【R18】一匹狼は愛とか恋とか面倒くさい

藍生らぱん

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高等部 一年目 皐月 ゴールデンウィーク 

048 GW 2日目 2

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**健太視点**

俺は姉貴のマンションから徒歩10分の所にあるショッピングモールに向かって歩いていた。
颯の好きな洋菓子(日持ちするやつ)と姉貴のアトリエへの差し入れを買う為だ。

目当ての老舗洋菓子店で宅配の手続きをしてから店外にあるイートインスペースでコーヒーを飲んでいると目の前の空いている席にチャラそうな男達が三人、断りも無く勝手に座って来た。
同年代の高校生か大学生っぽい。
「ねえ、一人? 俺らと遊ばない?」
そう言う男達にニッコリと微笑んで、ジワジワと威圧をかけていく。
βや最下層のαがギリギリ耐えられる所まで維持するのが面倒くさい。
でも、付きまとわれる方がもっと面倒だから仕方ない。
「お前、α?」
三人の内の二人はびびって青ざめてプルプル震えているが、残り一人は平然と俺を見つめている。
どうやらこいつは高位のαらしい。
赤味が強い金髪に碧眼で顔もかなり良い。
「お前もαか?」
高圧的な声音で言うと、男達は三人ともギョッとした顔で俺を見た。
美少女(笑)から男の声が発せられたのだから驚くのも無理は無い。
普通、ナンパ野郎はここで引く。
実際、びびってた二人はどこかへ消えた。

「俺はタケル! なぁ、名前、教えてくれよ。」
αの男が金魚のフンの如く付きまとって離れない。
どうやって撒こう?
モール内を足早に歩きながら考える。
「お前さぁ、すげぇいい匂いするよな。」
時々、男の指先が項に伸びて来るのを躱しながらアウトレットのエリアに入る。

目当ての店に入ると適当にワンピースを選んで試着室へ向かう。
この店の試着室は10人分の個室が並んで向かい合わせになっていて、売り場からレジの方に通り抜けができる作りになっている。
出入り口にはスタッフがいて試着に関係ない客の出入りを制限している。
俺は男が売り場側のスタッフに足止めされているのを確認してレジに一番近い個室のドアを開けた。
中に入る振りをしてレジ側の出入り口を抜けてレジ裏のスタッフルームに入りこむ。
「シアン?」
スタッフルームには店長の絹恵さんがいた。
「ナンパがしつこいからヘルプ」

この店は姉貴のブランドのアウトレットの取扱店で、店長は宅間さんの娘さんだ。
「シアン」は俺が女装している時のモデル名で、この店のスタッフ全員と顔見知りなのでスタッフルームには顔パスで入れる。

「コイツがナンパ野郎ね。」
監視カメラに映っている男を指差す。
「裏から出た方がいいわね。」
「アイツ、高位のαっぽいけど大丈夫?」
「このエリアは熊谷のチームが警備担当だから大丈夫。」
熊谷は京夜の実家が経営している大手セキュリティー会社傘下の警備会社の名前だ。
熊谷は空手、柔道、剣道、合気道や体術の道場も経営していて、俺と颯、京夜はそこの門下生だ。

裏口から絹恵さんが手配してくれた警備員に連れられて業者用の駐車場へ行くと、絹恵さんからの連絡を受けた城山が迎えに来ていた。
警備員にお礼を言って城山の車の助手席に乗り込む。
「サンキュー、城山先生。」
「直帰でいいか?」
「お願いします。」

帰りの道中、城山からお小言を言われた。
心配して言ってくれてるのが分かるから、素直に反省する。
「健太、」
「何?」
実家の駐車場に着くと、城山が思い詰めたような顔で俺を見つめた。
「見合いするのか?」
「ああ、姉貴からモニターのこと聞いたのか? 叔父さんの仕事の手伝いするだけで見合いはしないぞ。」
「そうか、あと理事長の事なんだが・・・」
「・・・」
「付き合ってるのか?」
「付き合ってはいないが、告白?はされたか。
まあ、面倒臭いから誰とも付き合わないけどな。」
「そうか・・・」
「城山先生、何でそんなこと聞くんだ?」
「何でって、嫌だと思った、から」
城山の手が伸びてきて、抱き寄せられた。

城山に、抱き寄せられた?

「この前の理事長の事とか、あとマッチングアプリの見合いの話しとか聞いて、健太が誰かのものになるのが嫌だと思った。」

・・・?

「俺は健太が好きだ。」


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