定年退職後の生活は異世界でした

青山ねこまる

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村づくり 初級編

異文化交流とご飯の対価

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 私は答えに窮していると、ラルフがチラリとミミズク娘を見てから、大人逹に向かってビシッと言ってくれた。

 「昨日の晩はこの子がフラッと現れて迷子かと思ったからメシを食わしたんだよ。今日はたまたま、お前さん達が昼飯時に来たからメシを出しただけで、毎回出す訳じゃねぇぜ?」

 ラルフの言葉に、イケメン青年とミミズクファミリーが驚いた顔をする。 

 「えぇ⁉︎、並べば食べれるのではないのか⁉︎」

 イケメン青年が驚きながら私を見つめてきたので、無言で頷く。

 「「えー!ごはん食べれないのー?」」

 ミミズク娘とママが同じ様に悲しそうな顔で私を見つめてくる。

 そんな顔で見つめてくるのは・・・うぅ、心苦しい。

 私は心を鬼にして、ぎこちなく頷いたところで「まぁ、食べられない訳ではないわよ?」と優希が割って入ってきた。

 「ほっ本当か⁉︎」

 イケメン青年がガタッと席を立ちながら優希に尋ねると、優希はまあまあとイケメン青年を席に座らせる。

 「えぇ、食事に関しては毎日だと流石に食費・・・いえ、食料が足りなくなっちゃうから、食材か何かを持ってきてくれれば、代わりに食事を提供するわ」

 「食材ってなんだ?」

 イケメン青年の素朴な疑問に優希は一瞬呆けるが、気を取り直して「食材とは食物のことね。ところで普段は何を食べてるの?」と聞き返す。

 「私達は普段、鼠や兎を食べてます」

 ミミズクパパが答えると、ミミズクママと娘も頷く。

 「うーん、兎もだけど、イノシシぐらいなら偶に食べるぞ」

 イケメン青年はどうだと言わんばかりに胸を張って答える。

 「因みに料理はしていますか?」

 優希の後ろからソフィアが現れて調理について質問をする。

 「「「料理ってなに?」」」

 見事にハモったその言葉に「「あぁ」」と『翼のあるもの』以外の全員が納得の相槌を打った。

 その後、イケメン青年とミミズクファミリー達は狩った獲物(但しネズミは除く)を持ってくることで食事を提供すると双方ともに同意を得ることが出来た事で「それでは今日はこの辺で」とはならず、「みなさんの名前を決めません?」と優希が彼らに提案をした。

 「名前?・・・名前か。良いな!私は欲しいぞ!」

 イケメン青年が嬉しそうに同意して、ミミズクファミリーも嬉しそうに頷いた。

 「それじゃぁ折角なので、ここにいるみんなで決めちゃいましょう!」

 優希の音頭により、急遽名付け大会が始まった。




 「えー、それでは各人の名前が決まりましたので、それぞれ自己紹介をしてもらいましょう!」

 優希の仕切りで最初にイケメン青年が席を立った。

 「私の名前はイーグルだ。これから宜しくな!」

 イーグルは胸を張って堂々とした挨拶をした。

 おー!パチパチパチ!とみんなが拍手で答える。

 「次は私達ですね。私はマークで番いのメイニー、そしてこの子はミミーです。これから宜しくお願いします」

 ミミズクファミリーは全員が立って、マークが紹介していった。

 おぉー!パチパチパチ!とみんなが拍手で答えるのと合わせ、ルル達年少組がミミーに手を振っている。

 まぁ、ネーミングセンス云々は控えておく。まさかマークが採用されるとは思わなかった。

 名前も決まった事で、その後は今度こそお開きにと言うことになり、それぞれが自分たちの縄張りに帰って行った。

 「いやー、まさに異文化交流だったね。俺なんて一言も話せなかったよ」

 雄介が空に消えていく彼らを見送りながらラナに話し掛ける。

 「私達も初めて出会いましたから殆ど話せませんでした」

 ラナも初めてと言う事で感慨に浸っている。

 「まぁこの場所は聖域だから、そうそう変な奴らは入ってこれねぇと思うが、空から来られちまうと警戒しようがねぇなぁ」

 ラルフは軽くため息を吐きながら今後の警戒態勢について考えを巡らせ始める。

 それぞれが感慨に耽っていると、

 「ハイハイ!みんな!お昼が終わったんだから午後からのお仕事を始めるわよ!」

 優希が手を叩きながらみんなを促しつつ後片付けを始め、それをエルフ達が手伝い始めた事でこの場は解散となった。




 後日、私は何時もの様に畑作業を行なっていると、自宅の前で青色の髪に光沢のある青い翼の青年が魚を持ってニコニコと笑って立っている姿を目撃した。

 うわぁ、こんどはカワセミかぁ

 私は「優希、後は頼んだ」と心の中でお願いし、回れ右をして畑へ戻った。
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