9 / 10
「フェーイヒ・カイト」
2
しおりを挟むそのままレーゼンの前を通り過ぎようとしたら、後ろから呼び止められた。
「そ、そういえば君、リヒトって名前になったんだね」
振り向く。
「………?リヒトに、なった?」
「前に僕らが会ったとき……まぁ昨日なんだけど、昨日君が目覚めた時は名前が無かったんだよ」
「それで、なんで僕はリヒトになったの?」
「………!……わかんない。」
(え、僕………?「私」じゃない…!?なんで?「私」がいなくなってるの?………壊れた?)
「そっか………」
「そ、それにしても、リヒトかぁ。綺麗な名前だね。能力は?」
「へ?」
「ほら、能力はどんなの?」
「いや、そっちじゃなくて。名前が綺麗だ、っていう方」
「え?あぁ、……君の名前は“光”っていう意味だからね。とても綺麗だと思うよ。僕なんて、レーゼンだし。」
「……ありがとう。名前はともかく、……君の目は、すごく綺麗だと思うよ」
レーゼンの頬に赤みがさす。
「………君にこの目のことを褒められるのは、三回目だな。」
「え、そうなの?」
「一回目はともかく、二回目も三回目も僕のこと忘れてたけどね」
「ご、ごめんなさい」
「いいんだ。とりあえず、これからよろしくね、リヒト」
「うん、よろしく、レーゼン」
僕はレーゼンと握手した。
細くて綺麗な手だった。
「あ、言われる前に言っておくけど、僕は君と同い年だから。年下じゃないからね!」
リヒトは綺麗な顔で笑いながら朝食のトレーを貰いに行った。
(あぁ、そういえば。能力のこと聞きそびれちゃったな)
僕の、能力………。
これは多分、知られてはいけないものなのだと思う。
自分で覚えたわけでもないし、なぜかと問われれば何となく、としか言えないけれど。
あの夢……
赤、緑、黄色、桃、紺、白、黒の敵。
青は味方……?
どういう意味なのかわからない。
誰が敵か。何が敵か。
わからないわからない
あの子が味方かもわからない。
どうしたらいいの
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる