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15.お茶会を終えて(sideクリストファー)
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お茶会を終えてそそくさと去っていくヴィオレッタと、興奮冷めやらぬ様子のマリアを見送り、僕とカイルは無人の生徒会室へ向かう。
誰も入ってこないようしっかり施錠したカイルは、怪訝な顔で喋り出した。
「殿下……ヴィオレッタ嬢はもしかして、全部知ってるんでしょうか」
「そんなことあり得るか……?いや、僕らには知らされてない何か重大な秘密があって、その上でヴィオには知らされてたとか、そういう可能性が……?」
元平民という出自は、他の誰にも知られてはいけないのでくれぐれも気を付けるよう言い含めていたのに、ボロを出しまくるマリア。
それに対し、何も気付いていないフリをして上手く話を合わせてくれたヴィオレッタ。
ここまでなら、ただ察しがいいだけで済ませられた。
が、去り際の発言が問題だった。
あれではヴィオレッタは、マリアが聖女だと知っているとしか思えない。
「核心に迫るようなことは言わず、あくまで匂わせるだけに留めるのも上手いやり方ですね」
「彼女も危ない橋を渡る気はないんだろう。しかし、何のためにマリアを保護させようとするのか、目的がわからない……」
ヴィオレッタはマリアを聖女だと断言せず、国にとって有益な存在だと言うに留めた。
何故そう思ったのか、根拠はあるのか。
父親であるミラン公爵や、優秀な兄たちから何か探るよう指示されている可能性もある。
「そんなに深い意味はなく、私の友達をよろしくお願いします……っていう挨拶、とか?」
「どう考えてもそうじゃないだろう、あれは」
「……ですよねぇ。なんというかこう、私は理解した上で口外しませんよ!とでも言わんばかりの様子でしたよねぇ……」
それだけ言い残してさっさと帰って行ったので、ますます彼女の意図がわからない。悪意はなさそうではあるが、それはそれでなんかちょっと怖い。
「もしかすると、ヴィオレッタ嬢も聖女だったりしませんか?」
「それは飛躍しすぎだろう!?」
「だって、彼女が好きな花ってどれも聖女や聖人の肖像画に添えられている花ばかりじゃないですか!何かあるのか疑いたくもなりますよ!!」
小花を沢山咲かせる花は1つ1つの花に高い神聖力が込められているため、大聖堂では女神の花と呼ばれ重宝されている。
聖女も聖人も長年現れていないこの国ではあまり知られておらず、大輪の花こそが美しいという価値観が浸透しているため、ヴィオレッタの好みは貴族令嬢としては珍しい。
「今日の事は陛下になんと説明したらいいのか、まとめるのが難しいですね」
「そのことなんだが、カイル。今日の報告は最低限で済ませてくれ」
「殿下?」
聖女マリアに関することは、どんなに些細なことでも必ず報告するよう厳命されている。
ヴィオレッタがマリアに興味を持ちお茶会に誘ったことは既に報告済みで、二人のお茶会に合流したのも、その場で起こった出来事を陛下に報告するためだ。
(でも、今日の事を陛下に話したら、ヴィオは……)
「あ、わかりました。殿下はヴィオレッタ嬢が注目されるのを避けたいんですね。せっかく愛称呼びが許されたことですし、今のうちに距離を縮めて他の令息たちから一歩リードしましょう!俺は応援しますよ!!」
「い、いや、違、そんなんじゃ……!」
「いいんですよ、殿下。俺は誰にも言いませんからね。えぇ、胸の内に秘めておきますとも」
「いや違うってばたぶん……!僕もまだよくわからないんだって!!」
先刻のヴィオレッタのように”わかってますから!”と言わんばかりの表情でこちらを見てくるカイルから、慌てて目を逸らす。
(最後の発言だけじゃない。今日の彼女には、驚かされてばかりだった)
学園内では生徒は皆平等というのは、ハッキリ言ってただの建前だ。
そもそも、自分たちより家格の低い教師の言うことを聞かない高位貴族の生徒たちを従わせるために、学園側が言い出したこと。
なんだかんだで、ここも社交界の内だ。何事も高位貴族の嫡男が優先され、生徒会に入れるのも伯爵家以上の者と決まっている。カイルだって侯爵家の次男だ。
だけどヴィオレッタの考え方は、それを全て無視するもので。
それが僕には眩しかった。
「ヴィオレッタ嬢は、現時点で既に殿下の婚約者の有力候補ですよね?」
「母上にとっては、ね。僕により良い婚約者をあてがおうと必死だから」
「結果的に堂々と彼女の傍に居られるから、よかったじゃないですか」
「いや、だから、違うからな……!?」
彼女のことは確かに気になるしもっと知りたいと思うが、婚約者として迎え入れたいかどうかはまた違う話だ。彼女の幸せを願うなら、望まない方が良いこともある。
そもそも何故か、僕は彼女に警戒されている。心当たりはまるでない。何故だ。
「とにかく今は、彼女の信頼を得たい……と思う」
警戒せず、マリアに向けるような笑みをこちらにも向けて欲しい。
そこに紐づくのは間違いなく好意だがけど、それがどんな種類のものかは、まだわからない。
誰も入ってこないようしっかり施錠したカイルは、怪訝な顔で喋り出した。
「殿下……ヴィオレッタ嬢はもしかして、全部知ってるんでしょうか」
「そんなことあり得るか……?いや、僕らには知らされてない何か重大な秘密があって、その上でヴィオには知らされてたとか、そういう可能性が……?」
元平民という出自は、他の誰にも知られてはいけないのでくれぐれも気を付けるよう言い含めていたのに、ボロを出しまくるマリア。
それに対し、何も気付いていないフリをして上手く話を合わせてくれたヴィオレッタ。
ここまでなら、ただ察しがいいだけで済ませられた。
が、去り際の発言が問題だった。
あれではヴィオレッタは、マリアが聖女だと知っているとしか思えない。
「核心に迫るようなことは言わず、あくまで匂わせるだけに留めるのも上手いやり方ですね」
「彼女も危ない橋を渡る気はないんだろう。しかし、何のためにマリアを保護させようとするのか、目的がわからない……」
ヴィオレッタはマリアを聖女だと断言せず、国にとって有益な存在だと言うに留めた。
何故そう思ったのか、根拠はあるのか。
父親であるミラン公爵や、優秀な兄たちから何か探るよう指示されている可能性もある。
「そんなに深い意味はなく、私の友達をよろしくお願いします……っていう挨拶、とか?」
「どう考えてもそうじゃないだろう、あれは」
「……ですよねぇ。なんというかこう、私は理解した上で口外しませんよ!とでも言わんばかりの様子でしたよねぇ……」
それだけ言い残してさっさと帰って行ったので、ますます彼女の意図がわからない。悪意はなさそうではあるが、それはそれでなんかちょっと怖い。
「もしかすると、ヴィオレッタ嬢も聖女だったりしませんか?」
「それは飛躍しすぎだろう!?」
「だって、彼女が好きな花ってどれも聖女や聖人の肖像画に添えられている花ばかりじゃないですか!何かあるのか疑いたくもなりますよ!!」
小花を沢山咲かせる花は1つ1つの花に高い神聖力が込められているため、大聖堂では女神の花と呼ばれ重宝されている。
聖女も聖人も長年現れていないこの国ではあまり知られておらず、大輪の花こそが美しいという価値観が浸透しているため、ヴィオレッタの好みは貴族令嬢としては珍しい。
「今日の事は陛下になんと説明したらいいのか、まとめるのが難しいですね」
「そのことなんだが、カイル。今日の報告は最低限で済ませてくれ」
「殿下?」
聖女マリアに関することは、どんなに些細なことでも必ず報告するよう厳命されている。
ヴィオレッタがマリアに興味を持ちお茶会に誘ったことは既に報告済みで、二人のお茶会に合流したのも、その場で起こった出来事を陛下に報告するためだ。
(でも、今日の事を陛下に話したら、ヴィオは……)
「あ、わかりました。殿下はヴィオレッタ嬢が注目されるのを避けたいんですね。せっかく愛称呼びが許されたことですし、今のうちに距離を縮めて他の令息たちから一歩リードしましょう!俺は応援しますよ!!」
「い、いや、違、そんなんじゃ……!」
「いいんですよ、殿下。俺は誰にも言いませんからね。えぇ、胸の内に秘めておきますとも」
「いや違うってばたぶん……!僕もまだよくわからないんだって!!」
先刻のヴィオレッタのように”わかってますから!”と言わんばかりの表情でこちらを見てくるカイルから、慌てて目を逸らす。
(最後の発言だけじゃない。今日の彼女には、驚かされてばかりだった)
学園内では生徒は皆平等というのは、ハッキリ言ってただの建前だ。
そもそも、自分たちより家格の低い教師の言うことを聞かない高位貴族の生徒たちを従わせるために、学園側が言い出したこと。
なんだかんだで、ここも社交界の内だ。何事も高位貴族の嫡男が優先され、生徒会に入れるのも伯爵家以上の者と決まっている。カイルだって侯爵家の次男だ。
だけどヴィオレッタの考え方は、それを全て無視するもので。
それが僕には眩しかった。
「ヴィオレッタ嬢は、現時点で既に殿下の婚約者の有力候補ですよね?」
「母上にとっては、ね。僕により良い婚約者をあてがおうと必死だから」
「結果的に堂々と彼女の傍に居られるから、よかったじゃないですか」
「いや、だから、違うからな……!?」
彼女のことは確かに気になるしもっと知りたいと思うが、婚約者として迎え入れたいかどうかはまた違う話だ。彼女の幸せを願うなら、望まない方が良いこともある。
そもそも何故か、僕は彼女に警戒されている。心当たりはまるでない。何故だ。
「とにかく今は、彼女の信頼を得たい……と思う」
警戒せず、マリアに向けるような笑みをこちらにも向けて欲しい。
そこに紐づくのは間違いなく好意だがけど、それがどんな種類のものかは、まだわからない。
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