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第4章 自由連合同盟都市国家メルキオール 首都メルキオール~北方封鎖地編
第92話 話す気がないなら、話さないでもいい方法をとるだけの件
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こたつとフランクリンストーブを改良した魔石ストーブはヴァルカさんとヘファイスさんの伝手を使って、商人ギルドで設計図を登録後に技師ギルドで、生産してもらうことになった。
割と馬鹿にならないギルドの仕組みで、商人ギルドと技師ギルドを通さずに、個人で生産、販売すると全く商売にならない。
なぜなら、この世界の商売は基本、商人ギルドが仲介しているからだ。商人ギルドは品質保証も担っていて、購入者に多大な不利益を与える商品はギルド内の審査で弾かれる。商売は信用が前提だから尚更だ。
自身が商人ギルドに所属しているか、技師ギルドに非所属の特定の流通ルートを確保している商会専属の技師位でないと、商人ギルドがある地域では、どんなにいい売り物でも、物好き位しか買ってくれない。
例外はギルド支部がないオディオ王国。メルキオールでは東地区のスラムにある闇市くらいだ。あそこだと金を積めばいろいろな物を手に入れられる。
しかし、質とその入手経路に関しては保障がない。更に、買った後もすぐにその場を立ち去らないと、奪われる可能性があるなど、利用するには極めて危険な場所だ。
■
こたつとストーブを作った翌日、俺は冒険者ギルドに襲撃者達の事情聴取に立ち会うため訪れた。
いつもは誰か1人が一緒にいるのだが、今回は最悪、気分のいいものではないが、
手荒な手段を取ることもあるため、みんなには屋敷で冬支度を優先してもらった。
メルキオールの冒険者ギルドだが、職員の従者ギルドでの訓練も終わり、受付の質は格段に上がって、冒険者ギルド=ならず者達のたまり場という悪イメージを払拭し、メルキオール市民も依頼をしやすくなったと評判が上がっている。
余談だが、訓練開始前に結婚1月前だったとっつぁんの娘は指導員に再三ダメ出しを出され、現在も従者ギルドで教育中。
そして、その相手の旦那が実は薬品ギルドの回し者で、結婚詐欺師だったことが判明した。
錬金術師ギルドの情報を得ようとしてジェシカさんに接触したところで、ミーネさんにバレ、逮捕。
真相を知って鬼の形相になった偶々その場にいたとっつぁんの手によって、詐欺師は逃亡しようと大暴れしたため、治癒院になった。治療費は当然、本人の借金だ。
■
「なにか喋りましたか?」
あまり期待はできないが、俺はギルド長のバルガスのとっつぁんになにか証言が得られたか、訊いてみた。
「いや、全員頑なに口を噤みおってな。全く喋ろうとせんのだ」
とっつぁんは疲れた表情で答えた。
今日は最終手段として、錬金術師ギルドの自白剤の投与も考えられている。
なぜ昨日の内に使わなかったのか疑問だったが、とっつぁんの話によると、襲撃者の中にはメルキオールの行政府の名家の人間がいて、その家を黙らせるため、潰すのに1日かかってしまったためらしい。
潰す方法も不当な方法ではなく、これまでヘリオスさんが集めていたその家の違法な取引などの不正の証拠を一斉放出しての断罪で、合法だそうだ。
まぁ、普通に考えれば名家1つを潰すのが1日で片付くのは異常だ。
閑話休題、俺のスキルの【鑑定】は便利な単語検索ができる様になった。
ルールミナスを【鑑定】後に追加された機能で、【鑑定】対象と検索単語で関連情報が丸裸になる。
検索方法は使用者のみに表示されるウィンドウに◯ー◯ルなどの単語検索と同じ要領で入力。
通常、【鑑定】持ちのマナーとして、初対面の相手に許可なく【鑑定】スキルを使うのは基本、NG。
例外の1つは俺の様に自動発動した場合。自動発動した時と、任意発動した場合の【鑑定】結果の表示は枠の色が自動発動は赤縁であるため、一目瞭然。
【鑑定】の自動発動条件は分かっていない部分もあるが、判明している自動発動条件は、スキル保持者が対象の情報を知らなければ即死する可能性がある場合と、対象が以前【鑑定】したときと比較して、保有情報に更新があった場合だ。
【鑑定】を防ぐ方法はいくつかあり、スキルの【偽装】や【擬態】は同レベル以下の【鑑定】を欺ける。
また、術式をいじれば【結界】を張ることで、【鑑定】を阻害することが可能。ほとんど知られていないが、対象との間に結界の情報が割り込み、【結界】を破壊しない限り【鑑定】を防ぐことができる。
他に、あまり知られていないことだが、【鑑定】使用者の"魔力"と鑑定対象の"精神力"のランク差が3以上離れていると、【鑑定】に失敗して、黒塗り表示になる。
そして、今回の相手は犯罪者で、こっちを殺す気でいた敵対者だから、例外に該当。
時間の無駄が避けたいので、俺はとっつぁんに下手人共をぶち込んでいる関係者以外立ち入り禁止の地下牢獄に連れて行ってもらった。
全員をサクサク【鑑定】して、鑑定結果を【空間収納】に入れてある紙に印刷。
これまで対象が行なっていた悪事がどんどん出てくる。
ギルドカードに悪事が反映されてそうなものだが、薬品ギルド長がギルド長権限で、例外行動として処理をして、罪状にならない様にギルドカードをいじっていた記録が残っていた。
「どうやら、情状酌量の余地がある訳ではない、生粋の屑の様ですね」
適当に選んだ厳つい顔の襲撃者がこれまで働いた全ての悪事はもとより、身長体重、生い立ち、周囲に隠している女装癖、意中の同性などを俺は次々に暴露した。
この男の今回のギルド総長暗殺未遂は薬品ギルド長から、直接口頭で命じられたものだった。
本人はシラをきろうとしたので、鑑定結果にある命じられたときの場所とその状況、そして、今回の仕事の報酬についても、俺は鑑定結果を口述した。
全てを暴露された男に、俺は薬品ギルド長に関して知っていることを洗いざらい吐かないのであれば、暴露したことを全て高札にして、人目に晒すことを宣言。
厳つい顔の犯罪者は真っ白になって燃え尽きた。
仕方がないので、次なる獲物を求めて、残りの囚人に目を向けると、他の囚人連中は震え上がった。
「では、ここにいる非協力的なものには社会的にも死んでもらいましょう」
罵詈雑言が飛んできたが、俺は無視する。
「容赦ねえな、ユウ。鑑定結果の写しがあればいいんじゃねぇか?」
とっつぁんがそう言ってきたが、
「開き直って、こちらがでっち上げたと反論される余地を潰すためですよ。それに、写しと証言を照らし合わせて、大きな食い違いがあれば偽証です。問答無用で、罪状追加できます。こいつらは既に全員犯罪奴隷落ち確定で、後はどの鉱山に送られるかが、今後の捜査協力によって決まりますね」
飛鳥達を殺す気で来ていたのだから、この程度は生温いが、これ以上は俺には権限の問題でできないから、仕方ない。
さて、本日の本命、ヘリオスさん暗殺の元凶にして、彼の弟、ミーネさんの兄であるという薬品ギルド長……そう言えば、名前を聞いた覚えがないな。
まぁ、もう接点がなくなるから、必要ないかと思い、薬品ギルド長が入れられている独房に案内された。
「おお、ここだ、ここ。あの野郎も昨日捕まってから、一言も、何も喋りやがらねえから困っていたんだ」
そう、バルガスのとっつぁんがぼやいた。
鉄格子越しに、わずかだがヘリオスさんの面影を持つぼうっとしたモノがいた。
「……やられた。急いで、ヘリオスさんに連絡してきてもらってください!」
俺は【鑑定】の結果を見て、すぐにとっつぁんに言った。
「どうした!? 一体何が分かったんだ?」
俺の言葉にとっつぁんが問い返してきた。
「【偽装】による身代わりですよ。この独房にいるのは本人に似せて作り出された魔法生物。精神力に特化しているから、捕縛者の【鑑定】では施されている【偽装】を突破できなかったんですよ!」
ホムンクルスは先天的に言葉と生活常識などの知識は得ているものだが、ここにいるホムンクルスが喋れないのは脳を弄られて喋れない様にされているから当然だ。
「なにぃ!? 分かった。急いでヘリオスさんに連絡する。おい、ギルド総長へ緊急連絡だ! 急げ!!」
「畏まりました」
とっつぁんが傍に控えていた従者ギルドから派遣してもらっている秘書に指示を
出した。
やれやれ、面倒なことになったなと俺がため息を吐いたら、グシャっという音と共に薬品ギルド長の身代わりの魔法生物が崩れ落ちた。
俺は作り慣れた魔力球を魔法生物に投与した。
「ユウ、何をやっているんだ?」
とっつぁんが問いかけてきた。
「延命措置です。個体の寿命はちゃんとした処理を行えば、後10年以上は生き続けることが可能です。しかし、犯人はそれをしなかった様なので、応急処置です。その間に得られる情報を全て吸い出します」
【鑑定】は死骸にも有効ではあるが、生前の方が得られる情報量は遥かに多い。
しかも、身代わりという明確な目的で意図的に本人に似せられたホムンクルス。
この世界のホムンクルスの製造法はなんであれ、必ずヒトの遺伝子情報が必須。
そして、その中にはホムンクルスの意識とは別の遺伝子提供者のそのとき考えていた思念が残留している。
俺はそれを【鑑定】で読み取る。
割と馬鹿にならないギルドの仕組みで、商人ギルドと技師ギルドを通さずに、個人で生産、販売すると全く商売にならない。
なぜなら、この世界の商売は基本、商人ギルドが仲介しているからだ。商人ギルドは品質保証も担っていて、購入者に多大な不利益を与える商品はギルド内の審査で弾かれる。商売は信用が前提だから尚更だ。
自身が商人ギルドに所属しているか、技師ギルドに非所属の特定の流通ルートを確保している商会専属の技師位でないと、商人ギルドがある地域では、どんなにいい売り物でも、物好き位しか買ってくれない。
例外はギルド支部がないオディオ王国。メルキオールでは東地区のスラムにある闇市くらいだ。あそこだと金を積めばいろいろな物を手に入れられる。
しかし、質とその入手経路に関しては保障がない。更に、買った後もすぐにその場を立ち去らないと、奪われる可能性があるなど、利用するには極めて危険な場所だ。
■
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いつもは誰か1人が一緒にいるのだが、今回は最悪、気分のいいものではないが、
手荒な手段を取ることもあるため、みんなには屋敷で冬支度を優先してもらった。
メルキオールの冒険者ギルドだが、職員の従者ギルドでの訓練も終わり、受付の質は格段に上がって、冒険者ギルド=ならず者達のたまり場という悪イメージを払拭し、メルキオール市民も依頼をしやすくなったと評判が上がっている。
余談だが、訓練開始前に結婚1月前だったとっつぁんの娘は指導員に再三ダメ出しを出され、現在も従者ギルドで教育中。
そして、その相手の旦那が実は薬品ギルドの回し者で、結婚詐欺師だったことが判明した。
錬金術師ギルドの情報を得ようとしてジェシカさんに接触したところで、ミーネさんにバレ、逮捕。
真相を知って鬼の形相になった偶々その場にいたとっつぁんの手によって、詐欺師は逃亡しようと大暴れしたため、治癒院になった。治療費は当然、本人の借金だ。
■
「なにか喋りましたか?」
あまり期待はできないが、俺はギルド長のバルガスのとっつぁんになにか証言が得られたか、訊いてみた。
「いや、全員頑なに口を噤みおってな。全く喋ろうとせんのだ」
とっつぁんは疲れた表情で答えた。
今日は最終手段として、錬金術師ギルドの自白剤の投与も考えられている。
なぜ昨日の内に使わなかったのか疑問だったが、とっつぁんの話によると、襲撃者の中にはメルキオールの行政府の名家の人間がいて、その家を黙らせるため、潰すのに1日かかってしまったためらしい。
潰す方法も不当な方法ではなく、これまでヘリオスさんが集めていたその家の違法な取引などの不正の証拠を一斉放出しての断罪で、合法だそうだ。
まぁ、普通に考えれば名家1つを潰すのが1日で片付くのは異常だ。
閑話休題、俺のスキルの【鑑定】は便利な単語検索ができる様になった。
ルールミナスを【鑑定】後に追加された機能で、【鑑定】対象と検索単語で関連情報が丸裸になる。
検索方法は使用者のみに表示されるウィンドウに◯ー◯ルなどの単語検索と同じ要領で入力。
通常、【鑑定】持ちのマナーとして、初対面の相手に許可なく【鑑定】スキルを使うのは基本、NG。
例外の1つは俺の様に自動発動した場合。自動発動した時と、任意発動した場合の【鑑定】結果の表示は枠の色が自動発動は赤縁であるため、一目瞭然。
【鑑定】の自動発動条件は分かっていない部分もあるが、判明している自動発動条件は、スキル保持者が対象の情報を知らなければ即死する可能性がある場合と、対象が以前【鑑定】したときと比較して、保有情報に更新があった場合だ。
【鑑定】を防ぐ方法はいくつかあり、スキルの【偽装】や【擬態】は同レベル以下の【鑑定】を欺ける。
また、術式をいじれば【結界】を張ることで、【鑑定】を阻害することが可能。ほとんど知られていないが、対象との間に結界の情報が割り込み、【結界】を破壊しない限り【鑑定】を防ぐことができる。
他に、あまり知られていないことだが、【鑑定】使用者の"魔力"と鑑定対象の"精神力"のランク差が3以上離れていると、【鑑定】に失敗して、黒塗り表示になる。
そして、今回の相手は犯罪者で、こっちを殺す気でいた敵対者だから、例外に該当。
時間の無駄が避けたいので、俺はとっつぁんに下手人共をぶち込んでいる関係者以外立ち入り禁止の地下牢獄に連れて行ってもらった。
全員をサクサク【鑑定】して、鑑定結果を【空間収納】に入れてある紙に印刷。
これまで対象が行なっていた悪事がどんどん出てくる。
ギルドカードに悪事が反映されてそうなものだが、薬品ギルド長がギルド長権限で、例外行動として処理をして、罪状にならない様にギルドカードをいじっていた記録が残っていた。
「どうやら、情状酌量の余地がある訳ではない、生粋の屑の様ですね」
適当に選んだ厳つい顔の襲撃者がこれまで働いた全ての悪事はもとより、身長体重、生い立ち、周囲に隠している女装癖、意中の同性などを俺は次々に暴露した。
この男の今回のギルド総長暗殺未遂は薬品ギルド長から、直接口頭で命じられたものだった。
本人はシラをきろうとしたので、鑑定結果にある命じられたときの場所とその状況、そして、今回の仕事の報酬についても、俺は鑑定結果を口述した。
全てを暴露された男に、俺は薬品ギルド長に関して知っていることを洗いざらい吐かないのであれば、暴露したことを全て高札にして、人目に晒すことを宣言。
厳つい顔の犯罪者は真っ白になって燃え尽きた。
仕方がないので、次なる獲物を求めて、残りの囚人に目を向けると、他の囚人連中は震え上がった。
「では、ここにいる非協力的なものには社会的にも死んでもらいましょう」
罵詈雑言が飛んできたが、俺は無視する。
「容赦ねえな、ユウ。鑑定結果の写しがあればいいんじゃねぇか?」
とっつぁんがそう言ってきたが、
「開き直って、こちらがでっち上げたと反論される余地を潰すためですよ。それに、写しと証言を照らし合わせて、大きな食い違いがあれば偽証です。問答無用で、罪状追加できます。こいつらは既に全員犯罪奴隷落ち確定で、後はどの鉱山に送られるかが、今後の捜査協力によって決まりますね」
飛鳥達を殺す気で来ていたのだから、この程度は生温いが、これ以上は俺には権限の問題でできないから、仕方ない。
さて、本日の本命、ヘリオスさん暗殺の元凶にして、彼の弟、ミーネさんの兄であるという薬品ギルド長……そう言えば、名前を聞いた覚えがないな。
まぁ、もう接点がなくなるから、必要ないかと思い、薬品ギルド長が入れられている独房に案内された。
「おお、ここだ、ここ。あの野郎も昨日捕まってから、一言も、何も喋りやがらねえから困っていたんだ」
そう、バルガスのとっつぁんがぼやいた。
鉄格子越しに、わずかだがヘリオスさんの面影を持つぼうっとしたモノがいた。
「……やられた。急いで、ヘリオスさんに連絡してきてもらってください!」
俺は【鑑定】の結果を見て、すぐにとっつぁんに言った。
「どうした!? 一体何が分かったんだ?」
俺の言葉にとっつぁんが問い返してきた。
「【偽装】による身代わりですよ。この独房にいるのは本人に似せて作り出された魔法生物。精神力に特化しているから、捕縛者の【鑑定】では施されている【偽装】を突破できなかったんですよ!」
ホムンクルスは先天的に言葉と生活常識などの知識は得ているものだが、ここにいるホムンクルスが喋れないのは脳を弄られて喋れない様にされているから当然だ。
「なにぃ!? 分かった。急いでヘリオスさんに連絡する。おい、ギルド総長へ緊急連絡だ! 急げ!!」
「畏まりました」
とっつぁんが傍に控えていた従者ギルドから派遣してもらっている秘書に指示を
出した。
やれやれ、面倒なことになったなと俺がため息を吐いたら、グシャっという音と共に薬品ギルド長の身代わりの魔法生物が崩れ落ちた。
俺は作り慣れた魔力球を魔法生物に投与した。
「ユウ、何をやっているんだ?」
とっつぁんが問いかけてきた。
「延命措置です。個体の寿命はちゃんとした処理を行えば、後10年以上は生き続けることが可能です。しかし、犯人はそれをしなかった様なので、応急処置です。その間に得られる情報を全て吸い出します」
【鑑定】は死骸にも有効ではあるが、生前の方が得られる情報量は遥かに多い。
しかも、身代わりという明確な目的で意図的に本人に似せられたホムンクルス。
この世界のホムンクルスの製造法はなんであれ、必ずヒトの遺伝子情報が必須。
そして、その中にはホムンクルスの意識とは別の遺伝子提供者のそのとき考えていた思念が残留している。
俺はそれを【鑑定】で読み取る。
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