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高等部 一年目 皐月→水無月 体育祭
閑話 とある週末
しおりを挟む今話は視点がコロコロ変わります。
────────────
**亮輔視点**
ソファに健太とピッタリ寄り添ってテレビを見ていた。
恋愛系のドラマで、俺が高等部の演劇部にいた時の先輩が演出している。
ラストシーンは長いキスシーン・・・
ドラマが終わると、健太が俺を見上げて目を閉じたので、軽く唇を重ねた。
何度か、それを繰り返して、深いキスに移行しようとした時、
ピンポ~ン
インターフォンが鳴った・・・
仕方なく、インターフォンの画面を覗くと、そこには大和が映っていた。
「何か用か?」
「兄ちゃん、宿題教えて!」
「今、取り込み中だから帰れ。」
「はぁあ?」
インターフォンの通話を切って健太のもとへ戻ってキスを再開しようとしたら
ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン
インターフォンの連打!?
「亮輔・・・」
健太は溜息をつきつつ、
「俺、風呂入って寝るから。」
と、脱衣所に行ってしまった。
「うぐ・・・」
淡白な健太がせっかくその気になってくれてたのに・・・
健太が風呂場に入るのを横目に、俺が玄関のドアを開けるとピンポンの連打は終わり、満面の笑顔の大和が現れる。
「帰れ。」
「兄ちゃん、イジワルしないで入れて~」
と、勝手に上がり込もうとする大和。
それを阻止しようと動くもフェイントをかけられ、突破されてしまった。
「おい!」
リビングのテーブルに勝手に宿題を並べる大和。
俺は脱衣場に行くと、風呂場のドア越しに健太に詫びを入れた。
「健太、突破された・・・」
「・・・頑張って、お兄ちゃん。」
「すまん・・・」
俺はリビングに戻ると、大和の宿題に目を通した。
大和と二人で宿題に集中している傍ら、風呂上がりの健太がバスローブを着て頭からバスタオルを被った状態で通り過ぎた。
ああ、風呂でイチャイチャしたかったなぁ・・・
**健太視点**
翌朝、目覚めると、ベッドの中で亮輔に抱き込まれていた。
今日は学校も休みだし寝かせといてやるか。
そっと亮輔の腕を外して、頬にキスをした。
ベッドから出てリビングに行くと、乾がソファーで毛布にくるまって寝ていた。
「・・・・・・」
トイレとか洗面を済ませてからキッチンで朝食の支度を始めた。
もちろん、俺と亮輔の分だけな。
**大和視点**
いい匂いがする・・・
シアンの香りだ!
上半身を起こすと、誰かがキッチンで何かを作っている後ろ姿が見えた。
「よし、完成!」
そう言って振り向いたのは短い黒髪のシアン!
「シアン!」
俺は立ち上がってシアンを抱きしめ、うなじの咬み痕に唇を寄せた。
ん?
咬み痕?
「離せ! 痴漢野郎!」
ゴン!
暗転・・・
**健太視点**
「シアン!」
朝食の準備が終わって振り向くと、そう叫んだ乾に抱き着かれた。
そして乾の唇が首筋からうなじへ・・・
気持ち悪っ!!
「離せ! 痴漢野郎!」
ゴン!
思わず乾の頭に頭突きをかますと、いい音がして乾がヘナヘナと床に崩れ落ちた。
意識が飛んだ乾と乾の荷物をエレベーターに乗せて一階まで行くとロビーのソファーの上に置いて亮輔の部屋に戻った。
そしてシャワーで乾に付けられた匂いを落とした。
亮輔を起こして、一緒に朝食を食べてから、俺と亮輔の着替えを数日分バッグに詰めた。
「あいつ、また来るかもしれないし、休み中は俺の部屋に行こう!」
「了解!」
二人でエレベーターに乗って、俺の部屋の階に着くと、俺の部屋の前に人影が・・・
「天野・・・?」
「・・・・・・」
すばるが俺の部屋のドアの前に座り込んでいてウトウトしているのが見えた。
俺たちはすばるに見つからないようにエレベーター脇にある非常階段の方へ移動した。
「どうする?」
「俺の部屋も健太の部屋もヤバイな・・・外泊するにも緊急時じゃない当日の届は却下だし・・・」
「とりあえず、すばるは管理人さんに言って回収してもらう。」
「そうだな。今日明日は俺の楽屋で寝泊まりするか。」
亮輔の楽屋にはシャワー室とミニキッチンがあるし、大道具で使うベッドも置いてあるから、数日寝泊まりする分には不自由がない。
唯一、洗濯ができないのが不便なだけだ。
管理人さんにすばるの回収を頼んだ後、俺たちは演劇部のミニシアターにある亮輔の楽屋へ向かった。
「今日、部活は?」
「十時から自主練。走り込みするだけだから陸上部のほうに行く。亮輔は?」
「俺は財前たちと脚本の打合せして大道具のチェックだ。」
「そうか。じゃあ、俺、昼はクラブ棟のカフェにいるから。」
**すばる視点**
夜に健太の部屋をアポなし訪問したけど留守だった。
ドアの前に座って帰りを待ってたけど、いつの間にか寝てたみたいで、翌朝、管理人さんに起こされた。
「立派な迷惑行為だぞ。次、何かしたら出禁ね。」
「健太の帰りを待ってただけじゃん!」
「本人に断りもなく勝手に待って入り口塞いでたんだから、アウト。」
「ぐぬぬぬぬ・・・」
俺は管理人室で管理人さんから小一時間ほど小言を言われた。
**健太視点**
楽屋で亮輔の演劇部用の部活ジャージを借りて着替えた。
「あ、」
「どうした?」
「眼鏡、忘れた。」
「ほら。」
亮輔から渡されたのは小道具の丸眼鏡風サングラスと野球帽だった。
ないよりマシか。
「行って来る。」
陸上部の屋内競技場に入ると、陸上部の生徒たちが各々練習していた。
「健太!」
400mトラックを走っていた山野がコースアウトして俺の方へ来た。
「珍しい、今日は演劇部?」
「ああ、亮輔に借りた。」
「ヒューヒュー、お熱いねぇ。」
「今日はいつもの倍走るから付き合え。」
「じゃあ、5000、二回ね。ラップは70でいい?」
「それで頼む。」
タオルと一緒に丸眼鏡と野球帽、ジャージの上着をベンチに置いて、山野に手伝ってもらって走る前のストレッチをした。
スタート位置に山野と二人で並ぶと、後方に空手部とか柔道部の先輩方が集まってきた。
「黒峯、俺達も一緒に走っていいか?」
「もちろん。俺、5000メートル2本、休憩を入れて走りますから。」
「分かった。よろしく頼む。」
**冬馬視点**
土日の午前中は健ちゃんが陸上部のトラックを走る日。
運が良ければ空手部とか柔道部のレギュラーたちが加わる。
軽い足取りで屋内競技場の観客席へ向かう。
「和泉様、こちらです。」
いつものように親衛隊の子たちが僕の席を確保してくれている。
「いつもありがとう。」
親衛隊の子たちにお礼を言って席に座ると、双眼鏡を渡された。
双眼鏡を覗き込むと、スタート位置に眼鏡を外した麗しい健ちゃんと、フツメンの山野。
その後ろに筋肉自慢の空手部と柔道部の三年生たちが部のジャージを着て並んでいた。
上は半袖なので鍛え上げられた美しい上腕二頭筋が半分見える。
今日も眼福~
***
健ちゃんたちの走り込みを見終わった僕は親衛隊に入ったばかりの一年生をお持ち帰り。
βなんだけど、軽量級のレスリングの選手だったそうで筋肉が綺麗な子なんだ。
顔と声はイマイチだけど、筋肉の弾力が好みなんだよね。
後ろから突っ込んだ時の大殿筋の張りとか、中の締め付け具合が絶妙で、今一番のお気に入り。
あ~、でも、三年生のカッコイイマッチョ軍団を見た後は物足りない。
熊谷先輩とか林原先輩とか、高望みはしないけれど、せめて花園君とか千葉先輩クラスのセフレが欲しいな。
**その頃の千葉**
林原を相手に模擬戦をしていたら、何か急に悪寒が・・・
「面!」
やばっ、悪寒のせいであっさりやられたよ~
「一本、林原!」
礼をして待機場所に戻ると
「千葉、体調悪いのか?」
と林原。
「う~ん、何か急に悪寒がしてさ。」
「風邪か?」
「かなぁ?」
「大会近いから気を付けろよ? お前が控えにいないと皆の士気に関わるからな。」
「念の為、後で保健室寄るよ~」
**健太視点**
昼にクラブ棟のカフェで亮輔と合流して昼食を食べた後、演劇部の楽屋に向かって遊歩道を歩いていると、学園内に住み着いていた元野良猫─今は理事長の飼い猫となった黒白猫が目の前に現れた。
「なぁ~ぉ」
と鳴きながら亮輔の足元に擦り寄って来た。
「うげっ!」
猫から逃げる亮輔。
亮輔は猫が苦手だし、俺と同じで猫にはあまり好かれない方なのに、この黒白猫だけは妙に懐いてベタベタしてくる。
グイグイ来る黒白猫に亮輔は心底嫌そう。
「こ、こいつだけは、何か生理的にムリ!」
猫があざとく鳴いたり、可愛らしく小首をかしげたりするも、亮輔には逆効果。
「健太、助けて!」
涙目で鳥肌を立てつつ動けない亮輔。
亮輔は、他の猫とかは苦手とは言いつつも平気なのに、この黒白猫だけがダメなんだよな。
「あ、ハチ!」
そこへ救世主が現れた。
「「牧島!」君!」
牧島君は慣れた手つきで猫を抱き上げた。
「城山先生、黒峯先輩、こんにちは。」
「こんにちは、牧島君。猫好きなの?」
「はい。もしかして先生と先輩は苦手ですか?」
「ああ、苦手なのに亮輔が懐かれちゃって困ってたんだ。」
「牧島! 助かった、ありがとう!」
「いえいえ。どうぞ、僕が抱いてるうちに移動して下さいね。」
「ホント、ありがとう!」
**牧島視点**
ハチを抱っこしながら城山先生と黒峯先輩の後ろ姿を見送った。
「うんみゃあ・・・」
不満そうなハチが逃げ出さないようにガッチリと保定した。
それにしても・・・
城山先生と黒峯先輩、物凄く自然に並んで歩いてる。
お互いが隣にいるのが当たり前って雰囲気だ。
一昔前の食器用洗剤のCM思い出しちゃうなぁ。
「ハチ、黒峯様の好きな人って、城山先生なのかなぁ?」
その場合、どっちが攻めなのかな?
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