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番外編
番外編 St. Valentine's Day V視点
しおりを挟む**V視点**
アーサーと恋人になって初めてのバレンタインデーを迎えた。
アーサーが大好きなアップルパイを焼いて、アーサーのフラットへ向かった。
インターフォンを鳴らすと、すぐにドアが開いて、ルイが顔を出した。
バレンタインの日は、いつも忙しいルイの両親をゆっくりデートさせるために、ルイとアーサーは毎年アーサーのフラットかルイの家でアフターヌーンティーをして過ごしていたそうだ。
今年は俺も混ぜてもらうことになった。
「ヴィクトール、いらっしゃい!」
中に入ると、ルイからリボンが掛かった小さな箱を渡された。
「ハッピーバレンタイン! これは友チョコ!」
「友チョコ?」
「日本では、好きな人やお世話になった人にチョコレートをプレゼントする日なんだ。」
「へぇ、俺はチョコレート大好きだから嬉しいな。ありがとう。」
日本は宗教の垣根が低く、クリスチャンでもないのにクリスマスを祝い、ハロウィンの時は仮装をし、バレンタインデーは何故かチョコレートを贈る日になっている。
本当に不思議な国だ。
キッチンに入ると、テーブルの上のケーキスタンドにはガトーショコラとアフターヌーンティー用の軽食が準備されていた。
「アーサー、これ、俺が焼いたアップルパイ。」
「ありがとう。」
アーサーは俺のアップルパイを切り分けると、新しいケーキスタンドを出して並べてくれた。
「美味しい!」
俺のアップルパイはルイにも大好評だった。
アーサーも「美味い」って何度も言って、たくさん食べてくれた。
三人でアフターヌーンティーを楽しんで、ルイを家に送ったあと、アーサーのフラットに戻った。
「今日は泊まっていくか?」
「いいの?」
「ああ、俺は明日は午後からだし。お前は?」
「俺は、時間の融通きくから、大丈夫。」
アーサーのフラットにお泊り!
平静を装いつつも、心の中では浮かれまくった。
交代でシャワーを浴びて、一緒にベッドに入った。
「おやすみ。」
「・・・おやすみ?」
五分も経たないうちにアーサーの寝息が聞こえた。
「・・・・・」
あれ・・・?
そういう雰囲気とか、何もなく、アーサーは普通に眠ってしまった。
「アーサーぁ・・・」
涙目で、情けない声でアーサーの名前を呼ぶと、アーサーの肩が小刻みに揺れて、口元が少し歪んでいた。
「・・・もしかして、起きてるの?」
「ぷっ、ふふふっ、ごめん。」
笑いながら、アーサーが目を開けた。
「・・・したい?」
「したい!」
「いいよ。」
お許しが出たので、俺はアーサーの上に乗って、唇を重ねた。
ついばむように何度も軽いキスをして、それから、じっくりと味わうように舌を絡めた。
キスを止めて、アーサーのパジャマのボタンを外していると、アーサーが上半身を起こして、俺の顔を覗き込んだ。
「ヴィクトール・・・」
「ん?」
「愛してるよ。」
「え!」
アーサーの言葉に驚いていると、クスクスと笑われた。
「アーサー、もう一回言って!」
「今日は特別な日だから、もう一回だけな。恥ずかしいし・・・」
「うん。」
「愛してる。」
「俺も、愛してる!」
「好き」は何回か言われたけれど、「愛してる」は初めて言ってもらえた。
それが嬉しくて、俺は夢中でアーサーを抱いた。
でも、ちゃんと理性を保って、三回目くらいで止めた。
本当は一晩中抱いて、抱き潰してしまいたかったけれど、アーサーの仕事に支障が出るといけないからね。
「アーサー、愛してる。」
先に寝てしまったアーサーを後ろから抱きしめて、俺も眠りについた。
アーサーと恋人になれて初めて一緒に過ごしたバレンタインデーは、一生の思い出に残る幸せな時間だった。
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