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高等部 一年目 皐月 ゴールデンウィーク
050 GW 2日目 4
しおりを挟む**健太視点**
「・・・で、今は? 取り敢えず、全部吐け。」
親父が全身から真っ黒い炎のようなオーラを揺らめかせているような雰囲気を醸し出した。
前世の俺にセクハラした奴等、皆殺しにしてやりたいって顔だ。
異世界だから無理だけど。
「幼稚舎と初等部の頃は、同じ組の女子達が仕切ってて、抜け駆け禁止って目を光らせてくれたお陰で平和だった。でも、男女別の中等部になったら告白の呼び出しでヒートトラップを仕掛けて来るΩが何人かいて、まあ、効かなかったんだけど・・・あとは夜這いがあったり、」
「夜這いぃ?」
「俺の入ってた部屋の鍵をコピーして持ってたんだよ、前の部屋主が。そいつが俺のファンクラブの奴の兄貴だったんだよ。で、ファンクラブの奴等がその鍵使って夜這いするローテーション組んでた証拠を京夜と山野が掴んで解決。」
「夜這いのローテーション・・・」
「親父、解決済みだからな?」
「他は?」
「他は・・・」
冬馬、理事長、他校のα、モデルの仕事の関係者、等々・・・
実名は濁して報告したが、今世は男性αからのセクハラ付の告白が大多数占めてるな・・・
「全員、ぶっ殺す・・・」
「・・・全員に、それなりにやり返してるから、落ち着けよ。」
「・・・」
「手に負えない時はちゃんと言うから、その時は助けてくれよ。」
不満そうな親父に釘を差す。
αの息子に過保護過ぎじゃないか?
「それより、」
俺は雪成義兄さんに視線を向けた。
「今日ナンパしてきたαにいい匂いがするって言われたんだけど?」
俺の言葉に雪成義兄さんと叔父さんが電子カルテで何かの情報とか数値を見比べてコソコソと話を始めた。
「相性」とか「因子」とかいう単語が漏れ聞こえる。
「この際、はっきり教えてくれないかな、俺の体のこと。Ωのヒートフェロモンが効かないこととか、αに性的に好かれやすいこととかの原因、調べてくれてたんだよな?」
小児科医の叔母さんとα専門医の雪成義兄さんは俺の主治医でもある。
因みに俺の母親はΩ専門医で颯の主治医だ。叔母夫妻と同じ大学病院に勤めている。
雪成義兄さんには高等部になってから学園の保健室で色々と両親に言いにくい事を相談していた。
今、みんなに話した内容もその都度相談していた。
「健太は『ビッチング』って知ってる?」
叔父さんが代表して言った。
「強いαがαやβをΩにする都市伝説? 漫画とかドラマによくある設定だよな。」
「実際に後天的にΩになるαとβはいるんだ。αの場合はαとΩの両性具有になるんだけどね。」
「両性具有?」
「遺伝的にΩ因子を持った男性αのみ、特別な条件下でΩ性が顕れる。その前兆でΩのヒートフェロモンを感受できなくなることが今年の始めに学会で証明された。」
「特別な条件下って?」
「運命の番との邂逅。
αとΩの場合は遺伝子の相性が90%以上がそれに当てはまる。
でも、α同士やαとβの組み合わせでも相性が90%以上ある場合があるんだ。その場合、αとβの場合はβがΩ化する。α同士であればΩ因子を多く持つ方が両性具有に変化する。
健太は初等部を卒業するまでの期間に『運命の番』になりうる相性がいいαと接触している筈だよ。Ωのヒートフェロモンを感受出来ないのは『運命のα』に接触した影響でΩ因子が活性化して両性具有になりつつあるからだ。」
「俺の運命がαなのか?」
「・・・誰なのか、知りたい?」
俺は首を横に振った。
会ったことがある奴の中にいるということなんだろうけれど、今まで誰にも『運命』を感じなかったし、俺に対して『運命』を口にしたαは一人だけじゃなかった。
だから、相性の数値だけで『運命』だと言われても「はい、そうですか」と受け入れる事はできない。
自分で判別できない『運命』はいらない。
すばるの咬み跡がきれいさっぱり無くなったはずの項がチクリと痛んだ。
「あのアプリは?」
「実は、Ωだけでなく、相性が良いαとのデータも取っている。止めるか?」
「いや、続けるよ。俺のようなαのデータって必要なんだよな?」
「うん、助かるよ、ありがとう。α同士は稀だから・・・」
叔父さんが申し訳なさそうに苦笑した。
「あのさ、Ω化が進んで両性具有になったらヒートが来たりとか、妊娠出産ができるようになるのか?」
「βからΩ化した人はそうなるけれど、αから両性具有になった人はヒートが無いらしい。妊娠出産の例は報告が無いから可能性は未知数だ。」
「ヒートが無いのにどうやって番に成ったんだ?」
「ラット状態の時に咬まれて成立したらしい。
健太、気を付けろよ?
最高位のαの地位を過信するな。
一部のフリーの高位αにとってお前は『運命』に匹敵する存在なんだ。
αは自分より強いαに惹かれやすい。心酔して忠誠を誓っているだけならいいが、そこに恋情が入った奴がいたら厄介だぞ。
αは執着と独占欲の塊だ。
お前と番になれる可能性があると知ったら、どんな手を使っても手に入れようとするかもしれない。」
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