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第1話 放課後の異世界クエスト
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春。
ここ異世界の聖英国クイーンズにも桜の花びらが舞い落ちる。
鐘の音が鳴る15時頃、レギナという町の外れにある教会の子供たちがソワソワしていた。おやつの時間でもあるが、それよりもお楽しみをまだかまだかと待っていた。
星覇魔法学園という日本の魔法生が遠路遥々異世界からクエストをしにやってくる。
だから、子供たちはいつも15時が楽しみで仕方ならなかった。
「ごめんくださーい」
少年の声が聞こえた。
やっと来たっ!!誰かがそう言って、子供たちは元気よく教会の外へと飛び出し少年を出迎えに行った。
ワクワクが止まらない。ドキドキが加速する。
自分たちがクエストをするわけじゃないけど、あの星覇の魔法生だ。子供たちにとっての英雄のような存在がやってきてくれたことに興奮しないわけがなかった。
「おっせーよ、アマイー!2分遅刻だぞー!!」
「アマイー、ちこくするオトコのコはモテないんだぞ~」
「よっしゃー!みんなでアマイに突撃だー!!」
「「「おぉおお~~~~!!!」」」
「ぐえっ!?」
こんな感じでいつも少年がやって来たら突撃して出迎えてあげるのだ。
突撃して倒して馬乗りになったりダイブしたり揉みくちゃにするのが子供たちの挨拶である。10数人のパワフルな子供たちに少年はなすがまま、これからクエストするのに大丈夫かなーと心配するレベルで体力を削られていく。
少年・雨衣マキナは子供たちに大人気であった。
「ちょ、ちょっと待って、今誰かボクのズボンの中に何か入れたでしょ!?」
「あはははっ、カエルなんて入れてないよーだ」
「い、入れたんだねっ!?」
などと、悶える雨衣を見て子供たちは笑っていたり。
「アマイー、今日はサッカーしようぜー」
「バーカ、今日はドッチボールだって言ってたじゃーん」
「ちがうよ、今日はカレイなるおママごとするってヤクソクしてたでしょー」
などと、遊ぼーよと雨衣の腕を引っ張ったり制服が伸びたり、やりたい放題であった。
「オマエたちはいつも元気ですね、まったく」
「おっ、エルの姉ちゃんオーッス!」
「はいはいオッスです。みんな、お土産があるんで今日は雨衣を放っておいてコレで遊んでみませんか?」
「「「え~、おみやげがあるの~~~!?」」」
子供たちはお土産というワードに反応し雨衣を置き去りにして、少し遠巻きから声をかけてきた少女の方へわらわらと集っていく。
子供たちから開放からされた雨衣は流石はエル、と子供たちの扱い方に感心しては起き上がる。地べたに転がっていたものだから、制服についた汚れを払い、ズボンの中に入れられたカエルみたいな生き物を取り出して野に帰してあげた。よく潰されなかったものだ。
エルという少女、フードを被った雨衣の相棒は懐からお土産を取り出して子供たちに渡した。
「エル姉ちゃん、これは何ー?」
「折紙っていう日本伝統の遊びですよ。一枚貸してください。こうやって紙を折って折ってすれば、ほら紙ヒコーキの完成です」
「「「ス、スッゲ~~~~!?」」」
「どんな魔法使ったの~?」
「魔法は使ってねーですよ。これはオマエたちにもできる遊びです」
エルは雨衣に紙飛行機を手を渡した。オマエが投げろと言わんばかりの顎をしゃくる。
雨衣は紙飛行機を構えて空に投げた。
子供たちは初めて見るソレをキラキラとした目で追いかける。
今日一番の大歓声が湧き上がった。
ただ紙飛行機を投げただけなのに、それで子供たちが喜んでくれたのだがらこっちまで嬉しくなる。きっと驚くだろうとは予想できた。だから雨衣はさらにもうワンランク上のサプライズを、紙飛行機に仕掛けを施していた。
例えば、魔法を使ったとしよう。
紙飛行機はどこまでも空高く、遠くまで飛んで・・・制御できずに・・・見失った。
「雨衣、オマエ何か魔法使いました?」
「あ、うん。ごめんっ」
「あちゃー、紙ヒコーキどっか行っちゃったじゃーん」
「アマイー、何してんだよー」
「「「ブーブー」」」
「はぁ、仕方ありません。オマエたち、雨衣に紙ヒコーキの折り方でも教えてもらうといいです」
「「「はーい」」」
そう言って、雨衣はまた揉みくちゃにされた。
紙ヒコーキの折り方教えて→お手本見てもわかんねーよ→責任持ってオレたちの全員の分まで折ってくれーと揉みくちゃにされるパターンだ。
結局、雨衣が子供たち全員の分まで紙飛行機を折ってあげたワケだけども、
その光景を遠巻きに眺めていたエル。フードを被っていて表情は見づらいが、僅かにほくそ笑んでいるレアな顔がそこにあるが誰も気付いていない。
そんな彼女の元へ教会のシスター・ノエルがやってきた。
「星覇様。いつもありがとうございます」
「別にお礼は結構です。それよりもクエストの話をしましょう。雨衣が駄々をこねる前にです。それで、今日の依頼は何です?」
「ふふっ、そうですね。今日の依頼は––––––––––」
10年前のあの日から・・・
聖英国クイーンズは星覇魔法学園と手を結んだ。
魔法騎士団の数が少ないから。
冒険者の数が少ないから。
だから、星覇にクエストを依頼するのであった。
「薬草の採取をお願いしますね、エル様」
「おーおー、E級の中でも雨衣が泣いて喜びそうな依頼ですね」
「ふふっ、だと思います」
お茶目にウインクをするシスター・ノエル。
薬草採取と言ってもE級の中じゃ下手したら最難関のクエストではないだろうか。理由は嫌でもすぐにわかる。
さあ、今日も放課後クエストを開始する。
ここ異世界の聖英国クイーンズにも桜の花びらが舞い落ちる。
鐘の音が鳴る15時頃、レギナという町の外れにある教会の子供たちがソワソワしていた。おやつの時間でもあるが、それよりもお楽しみをまだかまだかと待っていた。
星覇魔法学園という日本の魔法生が遠路遥々異世界からクエストをしにやってくる。
だから、子供たちはいつも15時が楽しみで仕方ならなかった。
「ごめんくださーい」
少年の声が聞こえた。
やっと来たっ!!誰かがそう言って、子供たちは元気よく教会の外へと飛び出し少年を出迎えに行った。
ワクワクが止まらない。ドキドキが加速する。
自分たちがクエストをするわけじゃないけど、あの星覇の魔法生だ。子供たちにとっての英雄のような存在がやってきてくれたことに興奮しないわけがなかった。
「おっせーよ、アマイー!2分遅刻だぞー!!」
「アマイー、ちこくするオトコのコはモテないんだぞ~」
「よっしゃー!みんなでアマイに突撃だー!!」
「「「おぉおお~~~~!!!」」」
「ぐえっ!?」
こんな感じでいつも少年がやって来たら突撃して出迎えてあげるのだ。
突撃して倒して馬乗りになったりダイブしたり揉みくちゃにするのが子供たちの挨拶である。10数人のパワフルな子供たちに少年はなすがまま、これからクエストするのに大丈夫かなーと心配するレベルで体力を削られていく。
少年・雨衣マキナは子供たちに大人気であった。
「ちょ、ちょっと待って、今誰かボクのズボンの中に何か入れたでしょ!?」
「あはははっ、カエルなんて入れてないよーだ」
「い、入れたんだねっ!?」
などと、悶える雨衣を見て子供たちは笑っていたり。
「アマイー、今日はサッカーしようぜー」
「バーカ、今日はドッチボールだって言ってたじゃーん」
「ちがうよ、今日はカレイなるおママごとするってヤクソクしてたでしょー」
などと、遊ぼーよと雨衣の腕を引っ張ったり制服が伸びたり、やりたい放題であった。
「オマエたちはいつも元気ですね、まったく」
「おっ、エルの姉ちゃんオーッス!」
「はいはいオッスです。みんな、お土産があるんで今日は雨衣を放っておいてコレで遊んでみませんか?」
「「「え~、おみやげがあるの~~~!?」」」
子供たちはお土産というワードに反応し雨衣を置き去りにして、少し遠巻きから声をかけてきた少女の方へわらわらと集っていく。
子供たちから開放からされた雨衣は流石はエル、と子供たちの扱い方に感心しては起き上がる。地べたに転がっていたものだから、制服についた汚れを払い、ズボンの中に入れられたカエルみたいな生き物を取り出して野に帰してあげた。よく潰されなかったものだ。
エルという少女、フードを被った雨衣の相棒は懐からお土産を取り出して子供たちに渡した。
「エル姉ちゃん、これは何ー?」
「折紙っていう日本伝統の遊びですよ。一枚貸してください。こうやって紙を折って折ってすれば、ほら紙ヒコーキの完成です」
「「「ス、スッゲ~~~~!?」」」
「どんな魔法使ったの~?」
「魔法は使ってねーですよ。これはオマエたちにもできる遊びです」
エルは雨衣に紙飛行機を手を渡した。オマエが投げろと言わんばかりの顎をしゃくる。
雨衣は紙飛行機を構えて空に投げた。
子供たちは初めて見るソレをキラキラとした目で追いかける。
今日一番の大歓声が湧き上がった。
ただ紙飛行機を投げただけなのに、それで子供たちが喜んでくれたのだがらこっちまで嬉しくなる。きっと驚くだろうとは予想できた。だから雨衣はさらにもうワンランク上のサプライズを、紙飛行機に仕掛けを施していた。
例えば、魔法を使ったとしよう。
紙飛行機はどこまでも空高く、遠くまで飛んで・・・制御できずに・・・見失った。
「雨衣、オマエ何か魔法使いました?」
「あ、うん。ごめんっ」
「あちゃー、紙ヒコーキどっか行っちゃったじゃーん」
「アマイー、何してんだよー」
「「「ブーブー」」」
「はぁ、仕方ありません。オマエたち、雨衣に紙ヒコーキの折り方でも教えてもらうといいです」
「「「はーい」」」
そう言って、雨衣はまた揉みくちゃにされた。
紙ヒコーキの折り方教えて→お手本見てもわかんねーよ→責任持ってオレたちの全員の分まで折ってくれーと揉みくちゃにされるパターンだ。
結局、雨衣が子供たち全員の分まで紙飛行機を折ってあげたワケだけども、
その光景を遠巻きに眺めていたエル。フードを被っていて表情は見づらいが、僅かにほくそ笑んでいるレアな顔がそこにあるが誰も気付いていない。
そんな彼女の元へ教会のシスター・ノエルがやってきた。
「星覇様。いつもありがとうございます」
「別にお礼は結構です。それよりもクエストの話をしましょう。雨衣が駄々をこねる前にです。それで、今日の依頼は何です?」
「ふふっ、そうですね。今日の依頼は––––––––––」
10年前のあの日から・・・
聖英国クイーンズは星覇魔法学園と手を結んだ。
魔法騎士団の数が少ないから。
冒険者の数が少ないから。
だから、星覇にクエストを依頼するのであった。
「薬草の採取をお願いしますね、エル様」
「おーおー、E級の中でも雨衣が泣いて喜びそうな依頼ですね」
「ふふっ、だと思います」
お茶目にウインクをするシスター・ノエル。
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さあ、今日も放課後クエストを開始する。
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