4 / 12
4
「志也、そろそろ出かけようか。」
器に入っていた粥を全て食べきったあと、ズボンも履くように促された。
「ど、こ行くんですか。」
「....志也を元気にするための場所だよ。」
にこ、と慧さんは笑って答えた。元気にするための場所...?テーマパークとかかな?とワクワクしながら車に乗せられ着いた場所は....
sub専門の診療所だった。
どうしてここに?と尋ねようとしたが抱っこされて手持ち無沙汰になった自分の手首を見つめて分かった。
僕は、舌だけじゃない。身体中が傷だらけだったんだ。手首には手錠で縛られたあとがくっきり着いているし、ちょっと前に殴られた腹部も思い出すと痛いような、気がする。
診療所に来るなり慧さんは僕を診察室に1人きりにした。「すぐにお医者さんが来るからここで待っていて。」と言われたが、椅子に座ること自体慣れていない僕は床に直で座って待っていた。
しばらくすると、診察室に入った時の扉とは反対方向にあった扉が開いて、背が低い、白衣を着た男の人が入ってきた。sub、だろうか。首に細く赤い」首輪が巻き付けられている。カルテをじっと見ていて、こちらは視界に入っていない様子だ。
「こんにちは、えーと志也くんだね、、ってうわ!」
「.....?」
入ってきた男の人は、僕を見るなりすごく驚いた顔で後ずさった。なにか、おかしかったのか。
「うーん、えーと志也、くんで合ってるかな?」
こくり、と頷くとその人はとりあえず椅子に座ろっか、と僕に手を差し出す。
「あー、、うんうん、なるほど。慧くんの言ってたことがちょっとわかったよ。君はご主人様のいることが自然体なんだよね。」
「....。」
よく分からない。目の前の人はわざとらしく指先を顎に当てて、考え込むような仕草をしている。慧さんがなにか言っていたのだろうか。
「あ、僕はここの診療所にいる医者の1人で、奈津と言います。診察するから、ちょっと腕捲るね。」
そう言われてそっと腕を掴まれる。その瞬間、司馬にいつも腕を捻り上げられて拳を振るわれていた事はフラッシュバックする。
怖くなって、逃げないといけないと思って掴まれた腕を振り払って扉のすぐそばまで逃げる。足はほとんど使い物にならないから、走って逃げたというか、犬や猫などのような四足歩行になってしまった。
「うーん、怖がられちゃったか...」
苦笑いをこぼしたナツさんは、僕の視線に合うように近づいてしゃがみこむ。
「ちょっとまっててね。さすがにいきなりは怖かったね、ごめん。」
そう言い残してナツさんは扉を開けて診察室を出ていった。すぐにナツさんが、「慧くーん」と呼ぶ声が聞こえる。
ガラリと後ろの扉が開いたかと思ったら、慧さんの姿がドアップで映される。
「志也、怖かったね。大丈夫、後は僕も一緒にいるからね。」
そう言って慧さんは僕の手を引き、椅子のそばまで移動させる。
「ナツ、クッションとかあるかな。」
「あるよ、持ってくるね。」
しばらくすると、僕の足とゆかの間にフカフカとしたクッションが敷かれた。ずっと小屋で過ごしていた時に毎日使っていたブランケットとは全く違うサラサラふわふわの触り心地を不思議に思い、ずっとそのクッションを撫でていた。
◇◇◇
「ナツ、志也のこと、どう思う?」
「どうって、、そりゃあ健康状態は地の底で最悪だけど、、、慧くんが聞きたいのはそっちじゃないでしょ?」
撫でられて心地よくなっている間、ナツさんと慧さんはなにかを話している様子だった。2人とも顔が険しいから、どうしたのかと思って慧さんの方を見あげるとふわっと足が浮いて腕に抱きしめられた。
まるで安心していい、と言わんばかりのその行動に嬉しくなって、慧さんの胸にすりすりと顔を擦り付けた。
「うーん、まあ、慧くんが責任もって飼えるって言うんなら、僕は別に問題じゃないと思ってるよ。無理に人馴れさせる必要も無いし。」
「そうだなあ、でも、その前にやらなきゃいけないことが結構ありそうだ。まあ、飼うつもりではあるけど。」
「ありゃあ、、訳ありっぽいもんねぇ、、でも、志也くんも慧くんに懐いてるみたいだし、いいんじゃない?」
「はは、ありがとう。じゃあ、今日は薬だけ処方してもらうよ。」
「うん、お気をつけてね~。」
なんだか、体が揺れているような気がする。目をうっすら開くと僕はもう既に車の中に戻っていた。どうやらすっかり寝てしまっていたようだ。
隣を見ると、たくましい手でハンドルを握る慧さんの姿があった。僕がじっと見ていることに気がついたのか、慧さんは気まぐれに僕の頭を撫でてくれて。
なんだかずっと、胸がぽかぽかしていた。
器に入っていた粥を全て食べきったあと、ズボンも履くように促された。
「ど、こ行くんですか。」
「....志也を元気にするための場所だよ。」
にこ、と慧さんは笑って答えた。元気にするための場所...?テーマパークとかかな?とワクワクしながら車に乗せられ着いた場所は....
sub専門の診療所だった。
どうしてここに?と尋ねようとしたが抱っこされて手持ち無沙汰になった自分の手首を見つめて分かった。
僕は、舌だけじゃない。身体中が傷だらけだったんだ。手首には手錠で縛られたあとがくっきり着いているし、ちょっと前に殴られた腹部も思い出すと痛いような、気がする。
診療所に来るなり慧さんは僕を診察室に1人きりにした。「すぐにお医者さんが来るからここで待っていて。」と言われたが、椅子に座ること自体慣れていない僕は床に直で座って待っていた。
しばらくすると、診察室に入った時の扉とは反対方向にあった扉が開いて、背が低い、白衣を着た男の人が入ってきた。sub、だろうか。首に細く赤い」首輪が巻き付けられている。カルテをじっと見ていて、こちらは視界に入っていない様子だ。
「こんにちは、えーと志也くんだね、、ってうわ!」
「.....?」
入ってきた男の人は、僕を見るなりすごく驚いた顔で後ずさった。なにか、おかしかったのか。
「うーん、えーと志也、くんで合ってるかな?」
こくり、と頷くとその人はとりあえず椅子に座ろっか、と僕に手を差し出す。
「あー、、うんうん、なるほど。慧くんの言ってたことがちょっとわかったよ。君はご主人様のいることが自然体なんだよね。」
「....。」
よく分からない。目の前の人はわざとらしく指先を顎に当てて、考え込むような仕草をしている。慧さんがなにか言っていたのだろうか。
「あ、僕はここの診療所にいる医者の1人で、奈津と言います。診察するから、ちょっと腕捲るね。」
そう言われてそっと腕を掴まれる。その瞬間、司馬にいつも腕を捻り上げられて拳を振るわれていた事はフラッシュバックする。
怖くなって、逃げないといけないと思って掴まれた腕を振り払って扉のすぐそばまで逃げる。足はほとんど使い物にならないから、走って逃げたというか、犬や猫などのような四足歩行になってしまった。
「うーん、怖がられちゃったか...」
苦笑いをこぼしたナツさんは、僕の視線に合うように近づいてしゃがみこむ。
「ちょっとまっててね。さすがにいきなりは怖かったね、ごめん。」
そう言い残してナツさんは扉を開けて診察室を出ていった。すぐにナツさんが、「慧くーん」と呼ぶ声が聞こえる。
ガラリと後ろの扉が開いたかと思ったら、慧さんの姿がドアップで映される。
「志也、怖かったね。大丈夫、後は僕も一緒にいるからね。」
そう言って慧さんは僕の手を引き、椅子のそばまで移動させる。
「ナツ、クッションとかあるかな。」
「あるよ、持ってくるね。」
しばらくすると、僕の足とゆかの間にフカフカとしたクッションが敷かれた。ずっと小屋で過ごしていた時に毎日使っていたブランケットとは全く違うサラサラふわふわの触り心地を不思議に思い、ずっとそのクッションを撫でていた。
◇◇◇
「ナツ、志也のこと、どう思う?」
「どうって、、そりゃあ健康状態は地の底で最悪だけど、、、慧くんが聞きたいのはそっちじゃないでしょ?」
撫でられて心地よくなっている間、ナツさんと慧さんはなにかを話している様子だった。2人とも顔が険しいから、どうしたのかと思って慧さんの方を見あげるとふわっと足が浮いて腕に抱きしめられた。
まるで安心していい、と言わんばかりのその行動に嬉しくなって、慧さんの胸にすりすりと顔を擦り付けた。
「うーん、まあ、慧くんが責任もって飼えるって言うんなら、僕は別に問題じゃないと思ってるよ。無理に人馴れさせる必要も無いし。」
「そうだなあ、でも、その前にやらなきゃいけないことが結構ありそうだ。まあ、飼うつもりではあるけど。」
「ありゃあ、、訳ありっぽいもんねぇ、、でも、志也くんも慧くんに懐いてるみたいだし、いいんじゃない?」
「はは、ありがとう。じゃあ、今日は薬だけ処方してもらうよ。」
「うん、お気をつけてね~。」
なんだか、体が揺れているような気がする。目をうっすら開くと僕はもう既に車の中に戻っていた。どうやらすっかり寝てしまっていたようだ。
隣を見ると、たくましい手でハンドルを握る慧さんの姿があった。僕がじっと見ていることに気がついたのか、慧さんは気まぐれに僕の頭を撫でてくれて。
なんだかずっと、胸がぽかぽかしていた。
あなたにおすすめの小説
【BL】捨てられたSubが甘やかされる話
橘スミレ
BL
渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。
もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。
オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。
ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。
特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。
でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。
理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。
そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!
アルファポリス限定で連載中
飼われる側って案外良いらしい。
なつ
BL
20XX年。人間と人外は共存することとなった。そう、僕は朝のニュースで見て知った。
向こうが地球の平和と引き換えに、僕達の中から選んで1匹につき1人、人間を飼うとかいう巫山戯た法を提案したようだけれど。
「まあ何も変わらない、はず…」
ちょっと視界に映る生き物の種類が増えるだけ。そう思ってた。
ほんとに。ほんとうに。
紫ヶ崎 那津(しがさき なつ)(22)
ブラック企業で働く最下層の男。顔立ちは悪くないが、不摂生で見る影もない。
変化を嫌い、現状維持を好む。
タルア=ミース(347)
職業不詳の人外、Swis(スウィズ)。お金持ち。
最初は可愛いペットとしか見ていなかったものの…?
2025/09/12 ★1000 Thank_You!!
人気アイドルの俺、なぜかメンバー全員に好かれてます
七瀬
BL
デビュー4年目の人気アイドルグループ「ECLIPSE(エクリプス)」に所属する芹沢 美澄(せりざわみすみ)は、昔からどこか抜けていてマイペースな性格。
歌もダンスも決して一番ではないはずなのに、なぜかファンからもメンバーからも目を離されない存在だった。
世話焼きな幼なじみ、明るく距離の近い同い年、しっかり者で面倒見のいい年上、掴みどころのない自由人、そして無言で隣にいるリーダー——。
気づけば、美澄の周りにはいつも誰かがいて、当たり前のように甘やかされていく。
世界で一番優しいKNEELをあなたに
珈琲きの子
BL
グレアの圧力の中セーフワードも使えない状態で体を弄ばれる。初めてパートナー契約したDomから卑劣な洗礼を受け、ダイナミクス恐怖症になったSubの一希は、自分のダイナミクスを隠し、Usualとして生きていた。
Usualとして恋をして、Usualとして恋人と愛し合う。
抑制剤を服用しながらだったが、Usualである恋人の省吾と過ごす時間は何物にも代えがたいものだった。
しかし、ある日ある男から「久しぶりに会わないか」と電話がかかってくる。その男は一希の初めてのパートナーでありSubとしての喜びを教えた男だった。
※Dom/Subユニバース独自設定有り
※やんわりモブレ有り
※Usual✕Sub
※ダイナミクスの変異あり
隠れSubは大好きなDomに跪きたい
みー
BL
ある日ハイランクDomの榊千鶴に告白してきたのは、Subを怖がらせているという噂のあの子でー。
更新がずいぶん遅れてしまいました。全話加筆修正いたしましたので、また読んでいただけると嬉しいです。
不透明な君と。
pAp1Ko
BL
Dom/Subユニバースのお話。
Dom(美人、細い、色素薄め、一人称:僕、168cm)
柚岡璃華(ユズオカ リカ)
×
Sub(細マッチョ、眼鏡、口悪い、一人称:俺、180cm)
暈來希(ヒカサ ライキ)
Subと診断されたがランクが高すぎて誰のcommandも効かず、周りからはNeutralまたは見た目からDomだと思われていた暈來希。
小柄で美人な容姿、色素の薄い外見からSubだと思われやすい高ランクのDom、柚岡璃華。
この二人が出会いパートナーになるまでのお話。
完結済み、5日間に分けて投稿。
待てって言われたから…
ゆあ
BL
Dom/Subユニバースの設定をお借りしてます。
//今日は久しぶりに津川とprayする日だ。久しぶりのcomandに気持ち良くなっていたのに。急に電話がかかってきた。終わるまでstayしててと言われて、30分ほど待っている間に雪人はトイレに行きたくなっていた。行かせてと言おうと思ったのだが、会社に戻るからそれまでstayと言われて…
がっつり小スカです。
投稿不定期です🙇表紙は自筆です。
華奢な上司(sub)×がっしりめな後輩(dom)