断罪される悪役で当て馬な仔ブタ令息に転生した僕の日常 R版

藍生らぱん

文字の大きさ
7 / 27
第一部

第5話 攻略対象者その三 騎士団長子息との接近遭遇

しおりを挟む
 
フルール王国の騎士団長は王弟殿下で、強面で背が高く、屈強な体躯に恵まれた槍の使い手なんだ。
グングニルという神器の槍の使い手でもあるんだよ。

聖具は光か闇の属性の精霊が宿っていて教会の所属なんだけれど、神器にはそれ以外の精霊が宿っているんだ。
グングニルには雷の精霊が宿っているんだよ。
基本的に聖具も神器も自分の使い手に相応しい主を選んで、他の人には見向きもしないのは同じ。
絶対に触らせないし、寄り付きもしないんだ。

グングニルは雷槍なので、雷系の魔法を使える人間を好むらしいよ。
土と水属性持ちが多いフルール王国で、騎士団長は水と光、風の三属性持ちで強力な雷魔法の使い手なんだ。
魔力量も多くて神器の持ち主に相応しい清廉な人格者なんだよ。
そのフルール王国の騎士団長が部下数人と見習い騎士を連れて教皇国の聖騎士団にやって来たんだ。

今日、各国の代表の騎士たちを集めたトーナメント方式の御前試合があるからなんだ。
御前試合の優勝者は「聖剣の勇者」か「聖騎士団の団長」と手合わせができるんだ。
「聖剣の勇者」は僕の父上、「聖騎士団の団長」は母さまの従兄弟で、僕の祖父の姉の息子さんなんだ。

聖騎士団長―ベルナール・ユーグ・ド・レイモンは聖なる盾、イージスの持ち主で、「勇者」の称号持ちなんだ。

「ルル、久しぶり! 会いたかった!!」
御前試合の会場に着くと、イージスの精霊が僕のそばに飛んで来ちゃった。
「精霊王の愛し子」という称号があるおかげで、僕は主以外に見向きもしない聖具や神器に宿る精霊たちに好かれているんだ。
そのせいで、聖騎士団では僕が「次期教皇」なことはバレバレで、公然の秘密になっているんだよね。

「教皇」の称号持ちは必ず女神様と精霊王の愛し子か加護持ちなんだ。
主がいない休眠状態の聖具を管理する関係もあるのかな。
とにかく、「教皇」は全ての聖具、神器に宿る精霊たちと意思疎通ができるし、触れることもできるんだ。
だから、聖具と神器のメンテナンスは教皇か、精霊王に認められた妖精族のドワーフの職人にしかできないんだ。

ちなみに、聖具と神器に宿る精霊は精霊の愛し子か加護持ちか、高レベルの鑑定系のスキルが無いと視認できない。
そして意思の疎通ができるのは愛し子か、加護持ちか、選ばれた主だけ。
だから一般の人たちには見えないし、聞こえない。

好かれて懐かれるのは嬉しいんだけれど、身の安全の為に成人するまで称号を隠さなきゃいけない僕は困ってしまう。
父上の聖剣の精霊クサナギは大人でクールな性格なので他人がいる所では寄ってこないんだけど、イージスは無邪気っていうか、好奇心旺盛な仔犬のようだから、我慢ができないらしい。
他の聖騎士の聖具たちも僕の事を気にしてチラ見してるけれど、職務中だから我慢しているのに。
ほんと、イージスだけだよ、我慢しないの・・・
まあ、見える人は限られるし、見て見ぬ振りをしてくれるからいいんだけどね。

「イージス、今日は人がたくさんいるから、お話は後でね。」
「え~、つまんない~、じゃあ、勝手に遊ぶもん。」
そう言ってイージスは僕の髪の毛の中にもぐって、僕の髪を編んだり解いたりを繰り返す。
優勝者が決まるまではイージスの出番も無いし、まあ、いいか、と好きにさせていると、どこからか、視線を感じたんだ。

神器グングニルの刃先に小さな精霊──虎縞模様のパンツを履いた小さな雷様が立っていて、背伸びをしてこっちを見ている。
その雷様と目が合った。
「え?」
目が合った瞬間、遠くにいた筈の雷様グングニルが目の前に!

「お前、イーサンの嫁にしてやってもいいぞ!」
「「ふざけたこと言ってんじゃねぇよ!」」

大公家の後継であるランス兄上と賢者の後継であるメルク兄さまには、女神様と精霊王の加護があるから精霊を見る事ができるし、意思の疎通もできるんだ。
グングニルの事は兄たちに任せて、僕は見えない聞こえない振りを貫く。

グングニルと兄たちが揉めていると、そこにフルール王国騎士団長の息子で公爵家次男のイーサン君がやってきた。
イーサン君は乙女ゲームの攻略対象者なんだよ。
将来、父親である騎士団長の恵まれた体躯を受け継いだ美丈夫になるんだよね。
今は兄たちと同じ年の12歳の子供なんだけど、頭一つ分、兄たちより大きい。
「イーサン、こいつをお前の嫁にしよう!」
グングニルが僕を指さして言った。
「大きなお世話だ。それに、こいつは女子じゃないぞ。」
「は~、男とか女とか、人間って不自由だよね。」
精霊に性別はないから、人間とは感性とか感覚が違うんだろうね。
・・・ん?
イーサン君、精霊と意思疎通できてる・・・?
「うちのグングニルがすまない。俺はフルール王国の騎士見習い、イーサンだ。」
「俺はランスロット。聖騎士見習いだ。」
「俺はメルクリウス。賢者の弟子だ。」
「僕はシャルル。二人の弟です。」
とりあえず、お互いに簡単な自己紹介をして挨拶を交わした。
「君たちはグングニルと話せるんだな?」
「ああ、加護持ちだからね。そういう君も話せるんだね?」
「俺は雷の精霊の加護持ちで、父上からグングニルを受け継ぐ資格を満たしている。まだグングニル本人には認められていないけどな。」
「この子を嫁にしたら認めるよ!」

グングニル、しつこいなぁ・・・

「「却下!」」
兄たちがグングニルを睨みつけている。
「だから、女子じゃないから無理だ。」
「イーサンは見る目が無いね。仕方ないから、諦めるけどさ。後で後悔しても知らないよ?」
「男相手に後悔も何も無い。」
「ほんと、見る目無い。頭でっかち。むっつりスケベ!」
グングニルはそう言って、神器の雷槍の方に戻って行ってしまった。

いや、見る目無いのはグングニルの方じゃない?
僕は男なんだから、嫁にはなれないもん!

「あいつ、見る目あるな・・・」
「諦めてくれて良かった・・・」

兄たちがグングニル寄りの呟きを漏らしてるし・・・

いや、僕、男だからね!

その後、少しイーサン君と兄たちが話をしたところ、見習い騎士の槍術部門にエントリーしていたらしく、お互い順当に勝ち上がれば決勝で対戦することがわかったんだ。
「決勝で会おう。」
「ああ、楽しみにしてる。」
イーサン君とランス兄上は握手をして一旦、別れた。


しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺の妹は転生者〜勇者になりたくない俺が世界最強勇者になっていた。逆ハーレム(男×男)も出来ていた〜

陽七 葵
BL
 主人公オリヴァーの妹ノエルは五歳の時に前世の記憶を思い出す。  この世界はノエルの知り得る世界ではなかったが、ピンク髪で光魔法が使えるオリヴァーのことを、きっとこの世界の『主人公』だ。『勇者』になるべきだと主張した。  そして一番の問題はノエルがBL好きだということ。ノエルはオリヴァーと幼馴染(男)の関係を恋愛関係だと勘違い。勘違いは勘違いを生みノエルの頭の中はどんどんバラの世界に……。ノエルの餌食になった幼馴染や訳あり王子達をも巻き込みながらいざ、冒険の旅へと出発!     ノエルの絵は周囲に誤解を生むし、転生者ならではの知識……はあまり活かされないが、何故かノエルの言うことは全て現実に……。  友情から始まった恋。終始BLの危機が待ち受けているオリヴァー。はたしてその貞操は守られるのか!?  オリヴァーの冒険、そして逆ハーレムの行く末はいかに……異世界転生に巻き込まれた、コメディ&BL満載成り上がりファンタジーどうぞ宜しくお願いします。 ※初めの方は冒険メインなところが多いですが、第5章辺りからBL一気にきます。最後はBLてんこ盛りです※

乙女ゲームが俺のせいでバグだらけになった件について

はかまる
BL
異世界転生配属係の神様に間違えて何の関係もない乙女ゲームの悪役令状ポジションに転生させられた元男子高校生が、世界がバグだらけになった世界で頑張る話。

イケメンチート王子に転生した俺に待ち受けていたのは予想もしない試練でした

和泉臨音
BL
文武両道、容姿端麗な大国の第二皇子に転生したヴェルダードには黒髪黒目の婚約者エルレがいる。黒髪黒目は魔王になりやすいためこの世界では要注意人物として国家で保護する存在だが、元日本人のヴェルダードからすれば黒色など気にならない。努力家で真面目なエルレを幼い頃から純粋に愛しているのだが、最近ではなぜか二人の関係に壁を感じるようになった。 そんなある日、エルレの弟レイリーからエルレの不貞を告げられる。不安を感じたヴェルダードがエルレの屋敷に赴くと、屋敷から火の手があがっており……。 * 金髪青目イケメンチート転生者皇子 × 黒髪黒目平凡の魔力チート伯爵 * 一部流血シーンがあるので苦手な方はご注意ください

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

BLゲームの悪役に転生したら攻略対象者が全員ヒロインに洗脳されてた

BL
主人公のレオンは、幼少期に前世の記憶を思い出し、この世界がBLゲームで、自身は断罪される悪役だと気づく。 断罪を回避するため、極力攻略対象者たちと関わらないように生きてきた。 ーーそれなのに。 婚約者に婚約は破棄され、 気づけば断罪寸前の立場に。 しかも理由もわからないまま、 何もしていないはずの攻略対象者達に嫌悪を向けられてーー。 ※最終的にハッピーエンド ※愛され悪役令息

運悪く放課後に屯してる不良たちと一緒に転移に巻き込まれた俺、到底馴染めそうにないのでソロで無双する事に決めました。~なのに何故かついて来る…

こまの ととと
BL
『申し訳ございませんが、皆様には今からこちらへと来て頂きます。強制となってしまった事、改めて非礼申し上げます』  ある日、教室中に響いた声だ。  ……この言い方には語弊があった。  正確には、頭の中に響いた声だ。何故なら、耳から聞こえて来た感覚は無く、直接頭を揺らされたという感覚に襲われたからだ。  テレパシーというものが実際にあったなら、確かにこういうものなのかも知れない。  問題はいくつかあるが、最大の問題は……俺はただその教室近くの廊下を歩いていただけという事だ。 *当作品はカクヨム様でも掲載しております。

メインキャラ達の様子がおかしい件について

白鳩 唯斗
BL
 前世で遊んでいた乙女ゲームの世界に転生した。  サポートキャラとして、攻略対象キャラたちと過ごしていたフィンレーだが・・・・・・。  どうも攻略対象キャラ達の様子がおかしい。  ヒロインが登場しても、興味を示されないのだ。  世界を救うためにも、僕としては皆さん仲良くされて欲しいのですが・・・。  どうして僕の周りにメインキャラ達が集まるんですかっ!!  主人公が老若男女問わず好かれる話です。  登場キャラは全員闇を抱えています。  精神的に重めの描写、残酷な描写などがあります。  BL作品ですが、舞台が乙女ゲームなので、女性キャラも登場します。  恋愛というよりも、執着や依存といった重めの感情を主人公が向けられる作品となっております。

結婚初夜に相手が舌打ちして寝室出て行こうとした

BL
十数年間続いた王国と帝国の戦争の終結と和平の形として、元敵国の皇帝と結婚することになったカイル。 実家にはもう帰ってくるなと言われるし、結婚相手は心底嫌そうに舌打ちしてくるし、マジ最悪ってところから始まる話。 オメガバースでオメガの立場が低い世界 こんなあらすじとタイトルですが、主人公が可哀そうって感じは全然ないです 強くたくましくメンタルがオリハルコンな主人公です 主人公は耐える我慢する許す許容するということがあんまり出来ない人間です 倫理観もちょっと薄いです というか、他人の事を自分と同じ人間だと思ってない部分があります ※この主人公は受けです

処理中です...