1 / 20
プロローグ
しおりを挟む
「ふっんんっ」
鼻に抜けるようなくぐもった声が漏れる。甘さを含んだその声は静寂の敷かれた室内で淫靡に響く。
ようやく息を吸い込むことが叶ったかと思えば、熟したプラムのような赤い唇は再び噛み付くように奪われる。
「んっ……ふん」
唇を割ってぬるりと入り込んだ舌は厚く、口腔内を弄ってくる。
歯列をなぞり、口蓋を舌先で触れられるとぞくりと身体が震え、舌を絡め取られて強く吸われれば、全身が熱を持ち、大きなサファイアブルーの瞳が潤み出す。
浮遊感と同時に身体が傾き、無意識に相手の腕にしがみつく。
ベッドに押し倒され、身体が深く沈むとそのまま相手の重みを直に感じる事になった。
一人用のベッドに二人分の体重が掛かり、ギシギシと軋む。
制服のスカートが空気を含んで膨らみ、花弁のようにベッドに広がった。上級使用人の白いスカートと下級メイドの緑色のスカートが重なり合い、大輪の白薔薇が咲いたように見える。
身を捩り、顔を背けるとようやく、攻撃的な口付けから解放され、息をすることが許された。
「はぁ……はぁっ……少し、待って……」
大きく胸元を上下させてルディア・モリオンドは呼吸を整えようと息を吸う。
ルディアの顔に美しいプラチナブロンドの髪が流れ落ちてくる。
美しい長髪、陶器のような滑らかな白い肌、長い睫毛に縁取られたエメラルドの瞳は楽しそうに細められ、形の良い唇は色っぽく弧を描いている。
息を乱すルディアを見下ろす相手は長いプラチナブロンドの髪と自分が纏う丈の長いスカートを鬱陶しいと言わんばかりに後ろに払う。
蠱惑的な表情でルディアを見下ろし、再び顔を近づける相手を手で制する。
「もうっ……少し待って……」
制した手は大きな手に絡め取られ、再び深くベッドへと沈む。
「どうしたの? 憧れのお姉さまのためなんでしょ?」
耳元で囁く誘うような甘い声がルディアの耳朶を刺激する。
「ふぁっ」
吐息が耳に触れ、嬌声が上がる。
ぞくぞくと背中に今まで感じたことのない感覚が走り抜けた。
「ほら、こっ向いて。これぐらい慣れてもらわないと、とてもじゃないけど役に立たないよ」
「で、でもっ、こんなこと本当に必要なのっ?」
「憧れのお姉さまの役に立ちたい、そう言ったのは君じゃない?」
確かにそう言ったのはルディア自身だ。
しかし、ルディアの願いは憧れのお姉さまが無事に皇太子妃になれるように協力すること。
まさかこんなことになるなんて聞いていないし、誰がこんなことを想像できただろうか。
「勿論。君のためにこんな格好までして来てあげてるんだから感謝しなよ」
そう言いながら相手は自分の使用人服のリボンを解き、詰まった襟の釦を外して首回りを寛げた。そしてルディアの制服のリボンもするりと解く。リボンに続いて上から順番に釦を外され、鎖骨の下にある膨らみが顔を覗かせる。
「待って!」
ぐいっとやや強引に服の合わせを開かれ、左胸に浮かぶ赤い花が現れた。
「あっ」
左胸に咲く赤い花を指の腹で擽るように触れられて、じわっと目尻に涙が浮かぶ。
そんなルディアを見下ろして一層、相手の色気が増した気がした。
嗜虐的な笑みを浮かべる相手は優しくルディアの頬に触れ、震える瞼に唇を落とす。
「本当に、そんなんでどうするのさ」
くすくすと耳元で笑う相手の手が頬を滑り、首筋、肩に流れて行く。
そして唇が赤い花に触れると胸の先まで痺れるような感覚に襲われる。
「んっ」
くすぐったくて身を捩り、逃げようとするも体重を掛けられて動きを封じられる。
ルディアは自分の太腿に硬く、熱を持った塊を感じて、びくりと震える。
「僕が直々に手解きするんだから、心配しなくて良いよ」
あんただから心配なのよ!
そう思い、口から発しようとした言葉は触れた唇に飲み込まれてしまう。
「んっふんぅ」
肉厚の舌がルディアの舌を絡め取り、強く吸い上げ、舌根を擽る。
溶けそうなほど熱い未知の感覚が怖くてルディアは震える。
そんなルディアの頬や、髪を優しく撫でる手はルディアが嫌いな男のものである。
どうして? 嫌いなはずなのに。
そう思うのに身体がこの人を拒まない。
緑色のスカートと白いスカートがシーツの上で乱れる様子は百合の花弁が散る様子に似ていた。
鼻に抜けるようなくぐもった声が漏れる。甘さを含んだその声は静寂の敷かれた室内で淫靡に響く。
ようやく息を吸い込むことが叶ったかと思えば、熟したプラムのような赤い唇は再び噛み付くように奪われる。
「んっ……ふん」
唇を割ってぬるりと入り込んだ舌は厚く、口腔内を弄ってくる。
歯列をなぞり、口蓋を舌先で触れられるとぞくりと身体が震え、舌を絡め取られて強く吸われれば、全身が熱を持ち、大きなサファイアブルーの瞳が潤み出す。
浮遊感と同時に身体が傾き、無意識に相手の腕にしがみつく。
ベッドに押し倒され、身体が深く沈むとそのまま相手の重みを直に感じる事になった。
一人用のベッドに二人分の体重が掛かり、ギシギシと軋む。
制服のスカートが空気を含んで膨らみ、花弁のようにベッドに広がった。上級使用人の白いスカートと下級メイドの緑色のスカートが重なり合い、大輪の白薔薇が咲いたように見える。
身を捩り、顔を背けるとようやく、攻撃的な口付けから解放され、息をすることが許された。
「はぁ……はぁっ……少し、待って……」
大きく胸元を上下させてルディア・モリオンドは呼吸を整えようと息を吸う。
ルディアの顔に美しいプラチナブロンドの髪が流れ落ちてくる。
美しい長髪、陶器のような滑らかな白い肌、長い睫毛に縁取られたエメラルドの瞳は楽しそうに細められ、形の良い唇は色っぽく弧を描いている。
息を乱すルディアを見下ろす相手は長いプラチナブロンドの髪と自分が纏う丈の長いスカートを鬱陶しいと言わんばかりに後ろに払う。
蠱惑的な表情でルディアを見下ろし、再び顔を近づける相手を手で制する。
「もうっ……少し待って……」
制した手は大きな手に絡め取られ、再び深くベッドへと沈む。
「どうしたの? 憧れのお姉さまのためなんでしょ?」
耳元で囁く誘うような甘い声がルディアの耳朶を刺激する。
「ふぁっ」
吐息が耳に触れ、嬌声が上がる。
ぞくぞくと背中に今まで感じたことのない感覚が走り抜けた。
「ほら、こっ向いて。これぐらい慣れてもらわないと、とてもじゃないけど役に立たないよ」
「で、でもっ、こんなこと本当に必要なのっ?」
「憧れのお姉さまの役に立ちたい、そう言ったのは君じゃない?」
確かにそう言ったのはルディア自身だ。
しかし、ルディアの願いは憧れのお姉さまが無事に皇太子妃になれるように協力すること。
まさかこんなことになるなんて聞いていないし、誰がこんなことを想像できただろうか。
「勿論。君のためにこんな格好までして来てあげてるんだから感謝しなよ」
そう言いながら相手は自分の使用人服のリボンを解き、詰まった襟の釦を外して首回りを寛げた。そしてルディアの制服のリボンもするりと解く。リボンに続いて上から順番に釦を外され、鎖骨の下にある膨らみが顔を覗かせる。
「待って!」
ぐいっとやや強引に服の合わせを開かれ、左胸に浮かぶ赤い花が現れた。
「あっ」
左胸に咲く赤い花を指の腹で擽るように触れられて、じわっと目尻に涙が浮かぶ。
そんなルディアを見下ろして一層、相手の色気が増した気がした。
嗜虐的な笑みを浮かべる相手は優しくルディアの頬に触れ、震える瞼に唇を落とす。
「本当に、そんなんでどうするのさ」
くすくすと耳元で笑う相手の手が頬を滑り、首筋、肩に流れて行く。
そして唇が赤い花に触れると胸の先まで痺れるような感覚に襲われる。
「んっ」
くすぐったくて身を捩り、逃げようとするも体重を掛けられて動きを封じられる。
ルディアは自分の太腿に硬く、熱を持った塊を感じて、びくりと震える。
「僕が直々に手解きするんだから、心配しなくて良いよ」
あんただから心配なのよ!
そう思い、口から発しようとした言葉は触れた唇に飲み込まれてしまう。
「んっふんぅ」
肉厚の舌がルディアの舌を絡め取り、強く吸い上げ、舌根を擽る。
溶けそうなほど熱い未知の感覚が怖くてルディアは震える。
そんなルディアの頬や、髪を優しく撫でる手はルディアが嫌いな男のものである。
どうして? 嫌いなはずなのに。
そう思うのに身体がこの人を拒まない。
緑色のスカートと白いスカートがシーツの上で乱れる様子は百合の花弁が散る様子に似ていた。
0
あなたにおすすめの小説
冷酷な王の過剰な純愛
魚谷
恋愛
ハイメイン王国の若き王、ジクムントを想いつつも、
離れた場所で生活をしている貴族の令嬢・マリア。
マリアはかつてジクムントの王子時代に仕えていたのだった。
そこへ王都から使者がやってくる。
使者はマリアに、再びジクムントの傍に仕えて欲しいと告げる。
王であるジクムントの心を癒やすことができるのはマリアしかいないのだと。
マリアは周囲からの薦めもあって、王都へ旅立つ。
・エブリスタでも掲載中です
・18禁シーンについては「※」をつけます
・作家になろう、エブリスタで連載しております
初恋をこじらせた騎士軍師は、愛妻を偏愛する ~有能な頭脳が愛妻には働きません!~
如月あこ
恋愛
宮廷使用人のメリアは男好きのする体型のせいで、日頃から貴族男性に絡まれることが多く、自分の身体を嫌っていた。
ある夜、悪辣で有名な貴族の男に王城の庭園へ追い込まれて、絶体絶命のピンチに陥る。
懸命に守ってきた純潔がついに散らされてしまう! と、恐怖に駆られるメリアを助けたのは『騎士軍師』という特別な階級を与えられている、策士として有名な男ゲオルグだった。
メリアはゲオルグの提案で、大切な人たちを守るために、彼と契約結婚をすることになるが――。
騎士軍師(40歳)×宮廷使用人(22歳)
ひたすら不器用で素直な二人の、両片想いむずむずストーリー。
※ヒロインは、むちっとした体型(太っているわけではないが、本人は太っていると思い込んでいる)
【完結】呪いを解いて欲しいとお願いしただけなのに、なぜか超絶美形の魔術師に溺愛されました!
藤原ライラ
恋愛
ルイーゼ=アーベントロートはとある国の末の王女。複雑な呪いにかかっており、訳あって離宮で暮らしている。
ある日、彼女は不思議な夢を見る。それは、とても美しい男が女を抱いている夢だった。その夜、夢で見た通りの男はルイーゼの目の前に現れ、自分は魔術師のハーディだと名乗る。咄嗟に呪いを解いてと頼むルイーゼだったが、魔術師はタダでは願いを叶えてはくれない。当然のようにハーディは対価を要求してくるのだった。
解呪の過程でハーディに恋心を抱くルイーゼだったが、呪いが解けてしまえばもう彼に会うことはできないかもしれないと思い悩み……。
「君は、おれに、一体何をくれる?」
呪いを解く代わりにハーディが求める対価とは?
強情な王女とちょっと性悪な魔術師のお話。
※ほぼ同じ内容で別タイトルのものをムーンライトノベルズにも掲載しています※
黒の神官と夜のお世話役
苺野 あん
恋愛
辺境の神殿で雑用係として慎ましく暮らしていたアンジェリアは、王都からやって来る上級神官の夜のお世話役に任命されてしまう。それも黒の神官という異名を持ち、様々な悪い噂に包まれた恐ろしい相手だ。ところが実際に現れたのは、アンジェリアの想像とは違っていて……。※完結しました
敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる
今泉香耶
恋愛
王女エレインは隣国との戦争の最前線にいた。彼女は千人に1人が得られる「天恵」である「ガーディアン」の能力を持っていたが、戦況は劣勢。ところが、突然の休戦条約の条件により、敵国の国王の側室に望まれる。
敵国で彼女を出迎えたのは、マリエン王国王弟のアルフォンス。彼は前線で何度か彼女と戦った勇士。アルフォンスの紳士的な対応にほっとするエレインだったが、彼の兄である国王はそうではなかった。
エレインは王城に到着するとほどなく敵国の臣下たちの前で、国王に「ドレスを脱げ」と下卑たことを強要される。そんなエレインを庇おうとするアルフォンス。互いに気になっていた2人だが、王族をめぐるごたごたの末、結婚をすることになってしまい……。
敵国にたった一人で嫁ぎ、奇異の目で見られるエレインと、そんな彼女を男らしく守ろうとするアルフォンスの恋物語。
襲われていた美男子を助けたら溺愛されました
茜菫
恋愛
伯爵令嬢でありながら公爵家に仕える女騎士イライザの元に縁談が舞い込んだ。
相手は五十歳を越え、すでに二度の結婚歴があるラーゼル侯爵。
イライザの実家であるラチェット伯爵家はラーゼル侯爵に多額の借金があり、縁談を突っぱねることができなかった。
なんとか破談にしようと苦慮したイライザは結婚において重要視される純潔を捨てようと考えた。
相手をどうしようかと悩んでいたイライザは町中で言い争う男女に出くわす。
イライザが女性につきまとわれて危機に陥っていた男ミケルを助けると、どうやら彼に気に入られたようで……
「僕……リズのこと、好きになっちゃったんだ」
「……は?」
ムーンライトノベルズにも投稿しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
泡風呂を楽しんでいただけなのに、空中から落ちてきた異世界騎士が「離れられないし目も瞑りたくない」とガン見してきた時の私の対応。
待鳥園子
恋愛
半年に一度仕事を頑張ったご褒美に一人で高級ラグジョアリーホテルの泡風呂を楽しんでたら、いきなり異世界騎士が落ちてきてあれこれ言い訳しつつ泡に隠れた体をジロジロ見てくる話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる