どちらの世界にしろ変わらないが、こっちの方が性に合ってる気もする

隠ノ茸

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先程に比べ閑静な通りを進んで行った先にあったのは、こじんまりとした宿屋だった。

 3階建ての木造。窓の数から推測するに1つのフロアに5部屋程のようだ。
 中に入れば1階は受付と、その奥は食堂のようなスペースになっていた。

「いらっしゃい。ってフレデリク様じゃないかい。」

 受付にいたのは恰幅のいい女性だった。
 フレデリクを見てお元気そうで。と笑う。

 流石平民上がりの副隊長。街ではやはり有名のようだ。

「あぁ。彼に部屋を貸してほしい。」

「なんだ訳ありかい?期間は?」

「とりあえず3ヶ月。場合によっては延長する。」

 と冬は答える。

「まあまあの長期滞在だね。ここに名前書いて。部屋代は1ヶ月5万ルナ。2ヶ月以上の滞在の場合は前金で1週間分払ってもらうよ。」

 名簿のようなものを差し出して女店主が言う。

「問題ない。」

 冬は袋から金を取りだし、名簿にサインした。

「黙ってておいてほしい事があるなら口止め料を貰うけど、フレデリク様の紹介だ。少しはまけとくよ?」

 店主はハッハッハと豪快に笑う。

 なるほど騎士の前でこの発言。おそらくこれがこの国の常識なのだろう。

「いや、必要ない。まあ今後あればきちんと払うよ。」

 と冬が言えば、更に店主は笑うのだった。

「いいねぇ。よくよく見なくてもいい男じゃないかい。なんかあれば何時でも言いな。サービスするよ。」

 じゃ、これが部屋の鍵ね。と差し出されたそれには、305と書かれていた。

「そりゃどうも。じゃ、世話になるわ。」

 そう言い残し、フレデリクと共に受付の隣にある階段を上る。

 305と記された部屋のドアを開ければ、簡素だが清潔感のある部屋が現れた。

 窓際には木製の机と椅子。シングルサイズのベッドと小さなクローゼットもある。
 小さなキッチンの戸棚を開ければ、必要最低限の食器が入っていた。
 奥にはバスルーム。小さいがバスタブも付いている。

「これで1ヶ月5万か。充分すぎるくらいだな。」

 とりあえず宿は問題なさそうだ。

「そうか。大体これが一般的な宿屋と思っていい。あとは1階で食事も摂れる。別料金がかかるが値段も手頃だ。」

「そりゃいいな。」

 冬は部屋を大方見終わり顔を上げる。

「んじゃ、次行くか。」

「あぁ。ギルドはここから歩いて数分だ。」

 部屋の鍵をしっかりと閉めて外へ出る。

 少し歩けば大きな建物が見えてきた。
 先程の宿屋と違い、レンガ造りで窓にはステンドグラスのような装飾が見える。

「結構立派なんだな。ギルドってのは。」

「まあここが特別でかいというのもある。ギルドによって様々だ。」

「へぇ。」

「1階は受付と酒場、2階は一応宿になって居るがオススメはしない。3階がギルドマスターの部屋だ。」

「住んでんのか?」

「いや。事務室のようなものだ。まあ基本的にそこに居る。」

「ふぅん。」

 重厚なドアを開ければ、カランカランとベルが鳴った。
 それと共に騒がしい喧騒が聴こえてくる。

 酒やタバコ、食べ物の匂いに混ざって、少しだけ血の匂いが鼻をつく。

 辺りを見回し、冬は

「なるほどな。ギルドってのがどんな所か大体理解したわ。」

 と遠い目をした。
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