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第27話
しおりを挟むジェイクは、夢のなかで何度もロンファを抱いていた。青年のあえぎ声を聞きながら腰を突く。夢だと承知しているからこそ、遠慮なく抱くことができた。生身のロンファは痩せ型につき、加減をまちがえると、簡単に骨が折れそうなくらい、細い手足をしていた。
「ロンファ……」
「ジ、ジェイク……さん……っ」
快楽の海に溺れていると、なぜか絶頂するまえに目が覚める。そんな朝を迎えることが増えたジェイクだが、実際のところ、微妙な関係が続いていた。雨や曇の日以外は、真夜中の砂浜で逢瀬をくり返していたが、これといった進展はなく、もとより、ジェイクもロンファも口数が少ない性格につき、たいして会話が発生しなかった。海岸を歩いたり、岩場に座って月光浴をしたり、波に足を浸したりと、もどかしい時間が流れている。
「……ふう」
便所の個室で生理現象の後始末をしたジェイクは、顔と手を洗うと、食堂へ移動した。クムザとリェータが、せまい炊事場で朝飯の準備をしている。
「おはようございます」
「ジェイクか、おはようさん」
「ジェイクさま、おはようございます!」
最近は3人で食事をとることが多くなった。プルプァとリェータは、日替わりで掃除などの手伝いをしているため、ジェイクと顔を合わせる機会が多い。プルプァに至っては、将来、クムザの後を継ぎたいと考えていた。
「ジェイクさま、きょうのお魚は塩焼きですよ。今、そっちへ持っていきますね」
といって笑顔を見せるリェータに、ちょっとした変化があらわれた。白いレース編みの前掛けを身につけている。うしろ姿は小さな尻が丸見えのままだが、胸や恥部はきちんと隠れているため、ジェイクは視線を泳がせる必要がなくなった。
「ヴィオレッタに作ってもらったのか」
「え? あ、はい。そうなの! お母さんにね、ジェイクさまはふだん、クムザのおじいちゃんのところにいるよって話たら、じゃあわたしに用にって送ってくれたの」
「賢明な判断だ」
リェータは食堂の机に配膳すると、ジェイクの前で、くるりと回ってみせた。大きめのリボンとポケットがついている。ヴィオレッタは、歓迎の祭で遠目からジェイクの寸法を測り、躰にぴたりと合う一張羅を仕立てあげてみせた。しっかりとした細かな縫い目から、彼女の裁縫技術の高さがうかがえる。
「いただきます」
といって箸をとり、ひとまず空腹を満たしたジェイクは、長方形の窓から見える青い海へ目を留めた。ロンファに会いたいと思う気持ちは、日増しに募るばかりである。ザーンッという、穏やかな波の音に耳をすませ、静かに食堂をあとにした。
✓つづく
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