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高等部 一年目 皐月 新入生歓迎会
023 新入生歓迎会 5
しおりを挟む**早田翔視点**
新入生歓迎会で俺が所属する1年S組は逃走者チームになった。
ゲーム開始と共に逃走者チームは体育館から校舎へと移動を始めた。
開始から5分は捜査員チームは待機なので逃走者チームはミーティングで指示されたルートでスタンプを集める手筈になっている。
スタンプを所持している探偵と怪盗チームは3人一組で各教室や校庭、学食等各所に配置されている。
教室は二~三組、校庭には十組、学食は五組、という感じ。
場所によって問題のジャンルが変わる。
クイズや謎解き系は各教室。
校庭はPKとかスリーポイントシュート、跳び箱10段とか、縄跳びの二重跳び連続10回などスポーツ系。
学食は寿司にワサビてんこ盛りとかピザにデスソースかけたロシアンルーレットやフルーツの産地とか銘柄当てなど。
音楽室は曲当て、楽器当てなど。
そして名探偵と怪人に扮装した監視員たちは左腕に「名探偵」か「怪人」の腕章をつけて探偵と怪盗チームがいる各所に散らばっている。
場所に固定が殆どだが、巡回で彼方此方移動している監視員が何人かいるらしい。
俺は脚力を活かしてダブったスタンプカードの回収をして体育館に運んだり、当たりの名探偵か怪人のヒントを聞きに行く役割を与えられた。
開始から一時間位経った頃、通りかかった演劇部のミニシアター前のホールにアンティークな背景スクリーンと椅子が設置されているのに気が付いた。
探偵と怪盗チームが三組程いて、カメラの設置をしつつ、スタンプカードを取りに来た奴等に問題を出していた。
ミニシアターの扉は開きっぱなしで、捜査員チームの新人(1年生)がステージ中央で「じゅげむ」を暗証しているのが見えた。
どうやら「じゅげむ」を間違えずに暗唱できたらスタンプカードを貰えるらしい。
「くそっ、ここは暗唱地獄!」
ホールからステージ袖に向かう順番待ちの逃走者チームの奴らと新人捜査員達が涙目だ。
どうやら、「じゅげむ」の他に「竹取物語」の冒頭、「枕草子」の冒頭、「平家物語」の冒頭など、古文系の暗唱ゾーンらしい。
ランダムでどれか一つの暗唱で、かんだり、一言でも間違えたら即終了。
「じゅげむ」は途中で止まって終了。
次にステージに立ったのは俺のマブダチ、転校生の天野すばるだ。
「すばる、古文の暗唱、大丈夫なのか?」
帰国子女で古文に馴染みのないすばるが心配で俺はついホールの中へ。
ホールの座席には「怪人」の腕章を付けた監視員が二人並んで座っているのが見えた。
一人は黒い燕尾服にシルクハット、モノクルを付けた大怪盗に扮した俺の組の担任の城山。
もう一人はチャイナドレスを着ていて、扇を広げて顔を隠している。
多分、大怪盗の曾孫の母親に当たる傾国の女怪盗のコスプレかな?
俺の心配を他所に、すばるは「平家物語」冒頭を見事に暗唱し、成功の証、スタンプカードを受け取った。
城山とチャイナドレスの人がパチパチとすばるに拍手を送る。
「「「・・・!」」」
扇を閉じて拍手するチャイナドレスの人の顔を見た俺を含めた全員(城山とすばる除く)がゴクリと喉を鳴らし、チャイナドレスの君の美貌に釘付けになった。
「特待生、確保~」
「えっ? は!」
チャイナドレスの君に見蕩れている間に、俺は両腕を捜査員チームの二人にガッチリ捕まれていた。
捜査員は1年B組の河合と神月だった。
「スタンプカード没収~、全部、出して?」
神月の可愛い笑顔が目前に・・・
俺は第一講堂に連行されながらスタンプカードを入れた巾着袋を河合に渡した。
「凄っ! 早田君、ダブりの回収係だったんだね!」
中を見た河合の歓声が上がる。
「・・・おう・・・」
何種類入ってるか分からんが、彼方此方回ったから百枚以上ある筈。
「大量~大量~」
ウキウキな二人に連れられて俺は収容所に・・・
チクショー!
見蕩れてないでスマホで撮っておくんだった!
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