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妻の幼馴染が欲しすぎます

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ダメだと知っていた。当たり前のようにダメなことに及んだ。
僕は許されないんだろう。それでもよいとさえ思ってしまった。
「あんっ!はぁ、はぁ……んぅ」
僕は彼女の胸に手を伸ばしていた。柔らかなモノに興奮する。
こんなことをしてはいけないのに、気持ちが止まらない。
彼女は抵抗しなかった。受け入れてくれたのだと思った。
「あ、あのね……キスしたい……」
「う、うん…」
唇を重ねる。
揉むと彼女がビクンと震えた。感じているようだった。
「ああっ!?やぁ……そこは……」
「ごめん、でも……」
「いいよ……好きなだけして……」
彼女の下半身を装うものに手を伸ばした。指を這わせる。
「んっ……そこぉ……」
「ここ?」
「そう……もっと……」
「…………」
僕は彼女に言われるままに続けた。
「あぁっ…あぁぁっ!はぁんっ!ひゃんっ!ああぁ~!!」
彼女は声を抑えないでくれた。それが嬉しかった。
「ねえ、好きって言ってくれないかな?あたしのことどう思ってるのか知りたいな」
「好きだよ」
「ほんとうに?」
「愛してる」
「ふふっ、ずる~」
この愛が純粋なものであったらいいのに。
この人は僕の妻ではない。妻の幼馴染の友達だ。だけど僕は彼女を求めた。自分の欲望をぶつけてしまった。
「はぁはぁ……」
「大丈夫?」
「うん、平気だよ」
息を整えた後も抱き合っていた。
ずっとこのままでいられたらいいのに……。
「ねえ、もう圭織と別れて、私と結婚しようよ。」
「そうしたいよ。」
「じゃあ……」
「でも無理なんだ。そんなことできない。」
「どうして?」
「とても勇気が無くてさ。」
「そっか……」
彼女は少し悲しげな顔をした。
「そうだよね。私だって圭織が許してくれるかわからないもん。」
「うん。だからこのままの関係でいた方がいいと思うんだ。」
「わかった。」
僕らはまたキスをした。今度はディープに。
「…んんっ…」
彼女の口の中はとても熱かった。
「ぷはぁっ!」
ドキドキする。
「ねぇ、もう一回しようよ……」
「うん」
再び、始まる。
「はぁはぁ……」
「あぁ、美しいね…」
「はぁ…あぁっ!んぁっ!くぅぅぅぅぅ~!!あぁぁぁっ!!」
激しく動くと彼女は声を上げた。
「あんっ!ああっ!ああっ!だめぇ!」
最高の夜だった。
決して地位の高くない職場の夜勤と妻に噓をつくのも、もう何度目だろうか。その日は、いつも通り仕事を終えて家に帰るところだった。
妻から連絡が来た。それは、僕が青ざめるような内容だった。
『今日は早く帰ってきてください。大事な話をしたいです』
それだけ書かれていた。
何か嫌な予感がしていた。僕は急いで帰ることにした。
家のドアを開けると、妻は玄関にいた。
「おかえりなさい」
「ただいま」
「お風呂にする?ご飯にする?それとも……」
「うん…」
「離婚届でも書く?」
バレたか。
「なんでわかった?」
「わかるわよ。貴方の考えることなんて」
僕は焦った。
「お願いだ!別れたくない!」
必死に懇願した。だが、無駄だったようだ。
「もう遅いのよ。私たちの関係はあなたが壊したの」
「頼む!あの子とは別れるから!」
「よりにもよって私の幼馴染。友情も、家庭も崩壊させるとか二人とも頭おかしいんじゃない?」
理性的な言葉だが、目が怖かった。
「まあいいわ。とりあえず、そこに座りなさい。」
リビングにはテーブルがあり、そこには離婚届けが置かれていた。
「今すぐ書いて。」
彼女は、僕の方を見てにらんでいた。
「……離婚したいの?」
「誰が望んで離婚したいのよ!だいたい、あんたが浮気するからでしょ⁉」
怒り狂っていた。
「わかった。書くよ」
そう言うしかなかった。書き始める。手が震えていた。
「……」
「……」
沈黙が続く。
「これでいいかい?」
「ねぇ、なんで浮気したの?」
欲しかったからだ。妻と結婚して少し経ったある日、初めてあの人を見た。妻は笑顔で彼女を紹介してくれた。私の幼馴染だよ、って。
でも、僕にとってはそんなことは些細なことだった。彼女の全てが急激に欲しくなった。なまめかしい脚線美に心を奪われた。輝かしい笑顔に視線は吸い込まれた。それだけではない。彼女のすべてを知りたかった。そして、手に入れた。
「自分自身の欲望に、勝てなかったから。」
「そう。」
「ごめん。」
「謝って済む問題じゃないよ」
彼女は泣きながら言った。
「もう、終わりにしましょう」
「待ってくれ!」
「さよなら」
「嫌だ!」
「いい加減にして!」
「……」
「出て行って!あの子はただの幼馴染じゃない!親友だった。なのに…なのに…!」
彼女は泣いていた。
「本当に申し訳ないと思ってる。」
僕は荷物をまとめて家を出ようとした。すると彼女が引き留めた。
「ちょっと待ちなさい。」
「……」
「最後にひとつだけ言いたいことがあるの」
「……」
「私は、あなたのことが好きだったよ」
「え?」
「でも、もう終わったの」
「……」
「さようなら」
「……」
何も言えなかった。
「さようなら」
彼女は部屋に戻っていった。
僕は静かに、家を出た。
「うふふっ…あの子も気の毒ね。」
家の前には、僕の浮気相手がいた。
「そんなこと言うなよ…」
「だって可哀想だもんw」
「だからといって、傷つける必要は無いだろう?」
「あるわ。だってあたしは……」
彼女は微笑みを浮かべた。
「あの子が傷つくのを見たかったんだもの」
「どうして?」
「親友っていうでしょ。あれ、うざくてうざくて。正直、嫌いだった。」
「だから、もっと苦しめてやろうと思ったの。」
「君は悪魔だ」
「あら?知らなかった?」
「なのに結局君を愛してるよ」
「ありがとう。さあ、行きましょう」
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