妻の浮気相手の態度は僕の怒りの沸点に達した

妻の浮気相手の態度は僕の怒りの沸点に達した

「あなた、本当にごめんなさい…もう良心が許せなくて…私、浮気してました…」
そんなことを言われた僕は唖然とした。そして、次の瞬間には僕の目から涙が出てきたのである。
「えっ？なに？どういうこと？」
「実はね……あなたの他にも好きな人ができたのよ」
「うそだろ……」
僕と妻は結婚して3年だった。お互いに愛し合っていたはずなのに……
「本当にごめんなさい。浮気相手とは別れます。」
「あ、そう…」
涙は止まらなかった。妻が浮気していたなんて…
「誰と浮気していたの？」
「それは言えないわ。でも、あなたより5つくらい年下かな？」
「ふーん……」
「もう別れようって言ってきた。だから許してほしいの……」
「うん……」
妻と浮気相手は別れたらしい。しかし、僕の中では何かが崩れたような気がしたのだ。
その日は夜遅くまで泣いた。泣き疲れて寝るまでずっと泣いていた。そして次の日の朝、会社を休んだ。
ベッドの中で妻のことをずっと考えていた。
するといつの間にか眠っていたらしく、昼過ぎに起きた。
買い物でもしようかと着替えたとき、インターホンが鳴った。
「すいませーん。鍵谷夕子さんの家ですか？」
何故妻の名前を呼ぶのだろう。
「はい、そうですが。あ、私は夫の幸次郎と申します。」
「夕子さんいますか？」
「い、いますけど…」
敬語が成っていない男だ。声からして20代かそこらの若者だ。
「ちょっと待っていてください！」
急いで玄関に行きドアを開けるとそこにはスーツを着た男が立っていた。
「初めまして。夕子さんと同じ職場にいる、鈴木と言います。」
顔立ちの整っているイケメンで爽やかな印象を受けた。
「ど、どうぞ上がって下さい。」
家に上げてしまった。リビングに行くと妻はソファに座っていた。
「え!?なんで家に!?」
「いいじゃないですか夕子さん。」
まさか…彼は…
「もしかして、…」
「はい、そうですよ。」
やっぱりそうだ。この男は妻の浮気相手なのだ！でも別れたはずだ。
「そうなんですか。」
嫉妬心を抑えて笑顔を作った。普通笑わないけれど。
「あれ？なんか怒ってる感じですね？」
やはり、バレてしまうのか……。
「いえ、そんなことはありませんよ。それで今日は何しに来たんですか？」
「ああ、それなんですけどね、もう一度奥さんとやり直させてくれませんか？」
何を言っているんだこいつは。
「無理です。お引き取りください。」
僕はきっぱりと言った。だが彼は帰ろうとしなかった。
「どうしてですか？僕とあなたの奥さんは愛し合っているんですよ。なのに何でダメなんですか？」
「ふざけないでください。別れたでしょ！」
「でも、もう一度やり直したいと思ったのです。」
彼の目は本気だった。本気で妻を愛そうとしていたのだ。
「じゃあこうしましょう。今度またここに来てください。そのときに妻と話し合って決めてもらいます。」
「分かりました。では、失礼します。」
彼が帰ったあと、すぐに妻を呼んだ。
「浮気相手はまだ諦めてないみたいだよ。」
「そんな…」
彼女は震えていた。そりゃそうだよね。
「とりあえず、話し合いは明日にしよう。」
そして次の日、僕は仕事がないため、家で待機していた。
しばらくするとチャイムが鳴った。おそらく彼だ。
「こんにちは。話し合いしに来ました。」
妻が出てくる。
「無理は承知です。奥さんを僕にください！」
「ダメです。帰ってください。」
僕はきっぱりと言った。
「お願いします！どうしても欲しいんです！」
しつこく言ってくる彼にイラッとした。
「帰れって言ってんだろ！！」
つい怒鳴ってしまった。しかし彼は怯まなかった。
「絶対に渡したくないんですか？」
「当たり前だろ。お前には渡さない。」
「正直、奥さんはあなたに冷めかけていたから僕と関係ができたんですよ？それをあなたは…」
「どんな理由があっても浮気はだめだろう!」
「うるさいなぁ！あんたは黙ってろよ！こっちは必死なんだからさぁ！」
急に口調が変わった。こんなやつだったのか。
「もうやめて！」
妻が叫んだ。
「もう私はあなたに気はない！浮気したことを後悔している！夫と一生生きていく！」
「じゃあ、夕子さんは僕を捨てたってことですね？」
「ええ」
「分かりました。そうですか。さようなら。」
明らかに納得していなかった彼は去っていった。
「あなた、ごめんなさい……私のせいであんなことに……」
「いいんだよ。それに君のことを嫌いになったわけじゃない。」
妻は泣いていた。本当に反省しているのだろう。
「でも、もう浮気はしないでくれ。」
「うん、分かったわ。」
こうして妻の不倫騒動が終わった。