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あのミリアーナ叔母さんが私達の住む屋敷にやって来てから数週間。
唐突にその日はやって来た。
「……父様、母様。本当に行くの?」
「ふふっ、行くわよ。折角のミリアーナからの招待ですもの」
「カイン王子ってどんな子なのー?」
「さあ、でも会ってからのお楽しみだな」
両親と共に馬車に揺られながら向かう先は国王とミリアーナ叔母さん、そしてカイン王子の住むお城。
私は内心で白目を向きながら馬車の窓に頭を預けつつここからどうしようかと頭を悩ませる。
一応、屋敷を出る際に今回私達が向かってるパーティーの目的が『カイン王子の誕生日パーティー』で更にはそこへレインやらアイザックと言った私達のよく知る人物達も来ることは自身の隣と斜め前に座る両親から聞いた。
だからなんだという話だが。
私は段々と近づいてくるお城に大きな溜息を吐くとそのまま一度目を閉じてカイン王子がどんな人物であったかを思い浮かべる。
まず容姿は金髪少し青みがかった緑色の眼にキラキラ笑顔の爽やかフェイス。
そんでもって性格は腹黒いところもあるものの基本的には紳士で好きなものは花で嫌いなものは虫や悪意といったもの。
それぐらいかな?
私はそれ以上出てこない彼のイメージに肩を竦めるとフェリナからの「フォリナ、着いたよ!」という言葉に渋々馬車から足を踏み出す。
内心ではもはや『もう嫌だよー。帰りたいよー』の連発である。
私はそのままグイグイと自身の手を引くフェリナに苦笑いを向けつつ、城内に入るなり何処からか聞こえて来た「フォリナ、フェリナ!」という自身らを呼ぶ馴染みのある声にふと目を向けた。
するとそこには満面の笑みを浮かべながらこちらへ駆けてくるレイン。
私は目の前にやってきた彼に対して笑顔を向けた。
「レイン、二日振りね」
「うん、二日振りだね!」
ニコニコと私に笑い返すレインと、それを見ながら私達の真横でジトっとした目付きでレインを見詰めるフェリナ。
フェリナは薄らと目を開けながらレインに対してへらりと笑ったかと思うとこう口を開いた。
「……ねぇ、レイン。何しに来たの?」
「え、フォリナに会いに来たの。ついでにフェリナにもね」
そう言い終えるや否やバチバチと火花を散らすフェリナとレイン。
毎回毎回この二人はよくやるものだ。
私は二人を見ながら呆れた顔をしつつ頬に手を添えて溜息を吐く。
同時にそこへやって来たのは爽やかに笑うアイザック。
アイザックは「相変わらずだな」なんて笑いながら言い合いをしている二人を横目に、私に対して「一週間振りだな」と声を掛けてきた。
「そうね、もう一週間も経つのね。ところでノアナの体調はどう?」
「あぁ、ノアナなら元気だぞ。なんなら最近はちょっとベッドから立ち上がったりして君達と外に行くんだってずっと言ってるぐらいだ」
「……無茶してないでしょうね?」
「そこはちゃんと本人も考えてやってるさ」
「それならいいわ」
私はそのままアイザックに一度断りを入れると、ホールへのほぼ入口辺りで立ち止まって話すのは周りの邪魔になると考えてフェリナとレインに「壁側に行くわよ」と声を掛ける。
すると、啀み合いながらも大人しく私とアイザックの後を付いてくる二人。
この際にふとアイザックが私にこんなことを言ってきた。
「そう言えば、父から聞いたんだがカイン王子が行方不明になっているらしい」
「……は?誘拐かなにかでもされたってこと?」
「悪い、言い方が悪かった。本人が本人の意思で城内を逃げ回ってるらしいんだ」
「……それはどういう事?カイン王子が自身の誕生日パーティーをボイコットしてるってこと?」
私はチラリと国王と楽しげに話す叔母さんに目を向けると軽くその辺りを見てはそこに居ない王子に肩を竦める。
「まあそうなるな。何故そんなことをしているのか俺にはさっぱり分からないが」
私は軽く顎に手を添えて小首を傾げつつ、意図の分からない王子の行動に軽く溜息を吐く。
「まぁ、私達には到底理解できない王子なりの考えがあるんでしょ。でも主役が来ないとなるとこの場にいるみんなが困るでしょうね」
私は再度ちらりと国王と叔母に目を向けると『この二人はどうする気なのだろうか』なんてことを考えながらも、自分には関係ないことだからと目の前で口を開いたアイザックに目を向ける。
「……確かに、フォリナの言う通り俺達には分からない王族には王族の悩みがあるんだろうな」
「そうよ、考えたところで無駄よ。……ところでフェリナとレインはいつまで睨み合ってるのよ。早くそれをやめないと貴女達から離れるわよ?」
「だってレインが!」
「だってフェリナが!」
「だっても何も無いわよ。お互いに謝ったらそれでおしまいでしょ?」
私はジト目で二人を見つめると、二人がそれぞれ渋々ながらも頭を下げあったのを確認すると優しく二人の頭を撫でてやる。
「二人共偉いわね」
途端に大人しくなるフェリナとレイン。
そして、それを見て可笑しそうに笑うアイザック。
「フォリナは二人の母親みたいだな」
「嬉しくないお言葉どうも。でもそれを言うなら貴女はフェリナ達を含めたノアナのお父さんじゃない?」
「ははっ、ならフォリナと俺は夫婦か。案外いいかもしれないな」
「やだ、冗談よ」
「残念だ」
それから私達は軽く軽口を叩き合うとクスクスと笑いながらいつものように他愛ない話をし始めたのだった。
唐突にその日はやって来た。
「……父様、母様。本当に行くの?」
「ふふっ、行くわよ。折角のミリアーナからの招待ですもの」
「カイン王子ってどんな子なのー?」
「さあ、でも会ってからのお楽しみだな」
両親と共に馬車に揺られながら向かう先は国王とミリアーナ叔母さん、そしてカイン王子の住むお城。
私は内心で白目を向きながら馬車の窓に頭を預けつつここからどうしようかと頭を悩ませる。
一応、屋敷を出る際に今回私達が向かってるパーティーの目的が『カイン王子の誕生日パーティー』で更にはそこへレインやらアイザックと言った私達のよく知る人物達も来ることは自身の隣と斜め前に座る両親から聞いた。
だからなんだという話だが。
私は段々と近づいてくるお城に大きな溜息を吐くとそのまま一度目を閉じてカイン王子がどんな人物であったかを思い浮かべる。
まず容姿は金髪少し青みがかった緑色の眼にキラキラ笑顔の爽やかフェイス。
そんでもって性格は腹黒いところもあるものの基本的には紳士で好きなものは花で嫌いなものは虫や悪意といったもの。
それぐらいかな?
私はそれ以上出てこない彼のイメージに肩を竦めるとフェリナからの「フォリナ、着いたよ!」という言葉に渋々馬車から足を踏み出す。
内心ではもはや『もう嫌だよー。帰りたいよー』の連発である。
私はそのままグイグイと自身の手を引くフェリナに苦笑いを向けつつ、城内に入るなり何処からか聞こえて来た「フォリナ、フェリナ!」という自身らを呼ぶ馴染みのある声にふと目を向けた。
するとそこには満面の笑みを浮かべながらこちらへ駆けてくるレイン。
私は目の前にやってきた彼に対して笑顔を向けた。
「レイン、二日振りね」
「うん、二日振りだね!」
ニコニコと私に笑い返すレインと、それを見ながら私達の真横でジトっとした目付きでレインを見詰めるフェリナ。
フェリナは薄らと目を開けながらレインに対してへらりと笑ったかと思うとこう口を開いた。
「……ねぇ、レイン。何しに来たの?」
「え、フォリナに会いに来たの。ついでにフェリナにもね」
そう言い終えるや否やバチバチと火花を散らすフェリナとレイン。
毎回毎回この二人はよくやるものだ。
私は二人を見ながら呆れた顔をしつつ頬に手を添えて溜息を吐く。
同時にそこへやって来たのは爽やかに笑うアイザック。
アイザックは「相変わらずだな」なんて笑いながら言い合いをしている二人を横目に、私に対して「一週間振りだな」と声を掛けてきた。
「そうね、もう一週間も経つのね。ところでノアナの体調はどう?」
「あぁ、ノアナなら元気だぞ。なんなら最近はちょっとベッドから立ち上がったりして君達と外に行くんだってずっと言ってるぐらいだ」
「……無茶してないでしょうね?」
「そこはちゃんと本人も考えてやってるさ」
「それならいいわ」
私はそのままアイザックに一度断りを入れると、ホールへのほぼ入口辺りで立ち止まって話すのは周りの邪魔になると考えてフェリナとレインに「壁側に行くわよ」と声を掛ける。
すると、啀み合いながらも大人しく私とアイザックの後を付いてくる二人。
この際にふとアイザックが私にこんなことを言ってきた。
「そう言えば、父から聞いたんだがカイン王子が行方不明になっているらしい」
「……は?誘拐かなにかでもされたってこと?」
「悪い、言い方が悪かった。本人が本人の意思で城内を逃げ回ってるらしいんだ」
「……それはどういう事?カイン王子が自身の誕生日パーティーをボイコットしてるってこと?」
私はチラリと国王と楽しげに話す叔母さんに目を向けると軽くその辺りを見てはそこに居ない王子に肩を竦める。
「まあそうなるな。何故そんなことをしているのか俺にはさっぱり分からないが」
私は軽く顎に手を添えて小首を傾げつつ、意図の分からない王子の行動に軽く溜息を吐く。
「まぁ、私達には到底理解できない王子なりの考えがあるんでしょ。でも主役が来ないとなるとこの場にいるみんなが困るでしょうね」
私は再度ちらりと国王と叔母に目を向けると『この二人はどうする気なのだろうか』なんてことを考えながらも、自分には関係ないことだからと目の前で口を開いたアイザックに目を向ける。
「……確かに、フォリナの言う通り俺達には分からない王族には王族の悩みがあるんだろうな」
「そうよ、考えたところで無駄よ。……ところでフェリナとレインはいつまで睨み合ってるのよ。早くそれをやめないと貴女達から離れるわよ?」
「だってレインが!」
「だってフェリナが!」
「だっても何も無いわよ。お互いに謝ったらそれでおしまいでしょ?」
私はジト目で二人を見つめると、二人がそれぞれ渋々ながらも頭を下げあったのを確認すると優しく二人の頭を撫でてやる。
「二人共偉いわね」
途端に大人しくなるフェリナとレイン。
そして、それを見て可笑しそうに笑うアイザック。
「フォリナは二人の母親みたいだな」
「嬉しくないお言葉どうも。でもそれを言うなら貴女はフェリナ達を含めたノアナのお父さんじゃない?」
「ははっ、ならフォリナと俺は夫婦か。案外いいかもしれないな」
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それから私達は軽く軽口を叩き合うとクスクスと笑いながらいつものように他愛ない話をし始めたのだった。
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