからお姫様抱っこを所望する!』
ドヤ顔でそう言うクロエの姿にそう言えば以前、俺は飛鳥にお姫様抱っこした覚えがあったのを思い出した。
一体何がいいのかわからないが、承諾してクロエを抱える。クロエは肉付きが異様に良いが、小柄なためかなり軽い。
『ふむふむ、なるほどのう』
クロエはクロエで何かに納得していた。俺はクロエを抱えてバルガスのとっつぁんに声をかけることにした。
「とっつぁん、バルガスのとっつぁん!」
「あ、ああ……」
俺が呼びかけてようやくとっつぁんはこっちに戻ってきた。俺に抱きついているクロエに視線が一瞬向いたがスルーするつもりのようだ。
「俺達に敵対しない限り、俺達があの攻撃を向けることはないから、一先ず落ち着いてくれないか。話が進まない」
「……ああ、そうだな。すまん」
「それでこの後をどうするかの相談なんだが、選択肢は二つある。1つはこの場で野営するか、もう1つはメルキオールの北門の傍まで移動して、そこで野営するか。いづれもメリットとデメリットがあるから、一流冒険者としての意見が欲しい」
俺がそう言うと、とっつぁんは思案顔になった後、口を開いた。
「通常であれば交代で見張りを立ててここの道脇で野営をして夜が明けてからメルキオールに向かうのが定石だ。だが、俺達が乗ってきた馬車であれば夜間行軍で遭遇する魔物との遭遇戦を避けて北門に辿りつける。俺は北門の傍での野営を支持するが、ユウが想定する北門傍での野営のデメリットってなんだ?」
とっつぁんが自身の意見を教えてくれて、当然の疑問を返してきた。俺に抱えられているクロエも興味深そうに俺を上目遣いで見上げている。
「最も単純なものは今回の事件を画策した奴等の野盗を装った俺達への襲撃。今回の件を画策した連中とグルな奴の命令による北門担当の衛兵達もしくは魔術ギルド所属の魔術師達による襲撃も考えられる。次に、既に目星は付いているが、救出した冒険者パーティーにいる内通者の逃亡、自決、画策した奴等に秘密裏に消される可能性。後は、俺達を通行止めする手は明日、ヘリオスギルド総長にご足労願うから問題ない」
俺が答えると、バルガスのとっつぁんは感心して唸った。
「……よくそんなにぽんぽん思いつくなぁ。それで、内通者っていうのはどいつなんだ?」
「女魔術師だ。彼女は魔術師ギルドにも所属していた。だが、彼女を尋問しても碌な情報を得られないだろう」
「んん? ああ、そう言うことか、蜥蜴の尻尾切りなんだな」
少し考えてバルガスのとっつぁんは俺と同じ答えに思い至ったようだ。
「魔術師ギルド所属員の資格を一方的に剥奪した上で、豚鬼共の餌にするというえげつない切り方だ。それも俺の憶測が当たっていれば、自分達にとって一石四鳥を狙った欲張りな切り方だな」
「そいつは気になるな!おし「悪いが、詳しくはもっと落ち着ける場所で話そう。北門で野営するときの対策もあるから、続きはそこででいいか?」ああ、すまねぇ、熱くなっちまったな。俺の悪い癖だ」
興奮して頭に血が上り出したとっつぁんの言葉に食い気味に被せて宥めるとバルガスのとっつぁんは自嘲するようにそう言った。
「たしかにそれは悪癖かもしれないが、見方を変えればそれだけ集中しているということだ。過度は危険だが、充分自制できているのだから、周囲がフォローすればいい。俺は問題ない範疇だと思う」
バルガスのとっつぁんが落ち込み気味だったので、俺は感じたことを口にした。
「……へへっ、ありがとよ」
そう言ってバルガスのとっつぁんは言葉を返してきた。
■
装甲馬車では乗員の上限を超える頭数になったので、装甲馬車をしまって、俺は全員が乗れる箱馬車をだすことにした。
それをするために装甲馬車の中にいる救出した女冒険者パーティーと、彼女等の対応をお願いしていた飛鳥に一度外に出てもらうべく、クロエを下ろした俺は扉をノックして、飛鳥の返事を受けて扉を開けた。
扉を開くとそこは百合畑だった……ヲイ。
「ねぇ、アスカ様、いえ、お姉様と呼んでいいでしょう?」
「いや、私は……」
「ええ、いいではないですか。わたくし達は豚鬼共から助けてくださったお姉様を感謝とともにお慕いしていますのよ」
「私だけの力ではないし、バルガスギルド長もいたではないですか」
「いや、ギルド長は別格さ。ギルド長と一緒にあれだけ立ち回れる同年代の使い手なんてあたしは知らないよ」
まだ幼さが残る女僧侶と貴族出身と思われる件の女魔術師が困り顔の飛鳥に言い寄って、ショートカットの女剣士が飛鳥を称賛する。それをパーティーリーダーの女騎士が頷いて同意していた……バタンッ
『どうしたのじゃ、ご主人?』
扉を開けてすぐ閉めたため、中の様子が見えなかったクロエが小首を傾げて尋ねてきたことで、俺は我に返って思わず閉めてしまった扉を再び開けた。
「そうだ、アスカ、あたしらとパーティーを組もうぜ!」
ショートカットの女剣士がそう言い出した。
「それっ、名案ですわ!」
女魔術師が女剣士に同調する。
「……そうだな、貴女なら信頼できる。あの様な男といるよりも私達と共に来てくれないだろうか?」
リーダーの女騎士までそう言い出し、助け出した女共は遂には飛鳥の意思を無視した身勝手なことを言い始めていた。
「……謹んでお断り申し上げます」
顔は笑っているが目が笑っていない飛鳥は断固とした拒絶の言葉を発した。女共は絶句し、間ができた。
「コホンッ、飛鳥、お疲れ様。一旦この馬車を片付けるから、全員外に出てくれないか?」
きりがよかったので、俺は発言した。したのだが……。
「ええ!? 邪魔しないでよ!おじさん!!」
「そうですわ! 邪魔しないでくださいまし!」
「そうだ、おっさんからもアスカに言ってくれないか、あたしらと一緒に来るようにさ」
俺は怒るのを通り越して呆れ果てた。
「貴様の様な男はアスカには相応しくない! どんな弱みを握って彼女を『囀るな、糞餓鬼共が』っ!?」
リーダーの女騎士が俺を罵り始めたところでクロエがキレて女共を【威圧】。
続いて、パアァンッという乾いた音が女騎士の肩頬から、発した。
「……」
冷め切った目をした飛鳥が女騎士の頬を平手で打ち据えて馬車から出た。
「まさか助けたことを後悔させられるとは思わなかった。飛鳥を引き抜きたいのは分かるが、彼女の話を聴かずに勝手に付き纏ったり、引き抜きの話を進めるのは君の言う相応しい者の行いなのかい?」
激怒していたクロエは飛鳥とこの場を離れ、俺は飛鳥の行動に驚き固まっている女騎士に問いかけた。
「俺は飛鳥の意思を尊重するつもりだから、愛想を尽かされて、仮に飛鳥が他の男と一緒になるなどして別れることになっても、飛鳥が幸せになるってくれるなら、俺は寂しく思うかもしれないけれども、それでいい。だが、彼女の意思を蔑ろにしているお前達には絶対に渡すつもりはない」
返事がないので、そう言って、俺はバルガス冒険者ギルド長と入れ替わりで、クロエと飛鳥、ケイロンが待つ外に出た。
とっつぁんには女共への説教をお願いした。女共はそのままで、俺達3人が乗る別の箱馬車をケイロンに連結、その後ろに女共が乗る装甲馬車を繋いで移動することにした。
12
あなたにおすすめの小説
勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!
石のやっさん
ファンタジー
皆さまの応援のお陰でなんと【書籍化】しました。
応援本当に有難うございました。
イラストはサクミチ様で、アイシャにアリス他美少女キャラクターが絵になりましたのでそれを見るだけでも面白いかも知れません。
書籍化に伴い、旧タイトル「パーティーを追放された挙句、幼馴染も全部取られたけど「ざまぁ」なんてしない!だって俺の方が幸せ確定だからな!」
から新タイトル「勇者に全部取られたけど幸せ確定の俺は「ざまぁ」なんてしない!」にタイトルが変更になりました。
書籍化に伴いまして設定や内容が一部変わっています。
WEB版と異なった世界が楽しめるかも知れません。
この作品を愛して下さった方、長きにわたり、私を応援をし続けて下さった方...本当に感謝です。
本当にありがとうございました。
【以下あらすじ】
パーティーでお荷物扱いされていた魔法戦士のケインは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことを悟った彼は、一人さった...
ここから、彼は何をするのか? 何もしないで普通に生活するだけだ「ざまぁ」なんて必要ない、ただ生活するだけで幸せなんだ...俺にとって勇者パーティーも幼馴染も離れるだけで幸せになれるんだから...
第13回ファンタジー小説大賞奨励賞受賞作品。
何と!『現在3巻まで書籍化されています』
そして書籍も堂々完結...ケインとは何者か此処で正体が解ります。
応援、本当にありがとうございました!
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
勇者の隣に住んでいただけの村人の話。
カモミール
ファンタジー
とある村に住んでいた英雄にあこがれて勇者を目指すレオという少年がいた。
だが、勇者に選ばれたのはレオの幼馴染である少女ソフィだった。
その事実にレオは打ちのめされ、自堕落な生活を送ることになる。
だがそんなある日、勇者となったソフィが死んだという知らせが届き…?
才能のない村びとである少年が、幼馴染で、好きな人でもあった勇者の少女を救うために勇気を出す物語。
どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜
サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。
〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。
だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。
〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。
危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。
『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』
いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。
すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。
これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。
戦場帰りの俺が隠居しようとしたら、最強の美少女たちに囲まれて逃げ場がなくなった件
さん
ファンタジー
戦場で命を削り、帝国最強部隊を率いた男――ラル。
数々の激戦を生き抜き、任務を終えた彼は、
今は辺境の地に建てられた静かな屋敷で、
わずかな安寧を求めて暮らしている……はずだった。
彼のそばには、かつて命を懸けて彼を支えた、最強の少女たち。
それぞれの立場で戦い、支え、尽くしてきた――ただ、すべてはラルのために。
今では彼の屋敷に集い、仕え、そして溺愛している。
「ラルさまさえいれば、わたくしは他に何もいりませんわ!」
「ラル様…私だけを見ていてください。誰よりも、ずっとずっと……」
「ねぇラル君、その人の名前……まだ覚えてるの?」
「ラル、そんなに気にしなくていいよ!ミアがいるから大丈夫だよねっ!」
命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
僕の秘密を知った自称勇者が聖剣を寄越せと言ってきたので渡してみた
黒木メイ
ファンタジー
世界に一人しかいないと言われている『勇者』。
その『勇者』は今、ワグナー王国にいるらしい。
曖昧なのには理由があった。
『勇者』だと思わしき少年、レンが頑なに「僕は勇者じゃない」と言っているからだ。
どんなに周りが勇者だと持て囃してもレンは認めようとしない。
※小説家になろうにも随時転載中。
レンはただ、ある目的のついでに人々を助けただけだと言う。
それでも皆はレンが勇者だと思っていた。
突如日本という国から彼らが転移してくるまでは。
はたして、レンは本当に勇者ではないのか……。
ざまぁあり・友情あり・謎ありな作品です。
※小説家になろう、カクヨム、ネオページにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる