太陽と月の終わらない恋の歌

泉野ジュール

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月の盗人

06

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 夜の帳の訪れとともに騒ぎ出すこの血は、罪の証拠のように思える。
 さあ、狩るがいい──。さあ、血で汚れたその手をさらなる血で洗うがいい──と。



【太陽と月の終わらない恋の歌 月の盗人 6.】



 それは作りもののような夜だった。
 現実だと感じられたものはあまりなく、度重なる悲鳴の中、多くのものが恐ろしいほど呆気なく赤黒く汚れていった。

 ──もし『時』が俺の声を聞いたなら、もし時が俺をあの瞬間に戻せたなら、あの夜に失ったものを救えるだけの力が、今の俺にはある。
 時よ、何を引き換えにすればいい、どうすれば巻き戻せる。
 時だけが、この悪夢に終止符を打てる……そうだろう、俺を解放してくれ。
 ほんの少しの間で構わない──。



 闇の中で、ダヴィッドはゆっくりと両瞼を開いた。
 すると寝静まった病院の輪郭が、ダヴィッドの新たな視界へ徐々に浮かんでくる。

 ダヴィッドがきつく両瞼を閉じていたのは、暗闇に目を慣らすためであったし、加えて、高ぶる精神を静めるためでもあったのだが……。
 この二番目の目的が果たされたかどうかは、はなはだ謎だった。

(嫌なものを思い出したな……)
 自らが瞼の裏に作った闇の中で、ダヴィッドは、あまり気分の良くない過去を思い出してしまったことに、心の奥で一人舌打ちをした。しかも淡々と過去を思い出すだけではない、今の自分が放つどうしようのない願望までが、過去の記憶に重なってダヴィッドの心を鳴り震わせていた。

 しかし、これから自分のしようとしていることに、雑念は邪魔でしかない。
 ダヴィッドはそれが嫌というほど分かっていたから、短く息を吐くと、もう一度目を閉じて、神経を集中させた。

 今夜は、日中の晴れ間とはうって変わり、雲が空に立ち込めていて、月が隠れている。
 生暖かい風が、ザワザワとダヴィッドの傍にある大木を揺らした。
 こんな宵の仕事は、ダヴィッドにとって有利ともいえたし、また不利ということも出来た。己が身を隠しやすいということは、相手にとっても条件は同じだからだ。

 ドロレス小児病院は、ダヴィッドの立つ丘から流れるように下った先の平野に、ぽつりと佇んでいる。
 建物は医院として機能している母屋と、住み込んで働いている者達がつかう離れとに大きく別れ、明かりはその離れの入り口あたりに灯っているに限られた。まるでダヴィッドを誘うように浮かぶ光が、闇に揺れている。

 ──迅速に。
 いつも当然のことを、あらためて胸に刻んだ。



「どうして中々、集まったかの……」
 ろうそく一本の明かりの中、ドロレス小児病院院長ゴダールは、今にも舌なめずりを始めそうな浅ましい顔で、木棚の引き出しを一つ開け、中から紐で縛られた小箱をのっそりと取り出した。

 年季の入った砂色の小箱は、しかし、紐を解かれて蓋を開けられると、黄金に輝く中身が顔をのぞかせる。
 それはゴダールが半年程前、ドロレス小児病院の新院長として抜擢されてからというもの、横領し続けてきた金の成り果てだった。現金を貯めるのはどうしても目立つため、ある程度の額が集まるとルザーンの街へ降りて、高価で小柄な貴金属に替えているのだ。その成果がこの小箱の中身という訳だ。


 そして今もまた一つ、金の指輪がゴダールのコレクションに加えられようとしていた。
 皺の刻まれたゴダールの手が、外套の内側を探り、純金の指輪を探し当てる。ゴダールの口元に強欲な笑みが浮かんだ。

 ひひ、という卑猥な声さえ、その口は洩らしたのだった。
 ゴダールは指輪を小箱へ収め終えると、今までののっそりとした動作とは一変し、すぐさま小箱の紐を結び直しはじめた。まさにやましい者の動きだ。ゴダールは紐を結び終えると、いよいよ小箱を引き出しに戻そうとする。
 そんな時、
「そこまでだ、院長」
 背後から声が響き、ゴダールはばっと素早く振り返った。
 閉めておいたはずの扉が開け放たれて、その先の闇に、黒い人影が映っている。
「何者だ! 夜間は私の部屋に近付くなと、言ったはずだぞ!」

 突然の招かれざる来訪者に、ゴダールは咆えた。
 それに反応するように、黒い人影はゆらりとうごめき、部屋の中へ一歩進入してくる。ろうそくの火が微かに揺れた。

「俺は黒の怪盗だ……院長、お前の悪行は分かっている」
「なっ」
「さあ、その箱を渡せ!」
 『黒の怪盗』は怒号を上げた。

 ただしその声は、興奮に上ずっていて、予想外の若さをゴダールにさとらせてしまうものだった。
 初老とはいえゴダールは上背があり、そう易々と侵入者にひれ伏すほど衰えているわけでは、ない。しかも身に覚えのある者の悪弊として、ゴダールの脇には短刀が忍ばされてあった。

「一体何を根拠に、汚い言いがかりをするか!」
 ゴダールはそう声を上げると、脇の短刀へ片手をすべらせながら、侵入者へとにじり寄った。
 すると入り口に立っていた影──『黒の怪盗』を名乗る者は、びくりと肩を震わせ、押されたように半歩ほど引いた。

 その怯えは、老境の医師にも簡単に伝わる。

 ゴダールは強気になり、さらに影へとじりじり忍び寄った。二人の距離は次第に、お互いの顔を確認できるまでに近付いていく。闇に浮かびはじめる影の輪郭を確認すると、ゴダールは目を細めて、ほぅ、と短く囁いた。
「この、小僧が!」
 木板が割れるほどの勢いで、ゴダールは黒い影を床に叩き伏せた。

 黒衣装に包まれた予想外に華奢な身体は、簡単に均衡を失って背中を床に打ちつけられ、ゴダールの下敷きにされた。
 ゴダールの手が素早く、床に伏せた相手の黒いマスクをもぎ取る。するとその下から現れたのは、鮮やかな赤毛を持った少年の顔だった。背を打った痛みに眉をしかめる、サイモン少年の顔が……。

「なんと小賢しい小僧だ! こんな真夜中に院長である私の私室へ忍び込もうとは!」
「く……っ!」

 ぎりり、と首を締め上げられ、サイモンは苦痛に顔を歪めた。
 ゴダールの力は想像以上に強く、発展途上のサイモンの腕力では、指が咽に食い込もうとするのを防ぐだけで精一杯で、押し返すことはできない。

「う、う……ぅ」
「運が悪いな、小僧……今夜ここには私一人だ……」
「は……っ」
 サイモンの額に、脂汗がじわりと湧いてくる。
「そうだ、最初から、お前は厄介者だったな……おまけに知られたとあっては、生かしておくわけにはいくまい……」

 ゴダールも同じように脂汗を額ににじませながら、興奮に肩で息をしている。
 片手に握られた短刀を持ち直したゴダールは、ニヤリと唇の片端を持ち上げると、その腕を素早く振り上げた。短く空気を切る音がして、高く振り上げられた短刀の刃が、ろうそくの明かりを浴びて鋭く輝く。
 そして、まっすぐに振り落とされる刃──。

「──っ!」
 サイモンは大きく瞳を見開き、声にならない叫びを上げると、死に物狂いに足をばたつかせた。

 錯乱といってもいいようなサイモンの激しい抵抗に、背を立てていたゴダールの均衡が乱れ、サイモンの首に掛けられた手が一瞬だけ、緩んだ。
 その瞬間の隙をつき、サイモンはゴダールの手首を掴み返すと、力の限りにそこに歯を立てた。

「ぐわ! 小僧っ!」
 ゴダールは後ろにのけぞった。
 首を絞めていた手が宙に浮いて、解放された咽に、再び酸素が入ろうとする。サイモンは咳き込みながら、必死にその空気を取り込もうとした。

 逃げなければ……いや、違う、戦わなければ……!
 床の上を半回転し、ゴダールの拘束から逃れたサイモンは、まだ咳き込みながらも果敢に立ち上がろうとした。
 ゴダールの『宝箱』は、棚の上に置かれたままになっている。

 ──これを奪って病院へ返すんだ。
 サイモンの意識はそればかりに集中していて、体勢を立て直したゴダールが傷を舐め、再び短剣を振りかざすのに気付けなかった。
 ──これで皆の治療費が出せる。俺は、黒の怪盗みたいに、皆を助けるんだ。

 ふらりと立ち上がったサイモンに、今度こそ、ゴダールの短剣が襲い掛かろうとしていた。対して、伸ばされた少年の手は、その先の小箱に向かおうとしている。
 二人の身体が交差する……。

 ふっと、ろうそくの火が消えたのはその瞬間だった。

「ぎゃあああっ」
 まず響いたのはゴダールの悲鳴で、続いて、何かが裂ける不吉な音が聞こえて、床に重いものが落ちる騒音が重なった。
 ガラガラと、何かが木床に転がったような音もした。

 唯一の光源だったろうそくが消え、辺りは一瞬でほぼ完全な闇となり、部屋は、音だけがその場の動きを知る手掛かりとなる空間へと変わっていた。

「う……っ、く!」
 ゴダールのうめき声が聞こえて、サイモンは闇の中を振り返った。
 どこか、低い位置からだ……サイモンには、ゴダールが床に伏しているようにも聞こえた。
「がはっ!」
 再びゴダールのうめき。
 サイモンはびくりと背筋を伸ばした。

 しゅ、しゅっ、と暗闇を滑らかに動く何か──否、誰か──があるのを、サイモンは『聞いた』。
 その姿は、闇に溶けて、見えない。
 しかし、本能が教えた。あるいは希望が見せた夢だったのかも知れない。けれど、それでも。

「黒の怪盗……」
 サイモンは囁いた。

 それを肯定する声はなかったし、否定する声もまた、なかった。

 ただ再び、幾つかの素早い動作があったのを、棒立ちになったままのサイモンは音として認知した。周囲で何が起こっているのかさえ全く掴めなかったにも関わらず、サイモンに恐怖はなく、純粋な驚きと歓喜だけが、少年の胸に湧き上がってくるばかりだった。
 しばらくすると、しん……とした静寂が訪れた。

「あ……」
 すべては終わった。すべては片付いたのだと、サイモンは再び本能的に理解した。
 サイモンのものでもゴダールのものでもない、若い男のシュー、シューという荒い息遣いが聞こえてくる。
「く、黒の怪盗……だろう……?」
「…………」
 答えはない。

 サイモンの目も次第に闇に慣れてゆき、ぼんやりとながら、何がしかの影を見識できるほどになってきていた。黒い、マントを背負った長身の影が、部屋の窓を背に浮かんでいるのが薄っすらと見えた。
 間違いない、黒の怪盗だ──サイモンは確信した。
 しかし彼は答えない。
 声を発さないのだ、なぜか。

「黒の」
 と、サイモンが言いかけた時だ。サイモンの手が取られ、そこに重い何かが乗せられた。それはずっしりとした四角の、箱のようなものに思えた。
 ゴダールの小箱だと、サイモンもすぐに分かった。

「ありがとう……」
 サイモンが礼を言うと、男の影は何も答えずに踵を返し、窓から出て行こうとした。その時やっとサイモンは気が付いたのだが、三つほど壁に並んでいる窓の一つが、外に向けて開け放たれていたのだ。
 現れたときと同じく、足音さえ立てずに去ろうとする黒の怪盗の後姿を、サイモンは放心しながら見つめていた。
 そうして少年はそのまま、黒の怪盗を見送る筈だった。

 しかし──。
「……っ!」
 ガシャンと音を立てて、サイモンは手にしていた木箱を床に落とした。

 窓枠に手を掛けたところだった黒の怪盗が、音を聞いて振り返る。すると、サイモンが床に膝をつき、胸をかきむしり、びくびくと身体を震わせている姿があった。

「サイモン!」
 ダヴィッドは弾かれたようにサイモンのそばへ駆け戻った。

 急いで少年の身体をすくい上げると、がちがちと歯の根が合わないのが聞こえてくる。発作だと、病名を知らないダヴィッドでさえすぐにわかった。
「サイモン、しっかりするんだ!」
 そんなダヴィッドの声は、しかしもう、サイモンには届いていないらしかった。
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