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しかし待って。
キャロルの中身は犬要素が濃すぎるのよ!
「ぜったいぜったい、後で問題が起きるわ!」
王子はキャロルが好むお菓子をくれるけど、他の人にもお菓子さえくれれば懐いてしまう。今はちょっと嫉妬するだけで済んでいるみたいだけど、そのうち大問題になりかねない。
「目に見えるようだわ……。他の男がキャロルの行動を勘違いして熱を上げ、王子と決闘をしてみたり。王子がキャロルの行動を浮気だと勘違いして、好きの反動で嫌うようになったあげくに、周囲の王子に取り入りたい人間がたきつけて、キャロルを魔女みたいに扱うようになる日が来る……!」
なついてくれる可愛い妹が嬉しくて、二度の人生で続けて両親が素っ気なかったりと寂しい思いをしていたせいか、キャロルからの愛情が心地よくて、それを修正しなかった私のせい……。
だからこの事態を回避するため、私は沢山シロップを作った。
キャロルの心を引けるシロップを開発するために、沢山作りすぎて……。
「ごめんなさい。ちょっと町で売ってくれるかしら……?」
部屋付召使いのマナや、執事のキアランに、そう頼むことも多くなっていた。
しかし私のシロップに対抗するように、王子は私からキャロルを引き離そうと異国の珍しい菓子を作らせて貢いだ。
この頃は、水面下で王子と私でキャロルへの貢ぎ物合戦をしていたようなものだった。
キャロルは心揺れた末に、親代わりの私がちょっと強く「王子だけはやめておきなさい」と言ったせいで「お姉様は命令ばっかり!」と反発して、王子に軍配が上がってしまった。
このままでは、王子に睨まれた家となり、そのうち没落の憂き目に……。
「ん? ……貴族と結婚できなくなればいいのよね?」
没落しても、平民になるだけだ。
平民生活なら、すでに一度経験しているので、それほど難しくはない。まぁ、前世と違ってかなり不自由な生活なんだけど。一日中仕事もしなくてはならないし、治安だって完璧ではないし。
「ん? 仕事?」
昔みたいにあちこちで頼み込んで働かせてもらう必要はないのでは。なにせまだ私は貴族令嬢。資金はあの時よりもかなりある。
シロップも思いのほかよく売れて、お砂糖を買って戻しても、まだおつりが出たのでそれは貯めていた。前世のくせで。
だから今のうちに、お店を持てばいいのだとひらめいた。
この状況になっても、姉か妹が王子と結婚したら家は問題ないと放置している両親は、頼れるわけがない。
しかも私が婚約解消されても、「キャロルの邪魔になるだろうから、分家のあの人と結婚させたらいいんじゃないの?」と、二回りも年上の男に嫁がせて片付けようと考えているのだ。
しかもこの両親、キャロルにかこつけて、王子にあれこれ要求していると執事のキアランから報告をもらい、ぐったりした気分になった。
キャロルが王子の怒りを買ったら、即没落するような材料を増やしていたなんて!
だから私がなんとかしなければ。
元飼い主として、姉として、没落後にキャロルを養える状態にならなければ。
キャロルの中身は犬要素が濃すぎるのよ!
「ぜったいぜったい、後で問題が起きるわ!」
王子はキャロルが好むお菓子をくれるけど、他の人にもお菓子さえくれれば懐いてしまう。今はちょっと嫉妬するだけで済んでいるみたいだけど、そのうち大問題になりかねない。
「目に見えるようだわ……。他の男がキャロルの行動を勘違いして熱を上げ、王子と決闘をしてみたり。王子がキャロルの行動を浮気だと勘違いして、好きの反動で嫌うようになったあげくに、周囲の王子に取り入りたい人間がたきつけて、キャロルを魔女みたいに扱うようになる日が来る……!」
なついてくれる可愛い妹が嬉しくて、二度の人生で続けて両親が素っ気なかったりと寂しい思いをしていたせいか、キャロルからの愛情が心地よくて、それを修正しなかった私のせい……。
だからこの事態を回避するため、私は沢山シロップを作った。
キャロルの心を引けるシロップを開発するために、沢山作りすぎて……。
「ごめんなさい。ちょっと町で売ってくれるかしら……?」
部屋付召使いのマナや、執事のキアランに、そう頼むことも多くなっていた。
しかし私のシロップに対抗するように、王子は私からキャロルを引き離そうと異国の珍しい菓子を作らせて貢いだ。
この頃は、水面下で王子と私でキャロルへの貢ぎ物合戦をしていたようなものだった。
キャロルは心揺れた末に、親代わりの私がちょっと強く「王子だけはやめておきなさい」と言ったせいで「お姉様は命令ばっかり!」と反発して、王子に軍配が上がってしまった。
このままでは、王子に睨まれた家となり、そのうち没落の憂き目に……。
「ん? ……貴族と結婚できなくなればいいのよね?」
没落しても、平民になるだけだ。
平民生活なら、すでに一度経験しているので、それほど難しくはない。まぁ、前世と違ってかなり不自由な生活なんだけど。一日中仕事もしなくてはならないし、治安だって完璧ではないし。
「ん? 仕事?」
昔みたいにあちこちで頼み込んで働かせてもらう必要はないのでは。なにせまだ私は貴族令嬢。資金はあの時よりもかなりある。
シロップも思いのほかよく売れて、お砂糖を買って戻しても、まだおつりが出たのでそれは貯めていた。前世のくせで。
だから今のうちに、お店を持てばいいのだとひらめいた。
この状況になっても、姉か妹が王子と結婚したら家は問題ないと放置している両親は、頼れるわけがない。
しかも私が婚約解消されても、「キャロルの邪魔になるだろうから、分家のあの人と結婚させたらいいんじゃないの?」と、二回りも年上の男に嫁がせて片付けようと考えているのだ。
しかもこの両親、キャロルにかこつけて、王子にあれこれ要求していると執事のキアランから報告をもらい、ぐったりした気分になった。
キャロルが王子の怒りを買ったら、即没落するような材料を増やしていたなんて!
だから私がなんとかしなければ。
元飼い主として、姉として、没落後にキャロルを養える状態にならなければ。
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