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グラオス達を呼びに行くということでシルヴァー様が出て行ってしまった応接間。
私はそこで一人で大きく深呼吸を一つしながら心を落ち着けていた。
そして、私が一人で何度か目を瞑りながら深呼吸をしたところで唐突に部屋の中に響いたノックの音。
私はそのノックの音にほんの一瞬だけビクリと肩を揺らしたものの、次の瞬間には小さな音を立てて開いた部屋の扉の向こうから現れた面々を見て姿勢を正した。
同時に室内に入って来るなり「それで、俺達に聞いて欲しい話とはなんだ?」と私に向けて口にしたグラオス。
私は一度グラオスの隣にいるシルヴァー様に目を向け、彼女が頷いたのを確認して自身のことに関して話し始めた。
「……こんなこと、信じて貰えるかは分かりません。でも先程シルヴァー様に案内されて連れて行って頂いた温室とある木を見て私はこのことを話すことにしました」
チラリとグラオスに目を向けてそう言えば、少しだけ考えるような様子を見せてから顎を動かして「話してみろ」と口にする彼。
私は思い切って目の前にいる面々に向けてこう告げた。
「私の前世はティリア・グレゴニアです」
途端に、私の言葉を聞き終えるたキョトンとした顔を浮かべたシルヴィー様を除く一同。
私はそんな彼らに対して思わずクスリと笑いながらこう続けた。
「改めまして、シェルバート家の長女であるリーザ・シェルバートです。そして前世はティリア・グレゴニアだったしがない侯爵令嬢で御座います」
ぺこりと改めて頭を下げれば、シルヴァー様の方からケラケラと笑う笑い声が聞こえてくる。
私はチラリと一度顔をあげると真剣な顔でこちらを見ながら「証拠は?」と尋ねて来たグラオスに対してこんなことを告げた。
「私と貴方しか知らない過去の事や貴方が過去にしたことのあるドジならある程度覚えていますよ?」
「例えば?」
「ティリアの元々住んでいた村の名前と位置、あとは貴方とティリアの馴れ初めなどはどうでしょう?」
「ならそれを話してみろ」
私はこちらを見詰めてきたグラオスに頷き、そのまま私とグラオスの出会いを告げる事にした。
「まず、ティリア・グレゴニアの住んでいた村はライネル王国から少し西にあったイメラル村です。そして、貴方との馴れ初めに関してですが小説に書かれてる内容とほぼ同じです。ただ、小説内でティリアとグラオス様が互いにお互いを一目見た時から恋に落ちたと書いていましたが、実際のところは私と貴方がお互いに惹かれ合い始めたのは貴方がグレゴニアに帰ることになる二ヶ月前です。そして馴れ初めですが貴方が私を好きになった理由は貴方本人が教えてくれなかったから知りません。でも、私が貴方を好きになったきっかけは最初は恐ろしいと思っていた貴方のさり気ない優しさに触れたことがきっかけです」
途端に「さり気ない優しさとはどんなものか答えられるか」と尋ねて来たグラオス。
私はその言葉に頷いた。
「うーん、沢山ありますね。でも、一番は貴方から貴方自身が竜人族だと聞かされて私が貴方を避けていた時期に私が風邪を引いてしまった際に貴方がずっと私の看病をしてくれたことですかね。そんなハッキリとした意識はなかったもものの貴方がずっと私に優しい言葉を掛けて面倒を見てくれてたいたのはきちんと覚えてますよ。あとは、貴方に怯えてた私に凄く気遣ってくれていたこともありますね」
じっと目の前にいる彼にニコリと微笑めば、鋭い瞳でこちらを見詰めながら何かを考えている様子の彼。
……ここで、もう一つの証拠になり得る前世の私がよく彼らに作っていた母の特性豆のスープを作らせてくれと頼んだら彼は作らせてくれるのだろうか。
あのスープの作り方は私しか知らない筈だ。
だから、きっとそれも証拠の一つになる。
私は少しそう考えるなり、一度シルヴィー様に目を向ける。
すると、『どうかしたか?』と言うように首を傾けたシルヴィー様。
私は一度そんな彼女に頷くと、目の前で黙り込んだままのグラオスに対してこう告げた。
「あの、少しお時間頂けますか?」
そうすれば、少しだけ間を開けて「好きにしろ」と言うグラオス。
私はその場から立ち上がるとこちら見詰めてくるレイネルとジェラードとニアとレグロスの二人に頭を下げると、シルヴィー様に「少しよろしいですか?」と声を掛けて廊下へと出る。
そして、シルヴィー様と一緒に廊下へ出た私は「どうした?」と尋ねて来た彼女にあるお願いをした。
「あの、私がティリアだった頃に一度シルヴィー様にも食べて頂いたことのある前世の母特性の豆のスープを作ろうかと思うんですが厨房と材料の方をお借りしたいのですがお願いしてもよろしいでしょうか……?」
すると、私の言葉を聞くなり「あぁ、あのスープか!」と嬉しそうに笑ったかと思うと「いいぞ、イグリスに取り合ってやるから着いて来るといい」といい返事をくれた彼女。
「ありがとうございます!!」
私は目の前を歩き始めたシルヴィー様の後をついて、その場から厨房の方へ歩き出す。
そして、辿り着いた厨房前で彼女が料理長のイグリスに厨房を借りる許可を貰ったのを見てから彼女に「ありがとうございます!」と頭を下げて、私は彼に見守られながら料理を始めることにした。
私はそこで一人で大きく深呼吸を一つしながら心を落ち着けていた。
そして、私が一人で何度か目を瞑りながら深呼吸をしたところで唐突に部屋の中に響いたノックの音。
私はそのノックの音にほんの一瞬だけビクリと肩を揺らしたものの、次の瞬間には小さな音を立てて開いた部屋の扉の向こうから現れた面々を見て姿勢を正した。
同時に室内に入って来るなり「それで、俺達に聞いて欲しい話とはなんだ?」と私に向けて口にしたグラオス。
私は一度グラオスの隣にいるシルヴァー様に目を向け、彼女が頷いたのを確認して自身のことに関して話し始めた。
「……こんなこと、信じて貰えるかは分かりません。でも先程シルヴァー様に案内されて連れて行って頂いた温室とある木を見て私はこのことを話すことにしました」
チラリとグラオスに目を向けてそう言えば、少しだけ考えるような様子を見せてから顎を動かして「話してみろ」と口にする彼。
私は思い切って目の前にいる面々に向けてこう告げた。
「私の前世はティリア・グレゴニアです」
途端に、私の言葉を聞き終えるたキョトンとした顔を浮かべたシルヴィー様を除く一同。
私はそんな彼らに対して思わずクスリと笑いながらこう続けた。
「改めまして、シェルバート家の長女であるリーザ・シェルバートです。そして前世はティリア・グレゴニアだったしがない侯爵令嬢で御座います」
ぺこりと改めて頭を下げれば、シルヴァー様の方からケラケラと笑う笑い声が聞こえてくる。
私はチラリと一度顔をあげると真剣な顔でこちらを見ながら「証拠は?」と尋ねて来たグラオスに対してこんなことを告げた。
「私と貴方しか知らない過去の事や貴方が過去にしたことのあるドジならある程度覚えていますよ?」
「例えば?」
「ティリアの元々住んでいた村の名前と位置、あとは貴方とティリアの馴れ初めなどはどうでしょう?」
「ならそれを話してみろ」
私はこちらを見詰めてきたグラオスに頷き、そのまま私とグラオスの出会いを告げる事にした。
「まず、ティリア・グレゴニアの住んでいた村はライネル王国から少し西にあったイメラル村です。そして、貴方との馴れ初めに関してですが小説に書かれてる内容とほぼ同じです。ただ、小説内でティリアとグラオス様が互いにお互いを一目見た時から恋に落ちたと書いていましたが、実際のところは私と貴方がお互いに惹かれ合い始めたのは貴方がグレゴニアに帰ることになる二ヶ月前です。そして馴れ初めですが貴方が私を好きになった理由は貴方本人が教えてくれなかったから知りません。でも、私が貴方を好きになったきっかけは最初は恐ろしいと思っていた貴方のさり気ない優しさに触れたことがきっかけです」
途端に「さり気ない優しさとはどんなものか答えられるか」と尋ねて来たグラオス。
私はその言葉に頷いた。
「うーん、沢山ありますね。でも、一番は貴方から貴方自身が竜人族だと聞かされて私が貴方を避けていた時期に私が風邪を引いてしまった際に貴方がずっと私の看病をしてくれたことですかね。そんなハッキリとした意識はなかったもものの貴方がずっと私に優しい言葉を掛けて面倒を見てくれてたいたのはきちんと覚えてますよ。あとは、貴方に怯えてた私に凄く気遣ってくれていたこともありますね」
じっと目の前にいる彼にニコリと微笑めば、鋭い瞳でこちらを見詰めながら何かを考えている様子の彼。
……ここで、もう一つの証拠になり得る前世の私がよく彼らに作っていた母の特性豆のスープを作らせてくれと頼んだら彼は作らせてくれるのだろうか。
あのスープの作り方は私しか知らない筈だ。
だから、きっとそれも証拠の一つになる。
私は少しそう考えるなり、一度シルヴィー様に目を向ける。
すると、『どうかしたか?』と言うように首を傾けたシルヴィー様。
私は一度そんな彼女に頷くと、目の前で黙り込んだままのグラオスに対してこう告げた。
「あの、少しお時間頂けますか?」
そうすれば、少しだけ間を開けて「好きにしろ」と言うグラオス。
私はその場から立ち上がるとこちら見詰めてくるレイネルとジェラードとニアとレグロスの二人に頭を下げると、シルヴィー様に「少しよろしいですか?」と声を掛けて廊下へと出る。
そして、シルヴィー様と一緒に廊下へ出た私は「どうした?」と尋ねて来た彼女にあるお願いをした。
「あの、私がティリアだった頃に一度シルヴィー様にも食べて頂いたことのある前世の母特性の豆のスープを作ろうかと思うんですが厨房と材料の方をお借りしたいのですがお願いしてもよろしいでしょうか……?」
すると、私の言葉を聞くなり「あぁ、あのスープか!」と嬉しそうに笑ったかと思うと「いいぞ、イグリスに取り合ってやるから着いて来るといい」といい返事をくれた彼女。
「ありがとうございます!!」
私は目の前を歩き始めたシルヴィー様の後をついて、その場から厨房の方へ歩き出す。
そして、辿り着いた厨房前で彼女が料理長のイグリスに厨房を借りる許可を貰ったのを見てから彼女に「ありがとうございます!」と頭を下げて、私は彼に見守られながら料理を始めることにした。
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