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第二話 真夜中のバーで
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「なぜ人為的な努力をして得た能力を、自分本来の力だと思ってはいけないか、わかるかい?」
神さまはこちらを見ずに質問をしてきた。
ナツはよくわからなかったので水を飲んで誤魔化した。
「危険だからだよ!出来ないことに身の程知らずのショックを受けたり、コントロールできない力を振りまわして周りを傷つけたり」
神さまはため息をして笑った。
「例えば人間の話をしよう。人間は高い知能のおかげで、たいへん不自然な努力をするようになった。不気味で醜い努力だ。他の生き物が努力などするかい?かれらは天真爛漫に与えられたままの能力で生き、美しく死ぬ。変化があるとしたら、膨大な時間の中で起こる遺伝子レベルの変化だ。それは努力とは言わない。神の天啓だ。何度も言うが、人間の努力を否定するわけでは無い。
人間以外の生き物を追いやり虐待し、地球のバランスを壊しても。それでもなお人間の健気な努力を否定しない。私たちは懐が深いだろう?君ら人間ではこうはいかない。そうだろう?ヒステリックに喚き散らして殺し合い奪い合うのが目に見えるようだ。そうして行き着いた先が、弱いものは生きるために生き、強いものは脳内の快楽物質のために生きている。話が脱線してしまった」
神さまはうつむいて、手元のグラスに口をつけた。
泣いている人のようにも見えた。
「個人レベルでも生まれながらの能力と後から身につけた能力を区別することだ。混同して勘違いをしてはいけない。人間の生まれながらの能力は一万年前と大差ないだろう?裸で草原に置かれて何ができる。しかし生得から切り離された努力の結晶体は神の入り口にいる。大したものだが、それは人間自身ではない。自分自身でないものは完全にはコントロールできない。当たり前だ。間違いの無い世界がどこにある?DNAでも間違えるのに」
神さまはナツのおでこに軽くキスをした。
「私が言えるのはここまでだ。おまえはせめて勘違いせずに生きなさい。それがおまえの幸せにつながる」
風が吹いて、前髪がゆれた。
ナツは水を飲んだ。おいしいと思った。
神さまはこちらを見ずに質問をしてきた。
ナツはよくわからなかったので水を飲んで誤魔化した。
「危険だからだよ!出来ないことに身の程知らずのショックを受けたり、コントロールできない力を振りまわして周りを傷つけたり」
神さまはため息をして笑った。
「例えば人間の話をしよう。人間は高い知能のおかげで、たいへん不自然な努力をするようになった。不気味で醜い努力だ。他の生き物が努力などするかい?かれらは天真爛漫に与えられたままの能力で生き、美しく死ぬ。変化があるとしたら、膨大な時間の中で起こる遺伝子レベルの変化だ。それは努力とは言わない。神の天啓だ。何度も言うが、人間の努力を否定するわけでは無い。
人間以外の生き物を追いやり虐待し、地球のバランスを壊しても。それでもなお人間の健気な努力を否定しない。私たちは懐が深いだろう?君ら人間ではこうはいかない。そうだろう?ヒステリックに喚き散らして殺し合い奪い合うのが目に見えるようだ。そうして行き着いた先が、弱いものは生きるために生き、強いものは脳内の快楽物質のために生きている。話が脱線してしまった」
神さまはうつむいて、手元のグラスに口をつけた。
泣いている人のようにも見えた。
「個人レベルでも生まれながらの能力と後から身につけた能力を区別することだ。混同して勘違いをしてはいけない。人間の生まれながらの能力は一万年前と大差ないだろう?裸で草原に置かれて何ができる。しかし生得から切り離された努力の結晶体は神の入り口にいる。大したものだが、それは人間自身ではない。自分自身でないものは完全にはコントロールできない。当たり前だ。間違いの無い世界がどこにある?DNAでも間違えるのに」
神さまはナツのおでこに軽くキスをした。
「私が言えるのはここまでだ。おまえはせめて勘違いせずに生きなさい。それがおまえの幸せにつながる」
風が吹いて、前髪がゆれた。
ナツは水を飲んだ。おいしいと思った。
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