最強の竜種の中でも最弱の緑竜に転生したけど努力と根性で最終進化!いろいろあって朋友の墓守して幾星霜、久しぶりにまったり冒険者生活満喫したい。

剣伎 竜星

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第30話 翡翠竜は犯人を追い詰める

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「……塩漬けになっていた下水処理場の依頼の達成、感謝する」

執務室で待っていた神妙な表情で、冒険者ギルドマスターは言葉少なく、俺に頭を下げてきた。

「出てきた魔物はほとんど受注可能とされていた低ランクの冒険者では対応が難しい。いや、対策がないと不可能な魔物もいた。死霊デススピリットに至っては対応策がないと、高ランクの冒険者でも餌食にされる相手なのをギルド側は認識していなかったのか? 現に犠牲者が2桁超えた数が出ている。この依頼に対するギルドの対応はありえない程、酷い」

「……っ」

この場にいる冒険者ギルドマスターと彼をいつも補佐している女性職員の2人は、目を閉じ、その責任感からか、沈痛な表情で唇を噛んで俺の言葉に耐え、項垂れていた。

「……もっとも、貴方あなた達、2人だけでなく、下水道に生息していた魔物の犠牲者となった冒険者達、その一部のアーク侯爵領所属の冒険者達も、あのアーク侯爵家の策謀に嵌められた様だが……」

「「ッ!?」」

俺の目の前で項垂れていた2人は両目を見開いて驚愕した声をあげた。

なぜそんなことを俺が知っているのかというと、当然犠牲となった冒険者達の遺品を【解析】したからだ。嵌られた冒険者の内、初めの犠牲者となるパーティーの出身地と所属は全員がアーク侯爵領で一致していた。

彼等は自分達が犯罪の片棒を担がされて、魔物を運ばされているとも知らずに、真面目に・・・・依頼をこなすため、カーン辺境伯領の冒険者ギルドに潜伏している内通者の手引きで魔物を運びこみ、口封じとして、下水処理場あそこで殺されたことが【解析】結果で分かった。

「おい、なにを根拠にそんなことを言っているんだ? いくらあの貴族家がクローディア様を狙っているからといって、大貴族相手にそんな…」

冒険者ギルドマスターが一般論をかざして、俺に反論してきたのだが、

「証拠を揃えずに言うはずがないだろう? この魔石を核としていた死肉喰いスカベンジャースライムはアーク侯爵領で生産・・された魔物だった。これがその証拠の【解析】結果を印刷したものだ。なんだったら、この魔石をどこで作られたか他の【鑑定】スキル持ちに【鑑定】させればいい。それに、奴等が今までどれだけ幸せだった犠牲者ヒト達をその下卑た欲望の捌け口にしてきたかを知らない訳ではないだろう?」

「……」

俺が出した【解析】結果を【印刷プリントアウト】で書き出した書類と返答に、冒険者ギルドマスターは押し黙った。ほぼ同時に、この件の犯人が罠にかかった反応が出た。

「それから、下水道の脇道の扉の鍵がこの通り、経年劣化で壊れたから、新しいこの鍵で扉を施錠してきた。報告は以上だ。アーク侯爵領の下種が網にかかった様だから、失礼する」

俺はそう告げ、壊れた錠前と預かっていた壊れた錠前の鍵、新しく作った鍵を提出して退室しようとしたのだが、

「……待て、俺も連れて行ってくれ」

なにがこれから起こるのかを察したらしい冒険者ギルドマスターから、予想外の要請を俺はされた。

「はぁっ、本来であれば、ギルドマスターがこの件の処理をして、私が代理で現場に赴かなければならない所ですが、この件の処理は私の方で適切に処理しておきます。ですから、マスター、私の分も・・・・お願いします」

「ああ、任せておけ」

嘆息した女性職員の言葉に冒険者ギルドマスターは泣く子が更に大泣きするのが火を見るよりも明らかな悪役が浮かべる壮絶な笑みを浮かべて、彼女に応えた。

「連れていくのは構わないが条件をつけさせてもらう。これから対峙する相手が誰だったとしても、その相手の肩をもたないことだ。もし、それを破ったら、俺は俺達の敵・・・・として排除するから、忘れないでくれ」

「……わかった」

俺は冒険者ギルドマスターの承諾の返事の言葉を聞き、現在地である冒険者ギルドのギルドマスターの執務室から、ド阿呆がかかった罠のある目的地へ【転移】した。

※※※

「なぜだ? なぜ開かない!?」

激しく動揺した冒険者ギルドの職員の制服を纏った一見すると、貴族家に仕える執事に見える初老の男が扉を開けようと、錠前の鍵穴に刺した鍵を何度も回そうとする。しかし、肝心の鍵は微動しない。

その錠前自体は壊れた前のものと外見は全く同じにしてある。どうやら、動揺している影響で、無断で作った合鍵・・・・・・・・では開かないという考えに至っていない様だ。

現場の下水の入口に到着した俺と冒険者ギルドのギルドマスターは俺の【隠匿ハイド】で透明化しているので、第三者からは音や触感で認識されない限り、見つかることはない。

「あいつが犯人で間違いないんだな?」

「ああ、奴が下水に放ったスライムと犠牲者が変貌した死霊を見守るために置いていた使い魔を潰したから、その状況確認と使い魔の再設置のために動いたみたいだ。俺は領都を明日出発するため、明日は朝早いから、さっさと奴を制圧して、奴を豚箱に叩きこむぞ」

自害されると面倒なので、普段は使わない、頭部に装着するタイプの自害防止魔導具も用意している。西遊記の孫悟空がお釈迦様に頭に嵌められた――正式名称は忘れた――あの頭輪を参考に、自害しようと脳が・・動いたのを感知して、装着者のあらゆる・・・・行動を妨害して自害を防ぐ代物だ。

「それを奴の頭に嵌めるんだな?」

「ああ」

俺が取り出した魔導具を一瞥して、ギルドマスターは即断した。

「わかった。注意は俺が引くから、やってくれ」

冒険者ギルドマスターは手短にそう告げると鍵が開かずに悪戦苦闘する犯人に近づいて行った。別にわざわざ陽動をしなくとも、このまま奴に装着させることも俺はできるのだが、俺は頷いて応えた。

余談だが、【隠匿】は施術者が同じだと、通常と変わらずにお互いを認識できる。施術者が異なる場合は使われた【隠匿】のスキルレベル以上の【鑑定】系スキルでなければ見破れない。

「なぜここにいるんだ、セバス? ここはお前の管轄ではないだろう?」

「ッ!? これはバーザック……様。いえ、この下水道の確認をしようと思いまして……」

そういえば、冒険者ギルドカードにギルドマスターの名前、バーザックと書いてあったな。犯人の正式名称はセバスチェン。執事の名前の定番をギリギリ外している。

「下水処理設備含めて異常がないと、なぜか・・・塩漬けになっていたここの依頼をこなした冒険者から詳細な・・・報告書が提出されているから、お前の調査は不要だ」

一応、俺達は【消臭】と【浄化】、【滅菌】の3つでこの場所も清掃したのだが、場所が場所だけに、依頼で訪れたときよりはまだマシではあるけれども、悪臭も再び漂い、もう清掃前と同じ有様になっている。

ちなみに、領都中の家屋から出た排泄汚物が処理装置まで流れて通る場所であることから、悪臭云々に関しては元に戻っているため、前述した3つの魔術もしくは同機能をもった魔導具がないと辛い場所に変わりはない。それを考えると、このセバスはなかなか根性があるのか? それとも【消臭】に類する魔導具を持っているのだろうか。

下水処理場の設備は魔導具だから、魔力源の魔石の定期点検は欠かせない。領主であるテオドール達のためにも3機能付き魔導具をここの冒険者ギルドマスターのバーザックに貸しとして、提供するか。はてさて。

「し、しかし……」

「くどい! それに、ここの合鍵を作る許可を俺は出していないのに、なんでお前はその手に持っている? ああ、それから、さっき言った報告書の中には、入領が確認されていない・・・・・・アーク侯爵領の冒険者ギルド所属の冒険者パーティーの遺品が発見された。その中にあった冒険者ギルドの依頼票の中に、なんでお前の名前がアーク侯爵と連名で・・・依頼人欄に記載されていたんだ?」

遺品の中にあった冒険者ギルドの依頼票。その依頼票に書かれていた依頼内容はアーク侯爵領からカーン辺境伯領の下水処理施設へ設備の資材の運び入れとなっていた。

「ッ! そ、それは……ぐっ!? なっ、なんだ、これは!!?」

バーザックの作ってくれた絶好のチャンスを活かして、激しく動揺しているセバスチェンに俺は背後から忍び寄り、その頭に自害防止用魔導具を嵌めた。

嵌めた際に【隠匿】が解けたので、勢いよく後ろを振り向いてきたセバスチェンの視界に入らない方向へ俺はバックステップしつつ、再び【隠匿】を発動した。危なげなく、俺はセバスチェンに視認されず、再度【隠匿】は成功した。

セバスチェンの頭に、俺が着けた頭輪は着用者の頭蓋骨に絶妙な圧迫感を与えて、フィットする様に自動伸縮する様に設計している。

あっ、外す際は着けた者が外すか、装着者が魔導具で防げない原因で、死亡しない限り、外せない仕様にしてあるから、これを外すのは実質、俺以外にはできない。

「バッ、バーザック、これを外してくれ! 「外す訳ねぇだろうが! この裏切り者がぁ!!」グハァッ」

 「てめえの所為で、新人が、何人、死んだ? ああっ!? 」

冒険者ギルドマスター、バーザックは怒りの業火に燃える両目で、企みの犠牲になった冒険者達の無念を思って、号泣しながら、激しく動揺して失言してしまったセバスチェンの顔面をボコボコにし始めた。俺がセバスチェンに手を下す余地が全くないのだけれども……まぁ、いいか。

しばらく、バーザック無双を静観していたけれども、このままではセバスチェンが有用な情報を吐く前に、撲殺されかねなくなってきたので、俺はバーザックに精神を落ち着かせる【鎮静カーム】をかけ、セバスチェンにはとりあえず、命に別状がないレベルの申し訳程度の【回復ヒール】をかけた。

また、緊急連絡でテオドールに領城の監視付き独房を用意してもらい、落ち着いたバーザックを伴って、顔が完全に変形しているセバスチェンを引きずる形で、俺は領城へ【転移】した。

そして、事情を説明して、無様に気絶しているセバスチェンを笑顔を浮かべているけれども、目は全く笑っていないテオドール達に引き渡した。用意された独房は、外部からの接触は不可能な上、俺が大昔に開発、設置した現役魔導具で、自害は不可能。あとは、テオドール達の仕事だ。

明朝、冒険者ギルドマスターのバーザックと彼を補佐している女性職員を加えて、マリアを除いた伯爵家の主要メンバーが集結して、セバスチェンに拷問オハナシが決定。テオドールは言うに及ばず、クローディアの怒りも激しく、その場の体感温度は真冬並みに冷え切ってクローディア以外は寒さに震えていたそうだ。

セバスチェンはアーク侯爵家の悪行の生き証人として、自害防止処理・・をされて監視付きの独房に投獄。セバスチェンはシヴァ帝国の帝都に護送され、公開処刑される未来が決まった。
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