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4 侍女になるにあたってのあれこれ 1
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「はい」
返事をすると、見知らぬ女性が入って来た。
伯爵家のメイドではない。
お仕着せらしい服も、茶のワンピースに白のエプロン、髪は白い頭巾でしっかりと隠されている。
「お加減はいかがですか?」
丁寧に尋ねられて、私は目をまたたいた。
まるで令嬢みたいな対応をされて、びっくりしたのだ。
「だ、大丈夫です。ところでここは?」
この部屋、どこなんだろう?
リリとして寝泊りしていた部屋ではない。
それよりもずっと広くて、壁も綺麗に白漆喰が塗られている。
貴族の部屋とまではいかないものの、柱の角まで削られていて、絵画まで飾られている。
かといって、伯爵家にこんな部屋は……あるとしたら、家令やメイド長の部屋だろうか?
そういった部屋を借りてるわけじゃなさそう。
荷物が少ないし、生活感がないし。
「こちらはオルデンの町にある宿でございます」
「オルデン……オルデン?」
え、それって伯爵家からちょっと離れた場所にない?
少し北の方に、オルデンの町があったはず。
「身支度のご用意の後、お食事になさいますか? お嬢様」
さらにメイドに言われた言葉に、私は絶句した。
お嬢様って何?
レゼクにも、私はメイドだと話したはずなのに?
「え、私のこと……どんな風に聞いてます?」
「ご一緒に宿泊していらっしゃる、皇太后様にご縁のあるお嬢様と伺っております」
メイドも不思議に思っただろうけど、表情には出さずに答えてくれた。
そして私の方は、その説明だけである程度のことが予測できる。
(なーる。とりあえずそういう名目で、伯爵家から連れ出した、と)
侍女として私を帝宮に連れて行きたいレゼク皇子が、そういうことにしたのだ。
なにせ犯罪者扱いして追いかけた私を雇いたいのに、そのまま伯爵家に連れ帰るのはまずいと思ったのだろう。
できれば犯罪の件は、なかったことにしたいはず。
それに、伯爵家の人間に口止めして連れて戻っても……。
(私が聖者の力をもつ聖女だとわかった以上、メイドとしての部屋には帰さないだろうし。かといって貴賓室を使わせろなんて言ったら……一体何があったんだと邪推されそうよね)
人は好奇心のままあちこちに噂をばらまく。
それがめぐりめぐって、帝宮で働き始めた私のことと結び付けられたら……。
平民を侍女にしたとすぐにバレてしまうだろう。
当然、レゼクが私を側に置く計画もダメになる。
ただ、これも私の想像でしかない。
そのあたりの事情などを聴かなければ。
だからメイドに頼んだ。
「では、身支度の後で食事を。それから……私の連れを呼んでほしいのだけど」
メイドは丁寧ながら素早く、私の願いを叶えてくれた。
水を運んだり、着替えを運んだり、お茶を運んだりするために三人ほどの同じ服装のメイドが出入りする。
転生してから思ってたけど、機械や水道なんかがない生活って大変だなと思う。
全部一階にあるだろう台所から運んだりと、手間暇がかかるから。
でもこの世界は魔法があっても、それほど強い力は持っていない。
よくラノベなんかで見かける、髪や衣服を一瞬で乾かすとか、便利な魔法はないのだ。
代わりに、火を灯すとか、コップに水を満たす程度の魔法を使える人はいくらかいるみたいだけど。
そういう人達は、台所メイドで火を扱える人はお給金も二倍になるとか、そういう形で能力を使うことが多いみたいだ。
特に水の魔法が使えるメイドは、待遇がいい。
魔力に限界があるので、貴族が求めた時にだけ魔法を使い、浴槽を満たしたり、外出時の水を持ち運ぶ代わりにそのメイドを連れて行ったりと、別枠の扱いをされるし、それ以外の時間はほとんど休ませてもらえたりする。
一方で魔法使いと正式に呼ばれる人達は、火球や、何もない所に炎を出現させたり、電撃を作り出して相手を攻撃できる能力はある。
なので魔法使いとして、それなりの待遇で貴族に召し抱えられていたりする。
たいていは狩りや、討伐のお供で、大規模攻撃なんかはできないみたい。
そういえばゲームでも、魔法使いを仲間にできたけど、一瞬で敵を複数倒すような魔法はないのはちょっと寂しいかも。
顔を洗ったりしているうちに、どこからかドレスを持ってきて選んでくれる。
朱色のドレスなのだけど、いつの間に用意されたんだろう……。それともこの宿で、念のため準備していた物なんだろうか?
着付けを手伝ってもらっている間に、他のメイドが食事を用意し終わっていた。
その間に聞いたのだけど、どうやら私は二日ほど眠っては少し起き(全く記憶がないけど)、そして眠るという感じで療養していたそうで。
宿にやってきた頃には熱は引いていたのだとか。
でも水を飲むぐらいしかできていないので、宿のメイド達は看病も依頼されていたそうだ。
だから起きたばかりの今回の食事も、柔らかいパンにポタージュスープだった。
胃に負担をかけそうな物はなく、飲み物も暖かいお茶と、甘味はじんわりと甘いリンゴの砂糖漬け。
全部おいしい。
きっと高級な宿だからなんだろう。
そうして気遣いあふれた食事を、私はしっかりをお腹に収めることができた。
胃も気持ち悪くならないし、ふらついていた感じがしていたのも、塩分を取ったおかげで良くなったし。
「では、他のお客様をお呼び致します」
そうしてメイドさんが連れて来たのは……皇太后、レゼク、それに皇太后の侍女らしい、私と同じ年ぐらいの金髪の女性。
返事をすると、見知らぬ女性が入って来た。
伯爵家のメイドではない。
お仕着せらしい服も、茶のワンピースに白のエプロン、髪は白い頭巾でしっかりと隠されている。
「お加減はいかがですか?」
丁寧に尋ねられて、私は目をまたたいた。
まるで令嬢みたいな対応をされて、びっくりしたのだ。
「だ、大丈夫です。ところでここは?」
この部屋、どこなんだろう?
リリとして寝泊りしていた部屋ではない。
それよりもずっと広くて、壁も綺麗に白漆喰が塗られている。
貴族の部屋とまではいかないものの、柱の角まで削られていて、絵画まで飾られている。
かといって、伯爵家にこんな部屋は……あるとしたら、家令やメイド長の部屋だろうか?
そういった部屋を借りてるわけじゃなさそう。
荷物が少ないし、生活感がないし。
「こちらはオルデンの町にある宿でございます」
「オルデン……オルデン?」
え、それって伯爵家からちょっと離れた場所にない?
少し北の方に、オルデンの町があったはず。
「身支度のご用意の後、お食事になさいますか? お嬢様」
さらにメイドに言われた言葉に、私は絶句した。
お嬢様って何?
レゼクにも、私はメイドだと話したはずなのに?
「え、私のこと……どんな風に聞いてます?」
「ご一緒に宿泊していらっしゃる、皇太后様にご縁のあるお嬢様と伺っております」
メイドも不思議に思っただろうけど、表情には出さずに答えてくれた。
そして私の方は、その説明だけである程度のことが予測できる。
(なーる。とりあえずそういう名目で、伯爵家から連れ出した、と)
侍女として私を帝宮に連れて行きたいレゼク皇子が、そういうことにしたのだ。
なにせ犯罪者扱いして追いかけた私を雇いたいのに、そのまま伯爵家に連れ帰るのはまずいと思ったのだろう。
できれば犯罪の件は、なかったことにしたいはず。
それに、伯爵家の人間に口止めして連れて戻っても……。
(私が聖者の力をもつ聖女だとわかった以上、メイドとしての部屋には帰さないだろうし。かといって貴賓室を使わせろなんて言ったら……一体何があったんだと邪推されそうよね)
人は好奇心のままあちこちに噂をばらまく。
それがめぐりめぐって、帝宮で働き始めた私のことと結び付けられたら……。
平民を侍女にしたとすぐにバレてしまうだろう。
当然、レゼクが私を側に置く計画もダメになる。
ただ、これも私の想像でしかない。
そのあたりの事情などを聴かなければ。
だからメイドに頼んだ。
「では、身支度の後で食事を。それから……私の連れを呼んでほしいのだけど」
メイドは丁寧ながら素早く、私の願いを叶えてくれた。
水を運んだり、着替えを運んだり、お茶を運んだりするために三人ほどの同じ服装のメイドが出入りする。
転生してから思ってたけど、機械や水道なんかがない生活って大変だなと思う。
全部一階にあるだろう台所から運んだりと、手間暇がかかるから。
でもこの世界は魔法があっても、それほど強い力は持っていない。
よくラノベなんかで見かける、髪や衣服を一瞬で乾かすとか、便利な魔法はないのだ。
代わりに、火を灯すとか、コップに水を満たす程度の魔法を使える人はいくらかいるみたいだけど。
そういう人達は、台所メイドで火を扱える人はお給金も二倍になるとか、そういう形で能力を使うことが多いみたいだ。
特に水の魔法が使えるメイドは、待遇がいい。
魔力に限界があるので、貴族が求めた時にだけ魔法を使い、浴槽を満たしたり、外出時の水を持ち運ぶ代わりにそのメイドを連れて行ったりと、別枠の扱いをされるし、それ以外の時間はほとんど休ませてもらえたりする。
一方で魔法使いと正式に呼ばれる人達は、火球や、何もない所に炎を出現させたり、電撃を作り出して相手を攻撃できる能力はある。
なので魔法使いとして、それなりの待遇で貴族に召し抱えられていたりする。
たいていは狩りや、討伐のお供で、大規模攻撃なんかはできないみたい。
そういえばゲームでも、魔法使いを仲間にできたけど、一瞬で敵を複数倒すような魔法はないのはちょっと寂しいかも。
顔を洗ったりしているうちに、どこからかドレスを持ってきて選んでくれる。
朱色のドレスなのだけど、いつの間に用意されたんだろう……。それともこの宿で、念のため準備していた物なんだろうか?
着付けを手伝ってもらっている間に、他のメイドが食事を用意し終わっていた。
その間に聞いたのだけど、どうやら私は二日ほど眠っては少し起き(全く記憶がないけど)、そして眠るという感じで療養していたそうで。
宿にやってきた頃には熱は引いていたのだとか。
でも水を飲むぐらいしかできていないので、宿のメイド達は看病も依頼されていたそうだ。
だから起きたばかりの今回の食事も、柔らかいパンにポタージュスープだった。
胃に負担をかけそうな物はなく、飲み物も暖かいお茶と、甘味はじんわりと甘いリンゴの砂糖漬け。
全部おいしい。
きっと高級な宿だからなんだろう。
そうして気遣いあふれた食事を、私はしっかりをお腹に収めることができた。
胃も気持ち悪くならないし、ふらついていた感じがしていたのも、塩分を取ったおかげで良くなったし。
「では、他のお客様をお呼び致します」
そうしてメイドさんが連れて来たのは……皇太后、レゼク、それに皇太后の侍女らしい、私と同じ年ぐらいの金髪の女性。
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