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「国王ってのは随分他人任せなんだな。」
「神子様に関しては教会側の方が知識があるからでしょう。陛下もご多忙のため、任せられる事は任せてしまおうというのが正直なところでしょうが。」
「へぇ。教会は随分信用されてんだ。」
「信用、というよりは、お互いがお互いに依存した政治形態からくるものが大きいかと。今のところ、どちらも現状維持が1番の安全策です。」
「へぇ。そういえばギルドマスターにはいつ会える?3ヶ月は猶予があるが、街の様子を探るには早い方がいい。」
アンタの都合もあるだろ?と冬は言う。
「その件についてはご安心ください。フユ様をお送りした後、街をご案内出来るように進言しておきますので。」
「助かるわ。じゃあ明日その足で会わせてもらえんだな。」
「えぇ。そのように。」
「あとさ、俺はもう平民になる訳だから、その口調やめてくんねぇか?騎士サマが一般人にそんなかしこまってたら目立つ。」
「えっ、あぁ。そうだな。分かった。」
「ん。今日の予定ってもう終わりだよな?」
「あぁ。あとは夕食をとって終了だ。俺はそれまでここに居る。」
分かった。と冬は伸びをする。
そしておもむろに、飾ってある花に手を伸ばした。
指先で花びらに触れ、少し力を込める。
するとパキン、と音を立てて花瓶ごと凍りついた。
「ありゃ。花だけ凍らせたかったんだけどな。」
んー。と考える素振りをして、今度はグッと拳を握る。
花瓶は音を立てて砕け散った。
「俺が壊したってナイショな。」
と悪戯っぽく笑う冬に、フレデリクの心臓が跳ねる。
今度は指先から影を伸ばす冬。
それは雫のようにポタポタと床に落ち、飛び散った破片をひとつずつ飲み込んでゆく、
全ての破片を飲み込み終わると、ズルズルと机の上に集まる影。
それを指先でツ、となぞれば、次第に花瓶の形が形成されてゆく。
影はまるで金継ぎのように、破片と破片を繋ぎ合わせ、花瓶は元の形に戻った。
冬がふ、と力を抜くと、影は消え、花瓶はパラパラとまた破片に姿を変えた。
フレデリクはその精度の高さに目を見開く。
「やっぱ氷よりこっちのがしっくりくるな。」
冬は手のひらに影絵のような花を形成させながら呟く。
「……本当に、規格外だな。」
なんでもないようにやってのけているその全てが、並の人間では到底出来ない代物だと言うことに冬は気付いていない。
フレデリクはため息混じりに笑う。
しばらく冬の魔法を試す姿を観察していると、侍女が夕食を持ってやってきた。
冬は侍女に向かって、
「悪ぃけどこれ、持ってってくんね?」
と集めた破片を侍女が持つトレーに乗せた。
話しかけられた侍女は顔を真っ赤にさせ、なんとか声を振り絞り、承知しました……とぺこりとお辞儀をして退出する。
そんな様子気にしてないというように、冬は並べられた食事に手をつけはじめた。
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