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幕開け
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おなかもだいぶ満たされた僕たちは、食堂の外に出る。すると、入るときは気づかなかったが、あのカップルリングを
売っている露店が隣にあることに気づく。垂れ幕からぶら下がっている紹介文にはビカビカとした字で、”あなたの恋を応援します!”とか”持っているだけであら不思議、みるみる勇気が湧いてくる!”とか”今から告白をするあなたを一押し!!”とか書かれていた。
……恋、…告白……。夏祭りのジンクスねぇ…。僕も買おうかな…。や、でも、渡すにしてもリュークさんはこういう人が多いところあんまり好きじゃないから来ないだろうな…。
…。
……。
…え、ちょ、ちょっと待って。え?いやいや、なんでいまリュークさんのこと考えちゃったかなぁ!?えぇ~?いやいや、全然そんなことないのに…!!やだな~、僕ったら…。
「もしかして、ちょっと気になってるの?」突然、横からひょこっと顔をのぞかせながら言ってくるソーン君。
「へっ?いや!全然!!!気になってないよ!???どんなのかなってちょっと気になっただけで…。」
「え、買わないの?僕シンプルにデザイン気に入っちゃったから買いたいんだけど、2人で買わない?」
「え?」
「カップルリングたって、親友同士が買っちゃいけないわけじゃないでしょ?それと、僕アルとずっと一緒にいたいなと思ってるんだけど…だめ?」2つのリングをもって顔の前で揺らすソーン君。え、かわいい…。
「……ううん、ダメじゃない!買おう、一緒に買おう!!」
ソーン君と二人で指輪を買い、二人とも左手の親指につける。
「…サイズ見ないで買っちゃったから、ちょっと大きいね…。」
「うん、ほら親指でもちょっと緩い…。けど、やっぱりお揃いうれしいな!一緒に買ってくれてありがとうね、ソーン君。」
初めての親友とのお揃いにテンションが上がり、ソーン君の指輪と僕の指輪を見比べてはにやにやしちゃう…。
王都を彩る露店には、各国から取り寄せた特産品や郷土料理、伝統工芸品などたくさんの品物が並べられていたが、相変わらず僕たちの目には食べ物しか映っていなかった。
シンは見境なくおいしそうだと思ったものは何でもおなかに入れ、リーンだって「甘いものは別腹。」と言いながらパウンドケーキを頬張っている。かくいう僕もパンケーキみたなのを箸に巻いたものを食べている。…ん、これめちゃ美味しい…。
「え~なにあれ、すんごく綺麗なんだけど!!」唐突にリーンがそう叫び、すぐ近くの露店に駆け寄った。気になった僕たちもリーンのそばに行く。
「うわ、すごい…。宝石みたい…。」そこには、南国の特産品であるガラス玉が売られていた。
「太陽に透かして見るとめちゃくちゃきらきらする!これ、面白い!!」
「見て!これとか、見る角度によって色が変わるよ!!」
「ほんとだ!!不思議~!」普段はあまり見かけない代物に興奮して一つ一つを手にとっては光を当てる僕ら。
その中で、ソーン君がじっと一点を見ていることに気づいた。視線の先には、緑色に輝くガラス玉が飾られていた。
…緑、緑か…。どこかで見たこと…。あ!…あぁ~…!カイルさんの目の色だぁ…。へぇ…。ちょっとからかってみよっかな…?
「それ、買うの?」僕は素知らぬ顔で聞いてみる。
「うん。これめちゃくちゃカイルさんの目の色に似てない?この後会う約束してるからプレゼントしよっかなって。」
「へ、へぇ…。そう。」思っていたのと違う反応が返ってきて思わず拍子抜けしてしまう。というか、ちゃっかり会う約束までしてるんだ…。そういえばさっきカップルリングもう一個買ってたな...。
「アルはこっちでしょ?」そう言いソーン君は真っ黒のガラス玉を差し出してくる。うわ、すっごいリュークさんの目みたい…。綺麗だなぁ…。…って、
「えぇ!?いやいや何言ってんの!?『こっちでしょ?』って!な、なに!?しかも、く、黒って…。」
「それだけじゃないよ。ほら、こっちから見たら茶色っぽくない?」
「え、うそ。あ、ほんとだぁ…。いやこれ、茶色っていうか琥珀色じゃん。……じゃなくて!買わないよ?え、買わないよ??」
「買わないの?本当に?ほら、すっごい神秘的じゃない?」
「し、神秘的…。ではあるけど!!べ、別に僕ガラス玉に興味ないし…。」
「自分用じゃなくても、誰かにあげたら?ほら、好きな人とか。」
「いや!!そんなの!!好きな人なんて!!い、いないし…!??」
「ほんとにぃ~?」にやにやしながら持っているガラス玉を掌で転がすソーン君。思わぬ反撃にうろたえた僕は助けを求めるべくお兄ちゃんに近づいたが、
「あ、痛…。」よく前も見ずに走り出したもんだから、誰かにぶつかってしまった。
「す、すみません…。…て、あれ……。」
「アルス君!!偶然だね~!」
ぶつかった相手はまさかのカルロ殿下だった。その隣にはメルロス殿下も立っていた。
「カルロ殿下?王宮出てきてもいいのか?今日忙しいって…。」お兄ちゃんもあわてて駆け寄ってくる。
「どうしてもメルロスが出たいって言うから…。」
「え、それ兄貴でしょ?俺別に…「お前が言ったんだろ?」
「うん、俺が出たいって言った。」
...メルロス殿下も大変だな...。
「…ところで、アラン。今日は夜までいるのか?」
「今日は新月だし、こいつらも花火を見たいだろうから……はい、いると思います。」
「そうか、そうか…。花火も見るのか…。よし…。」
…....あの~、にやにやしているとこ非常に申し上げにくいのですが......…殿下、その人さっきジンクスだとか馬鹿にして鼻で笑ってましたよ……。
「じゃあ、俺忙しいから戻るわ。また、花火会場でな!」と言い残し、足早に去っていくカルロ殿下とメルロス殿下。
そんな2人を見送りながらお兄ちゃんが呟く。
「カルロ殿下、忙しいのに何しに来たんだろうな。」
「さぁ、確認しに来たんじゃないの?一緒に花火見れるかどうか。」
「え、誰と?」本当に分からないという顔をする鈍感なお兄ちゃんに呆れる僕たち…。
お兄ちゃん…大丈夫かな…。
売っている露店が隣にあることに気づく。垂れ幕からぶら下がっている紹介文にはビカビカとした字で、”あなたの恋を応援します!”とか”持っているだけであら不思議、みるみる勇気が湧いてくる!”とか”今から告白をするあなたを一押し!!”とか書かれていた。
……恋、…告白……。夏祭りのジンクスねぇ…。僕も買おうかな…。や、でも、渡すにしてもリュークさんはこういう人が多いところあんまり好きじゃないから来ないだろうな…。
…。
……。
…え、ちょ、ちょっと待って。え?いやいや、なんでいまリュークさんのこと考えちゃったかなぁ!?えぇ~?いやいや、全然そんなことないのに…!!やだな~、僕ったら…。
「もしかして、ちょっと気になってるの?」突然、横からひょこっと顔をのぞかせながら言ってくるソーン君。
「へっ?いや!全然!!!気になってないよ!???どんなのかなってちょっと気になっただけで…。」
「え、買わないの?僕シンプルにデザイン気に入っちゃったから買いたいんだけど、2人で買わない?」
「え?」
「カップルリングたって、親友同士が買っちゃいけないわけじゃないでしょ?それと、僕アルとずっと一緒にいたいなと思ってるんだけど…だめ?」2つのリングをもって顔の前で揺らすソーン君。え、かわいい…。
「……ううん、ダメじゃない!買おう、一緒に買おう!!」
ソーン君と二人で指輪を買い、二人とも左手の親指につける。
「…サイズ見ないで買っちゃったから、ちょっと大きいね…。」
「うん、ほら親指でもちょっと緩い…。けど、やっぱりお揃いうれしいな!一緒に買ってくれてありがとうね、ソーン君。」
初めての親友とのお揃いにテンションが上がり、ソーン君の指輪と僕の指輪を見比べてはにやにやしちゃう…。
王都を彩る露店には、各国から取り寄せた特産品や郷土料理、伝統工芸品などたくさんの品物が並べられていたが、相変わらず僕たちの目には食べ物しか映っていなかった。
シンは見境なくおいしそうだと思ったものは何でもおなかに入れ、リーンだって「甘いものは別腹。」と言いながらパウンドケーキを頬張っている。かくいう僕もパンケーキみたなのを箸に巻いたものを食べている。…ん、これめちゃ美味しい…。
「え~なにあれ、すんごく綺麗なんだけど!!」唐突にリーンがそう叫び、すぐ近くの露店に駆け寄った。気になった僕たちもリーンのそばに行く。
「うわ、すごい…。宝石みたい…。」そこには、南国の特産品であるガラス玉が売られていた。
「太陽に透かして見るとめちゃくちゃきらきらする!これ、面白い!!」
「見て!これとか、見る角度によって色が変わるよ!!」
「ほんとだ!!不思議~!」普段はあまり見かけない代物に興奮して一つ一つを手にとっては光を当てる僕ら。
その中で、ソーン君がじっと一点を見ていることに気づいた。視線の先には、緑色に輝くガラス玉が飾られていた。
…緑、緑か…。どこかで見たこと…。あ!…あぁ~…!カイルさんの目の色だぁ…。へぇ…。ちょっとからかってみよっかな…?
「それ、買うの?」僕は素知らぬ顔で聞いてみる。
「うん。これめちゃくちゃカイルさんの目の色に似てない?この後会う約束してるからプレゼントしよっかなって。」
「へ、へぇ…。そう。」思っていたのと違う反応が返ってきて思わず拍子抜けしてしまう。というか、ちゃっかり会う約束までしてるんだ…。そういえばさっきカップルリングもう一個買ってたな...。
「アルはこっちでしょ?」そう言いソーン君は真っ黒のガラス玉を差し出してくる。うわ、すっごいリュークさんの目みたい…。綺麗だなぁ…。…って、
「えぇ!?いやいや何言ってんの!?『こっちでしょ?』って!な、なに!?しかも、く、黒って…。」
「それだけじゃないよ。ほら、こっちから見たら茶色っぽくない?」
「え、うそ。あ、ほんとだぁ…。いやこれ、茶色っていうか琥珀色じゃん。……じゃなくて!買わないよ?え、買わないよ??」
「買わないの?本当に?ほら、すっごい神秘的じゃない?」
「し、神秘的…。ではあるけど!!べ、別に僕ガラス玉に興味ないし…。」
「自分用じゃなくても、誰かにあげたら?ほら、好きな人とか。」
「いや!!そんなの!!好きな人なんて!!い、いないし…!??」
「ほんとにぃ~?」にやにやしながら持っているガラス玉を掌で転がすソーン君。思わぬ反撃にうろたえた僕は助けを求めるべくお兄ちゃんに近づいたが、
「あ、痛…。」よく前も見ずに走り出したもんだから、誰かにぶつかってしまった。
「す、すみません…。…て、あれ……。」
「アルス君!!偶然だね~!」
ぶつかった相手はまさかのカルロ殿下だった。その隣にはメルロス殿下も立っていた。
「カルロ殿下?王宮出てきてもいいのか?今日忙しいって…。」お兄ちゃんもあわてて駆け寄ってくる。
「どうしてもメルロスが出たいって言うから…。」
「え、それ兄貴でしょ?俺別に…「お前が言ったんだろ?」
「うん、俺が出たいって言った。」
...メルロス殿下も大変だな...。
「…ところで、アラン。今日は夜までいるのか?」
「今日は新月だし、こいつらも花火を見たいだろうから……はい、いると思います。」
「そうか、そうか…。花火も見るのか…。よし…。」
…....あの~、にやにやしているとこ非常に申し上げにくいのですが......…殿下、その人さっきジンクスだとか馬鹿にして鼻で笑ってましたよ……。
「じゃあ、俺忙しいから戻るわ。また、花火会場でな!」と言い残し、足早に去っていくカルロ殿下とメルロス殿下。
そんな2人を見送りながらお兄ちゃんが呟く。
「カルロ殿下、忙しいのに何しに来たんだろうな。」
「さぁ、確認しに来たんじゃないの?一緒に花火見れるかどうか。」
「え、誰と?」本当に分からないという顔をする鈍感なお兄ちゃんに呆れる僕たち…。
お兄ちゃん…大丈夫かな…。
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