1 / 47
桜の章
前
しおりを挟む
「どうです? こちらは手狭ではありますけど。単身での住居としては手頃ですよ。車があれば町まで十五分ですし」
「そう、ですねぇ……」
するり、と滑らかな感触の柱に手を添わせた。
つやつやとした優しい鼈甲の色あい。木の節目と独特のこぶや隆起を活かした床の間の飾り柱は、あえて残したのだという。間取りや天井の低さは古い旅館めいたミニマムさだったが、総じて綺麗な手の入れようだった。
新しい畳。引き戸のさんや廊下の木材は使い込んだシックな焦げ茶色をしている。ほぼ、黒に近い。
とある地方の古民家再生プロジェクト――Iターン奨励事業――の、一環だという。
住むもののない家屋敷を自治体が引き取り、広く外部からの移住者を募るというもの。前提は定住の見込みがあるということ。田畑がセットになる場合もある。
対象はまだ若い夫婦や、結婚適齢期の独身者が望ましいとされた。地域的な人口減少対策として用いられる、よくある施策の一つだ。
湊は、ふぅん……と、熟考を匂わす仕草で生まれ変わった古民家を見回した。
床の間と主寝室、客間は完全なる和室。廊下や奥庭に続く通路と仕切り戸には大正を思わせる磨りガラスが嵌め込まれている。水回りとリビングだけは切り取ったように現代風だった。
が、それも家具や小物でどうとでもなるだろう。
「住みます。ここに」
にこり、と振り向き、背後に立つ市役所の職員に向けて人当たりの良い笑顔を作る。
担当物件が一つ片付いた安堵に、おそらく本来は彼女よりも人が善いのだろう、まだ若い男性職員はあからさまにホッと表情を緩ませた。
よかった、ありがとうございます――と、トントン拍子に話は進む。
かくして湊は都会から縁もゆかりもない一地方へと、単身転居を決め込んだ。
* *
海の見える場所に住んでみたかった。
加えて何のしがらみもない場所で「余生」を過ごしてみたいと思った湊は、正しくはIターンの主旨に反する。
(だって私、もう結婚する気ないし)
二十七歳と一ヶ月。
適齢期であっても、すでに気分は若隠居だ。
色々あって前に住んでいた場所の役場に離婚届を出した帰り際、ふと目についた「単身移住者も歓迎! 古民家再生プロジェクト! 田舎で暮らしてみませんか?」のポップな文字に心惹かれたのは偶然ではないと思う。
まさか、と。
自分でも半端ない行動力に呆れるが、それはそれ。いわゆる勢いだった。
「敷金ゼロ、賃貸は破格のお安さ。資金にめどが付けばお買い上げでローンにも変更可。家まわりの掃除は行き届いてる。生活雑貨はちょっとずつ揃えればいいし……慰謝料と雇用保険で半年、か。――うん。何とかなるなる。できるし、やる」
移住一日目の朝。
仰向けに目に映ったのは和風の低い天井。左側からは格子の影を滲ませて柔らかな光が射している。
(旅館みたい)
朝日を透かした障子戸の白さは起き抜けの目に優しかった。新品の羽毛布団、おろしたてのボアシーツから抜け出て身を起こすとお腹が鳴った。
い草の匂いは独特で、自分がまだこの家には馴染んでいないのだと知らされる。
湊は畳の縁を踏まぬように素足を滑らせた。
春とはいえ朝晩はめっきり冷える。脱ぎ散らしたままだったカーディガンを羽織り、ぶるりと震えた。
「さむ……」
空腹ではある。が、なんとなく食事を作る気にはなれない。
リビングに積んだ段ボールの山はほとんど開けずじまい。冷蔵庫も空っぽ。昨日は食器や調理器具を棚や流し台に仕舞ったら、力尽きてしまったのだ。
(うーん……)
湊は考えつつ小じんまりとしたキッチンで湯を沸かし、紙コップとセットになったティーパックの紅茶を淹れて体を温めると、ささっと身支度を整えた。
――とりあえず、最寄りの町に行こう。
チャリ、と玄関の靴箱に置いた愛車の鍵をとる。カラララ……と軽やかな引き戸を開けると、ふわり。風に乗って花びらが一枚舞い込んだ。
身を屈めて拾う。やわやわと水分を含み、桃に似たピンクの小さな丸い形。八重桜の花弁だ。
風上に視線を流すと、たわわな花房が樹を彩っている。
儚い花枝の向こうは水色の空。春爛漫だった。
「うっわ。まだ八分咲き……なのよね? かわいいな。こっちは八重。あっちの一列はソメイヨシノ。あっちは……まだ咲いてないな。品種が違う? 前のひと、桜、好きだったのかな」
晴天の休日、午前十時。
庭の端にあるガレージまでの道のりは桜並木だった。
来たときも思ったが、ここの空気は気持ちがいい。
隠された、限られたものしか入れない庭園のようで、贅沢でゆるやかな時間が流れている。
――市の職員さん曰く、前の住人はさる資産家の四男で、定職には就かずに家業も手伝わぬ風来坊。勘当を兼ねた遺産の先払いとして、実の父親から書斎がわりにと与えられたのがこの土地と家らしい。
かれが若くして亡くなって以降は、再び実家の管理するところとなったらしいが。
リフォームも、その名家の厚意だとか。
(気前のいい話よね。遊ばせてる物件だからって、ぽいって市に譲渡しちゃうなんて)
お金持ちの考えることは、よくわかんないな――と。
ぼんやりと歩を進めるうち、当時は蔵だったという外壁をそのまま残した、やたらと古めかしいガレージへと辿り着いた。
* *
「へぇぇ、そう言えば左門さんとこの別邸、改築したって聞いたわぁ。あの坂の上の一軒家よねぇ? まぁまぁまぁようこそ。まだ若いのにすごいわぁ。随分思いきったのねぇ。仕事は? これから?」
「えぇ。まぁ」
来た。来た来た。
絶対、商店街にひとりは必ずいる話好きのご婦人だ。間違いない。
湊は前職で身に付けた控えめで感じのよい笑顔をフル稼働し、当たり障りのない愛想よさでおっとりと質問に答えていった。
下手に取っつきにくい印象を与えては、この先やりづらくなる。この手の女性は自身のコミュニティーでも噂という名の娯楽の発信源で増幅器でもあるだろうし。
湊は、新天地を「住めば都」ではなく「住むなら都」にしたかった。そう何度も人間関係で、引っ越しなどしたくない。
結果、こちら側の経緯やプライヴェートはきっちり伏せつつ、当面の必要雑貨や地域情報の類いなどは滞りなく得られた。初戦としてはまずまずの戦果だ。
というか、最寄りの店が車で十五分のここ、いわゆる何でも定価で絶妙な品揃えの荻谷商店なのだから驚く。もちろん木造。二階部分が住居らしい。
ちなみにコンビニや外食産業、ガソリンスタンドやホームセンターがある場所までは、ここから更に十分。つまり新居から正確な意味での「町」までは車で二十五分かかる。
日本って、まだこんな場所が残ってたんだ……と、ある種の感慨にすら耽ってしまう。
今まで自分が暮らしていたのはそこそこ都会だったのだな、と考えを改めた。
「じゃ」
当面お世話になります、の意をこめた会釈。
そのまま速やかに背を向け、立ち去ろうとする湊に「あっ……! あの、ちょっと待って」と、女性はあわあわと気配を乱した。レジカウンターの向こう側から半身を乗り出し、呼び止めつつも明らかに言葉を濁している。
「えぇと……あのね?」
「はい?」
「昨日から入ったのよね? あの家に」
「はい」
「んんん……あくまで噂なんだけどさ。ちょっと用心したほうがいいわよ。あなた、美人だし。独りなんでしょ?」
「『独り』……ですね。はい」
湊は首をひねった。そこまで確認される意図がわからない。ありがちな社交辞令は、さらっと流す。
単身であると、先ほども伝えたばかりだ。
それはつまり『恋人も無しよね?』と暗に念押されているようで、正直に答えるべきかどうか、返事に窮してしまう。
微妙な面持ちとなった客人を慮ってか、ふっくらとしたご婦人は申し訳なさそうな顔になり、ちょいちょい、と下に向けた手のひらを上下させ、招き猫のように彼女を呼んだ。
(…………内緒話?)
人懐こいおばちゃん自体は嫌いじゃない湊は大した抵抗も見せず、すぐにレジまで戻る。
両手に抱えたぎゅうぎゅう詰めの紙袋や買い物袋を台に置き、それとなく声をひそめた。
「――何です?」
「実はね……改装前のあの家、あんまりいい噂を聞いたことがないのよ。周りに木が多いでしょ? だから昼間でも薄暗いんだけど。日が落ちてからもね。夜回りの者が言うには明かりが点いてたとか。
去年は、近所の小学生が慣例で肝試しに行くのがとうとう問題になっちゃって。学校でも名指しで立ち入り禁止区域に指定されたらしいのよぉ。一時はやんちゃな子らの溜まり場になってたらしいし。
眉唾だけど火の玉を見たとかさ。――こないだも。庭師さんが言うには、地面にあたらしい足跡が残ってたって」
「え」
さぁぁ……と血の気が引く。
うそ、聞いてない。というか昨夜は何も考えずに寝ちゃったのに??! と、今更ながら大いに動揺する。
同情のまなざしを湛えたご婦人は、ぽん、と正面から湊の肩を叩いた。かなりの善意(?)を込めて、労るように彼女の顔を覗き込んでいる。
「あなた、いい人っぽいし気を付けて。出来るだけ早くいいひと見つけて。ちゃんと戸締まりするのよ?」
「あー……はい。がんばります……」
いや。絶対ほんとに恋人は要らないんですが、とは、さすがに言いづらかった。
「そう、ですねぇ……」
するり、と滑らかな感触の柱に手を添わせた。
つやつやとした優しい鼈甲の色あい。木の節目と独特のこぶや隆起を活かした床の間の飾り柱は、あえて残したのだという。間取りや天井の低さは古い旅館めいたミニマムさだったが、総じて綺麗な手の入れようだった。
新しい畳。引き戸のさんや廊下の木材は使い込んだシックな焦げ茶色をしている。ほぼ、黒に近い。
とある地方の古民家再生プロジェクト――Iターン奨励事業――の、一環だという。
住むもののない家屋敷を自治体が引き取り、広く外部からの移住者を募るというもの。前提は定住の見込みがあるということ。田畑がセットになる場合もある。
対象はまだ若い夫婦や、結婚適齢期の独身者が望ましいとされた。地域的な人口減少対策として用いられる、よくある施策の一つだ。
湊は、ふぅん……と、熟考を匂わす仕草で生まれ変わった古民家を見回した。
床の間と主寝室、客間は完全なる和室。廊下や奥庭に続く通路と仕切り戸には大正を思わせる磨りガラスが嵌め込まれている。水回りとリビングだけは切り取ったように現代風だった。
が、それも家具や小物でどうとでもなるだろう。
「住みます。ここに」
にこり、と振り向き、背後に立つ市役所の職員に向けて人当たりの良い笑顔を作る。
担当物件が一つ片付いた安堵に、おそらく本来は彼女よりも人が善いのだろう、まだ若い男性職員はあからさまにホッと表情を緩ませた。
よかった、ありがとうございます――と、トントン拍子に話は進む。
かくして湊は都会から縁もゆかりもない一地方へと、単身転居を決め込んだ。
* *
海の見える場所に住んでみたかった。
加えて何のしがらみもない場所で「余生」を過ごしてみたいと思った湊は、正しくはIターンの主旨に反する。
(だって私、もう結婚する気ないし)
二十七歳と一ヶ月。
適齢期であっても、すでに気分は若隠居だ。
色々あって前に住んでいた場所の役場に離婚届を出した帰り際、ふと目についた「単身移住者も歓迎! 古民家再生プロジェクト! 田舎で暮らしてみませんか?」のポップな文字に心惹かれたのは偶然ではないと思う。
まさか、と。
自分でも半端ない行動力に呆れるが、それはそれ。いわゆる勢いだった。
「敷金ゼロ、賃貸は破格のお安さ。資金にめどが付けばお買い上げでローンにも変更可。家まわりの掃除は行き届いてる。生活雑貨はちょっとずつ揃えればいいし……慰謝料と雇用保険で半年、か。――うん。何とかなるなる。できるし、やる」
移住一日目の朝。
仰向けに目に映ったのは和風の低い天井。左側からは格子の影を滲ませて柔らかな光が射している。
(旅館みたい)
朝日を透かした障子戸の白さは起き抜けの目に優しかった。新品の羽毛布団、おろしたてのボアシーツから抜け出て身を起こすとお腹が鳴った。
い草の匂いは独特で、自分がまだこの家には馴染んでいないのだと知らされる。
湊は畳の縁を踏まぬように素足を滑らせた。
春とはいえ朝晩はめっきり冷える。脱ぎ散らしたままだったカーディガンを羽織り、ぶるりと震えた。
「さむ……」
空腹ではある。が、なんとなく食事を作る気にはなれない。
リビングに積んだ段ボールの山はほとんど開けずじまい。冷蔵庫も空っぽ。昨日は食器や調理器具を棚や流し台に仕舞ったら、力尽きてしまったのだ。
(うーん……)
湊は考えつつ小じんまりとしたキッチンで湯を沸かし、紙コップとセットになったティーパックの紅茶を淹れて体を温めると、ささっと身支度を整えた。
――とりあえず、最寄りの町に行こう。
チャリ、と玄関の靴箱に置いた愛車の鍵をとる。カラララ……と軽やかな引き戸を開けると、ふわり。風に乗って花びらが一枚舞い込んだ。
身を屈めて拾う。やわやわと水分を含み、桃に似たピンクの小さな丸い形。八重桜の花弁だ。
風上に視線を流すと、たわわな花房が樹を彩っている。
儚い花枝の向こうは水色の空。春爛漫だった。
「うっわ。まだ八分咲き……なのよね? かわいいな。こっちは八重。あっちの一列はソメイヨシノ。あっちは……まだ咲いてないな。品種が違う? 前のひと、桜、好きだったのかな」
晴天の休日、午前十時。
庭の端にあるガレージまでの道のりは桜並木だった。
来たときも思ったが、ここの空気は気持ちがいい。
隠された、限られたものしか入れない庭園のようで、贅沢でゆるやかな時間が流れている。
――市の職員さん曰く、前の住人はさる資産家の四男で、定職には就かずに家業も手伝わぬ風来坊。勘当を兼ねた遺産の先払いとして、実の父親から書斎がわりにと与えられたのがこの土地と家らしい。
かれが若くして亡くなって以降は、再び実家の管理するところとなったらしいが。
リフォームも、その名家の厚意だとか。
(気前のいい話よね。遊ばせてる物件だからって、ぽいって市に譲渡しちゃうなんて)
お金持ちの考えることは、よくわかんないな――と。
ぼんやりと歩を進めるうち、当時は蔵だったという外壁をそのまま残した、やたらと古めかしいガレージへと辿り着いた。
* *
「へぇぇ、そう言えば左門さんとこの別邸、改築したって聞いたわぁ。あの坂の上の一軒家よねぇ? まぁまぁまぁようこそ。まだ若いのにすごいわぁ。随分思いきったのねぇ。仕事は? これから?」
「えぇ。まぁ」
来た。来た来た。
絶対、商店街にひとりは必ずいる話好きのご婦人だ。間違いない。
湊は前職で身に付けた控えめで感じのよい笑顔をフル稼働し、当たり障りのない愛想よさでおっとりと質問に答えていった。
下手に取っつきにくい印象を与えては、この先やりづらくなる。この手の女性は自身のコミュニティーでも噂という名の娯楽の発信源で増幅器でもあるだろうし。
湊は、新天地を「住めば都」ではなく「住むなら都」にしたかった。そう何度も人間関係で、引っ越しなどしたくない。
結果、こちら側の経緯やプライヴェートはきっちり伏せつつ、当面の必要雑貨や地域情報の類いなどは滞りなく得られた。初戦としてはまずまずの戦果だ。
というか、最寄りの店が車で十五分のここ、いわゆる何でも定価で絶妙な品揃えの荻谷商店なのだから驚く。もちろん木造。二階部分が住居らしい。
ちなみにコンビニや外食産業、ガソリンスタンドやホームセンターがある場所までは、ここから更に十分。つまり新居から正確な意味での「町」までは車で二十五分かかる。
日本って、まだこんな場所が残ってたんだ……と、ある種の感慨にすら耽ってしまう。
今まで自分が暮らしていたのはそこそこ都会だったのだな、と考えを改めた。
「じゃ」
当面お世話になります、の意をこめた会釈。
そのまま速やかに背を向け、立ち去ろうとする湊に「あっ……! あの、ちょっと待って」と、女性はあわあわと気配を乱した。レジカウンターの向こう側から半身を乗り出し、呼び止めつつも明らかに言葉を濁している。
「えぇと……あのね?」
「はい?」
「昨日から入ったのよね? あの家に」
「はい」
「んんん……あくまで噂なんだけどさ。ちょっと用心したほうがいいわよ。あなた、美人だし。独りなんでしょ?」
「『独り』……ですね。はい」
湊は首をひねった。そこまで確認される意図がわからない。ありがちな社交辞令は、さらっと流す。
単身であると、先ほども伝えたばかりだ。
それはつまり『恋人も無しよね?』と暗に念押されているようで、正直に答えるべきかどうか、返事に窮してしまう。
微妙な面持ちとなった客人を慮ってか、ふっくらとしたご婦人は申し訳なさそうな顔になり、ちょいちょい、と下に向けた手のひらを上下させ、招き猫のように彼女を呼んだ。
(…………内緒話?)
人懐こいおばちゃん自体は嫌いじゃない湊は大した抵抗も見せず、すぐにレジまで戻る。
両手に抱えたぎゅうぎゅう詰めの紙袋や買い物袋を台に置き、それとなく声をひそめた。
「――何です?」
「実はね……改装前のあの家、あんまりいい噂を聞いたことがないのよ。周りに木が多いでしょ? だから昼間でも薄暗いんだけど。日が落ちてからもね。夜回りの者が言うには明かりが点いてたとか。
去年は、近所の小学生が慣例で肝試しに行くのがとうとう問題になっちゃって。学校でも名指しで立ち入り禁止区域に指定されたらしいのよぉ。一時はやんちゃな子らの溜まり場になってたらしいし。
眉唾だけど火の玉を見たとかさ。――こないだも。庭師さんが言うには、地面にあたらしい足跡が残ってたって」
「え」
さぁぁ……と血の気が引く。
うそ、聞いてない。というか昨夜は何も考えずに寝ちゃったのに??! と、今更ながら大いに動揺する。
同情のまなざしを湛えたご婦人は、ぽん、と正面から湊の肩を叩いた。かなりの善意(?)を込めて、労るように彼女の顔を覗き込んでいる。
「あなた、いい人っぽいし気を付けて。出来るだけ早くいいひと見つけて。ちゃんと戸締まりするのよ?」
「あー……はい。がんばります……」
いや。絶対ほんとに恋人は要らないんですが、とは、さすがに言いづらかった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる