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【ダグラスの章】
「俺たちの二度目のために」② ☆
乃亜はじっとダグラスを見据えて、その真意を探ろうと瞳を揺らしている。
もしできるなら、この胸を切り開いて心のすべてをさらけ出したかった。ダグラスがどれだけ彼女のことを想っているのか、証明できるものなら証明したい。
ただそれは……おそらく一朝一夕でできることではないのだろう……。
これから何年もかけて小さい愛情を少しずつ積み重ねて、ゆっくり築き上げていくもの。今夜はそのはじまりに過ぎない。
「もし厩舎でのことを気にしているなら……」
「ノア、俺はもう後悔はしていない。でも君はもっと大事にされて抱かれるべきだった。それを君に与えさせてくれ」
ダグラスは乃亜の手を取ってささやいた。「今夜、ここで」
乃亜は小さく笑った。
「今日はもう泣かないようにしようと思ったのに」
「悪いが今夜は何度も泣かせるよ」
「うん……」
ダグラスは乃亜の頬を両手に包むと、時間をかけて優しく唇を重ねた。互いの吐息が混じり、次第に唇だけでは足りなくなって舌を絡めはじめる。
「ん……っ」
ダグラスは急かしたくなかった。
今夜は自分の欲望のためではなく、乃亜の快楽のためだけに尽くしたい。償いと言ってしまえばそうなのかもしれないが、それがダグラスの心からの望みでもあった。
キスを続けながらゆっくりと乃亜をベッドの上に押し倒す。
しっとりとした彼女の髪が白いシーツに広がった。
「もしシャワーを浴びたいのなら……」
「もう浴びてきました」
「そうだろうと思った。いい匂いがする」
「あなたも」
クスクス笑いながらベッドの上でじゃれ合う。乃亜はまだ服を着ていたが、ダグラスは少しずつ焦らすように、ひとつひとつ、時間をかけてボタンを外していった。
──ふたりのはじめての体験を、ダグラスは覚えている。ただ現実だったのか妄想だったのかが曖昧な範囲があるだけで。
しかしその記憶の中でも、ダグラスは乃亜の身体についていくつかを学んだ。
どこが感じるのか。
どんなとき、どうやって啼くのか。
「きゃっ」
ダグラスは乃亜に覆い被さって抱き寄せると、首筋に吸いついた。舌で肌の表面をくすぐりながら、柔らかい場所をきつく吸い上げる。
数秒後、乃亜の首筋には赤い花が咲いた。
「そこ……じゃ、見えちゃう……」
「その通りだ、賢い東京のお嬢さん。世界中に見せつけてやれ」
乃亜は抵抗しなかった。
ダグラスは続けた──乃亜の肌のあちこちに印を刻む。それは決して所有権を叫ぶためだけの行為ではなくて、ダグラスが生涯彼女に尽くすという誓いの……署名のようなものだった。
「ふ……っ、あ……あん」
乃亜を下着だけの姿にすると、ダグラスはショーツの上から指で蜜口をなぞった。
のけ反る乃亜のしなやかな身体の線は、それだけでダグラスの剛直をさらに膨張させる。自分にこの女性の中に入れる権利があるのかと思うと、それだけで達してしまいそうだった。
「君はここが弱い……覚えているよ」
指で濡れはじめたショーツをいじりながら、もう片方の手でブラの一部を引き下げる。
あらわれた丸い乳房の桃色の先端に軽く噛みつく。
ジュっと啜るように吸い込むと、乃亜は痙攣した。
「あぁっ! あ、んぁっ!」
白い背中に腕を伸ばしてブラのホックを外すと、ダグラスはそのあまりにも煽情的な乃亜の姿にごくりと喉を鳴らした。ショーツも引きずりおろした。
綿菓子のように甘く舌に溶け。
極上のブランデーのように熱く胸を焦がす。
乃亜の肢体にはそんな幾重にもなった味わいや魅力が隠されていて、ダグラスはただ肉体の欲望だけではない、魂の修復に溺れていった。
「ふぅ……はっ……ぁ……も、もう……」
ダグラスは執拗なくらい様々な愛撫で乃亜を高めていったが、イかせるのだけはまだ避けた。
そうやって焦らして、焦がして、最後に最高の絶頂を迎えさせてやりたい。
これはダグラスの我儘だろうか?
男の身勝手?
「いいか……未来のミセス・マクブライト……。俺に愛されるのがどういうことか……知ってもらわないと」
「ほんとう、に……?」
「ああ……。愛しているよ」
ダグラスはジーンズのポケットに忍ばせていた避妊具を取り出すと、下着も含めたすべてを脱いだ。ベッドの上に無造作に放り出された避妊具の個包装を目にした乃亜が、肩で息をしながら微笑む。
「──五個?」
「足りないか? 酔った俺は三回で打ち止めにしたらしいが、もし未来の妻がもっと先を欲しいならいくらでも──」
「も、もうっ」
本当に。
この東京のお嬢さんは、まだダグラスのことを理解しきれていない。この想いがどこまで深いのか。どこまで君を求めているのか──心も、身体も、魂も。
未来さえ。
「まずはひとつ目からだ」
ダグラスは歯を使って避妊具のひとつを開封した。
薄い膜を装着するあいだ、期待と不安に身をよじる乃亜の裸体をじっくりと網膜に焼きつける。白くて細くて柔らかくて、ダグラスが己のすべてを懸けて守りたいもの。
そして、乱したいもの。
「ひとつ目からね」
乃亜は同意して、無防備に両手を伸ばしてくる。
ダグラスは乃亜に覆い被さって、彼女の両手首を交差させて掴むと、頭の上に押さえつけた。
彼女の中に入る瞬間……。
ダグラスはときが止まるのを感じた。
その、あまりの圧と、快感と、愛しさと……。
ダグラスの魂はあるべき場所に還った。それが東京でもコロラドでも他のどこでも関係ない。ここだ。
「ノア……」
「ん……ぁ……っ」
そして……ふたりの身体はひとつになって溶けていった。
ひとは言う。
愛とは互いを尊重することだと。
神は言う。
愛とは与えることだと。
ダグラス・ジョンソン・マクブライトはこう言おう。
愛とは、この女性のために生きることだと。
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