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依子のスナック
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「そのラブホテル、サバンナって言うんだよね……」
もう、それって……。
一瞬、さぁと周囲の空間が後ろへ引きさがっていく錯覚に襲われた。
「いやいやいや」と、声を張り上げて笑い飛ばして見せるが、虚しく響くだけであった。
「俺が! 俺がこの携帯拾ったのタマタマなんだろ? にしては出来過ぎてるだろ」
「確かに物凄い偶然だと思う」
「そ、それにさ、普通なら警察へ通報するだろ。あの木村って男は人を殺しそうな雰囲気あったし、タカシだってバカじゃないんだから、殺されると思ったら警察へ逃げるに決まってるって!」
「それは……いや、通報したくても出来なかったんじゃない?」
「なんで通報出来ないんだよ。依子には助けを求めれるのに、警察はダメなのかよ」
「もう勘付いてるんじゃない?」
とカンタは言った。
「スナックだよ」
と彼は続ける。
何をいいたいのか、俺にはさっぱりわからなかった。
「昔さ、俺達が高校生の頃も似たようなの流行っただろ?」
「スナックが、か?」
「お菓子じゃなくて薬物の方」
「いや、知らねえけど。流行ってたの?」
「脱法ドラッグって名前で流行ったでしょ。今は危険ドラッグって言うらしいけど。毎日テレビで報道されてたでしょ」
「だから?」
「スナックが、そのドラッグなんだよ!」
「あー、つまりなんだ? お前はスナックってのがドラックの隠語だっていいたいわけか?」
「シンナーをアンパンって呼んだり、覚せい剤をシャブって呼んだりするのと、なんか同じ臭いがするんだよね。もしタカシが麻薬中毒者だとしたら、警察になんか通報できない。出来るわけないよ、だって自分も捕まっちゃうんだから」
「でも命かかってるんだぞ? 逮捕されるとか言ってらんないだろ」
「だから必死にスナックを欲しがってたんだ。スナックさえあれば、木村さんも許してくれるみたいなニュアンスで言ってただろ。だから取引できるって思ったんだ。結局出来なかったけど」
「考えすぎだって! 第一、このタカシが俺等の知ってる板垣タカシであると確定したわけじゃねぇだろ」
「もう確定だよ!」
「まだわかんねぇじゃねぇか!」
俺は堪らず立ち上がり叫んだ。
突然、ちりんと風鈴が鳴った。
もう、それって……。
一瞬、さぁと周囲の空間が後ろへ引きさがっていく錯覚に襲われた。
「いやいやいや」と、声を張り上げて笑い飛ばして見せるが、虚しく響くだけであった。
「俺が! 俺がこの携帯拾ったのタマタマなんだろ? にしては出来過ぎてるだろ」
「確かに物凄い偶然だと思う」
「そ、それにさ、普通なら警察へ通報するだろ。あの木村って男は人を殺しそうな雰囲気あったし、タカシだってバカじゃないんだから、殺されると思ったら警察へ逃げるに決まってるって!」
「それは……いや、通報したくても出来なかったんじゃない?」
「なんで通報出来ないんだよ。依子には助けを求めれるのに、警察はダメなのかよ」
「もう勘付いてるんじゃない?」
とカンタは言った。
「スナックだよ」
と彼は続ける。
何をいいたいのか、俺にはさっぱりわからなかった。
「昔さ、俺達が高校生の頃も似たようなの流行っただろ?」
「スナックが、か?」
「お菓子じゃなくて薬物の方」
「いや、知らねえけど。流行ってたの?」
「脱法ドラッグって名前で流行ったでしょ。今は危険ドラッグって言うらしいけど。毎日テレビで報道されてたでしょ」
「だから?」
「スナックが、そのドラッグなんだよ!」
「あー、つまりなんだ? お前はスナックってのがドラックの隠語だっていいたいわけか?」
「シンナーをアンパンって呼んだり、覚せい剤をシャブって呼んだりするのと、なんか同じ臭いがするんだよね。もしタカシが麻薬中毒者だとしたら、警察になんか通報できない。出来るわけないよ、だって自分も捕まっちゃうんだから」
「でも命かかってるんだぞ? 逮捕されるとか言ってらんないだろ」
「だから必死にスナックを欲しがってたんだ。スナックさえあれば、木村さんも許してくれるみたいなニュアンスで言ってただろ。だから取引できるって思ったんだ。結局出来なかったけど」
「考えすぎだって! 第一、このタカシが俺等の知ってる板垣タカシであると確定したわけじゃねぇだろ」
「もう確定だよ!」
「まだわかんねぇじゃねぇか!」
俺は堪らず立ち上がり叫んだ。
突然、ちりんと風鈴が鳴った。
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